『烈車戦隊トッキュウジャー』 最終回まで見終わって:総合感想

2015年2月17日
・トッキュウジャーを最終回まで見終わった上での全体の感想です。
私は残念ながら主人公のライトを好きになれなかったため合いませんでした。作品自体は良い出来栄えだったと思います。
良い点、残念な点とは別に、個人的に合わなかった点を別の項目で語りたいと思います。

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【良かった点】

■魅力的な幹部
・敵組織であるシャドーラインの幹部たちはいずれも魅力的な人物でした。特に策謀あり、忠義ありのドラマが面白かったです。トッキュウジャーのストーリーは、全体としては敵側のドラマが中心だったと思います。
メインである5人の話が進むのは8~12話に一話ずつ程度で、その間を敵幹部たちのドラマで埋める形でした。本質的には間をもたせるためのドラマのはずなのですが、私は幹部側のほうが先が気になってしまいました。

■皇帝ゼット
・敵側の中でも最も魅力的だったのがボスである皇帝ゼットです。
闇そのものである闇の皇帝でありながら、トッキュウジャーの力の源である”キラキラ”を追い求める複雑なキャラクターでした。私は登場人物の中でゼットが一番人間味があったと思っています。退屈な人生を送る中であるとき突然希望を見つけ、希望を見出したがゆえに苦しみ、やがてどうにもならないことに気づき絶望する。トッキュウジャーたちが多少の苦難はあっても順風満帆に進む一方、ゼットの物語は報われないものでした。最後に何の救いもなく死んでしまったのは可哀想でした。悪役だから自業自得ということなのかもしれませんが、少しは救いがあっても良かったと思います。

■敵のデザイン
・敵のデザインは最後まで素晴らしかったです。
怖さとかっこよさの両立したデザインで、話がコミカルな方向に転がりがちな戦隊の雰囲気を引き締めてくれました。小林さんはあまり怪人やバトルを盛り上げようとしないので、デザインだけで存在感があることはことさら重要だったと思います。

・私は序盤の錆を感じさせる鈍い色合いの怪人たちが好きでした。
9話以降からだいぶカラフルになったのは怖すぎると視聴者かスポンサーからクレームが来たからではないかと今でも疑っています。

■シリーズ構成
・最初に「お盆の頃には戻れるだろう」と当面のゴールを示したのは素晴らしかったと思います。
作品内での登場人物の当面の心の支えであり、視聴者にとっても明確なゴール地点として機能しました。

・最初の目標を達成した24話以降の、3,4話ごとにメインストーリーが進む形式も面白い試みだと思いました。
従来は12話や6話ペースが基本で、その間は話が進まないとわかりきっているので作品的にも視聴者的にも、どうしてもダレがちでした。その点では大きな成果を挙げていたと思います。
話が進んだ後に1話分一休みして、2、3話の次の前振りで興味を引いて、3、4話でまた話が進む。付かず離れず良いペースで一年クールの作品には良い手法に見えました。

・残念ながらトッキュウジャーに関しては全体を引き伸ばした感じになってしまい、完全な成功とは言えません。具体的な内容に関しては改善が必要でした。もっと話を濃くするか、章構成にしてメリハリをつけたりする必要がありそうです。
やり方としては正しい方向性だと思いましたし、一定の成果は挙げていたと思います。トッキュウジャーのシリーズ構成は興味深いものだったと思います。


【残念だった点】

■乗り換え


・トッキュウジャーのアクションで最大の特徴が”乗り換え”でした。
変身者を1号(赤)、2号(青)と呼び、色とは別にして、ライダーのフォームチェンジのようにスーツを切り替える機能です。剣を使う1号が、ときには青になって銃を撃ったり、ときには緑になって斧を振るったり、色や武器に囚われない様々なアクションが可能になりました。
始めは同じ武器でも使う人によって動きが違っていろいろなアクションを楽しめたり、ゴーカイジャーのようなコンビネーションが見られるのかと期待していました。

