『デリシャスパーティ♡プリキュア』:2クール目まで見終わった時点での感想
・デパプリを2クール目、正確には19話まで見た段階での感想です。
薄い
・メインストーリーもキャラも薄味なように感じています。
第一印象から変わらず、マイナス点はあまりないけれどもプラス要素も大して見当たらない印象です。話数が経過した分だけ特に強みが見えてこないこと自体がマイナス要素になりつつあります。
・メインストーリーは「人々を苦しめる悪の組織を倒す」以上のものが見当たらないので最初からあってないようなもののようなので薄味でも構いませんがメインになるものが見当たらないことは良くないと思います。
・見た感じだと、強いて言えばキャラクターか料理やレシピッピといったモチーフやテーマがメインなのかな、という印象ですが自信を持ってこれだろうと言えないくらいにぼんやりとしています。
メインキャラが揃ってキャラの印象が薄いのは特にマズいと思っています。
■ユイ
・主人公のユイは「腹ペコった~」や「デリシャスマイル♪」など食事関連の口癖も多いので好きになれるかは別として作品内で目立つ存在になるだろうと思っていましたが時間が経つほど空気になっていっているように感じています。
最近はこの口癖すら言うことがめっきり減り、「プリキュア」という以上の人格が無くなってきているように見えます。ジェントルーを助けたがる場面ではアマネとの個人的な付き合いも薄く、ユイ自身に絡んだ理由があるわけでもなく、「困ってる人は助けてあげるべき」という一般論以上の助ける理由がないのになぜそこまで熱心に助けたがるのか困惑しました。
・個人的には助けを拒むアマネに声をかける場面ですら「お婆ちゃんが言ってた」とお婆ちゃんが言ってたbotと化していたことにどうかと思いました。そこは自分の言葉で言ってほしかったです。
名言を通してお婆ちゃんの人となりが明らかになっていくわけでもないので情報量が感じられません。お婆ちゃんが料理人だとか実はクッキングダム関係者だとかお婆ちゃんのことを知ることで大きな要素につながる気配がないので全然興味が持てません。
これがユイが身の丈に合わない大人びた発言や物事の核心を突くような内容を話すならお婆ちゃんというフィルターを通す必然性が理解できるのですが、実際には「何それ? 今それ関係あるの?」と耳を疑うような奇妙な文面が多いので全くピンと来ません。
■ココネ
・ココネは一番人物描写がまともなほうだと思います。コミュ障描写は地に足がついていて実感の籠もった内容で普通に見れます。
ただ、難点もあるように見えます。リアリティラインがプリキュアやユイと合ってない気がします。プリキュアは基本的に明るく楽しく悪い人なんていないというファンタジーな雰囲気なのでリアリティのあるココネのコミュ障仕草と噛み合いません。周りの反応との整合性が取れなくてココネの描写だけ浮いているように見えることが少なくありません。
料理との関係性がほとんど無い点も作品と合ってない気がします。「料理が他人との架け橋になる」とかそういう方向なのかと思ったらそうでもなく、自分の気持ちの問題と人間関係構築の話に終始していてこれはデパプリではやるべき話なのかと疑問を感じます。ランランのほうがタイプは違うけど別ベクトルのコミュ障で料理に絡んだ話をやっているので余計にココネの話の存在意義が何なのか戸惑っています。
■ランラン
・ランランは「はにゃ~」など奇声を上げるタイプなので個人的には苦手ですが、好みの問題を差し引いても存在感が薄いように感じます。
明るい感じのわりとコミュ障という設定は納得が行きました。明るい感じのわりには序盤からクラスで友達といたりする様子がなくてなぜなのだろうかと不思議に思っていましたがこういうタイプならそれも納得です。
・ただ、納得はいくけれども面白いと言えばそうでもないし、ココネとコミュ障が被ってるところもどうかと思います。
基本的に自己完結していて「料理と自分、それと他人」と割り切っている感じで最悪、料理があればそれで生きていけるという生き方なのでゲストが絡むドラマが弱く感じます。ユイたちと一緒にいる理由もそれほど深くないので3人一緒にいるときにはスタッフもランランを使いあぐねているように見えます。
キャラ単体としては有りなのですが、どうしてこの作品でこういうキャラにしたのだろう?という点では疑問を感じるところがいくつもあります。
・メンメンはポッと出な上に性格も普通なので特に印象がありません。空気です。ランランのよいしょ担当という印象で人格を感じたことがありません。
敵側のほうが濃い
・キャラ描写としてはブンドル団のほうができているように感じました。
悪者なのに生真面目でユーモラスなジェントルーや悪役が板についていてその場その場の成り行きを楽しんでいるナルシストルーのほうが魅力があるように見えます。
悪役としては珍しくない反応で特別優れているというわけではないんですが、それが魅力的に映るくらいにプリキュア側がぼんやりしている点がデパプリの問題点の中核ではないかと思います。
3人の好みや方向性が違うから一つにまとまることができず、かといって違いを楽しむわけでもなく、衝突や理解を避けているから当たり障りのない話題しか使えないように見えます。コメコメへの対応でココネとランランが揉めた回やケーキ作りの回のようにキャラの個性をぶつけていったほうが面白くなると思います。
■ジェントルー/アマネ/キュアフィナーレ
・個人的にはまだアマネという名前に馴染みがありません。「ジェントルーだった人」という言い方が一番しっくり来るところがよろしくないと思います。
ジェントルーが洗脳されてできた別人格で本来のアマネとは何の関係もないと判明した時点で「ジェントルーになる前のことを全く知らないから、このままだと元ジェントルーのよく知らない人になってしまうのではないか?」と危惧しましたがその通りになってしまいました。最初から見えてる落とし穴に嵌るのは感心しません。プリプリのトワという先駆者がいるので余計に何の方策もないことが気になりました。
・アマネに戻ってからの展開がまた理解し難いものでした。
戻ってから1ヶ月ほど「体調が悪い」と言って家で面会謝絶状態で過ごしたことは作劇上の意図が全くわかりませんでした。ただでさえジェントルーじゃないアマネがどんな人物なのか知らないのに更に出番を減らしてどうするのでしょう?
