仮面ライダーW 第46話 「Kがもとめたもの/最後の晩餐」:感想
【ストーリー】
・一言で通じ合う二人が良かったです。
バディものの締めくくりに相応しい展開だったと思います。母親のシュラウドも手助けしているところがまた良いですね。逆転の仕掛けもベルトのギミックを利用したもので唐突さがだいぶ軽減されていました。勢いに任せた展開ではない丁寧な作り込みが三条さんらしいと思いました。
■Kが求めたもの
・今回のタイトルの「K」とはキング、すなわち園咲琉兵衛のことであり、家族を指しているように感じました。
琉兵衛は既に失われた虚像の家族を追い求めて、残った家族を犠牲にし続けた狂人でした。
理解はできるけれど「そうなんですか」という以上には踏み込みようがない内容だったのは残念です。「家族」という言葉は園咲家共通のキーワードだったので、琉兵衛を中心に描くのならば若菜や冴子と家族に関する会話をして、同じ話をしているはずなのにどこかすれ違っている様子も描いてほしかったです。壊れたきっかけも「ライトが落ちて死んだ」という完全な事故が原因なので、琉兵衛を恨む気にも同情する気にもなれません。
・琉兵衛の描き方が足りないことで、若菜も巻き添えになってしまったような気もします。
若菜の変貌も恐らく琉兵衛が主な原因だと思います。フィリップが弟のライトで既に死んでいるという事実を知ったからではなく、琉兵衛が正気でなくなっていて彼の語る家族が自分の思っていたものとは違ったこと。しかし姉の冴子が計画のために犠牲にされてきた経緯を知っているから後戻りはできないと感じたこと。若菜が突然女王として動くようになったのは、この辺りの影響が大きいように思えます。
・「家族」という点に関してはフィリップもけっこう歪んでいたと思います。
「やっと悪魔のメモリからみんなを引き離せたのに…」と最後に言っていましたが、計画を潰すために若菜をバグらせたり、冴子のことはまるで無視していたり、相当にいびつです。血のつながりという意味での家族は理解していたのだと思いますが、わかり合うという意味では園咲家とは全く家族とは言えない関係に見えました。家族と呼べる存在である翔太郎たちと「家族」である園咲家、この2つの異なる家族をフィリップがどう思っていたのかもう少し知りたかったです。
【アクション】
・相手の出鼻を潰し続けるフルカウンターのスタイルが素晴らしかったです。
無造作に歩きながら淡々と殴り続ける姿からは、家族と戦うフィリップのやるせない気持ちが伝わってきました。同時に一発殴るごとに悪の野望を砕いていくような力強さもあり、とてもヒロイックでした。
・私は通常フォームのWが好きなこともあって、エクストリームはあまり好きではありませんでした。このバトルが無かったら最後までエクストリームは好きになれなかったかもしれません。仕留め損ないばかりで良いとこなしだったダブルエクストリームもここで見直しました。
■アクセル
・情感たっぷりのWとは対照的に人型を捨てて戦う姿勢が印象的でした。
かつては感情が薄かったが今は家族を救うために戦うフィリップとは対照的に、他人のために戦っていました。かつては復讐のためなら自分の命さえ惜しくないと言っていた照井が今度はフィリップたちのために、悪の野望を阻止するために必死になって戦っていることは感慨深いものがあります。ストーリー上では前々回が照井編のクライマックスだと思いますが、私にとっては今回のバトルこそが照井編のクライマックスです。
>計画を潰すために若菜をバグらせたり、冴子のことはまるで無視していたり、相当にいびつです。
返信削除前者はともかく、後者は以前「お前はモノ」と、まるで家族扱いされていなかったので仕方ないかと思われます。
自分を道具扱いする人を家族とは思いたくないでしょう。
私もそう思うところはあります。
削除仮にフィリップが「あんなやつ家族じゃない!」と言ったとしても、視聴者も翔太郎たちも同意するでしょう。
しかし作中においては、フィリップは冴子のことを姉さんと呼び、家族として扱い続けています。「情に訴えるため」といった可能性も考えられますが、フィリップの心の移り変わりから考えるとそんな冷徹な判断は無いと思います。私は以上の点からフィリップは冴子を若菜たちと同列に見ていると考えています。
この考えは今回フィリップが冴子のことを気にする素振りのない様子とやや矛盾しています。それと冒頭での家族ごっこを本気で家族団欒のチャンスと誤解している様子から、フィリップの家族の定義が歪であるように感じた次第です。