・しかし残念ながら全く機能しませんでした。
変身者が変わっても赤は赤、青は青の戦い方のままで動き自体を差別化することはできませんでした。ストーリー面でもまれにしか活かされず、ノルマとして無意味に乗り換えをすることが多くて、かえってマイナスに働いてしまいました。アクションは限界があるのはわかりますが、お話でフォローしてほしかったです。最大の特徴は機能せず、武器やギミックも特色がなかったためトッキュウジャーはアクション面ではこれといった特徴のない作品になってしまいました。

ライト+その他
・レッドであるライトと追加戦士(オレンジ)の明、この2人だけが目立って他の4人が空気だったのが残念でした。
ライトはリーダーとして主導的に動いていて活躍も多く、敵のボスであるゼットとの因縁もありレッドらしいキャラでした。追加戦士の明も敵を裏切って戦隊側についたという過去や多くの敵幹部との因縁など盛り上がる要素がたくさんありました。
一方、それ以外の4人はというと、個別回ですらシリーズ構成の小林さん以外の脚本家に回されてキャラの掘り下げ以前にキャラが崩壊してしまうことが多く、全然目立てませんでした。バトルでも最後はライトか、明、もしくは敵幹部同士での争いになることが多く、4人は蚊帳の外でした。

・ここまではまだいいです。優遇されるキャラとそうでないキャラがいることは珍しくありません。問題だったのは「5人」というフレーズがキーワードとして使われていたことです。
追加戦士の明を除く初期メンバーの5人は元々クラスメイトで仲の良い友達でした。トッキュウジャーとして戦い始めてからも5人で一つという意識は変わりませんでした。
しかし実際にはレッドと明が良いところを持っていくことが多く、敵幹部たちとの絡みもほとんどこの2人だけでした。4人はただ見ているだけのことが多く、存在感がどんどん薄くなっていきました。
それにも関わらず物語の要所要所では「5人で戦う」「5人いれば何とかなる」と5人であることが強調されていて、違和感がありました。そしてそんな流れであっても、いざ戦闘が始まればやっぱり4人は空気でした。

・精神面でライトを支えることもありませんでした。
たいていの戦隊ではレッド以外のメンバーも頭脳派、優しいなど実力や性格面で長所があって、そこで存在感を出せるものです。しかしトッキュウジャーの場合は結局最後にはライトが正しいのでどうにもなりませんでした。

・レッドと追加戦士が目立つことは戦隊では珍しいことではありません。
しかし活躍もせず、話にも絡まず、敵幹部との因縁もなく、ただ5人であるために存在するというのは話が歪だったと思います。


【合わなかった点】

■ライトが好きになれなかった
・私がトッキュウジャーに合わなかった最大の理由は、主人公のライトを好きになれなかったことだと思います。トッキュウジャーはライトを中心にして動く物語なので、ライトを好きになれないと話についていけなくなります。

・私がライトを好きになれない理由は、自分勝手で素行が悪いからです。
人の話を聞かない。気を使われることはあっても自分が気を使うことはない。癖は独断専行と相手の口を塞いで話を中断させること。その他、人のものを勝手に食べたり、嫌なところばかりがたくさんあります。

・何より許せないのは謝らないし、悪びれることもないことです。
ライトたちは正体が子供で、ライトが一番子供っぽいというのはわかります。多少のことは我慢できます。子供のすることですから。でも怒られても謝らず、悪いことをしたとも思わないのは我慢なりません。

・そんなライトがストーリー上で持ち上げられて、「ライトが正しい」「ライトのすることに間違いはない」と全面的に肯定されいてることについていけませんでした。そういう展開は戦隊では珍しくないのですが、ライトには説得力が感じられませんでした。

■子供らしく見えなかった
・物語の節目節目で、5人が子供であることが度々強調されてきました。この点にもギャップを感じて戸惑うことがありました。
普段の物腰や考え方が見た目相応に大人びているというのもありますが、最大の理由は5人が子供らしく見えなかったからです。

