良質な低価格ソフト 『エクスケーブ ~運命の夢幻塔編~』クリア後レビュー&感想

2015年2月13日
3DSダウンロード専用ソフト『エクスケーブ ~運命の夢幻塔編~』をクリアしました。
500円と低価格ながら丁寧な作りで安心できる作品でした。


【システム】

■これは”アクション”ゲームです
・このゲームは『風来のシレン』のように、ランダム生成されるマップでアイテムや装備を拾いながらひたすら奥を目指していくゲームです。
武器は使っていると壊れるため常に替えの武器を用意しておく必要がありますが、より有利に戦うためには消耗品の魔法や回復薬など様々アイテムと武器との取捨選択が重要な要素になってきます。この点ではローグライクゲームの様相が強いゲームです。

・ちなみに本作にはアイテムの持ち帰り/持ち込みはありません
装備を地道に強化していって、最強装備でゴリ押しすることは不可能です。
代わりに決められたアイテムの中から選んでおいて、5階ごとに入手することができます。武器を選ぶのか、防具にするか、魔法にするか、あるいはもっと深く潜るために後で役に立つものを置いておくか。個々人の個性が出るところだと思います。

・プレイし始めて驚いたのは、アクション要素が強かったことです。
移動が早くなる双剣で敵の射撃を避けながら接近したり、弾を消せる大剣でタイミングを合わせてかき消しつつにじり寄ったり、プレイヤースキル次第で様々な行動がとれました。
敵の射撃攻撃も多く、雑魚が無限に湧いてくるジェネレーターもあったり、反射神経と状況判断が強く求められるアクション性の高いシステムになっています。
範囲攻撃の魔法がないと辛いエリアに思えても、上手く立ち回れば武器だけでも楽に突破できたりしてこの点が一番面白かったです。

・逆にローグライクゲームとしての側面は弱めです。
風来のシレンのように巻物や杖のようなピンチを一発で逆転できる便利な道具はあまりありません。瞬時に状況を判断し使うべきアイテムに持ち替えないといけないので、良いアイテムを持っていても適切に使いこなせずに抱え落ちすることが多いです。
始めたときの印象では拾ったものを上手く使うことが重要なのだろうと思っていたので、このアクション性の高さは意外でした。


【レビュー】

■ボリュームは充分
・チュートリアルのダンジョンが5つ。本編のダンジョンが全50階。50階以降は無限?に続くスコアタック用のやり込み階層になっています。
プレイヤーの腕によりますが、50階に行くまででも最低でも8~10時間程度は遊べるでしょう。アクションが得意でない人や更に深い層を目指そうとすればそれだけプレイ時間は伸びます。

■期待されるものは全て揃っている
・ハクスラ、スコアアタック、美女、リョナ。このゲームを買う人が期待しているであろう要素は全て詰まっていました。この時点で軽く1000円分くらいの価値はあります。これが500円で買えるのだから、お買い得だと思います。

・このゲームの概要を知って、「やってもいいかな」と思ったら買って間違いないでしょう。
逆に「特にこの手のゲームに興味はないけど面白いなら…」という程度だと物足りないと思います。ジャンクフードみたいなものなので、食べたいという欲求がないと満足感は得られないでしょう。
新鮮味や独自性のある尖ったシステムを求めている

■価格相応
・細々とした改善点はあります。また途中からゲーム性が大きく変わるなど劇的な変化はなく、ゲームの幅が狭い面も否めません。しかし価格が価格なので、私はこれは問題点ではないと思います。そういうのはフルプライスの役目でしょう。

■面白さはプレイヤー次第
・アクションゲームとしての側面が強いので、楽しめるかどうかはプレイヤーによるところが大きいと思います。
システム面では最初から全ての要素が解放されています。後から増えるアクションや新要素はありません。操作に慣れていき、いろいろ試行錯誤しているうちにだんだんと上達して前は思いつかなかった動きができるようなったり、敵の行動を把握して対処できるようになったり、後から広がっていく要素は全てプレイヤー自身の創意工夫によるものです。

・敵にやられても「あの魔法を使えばイケたかな?」とか「あの敵がやっかいだったから、次は真っ先にあいつを潰してみよう」など、へこたれずに逆境を楽しめる人には向いていると思います。
逆に「運が悪かったから負けた」「最初から敵に囲まれた大部屋で始まるなんて酷い!」と仕様に腹が立つ人には向いていないと思います。


【残念だった点】

■中断がない
・クリアできるようになるまでは一回あたり5分~30分程度で終わるのでいいのですが、慣れたプレイヤーの場合1時間半~2時間以上になります。
特にスコアタックのランキング上位を狙うために90階以上挑戦する場合、3時間以上の長丁場になります。これだけ長いのに本体スリープ以外の中断セーブが一切ないのは問題だと思います。

■戦闘中の持ち替えが難しい
・戦闘中に武器や魔法を使い分けて戦いたくなるのですが、持ち替えが難しい仕様になっています。
装備の使用中は持ち替えができないらしく、武器で攻撃している間に魔法を持ち替えておいたりしようとしてもなかなか上手くいきません。また被ダメージ中も持ち替えられないらしく、多少のダメージを覚悟しても上手くいかないことが多かったです。

・そういう仕様でそれが前提のバランスなのかもしれませんが、使えるアイテムがあるのに抱え落ちするのはストレスでした。次の作品があればこの点は変えてほしいです。武器や魔法ごとに得意不得意がはっきりしてるので、持ち替えながら戦えればもっと戦闘が楽しくなり、アイテムの取捨選択にも深みが出ると思います。

■チュートリアル
・最初の5つのダンジョンはチュートリアルのはずなのですが、あまり機能しているように思えませんでした。
ただ敵を弱めにして本編よりも最下層を短くしただけで学習要素が用意されていません。あれなら最初の1,2個で充分です。しかも難易度が低くないので、ここでつまづいていて本編に入れないでいる人もそれなりに見かけます。
もっと弾を飛ばしてくる目玉の敵の前に大剣を置いて学習を促したり、同じ敵のパターンで今度は双剣を置いて機動性の優位性を示したり、チュートリアルとしてできることはもっとあったと思います。

■深部の弾幕地獄
・30F以降になると敵のほとんどが遠距離攻撃持ちになるのは勘弁してほしいです。
避けるスペースのない狭い通路で画面外から高速の弾が飛んでくるのは理不尽に感じます。弾速が遅い弾は、避けたりガードしたり、他の敵への攻撃を優先して当ってしまったり、ゲーム性があるのでいいのですが、避けようもないものはダメだと思います。

・特に最深部の無限に湧く高速近接敵+常に距離を取る遠距離敵の組み合わせは無しです。
ただプレイヤーを殺すためのわかり易すぎる仕組みで何も面白くありません。

・弾速の遅い目玉の敵や、弾は早いけど旋回速度が遅いサラマンダーなどは遠距離型でもバランスが取れていたので、やればできると思います。もう少し調整をがんばってほしかったです。

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