・理解し難い展開から「ひょっとしてプリキュアにはならないのか?」と疑問に思っていましたが結局変身しました。変身までの猶予が実質1話しかなかったのでポッと出の新キャラ以上に「なんだこいつ?」という印象で締まらない展開でした。
これならせめて引きこもっていた1ヶ月間の間に生徒会副会長など周りの人を通してアマネの人となりを描くなどしておいたほうが良かったと思います。5話のロスのせいでブラックペッパーの登場と重なった結果なのかもしれませんが特に補正をかけずに見ると首をかしげる展開でした。
■タクミ/ブラックペッパー
・ブラックペッパーになるまでは同級生程度のサブキャラで特に毒にも薬にもならない印象でしたが、変身するようになってからは好みの内容でキャラクターとしては一番好きです。
目的がはっきりしていて空回りすることもあるけど自分なりに一生懸命で「正体は隠すけどブラペのことをどう思われてるのか気になって仕方ない」みたいなところを微笑ましいです。
・しかしキャラとしての立ち位置はかなり不透明だと思っています。
しばらくは格上の助っ人として活躍するのかなと思ったらフィナーレが出てきたため早速戦力としては微妙な扱いになっています。このまま敵にデリシャストーンを奪われたり捕まったり囚われのお姫様コースになってしまうのでしょうか。できればメインでなくてもがんばり続けてほしいのですが望みは薄そうだと感じています。
・できたら「ユイを守りたい」という方向性の違いを活かしてプリキュアとのすれ違いや意見の相違が起きると話に厚みが出て良さそうだと思っていたのですが、これも起きそうになさそうだと感じています。
ただの戦力で終わってしまうといろんな意味で必要性が薄くなってしまうのでもったいないです。
テーマ部分すらよくわからなくなってきた
・料理の存在感が薄れていき、レシピッピ関連すらよくわからなくなってきました。
私はレシピッピというのは「”食事に付随する楽しさ”を具現化した存在」だと解釈していました。ココネが顕著ですが食べ物の味そのものではなく、誰かと食べるなどシチェーションであることに価値を感じる人はいると思います。
私はその真逆でむしろそういうのに嫌悪感を抱いています。「一緒に食べると美味しい」なんて頭のイカれた妄言だと思っています。美味しいものは一人で食べても美味しいし、マズいものは誰かと食べてもマズいと思います。「一緒に食べると美味しい」なんて考え方は単純に誰かといることが楽しいという別の楽しさを食事と混同していて本質的にはむしろ食事に対する冒涜だと思います。そういう楽しみはゲームでもスポーツでも、あるいはただ一緒にいるだけでも発生し得るもので食事との関係性はあまり無いと思います。せいぜい食べ物という共通の”話題”が得られる程度でしょう。
・だからこそ「そういうのは食事とは別の楽しみで、本作では付随物のほうを扱います」と明言することには好感を持ちました。私は興味ありませんけど、それはそれであって良いものですからね。しっかり切り分けて扱うならむしろ啓蒙になって良いことだと思います。
・食べることが好きだが料理そのもの以上に食べ物を通してお婆ちゃんとの思い出を見ているユイ。
家柄から美食に慣れてるせいか料理そのものへの関心は薄く、一緒に食べるというシチュエーションを重要視しているココネ。
料理そのものに人を幸せにする力があると確信し、美味しいものを人に伝えることにも意欲を燃やすランラン。
と主要キャラそれぞれに違うベクトルを持っている点も面白いと思いました。楽しみ方も人それぞれにするのは方向性が噛み合っていて良いと思います。揃いも揃って「美味しい美味しい」と言うだけなら3人も要りませんし。
・しかしながら実際にはそういう個性の違いが活かされることはほとんど無く、それどころか食事や食べ物自体も存在感がなくなり、どの作品でもあるような「食べ物に関係した回」くらいの平凡な内容が多いと思います。オイシーナタウンには何でもあるので別の街に行ったりしない分だけ普通の作品よりも話が膨らみません。
・個人的には「レシピッピを奪われると味が美味しくなくなる」という概念自体が理解し難いです。
レシピッピ=美味しさとしてしまうと、ユイたちがレシピッピを守ろうとする理由すら不透明になってしまってダメだと思います。個人的には料理人や食材など全て無視する姿勢が受け入れがたいです。