・私は子供というのは日々内面で成長や変化が起きているものだと思っています。
しかしトッキュウジャーの5人には成長も変化も見られませんでした。物語開始時点で既に大人になった5人として完成していて、最初から最後まで変化がほとんど見受けられませんでした。ヒカリは最初から冷静沈着で、カグラは最後まで自己暗示が必要なままで、トカッチとミオも時間の経過による関係の変化以外は変わっていませんでした。これで彼らは子供だと言われても疑問を感じてしまいます。正体は子供でも、本当に子供に戻れるまでは子供ではないように感じました

・それと私は「子供は子供らしくあるべき」という主張が嫌いです。
子供は自由であるべきだとは思います。しかし子供が子供らしくいるかどうかは、その子自身が決めることだと考えます。今が楽しいという子もいれば、早く大人になりたいと願う子供もいます。そこに大人が干渉してはいけないと思います。
トッキュウジャーからは、ときどきそういう思想を感じることがありました。それも合わなかった理由の一つだと思います。

■正義のない力
・ライトたちの目的は最初から最後まで「故郷(家族)に帰る」で一貫していました。最終回も元の生活に戻ったところで終わりました。シャドーラインと敵対しているのはあくまでレインボーラインであり、ライトたちにとってはシャドーラインは敵ではなく、ただの邪魔者に過ぎませんでした。この点がもやもやします。
「邪魔だから排除する」で相手を殺して、殺すことに何も感慨も抱かないというのは、憎しみをもって殺すよりも恐ろしいことに感じるからです。
確かにこれは生存戦争であり、殺すか殺されるかの関係でしかありません。5人がシャドーを殺すこと自体は悪いことではないと思います。そうしなければ人類に生きる道はないのですから。

・しかしそれと登場人物がどう思うかとは別の問題です。迷いながら戦ったり、大切な誰かのためにと割り切ったり、自分なりの正義をもって戦ったり、反応は人それぞれです。
トッキュウジャーの場合、戦隊として戦うと決めた時点で覚悟が定まっていたわけではありません。むしろ始めは故郷を探すついでで始めたことです。それで敵だからというだけで、ああも迷いなく殺そうとできることが不思議でした。

・これで敵が機械や化け物なら悩まないのもわかるのですが、シャドーラインの面々はどう見ても人間と同等の人格があります。しかも初登場時のゼットとの交流やシュバルツなど、5人と幹部の間には面識もありました。ゼットをその手で殺した後に平然と自分たちの今後の身の振り方で悩んでいるライトの心境がまるでわかりません。
闇を広げるという大義がありながら、それぞれの思惑を持って戦っていたゼットや幹部たちのほうがよほど人間らしいです。

・ゼットの思いが無情に踏みにじられたのもショックでした。
陰から這い出ようと足掻いていたゼットは同情もせず、正義という大義も掲げない者に殺されました。別の思想で否定されることもなく、ただ殺される。殺した側は何も思わない。これほどむごい否定があるでしょうか。

・「5人は子供」という点がまた不可解でした。
子供にこんな殺伐とした生存闘争をやらせる。しかも本人は終わった後に何も感じていないし、戦いに意義も見出していない。これでいいのでしょうか?
ハッピーエンドのようで、何か大切なものが失われているように感じました。

・5人の戦いは終わりましたが、レインボーラインとシャドーラインの戦いは決着がついていません。シャドータウンにされていた街が全て戻ったのかすら明らかになっていません。恐らく今後も生存闘争は続き、またいつか誰かがトッキュウジャーとして戦わされるのでしょう。
シャドーラインが封印されて人類に平和が訪れるわけでもなく、5人が戦いの中で何かを見出したわけでもなく、ただ一段落ついただけです。
子供を主題に掲げながら、争いと無情な殺し合いの続く乾いた世界観を組み合わせたことは理解に苦しみます。この殺伐さが小林さんにとっての戦いのイメージなのでしょうか。だとしたら子供を戦いに巻き込めばこういう結末になるのは当然なのかもしれません。

