3DSソフト『FFエクスプローラーズライト(体験版)』:感想

2014年11月17日
【一言総評】
・面白いところ:オンラインゲームの楽しさ
・つまらないところ:このゲームの仕様とバランス
・結論:このゲームを気に入ったら、他のオンラインゲームをやるほうが良い

■モンハン風MMOFFCC
・システムとしてはモンハンのようなオープンフィールドでシームレスに敵と戦うアクションRPGです。モンハンやFFCCみたいな感じです。
ただし基本システムは簡略化されています。デフォルトでできる操作は通常攻撃と移動のみです。バックステップや防御などは「R/L+A/B/X/Y」に予めセットした”アビリティ”を使って行います。防御スキルを持っているのはナイトやモンクなどで、魔法使いや狩人は走って避ける以外ありません。なおアビリティには普通の攻撃スキルや回復魔法などもあります。

・そのため公式にも役割分担を推奨しています。
公式では「アタッカー・タンク・ヒーラー・バッファー(サポート)」の4つにジョブを分類しているようです。この辺りはMMORPGっぽいところです。実際ボス戦でもきちんと役割分担をしないと勝てません。体験版の範囲だとソロでも勝てましたが、進むにつれて物理的に不可能になっていくと思われます。


【面白かった点】

■キャラメイク
・最初にキャラメイクをするのですが、肌や目、髪の色を自由に選べました。
決まった色から選ぶのではなくRGB形式で自分で調整できるので好きな色合いを選べます。肌は黒~茶~白の間からスライダーで調整して選ぶのですが、黒人並の黒さまであるのは驚きました。わりとリアルな色合いでした。
色の自由さはキャラメイクのあるゲームの中でもかなり選択肢が多くて良かったです。

・キャラメイク制のゲームでは珍しいことに一度作った後でも、再変更が可能でした。
しかも男→女といった性転換も可能でした!
髪型や顔を変えるのはタダでしたが性転換には一万ギル必要と言われました。手術費用なら仕方ありませんね。
プレイしてしばらくしてから「女にしとけば良かった!」と悩むのはよくある事案なのでとても親切だと思います。

・ただし身体の作り自体の選択肢は少ないです。
体型や身長は全く選べませんし、目鼻立ちや髪型はパターンが少ない上にネタ系が多くて実用的なものは少なめでした。実際、マルチプレイでも同じような髪型を何人も見かけました。せっかく色が自由なのにもったいないです。

■アクションゲームのような要素も有り
・戦闘中の移動が戦略的に重要だったのは意外でした。
少なくとも体験版で戦えるボスの場合、多くの攻撃が距離を取れば避けられ、範囲攻撃など攻撃モーションを見てから離れても回避できる行動も少なくありませんでした。
ガンガン攻撃しつつもタイミングを見計らっては移動して敵の攻撃を避けるのが戦闘の基本になっていて、そこは普通のアクションゲームのような感覚でした。

・アクションゲーム好きとしてはこの点はけっこう楽しかったです。
ガード技がかなり鉄壁なので的確に防御すればノーダメで勝つことも不可能ではなさそうでした。その一方、防御するタイミングを間違えてチャージ時間中に敵の攻撃が来てもろにくらったり、ミスで生じるリスクもあって適度な緊張感も味わえました。

■魔法を誰でも使える
・アビリティは魔法と武器専用とジョブ専用に分かれています。
武器やジョブ専用のものは使えるジョブが限られますが、魔法だけは誰でも使えます。
ケアルなどは魔力の影響を受けるので使い物になりませんが、タンク役のナイトでもリジェネで回復したり、プロテスをかけたり、アタッカーにレイズを付けてヒーラーがやられたときに備えたり、白魔道士でも黒魔法を付けて攻撃に参加できたり、いろいろ工夫ができます。
「アタッカーだから攻撃技と自己補助技のみ」といった具合に単調にならないので工夫のしがいがあって面白かったです。


【問題点】

■チュートリアルが酷い
・ゲーム中での説明が全然足りません。
「チュートリアルクエスト」とわざわざ明記しているのに、説明が出るのはクエストの開始地点でマニュアルの抜粋が表示されるだけでした。もしも読み飛ばしてしまうと、そのクエストで何をすればいいのか全くわからなくなってしまいます。


・実際「クリスタルドライブを発動せよ」というクエストではここで詰まったという人も少なくないようです。
クリスタルドライブ(必殺技のようなもの)を発動するにはアビリティで敵を攻撃して、「レゾナンス」という左上の数字を上げていかなければいけないのですが、キャラによっては敵を15体くらい倒さないと発動できません。私も事前にマニュアルを読んでおいたのですが、一向に発動しないためかなり不安を感じました。
なんでクエスト中に「クリスタルドライブを発動するために敵にアビリティを当てて、レゾナンスを溜めよう」などテキストを定期的に表示しないのか不思議でなりません。

・それ以外にも、
「ボスと戦うクエストを受けたら、行ったことのない場所でナビも何もない。その結果、迷っているうちに制限時間が減ってボス戦で時間切れで負けた」

「『サブクエストを受けよう』と薦めてくるのに、受けるとお金がかかるため金欠になってびっくりする。なおマニュアルには『クエストを受けるにはお金がかかります』と書いてあるが、口頭での説明はない」
など枚挙にいとまがありません。

・普通のRPGだと、「最初のチュートリアルクエストをクリアすると素材がもらえる→その素材で新しい装備を作って強くなれる」など、ゲームの流れを体感させるものですが、それもありませんでした。武器を作れるようになったというから行ってみたら、見たこともない素材ばかりで何も作れませんでした。
ライト層向けのゲームでこれはかなり問題だと思います。