・2クール目になってからは味じゃなくて「料理にまつわる思い出がなくなる」という形式に切り替わって更に困惑しました。レシピッピがなくなっても味は変わらないんですかレシピッピとはいったい…
整合性を無視すればまだ私のイメージする方向性に近い内容になったとは思うのですが、実際に提示されるものが「あれ、私なんでこの料理を食べたいと思ったんだっけ?」というテンプレ展開が毎回繰り返されるだけなのでとても退屈です。その前に語られる思い出自体がドラマとして良ければまだマシだったのですがそれも特に良くないのでどうにもなっていません。
・テーマとしてもモチーフとしても何をどうしたいのか曖昧になっていく一方で困惑しています。
「じゃあスタッフにとって食事はどうでもいいことなんじゃないか?」と考えられればまだ理解できるのですが他にやりたいことが全然見当たりません。
キャラは薄いし、メインストーリーは相変わらず悪の組織を倒すくらいでメンバーを意欲を示していません。ローズマリー関連なんてむしろ迷走しているように感じました。同世界の住人であるタクミの父親に反応を示していると思ったら「実は過去にもレシピ本を盗まれたことがあり、その犯人はシナモンだと思っていたが違うっぽい」という話がローズマリーの頭の中だけで完結してしまってまるで意味がわかりませんでした。
こういう話って「ブラペのことは一緒に戦ってくれる心強い味方だと思っているが、もしも裏切り者のシナモンと関係があるならば使命に基づいて殺さなければいけないかもしれない…(こんなことはユイたちには話せない)」と一人で抱え込んで葛藤したり離反したり、隠し事をしていると仲間から怪しまれたりするところに意義があるものだと思います。何も起きないどころか初耳な情報まで出てきて全く話についていけませんでした。
■販促もいまいち
・5話分のロスがあるからスタッフが悪いのかどうかはっきりしませんが、それほど詰めてる印象もないので基本的にはスタッフの問題だろうと思っています。
・ロッド入手のエピソードが特にありませんでした。
レシピッピがどうこうという時点で意味がわかりませんでした。レシピッピってそういう存在でしたっけ?
ロッド自体の扱いも微妙でブラペやフィナーレの登場であまり出番がないうちに活躍しなくなってしまいました。
・コメコメはもっと悲惨です。
空気です。販促ノルマ用に画面に映すだけで販促どころかキャラとしてすら存在感がありません。まともに名前があるキャラの中で一番影が薄いと思います。赤ちゃんとしても妖精としても存在感がありません。影が薄い妖精の中でさえもまともにしゃべれない分だけ存在感が希薄だと思います。メイン商品の一つでありメインキャラのはずがどうしてここまで扱いが悪いのか理解に苦しみます。
■アクション
・方向性は悪くないんですけど、実装がいまいちだと思っています。
怪人のギミックもパワーアップに伴って複雑化してバトルが面白くなってきていますし、ブラペの乱入という不確定要素も悪くないです。
・バンク通常必殺技が難点だと思います。
ギミック対策や小技のアクションを入れても決め手になる部分が1,000キロカロリーパンチなど見慣れたバンク技で終わるため盛り上がった気持ちの行き場がなくなりがちです。通常必殺技もバンクではなく描き下ろしが多ければむしろ盛り上がると思うのですがプリキュアの作画水準では要所以外では期待する気になれません。
作品と方向性が合ってない
・全体としてはこんな印象です。
情感が籠もっていて比較的良いと思った内容がどれも暗めです。
対人能力が低いココネや明るいけど空気が読めないランランなどコミュ障勢、洗脳されてやったことだから自分のせいじゃないとはわかっていても自分の手でやった感触を覚えているから自分への嫌悪感が消えないアマネの葛藤。どれも「逆境でもめげない」とか「自分と向き合う」といったタイプのお話で、根拠もなく明るいのが基本のプリキュアの作風と合っていないと思います。特にデパプリの「幸せのおすそ分け」なんてフレーズとは程遠いです。おすそ分けするどころか「自分の幸せを掴み取るお話」って印象です。
作品のほうに内容を合わせるのか、スタッフのできることに合わせて作品を作るのか、そこがはっきりしないと良い方向には行けないんじゃないかと思っています。