■イマジネーションの本当の意味
・私はイマジネーションを「想像力」、あるいはあらゆるものに囚われない自由な精神という意味だと勘違いしていました。これもわりと大きな要因だったのかもしれません。
トッキュウジャーにおけるイマジネーションとは「前向きに思い込めること」であって、自由に無から有を創造することではありません。だから根拠もなく自分に都合良く考えられるライトが最もイマジネーションが強く、ミオのイマジネーションが最も弱いのでしょう。ミオは前向きではありますが、それは折れない気丈さであって自分を信じているわけではありませんからね。
明の口癖である「ここが俺の死に場所か」もネガティブなようで、ある意味ではその場にかける強い思い込みなので、明の強さの秘訣もイマジネーションゆえなのかもしれません。

・思い込みをイマジネーションと呼ぶセンスは私には合いません。むしろ枠をはめる行為であって、イマジネーションとは真逆の定義に感じます。
こういうポジティブ信仰は苦手です。イマジネーションの意味に気づいたとき、トッキュウジャーが好きになれない本当の理由もわかった気がしました。ポジティブ信仰が世界観の根底にあるんでしょうね。だからライトは常に正しく、論理的に判断するヒカリやミオの考えは軽視されるのでしょう。道理で私にとって見ていて居心地が悪く感じるわけです。


【総合感想】

■全体の印象
・序盤から2クールまでは充実した内容のわりにテンポが早く、お盆というゴールも見えていたので普通に楽しめました。乗り換えは始まった時点で終わっていたので早々に割りきってしまい、それほど気になりませんでした。なおライトは最序盤の時点で悪い印象でした。

・25~38話の中盤はいつも通りの中だるみでした。
大和屋さんの登板が多く、小林さんは少なかったので当然でしょうね。この辺りからは作品の方向性が見えてきて、期待することも少なくなってきたのでかなり冷めていたと思います。
それでもゼットやシュバルツなど敵側のドラマは楽しみでした。

・終盤はもう「ライト&明とその他大勢」という体制が見え見えだったので、完全に他人ごとでした。
面白いかもしれないけど楽しくはなかったですね。話数が進む度に他のライト以外のキャラが出る余地がなくなっていくので、どんどん気持ちは暗くなっていきました。幹部のワゴンセールにゼットの死に様と、これまで楽しみだった敵側もばっさり切り捨てられました。ライトは失いかけた4人も家族も取り戻せましたが、私は喪失感に苛まれたまま終わりを迎えることになりました。

■面白いけど楽しくない
・良い作品だと思います。構成がしっかりしていますし、好みの問題を除いて欠点らしい欠点も見当たりません。
でも私の場合、楽しくはありませんでした。いつも最後に勝つのはライトか明で、それ以外は引き立て役だったのが辛かったです。それでもなお4人はライトについて行って、ライトも「5人」と言い出すのが馴染めませんでした。そこまで言うなら4人にも見せ場をあげてほしかったです。「5人」が口ばっかりで作品全体がうさん臭く見えました。言ってることとやってることが一致しないのに平然としてる人は信用できません。

・これから見る人へのアドバイスはただ一つだと思います。
ライトを好きになれるかどうかが鍵です。それさえ問題なければ楽しめるでしょう。逆にそこでつまづいたら最悪、私みたいな印象になるでしょう。
5人の態度は最初から最後まで変わらないので、数話見てライトを好きになれるか判断するのが良いと思います。


コメント

6 件のコメント :

  1. トッキュウジャーは結局のところ「何が描きたかったのかわからなかった」に尽きました。これは去年のキョウリュウジャーにも言えることかもしれませんが去年はまだ子供のために楽しい作品を!というのが伝わってきてのでマシだと思います。

