ヒーロー魂ここにあり! スマイルプリキュア第23話「ピエーロ復活!プリキュア絶体絶命!!」:感想

2012年7月16日
ヒーローは己の意思で敵に立ち向かい、弱き人々の思いを支えとする。
往年のヒーロー精神を体現した素晴らしい回でした。

■プリキュアは二度立ち上がる
・今回、プリキュアは二度絶望の淵から立ち上がります。一度目は本気の四幹部たちに倒されたとき。二度目はピエーローのバッドエナジー砲を受けたとき。しかしそれぞれの持つ意味は異なります。

・一度目は、覚悟してきた痛みと絶望に耐え、乗り越えるみゆきたち5人の強さと仲間を信じる思い。つまりヒーローとして戦う決意をしたみゆきたちの思いの表れです。それに応えるのはプリキュアの力です。

・二度目は、全ての力を出し尽くしそれでも及ばない。これは前回ジョーカーに負けたときと同じようですが、意味合いは違います。今回は初めから勝てないとわかっていて、キャンディたちを守るために行った行動だからです。まさか5人が手を重ねる誓いのシーンがここに重なってくるとは思いませんでした。負けるとわかっていながら五人で守る約束を実行する。感動もひとしおです。そしてそこからの復活劇!

■パワーアップの意味
・キャンディの切なる願い。傷つきながらも応えようとするプリキュア。そこに唐突にもたらされるクイーンの力。せっかくの感動のシーンなのにSHTのお決まり展開で閉口した人も多いと思います。
でも私は今回の流れではそれで良かったと思っています。懸命に努力し自分の壁を超えて幹部を倒したプリキュア。それでもなお立ちはだかる新たな壁に負けても折れない気持ち。そこまでがんばったなら誰かに救われても良いと思うのです。

・ヒーロー番組は子供たちに夢と希望を与えるためのもの。あきらめずにがんばって、それでも超えられない壁が出たときに、もっともっとかんばれと言うのは酷です。精一杯がんばって、負けてもあきらめずにいればきっと助けに来てくれる人がいる。わずかな希望でも生きていく上では大切なことだと思います。それを伝える意味でも、今回の展開はこれで完璧だったと私は思っています。

■細かい演出の積み重ね
・ビューティvsジョーカーを筆頭にどのアクションシーンも素晴らしかったですが、その合間合間の演出も見逃せません。
・序盤の追撃するウルフルンが右腕を振りかぶる→金棒を受け止めるピース。金棒を振りかぶるアカオーニ→蹴りを受け止めるマーチ。シームレスに各シーンをつなぐための演出が鮮やかです。絵柄を被せることでシーンを移行しつつ、その前の展開の結果を暗示する。複数戦の基本テクニックですが、ここまできれいにキメてるのはなかなかお目にかかれませんね。
・特筆すべきはハッピーの動きです。アカンベェが登場するまでは他の4人に比べて楽な道のり。どうしてもここで盛り下がってしまいます。しかしスマプリではそう見えません。飛び降りて着地するシーンの重量感や腕を前にかざしながら木々の間を突っ切って行くシーン。リアリティのある描写を積み重ねることで戦闘の緊張感を維持しつつ、ハッピーの奮闘ぶりが伝わってきます。

・話が切れ目なくつながっていたのは、ポップをいたわるビューティ等台詞なしも含めて数々の繊細な演出のおかげでした。「よく動いた。だから面白かった。」という意見もアニメではよく耳にしますが、間をつないでいるこういう細かな配慮を忘れてはいけないと思います。

スマプリの集大成の見事な回でした。監督始めスタッフの皆さん、ありがとうございます!

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