お疲れ様です。最初は面白そうだと思ったのですが、やっぱり面白さを持続出来ませんでしたね。
返信削除ユイは、制作陣も仮面ライダーカブト・天道総司を意識して作ってるところが、あると思います。ですが、あっちは唯我独尊でキャラが強かったので、苦言の声もありましたが存在感を出せていました。ユイもそうなれとはいいませんが、このまま薄いのは勘弁です。
妖精の存在も薄いですよね。ヒープリもそうでしたが、一緒に戦ってる感がないです。アドバイスはローズマリーに取られてますし、「熱い、熱い」って言ってた記憶しかないです。協力して戦うってのは、難しいことなんですかね。
アマネ関連は、凄かったですね。口を揃えて、「生徒会長は~」と叫ぶ姿に、お前らは何を知ってるんだと困惑しました。ジェントル―にされた理由も、未来自身の脅威になるから~と、ボスにドン・サウザンドがしたように手駒にされたのかなと思ったら、そんなもんなかったのでガッカリしました。
owlさんもブラぺ好きなんですね。タキシード仮面とか、プリキュアのどの作品か分かりませんが、金髪の騎士とか、ああいう勢力は魅力ありますよね。フィナーレのせいで影が薄くなるのは、商業的には仕方ないことなのかもしれませんが、ちょっと残念です。
マルゲリータさん、こんにちは。
削除>ユイは、制作陣も仮面ライダーカブト・天道総司を意識して作ってるところが、あると思います。
私は特にそうは思いませんが、ユイのキャラが薄いのは問題だと思っています。口癖があるのにキャラや自我が弱いのはちぐはぐで違和感が強いです。
>妖精の存在も薄いですよね。ヒープリもそうでしたが、一緒に戦ってる感がないです。
バトルの話でならヒープリの妖精はバリアがある分だけマシなほうだと思います。
デパプリも普通の範疇だと思っています。個人的にはマスコットや賑やかしの役目が妖精の主な役割だと思っているのでキャラとして伸びないことのほうが問題だと思っています。
>ジェントル―にされた理由も、未来自身の脅威になるから~と、ボスにドン・サウザンドがしたように手駒にされたのかなと思ったら、そんなもんなかったのでガッカリしました。
悪い面を描きたくなかったんでしょうけどそこを避けると実質ポッと出になるのは避けられないのであのやり方ではダメだと思います。
特に良いプランがないなら過ちは過ちとして描いたほうが良いと思います。
>タキシード仮面とか、プリキュアのどの作品か分かりませんが、金髪の騎士とか、ああいう勢力は魅力ありますよね。
プリキュアの金髪の騎士と言うとドキプリのジョー岡田ですかね?
私は健気にがんばってる子が男女問わず好きなだけなのでイケメン系とは趣旨が違うと思います。
出番と活躍が中途半端なのはやや不思議です。販促にあまり絡まないなら出番を遅らせるなり早めるなり並行するなりやりようはあると思います。特に出す必然性も感じないキャラなのでこのままだと空気になるだけなので現状の”出るだけ”の扱い
は理解に苦しみます。
主人公は成長しないし、仲間は主人公のおまけだし、ストーリーが飛躍しすぎて置いてきぼりを喰らってばかりの最近のプリキュアシリーズ
返信削除ハピプリやまほプリから全然変わっていなくて失望ばかりしてます「GOプリンセスの様に楽しめると思ったら全然違った」みたいなそんなものばかり、面白いのは1クールだけ
もう自分はプリキュアを卒業した方が良いのかなって思ってます
>主人公は成長しないし、仲間は主人公のおまけだし、ストーリーが飛躍しすぎて置いてきぼりを喰らってばかりの最近のプリキュアシリーズ
削除私はだいぶ考えが異なります。
デパプリは成長を説くお話には今のところ見えないので特に気にしていません。食べもの関連の描写や単純なキャラ描写やストーリーが少ないことのほうが気になります。
>面白いのは1クールだけ
もう自分はプリキュアを卒業した方が良いのかなって思ってます
「1クール目は楽しめる」ということならそこに着目したほうが実りがあるのではないかと思います。
それが「その作品には存在しない勝手な期待感」であるならば、自分の中に求めるものが明確に決まっているということなのでそういうお話の作品を探すほうが適切だと思います。現行のプリキュアがシリーズとしてそういう作品であるのかを考えてみてそれから決めるほうが良いのではないかと思います。