    子供が主人公であるにも関わらずそれを全く活用できてなかったと思います。
    子供を主人公にするならばまず一番に描かれることは「成長」だと思います。今作は子供がメインだから子供に幹部を殺させたくないということだったらしいのですが、私はそれはどうなんだろうと思います。それを公式がやってしまうと、今までの戦隊たちがやってきた幹部を倒すことがイコール殺戮でしたと公式に言われたようでどうしてももやもやしてしまいました。
    子供だから殺させないのではなく、子供でもきちんと考えて正義の力を正義をもって使わせる流れにどうしてしなかったのか。こればっかりは個人的な意見ですのでながなが書くのもアレかもしれませんが、「彼らは子供だから殺しはさせない」ということこそが脚本家という大人の勝手なエゴにしか思えませんでした。

    某所でキョウリュウを貶す意図で「ソウジよりもトッキュウのほうが大人びてる」という意見を見たことがあるのですがこれはトッキュウジャーを子供として書けてないという証明のような気がしました。
    子供ということは未熟なものです。だからこそ未来に可能性があります。この可能性はつまりはイマジネーションとも言えると思います。けれどトッキュウジャーの物語からは全く「成長」ということが感じられず子供であった意味はただただ「子供の彼らが戦ってるなんて可哀想」以上のものはありませんでした。果たしてこのライトたちと同い年くらいであったであろう本来の視聴者である子供は楽しめたのでしょうけ。私には疑問です。

    面白くないわけじゃない。けれど制作者側の意図がわからない。そんな作品でした。
    ながながと長文失礼いたしました。

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    1. 私も概ね同感です。
      トッキュウジャーの戦いは戦争映画のように不毛で殺伐としたものでした。なぜ子供を軸にした作品でこの舞台設定を選んだのか不思議です。

      成長に関しては私も違和感を覚えました。
      ただし、恐らく成長という要素は合わないから除外したのだと思います。トッキュウジャーの物語は根本的にはマイナスからゼロへと元通りにしていくストーリーでした。故郷を取り戻し、偽りの姿から本当の姿へと戻っていく、成果はそれだけです。不毛な戦いを終わらせ、それ以上のマイナスを防ぐための戦いでしかなかったのでしょう。だから何も成長しなくて当たり前なのだと思います。

      大きな問題は外部からもたらされた他の要素とストーリーがケンカしている点かもしれません。
      「イマジネーション」も「乗り換え」も変化を連想させる要素です。それを主軸にして戦うのに、主人公たちは変化しないストーリーであることのギャップが原因のようにも思えます。

      内容から逆算すると、テーマは「現代社会を取り巻く前も見えない絶望的な状況の中でも仲間と自分を信じてほしい」という辺りなんでしょうかね。素直な印象としては言ってる自分でさえ嘘くさい感じがしますけど。

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  2. >ライトを好きになれるかどうかが鍵です。

    それは...ちと極端過ぎる気がします。まあ仰る通りなのかもしれませんが。
    自分も小林脚本特有の「一部のキャラクターの優遇」はちょっと気になりますけど、それでもどの作品もドラマを綺麗にまとめてある所は評価したいですね。

    それと一つ訪ねたいのですが、以前twitterのほうで龍騎が好きじゃないと仰っておられましたが、どの辺が気に入らないのか、またその時に「いつもの小林脚本」だと言っていましたがどの辺りに関してなのでしょうか。自分は龍騎が好きな作品なだけにそこが引っ掛かります。

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    1. >自分も小林脚本特有の「一部のキャラクターの優遇」はちょっと気になりますけど、それでもどの作品もドラマを綺麗にまとめてある所は評価したいですね。

      ストーリーや全体の構成力はかなり高いと思います。
      ただ、その癖の部分が物語の中核を成しているのでそこに引っかかりを感じると、最初から最後まで喉の奥に小骨が刺さっているような感覚のまま見続けることになってしまうと思います。作品ごとの癖の部分が気にならない人には万人にオススメし得る作品ではあるけれど、気になる人にはオススメできないと私は考えます。

      >以前twitterのほうで龍騎が好きじゃないと仰っておられましたが、どの辺が気に入らないのか、またその時に「いつもの小林脚本」だと言っていましたがどの辺りに関してなのでしょうか。

      いつの話だか心当たりがないのでその話の解答になるかはわかりませんが、できるだけお答えしてみます。

      私が好きでない部分と小林さんの癖だと思うところは大筋では同じ部分です。

      まず一つは「バトル軽視」です。
      龍騎のキャッチコピーは「戦わなければ生き残れない」であり、設定としても序盤の時点でモンスターを倒して自分の契約モンスターに餌として与えないと自分が食べられて死ぬと提示されています。これでバトルを軽視した流れになるのはダメだと思います。ライダーが死ぬ回以外は小競り合いをしてお終いで、モンスター相手に至っては「あ、そういえば今回戦ってないや」くらいのノリで処理されることもありました。この点で小林さんの作風と作品全体の構成がケンカしている部分があったと思います。

      もう一つは「一部キャラの優遇」です。
      蓮が目立つのはいいです。実質W主人公の一人ですし、最初からベテランファイターの兄貴分ですから戦闘で活躍が多いのも頷けます。

      ですが北岡弁護士はどうかと思います。
      物語に必要な分以上に出番が多かったと思います。主人公であるはずの真司よりもずと目立っているように見えました。そして北岡とセットである吾郎も出番が多すぎたと思います。吾郎の物語上の役割といえば、北岡の話し相手と最後の展開くらいであんなに出番を与える必要はなかったと思います。

      私は最後まで見終わって、ストーリーの流れのわりに主人公の真司とヒロインの神崎優衣の印象が薄いように思いました。二人の描写が薄いのにストーリー上それほど重要でない北岡弁護士と吾郎が目立つのは歪だと思いました。その分を真司や優衣、あるいは他の死に役ライダーに割り振ったほうが作品全体に厚みが出たと思います。

      自分がどういう流れで発言したのか定かではありませんが。私の龍騎の不満点はこんなところです。

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    2. >私は最後まで見終わって、ストーリーの流れのわりに主人公の真司とヒロインの神崎優衣の印象が薄いように思いました。

      ...優衣はともかく、真司は決して薄くなかったとは思います。間違いなく主人公としての存在感は十二分でしたし、前後の作品の主人公である巧・翔一と比べても共感できると思います。ただまあ個人の意見ですけど

      それと管理人さんが逆に良かったと思う部分についても知りたいですね。自分としてはライダー全員のキャラクターが決してかぶることなく描かれていた事と、その末路もどれも印象的に描かれていた事ですね

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    3. >...優衣はともかく、真司は決して薄くなかったとは思います。

      相対的には薄かったと私は思っています。
      龍騎というと、「蓮・北岡・浅倉」がレギュラー枠では目立っていて、真司は一段も二段も扱いが下のように見えました。この3人がドラマ担当。「真司+神崎士郎or一部の死に役ライダー」でメインストーリーのお話部分担当。という印象です。お話のほうでも真司は聞き役やリアクション担当止まりで、ゲストや行動的な蓮のほうに見せ場を持っていかれることもあったので更に印象が弱まります。

      >管理人さんが逆に良かったと思う部分についても知りたいですね。

      ライダーシリーズにおける歴史的価値や当時におけるCGの扱いなどを除いた現在の評価として書くならば、ストーリー構成です。
      定期的に新キャラの登場と旧キャラの死亡を取り扱うのはベタですが効果的です。小林さんの腕前によりキャラクターの肉付けが行われているので、ともすれば「何か出てきて何か死んで、また何か出てきた」と虚無感を伴いかねない刹那的な展開を上手く続けていきました。題材も、ライダー同士が自分の野望を叶えるために戦うという現実的でリアリティのある内容で特撮に馴染みのない人でも比較的見やすいでしょう。

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