■無言のマルチプレイ
・このゲームのメイン、それがマルチプレイです。
ローカル通信以外にインターネット経由でのマルチプレイにも対応しています。インターネットの場合、部屋制で自分で部屋を作って人が来るのを待つか、検索して表示された部屋に参加するかのどちらかを選べます。

・ですが、今のところマルチプレイが凄惨なことになっています。
みんな無言で好き勝手にやっていて、ワイワイ遊ぶ楽しみも、作戦に基づいて動く本格的な攻略もありません。なぜかと言うと、チャットが定型文しか使えないからです。定型文の種類が少なく実用的なものがないため、会話をすることも作戦を立てることもできません。

・一応定型文を変えることはできるのですが、なぜかオフライン状態でないと変更できません。
「回復して!」「離れろ!」など予め戦闘で必要な文章を用意して、指示を出すのが限界です。質問や会話はできないので相手の予備知識を信じるしかありません。
せめて拠点である街では自由な文章を打てるようにしてほしいです。定型文しか使えないのではボス戦の打ち合わせをすることもできません。これでは上級者が初心者に立ち回りを教えて、サポートするのも不可能です。

■見えてる地獄
・現時点でも予想できる地獄がいくつも見えます。
一つはアイテム回収と素材採取の問題です。奥にいるボスのところに行くまで雑魚敵が落とすアイテムやアイテム採取ポイントがあるのですが、拾うモーションが長く、貴重な制限時間が減ってしまいます。
カジュアル派のプレイヤーはダンジョン行くからついでに採取もしたいでしょうが、ボスを倒すためだけに集まってるハードコア派にとってはあり得ない行動です。
「何素材拾いしてるわけ? そういうのはソロでやれよ」といった発言が目に浮かびます。

・もう一つは必殺技のクリスタルドライブです。
全体支援効果なのですが、なぜか敵もその恩恵を受けます。そのため発動する効果によっては全滅の危険さえあります。
たとえば全てのダメージを1000に固定する針千本を使うと、普通なら10ダメ*10くらいしかくらわない連打技が1000ダメ*10の即死技に変貌します。「この技弱いからガードしなくても余裕~」とか思ってると味方のせいで死ねます。
現状だとダメージアップなど敵にとって有利に働く効果のほうが多いため、予備知識が必須になっています。間違った効果を発動させたら「お前のせいで負けた!」と批難されるのは目に見えています。

・最後の一つはマルチプレイ時の敵の大幅なHP増です。
マルチプレイだと敵のHPが大幅に上がります。どのくらい上がるかというと、ソロプレイで5分で倒せる相手が15分くらいかけないと倒せなくなったりします。
当然味方に下手な人がいた場合、与えられるダメージが少なくなるため人数が多い方がかえって不利になります。弱いプレイヤーへのヘイトが溜まるギスギス仕様です。なぜライト層向けでこの仕様なのでしょうか。とても疑問です。
一応、倒したときにもらえるアイテムが良くなるというボーナスがあるそうですが、現状だと1つもらえるものが2つになる程度で、これなら一人で倒すほうが楽です。


【感想】

■どっちつかず
・システムが簡略化されていてライト層向けを意識していると思われるのですが、そのわりにはチュートリアルが壊滅的で驚きました。マルチプレイもあの無言ギスギスオンラインでは楽しさを知る前に嫌になる割合のほうが多いと思います。

・またレベルが存在せず、ランダム性の高いアクセサリーの付与効果、作業的なアビリティのカスタマイズやレアモン探しや素材集めなど廃人向けの要素が自キャラの強化の中心になっているのも不思議でした。そこまでやり込むプレイヤー向きにしてはシステムが簡易的で、もっと複雑なシステムになっている他のオンラインゲームのほうが魅力的に見えます。

・ライト層向けにしてはとっつきづらく、ハードコア層向けにしてはシンプルでどんなプレイヤーを狙っているのか掴めませんでした。

■マルチなのに孤独感
・マルチプレイのプレイ感覚も不思議でした。
役割分担が行き過ぎて単調な感じがしました。タンクはひたすら囮になって防御に専念。アタッカーは脇目もふらずにひたすら攻撃、気にするのはヘイト管理くらい。唯一忙しいのは攻撃と補助もできて状況判断が求められるヒーラーくらいでした。
全体の機能としてはマルチでしかできないことなのですが、1プレイヤーとしては同じことを続けるばかりで退屈に感じました。ソロプレイのときのほうがタンクなら回復をどうするか、アタッカーなら防御をどうするかと足りない要素で悩めるのでやっていて楽しかったです。
といって会話がほぼできないので、ボスを強くして難易度を上げて複雑なプレイングを要求されても辛そうです。タンク2、ヒーラー2のローテーション耐久型PTでさえリアルで知り合いでもない限り、困難だと思います。

■結論:他のゲームをやったほうがいい
・興味がある部分に応じて他のゲームをやるほうが良いと思います。
こつこつやる部分が好きならハクスラ系を、操作性が気に入ったならアクションを、マルチに興味があるなら他のオンラインゲームが向いていると思います。
このゲームは入門編にも本格的なプレイにも不向きです。

コメント

2 件のコメント :

  1. 私自身、買おうかどうか迷っていたのですが、そういう問題が有ったのですか。

    体の作りは自由にさせてほしいですね。自分だけの萌えキャラとか作ってみたいですし。

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    1. 体型に関しては恐らく攻撃の命中判定などの兼ね合いなのだと思います。
      アクション要素が強いのでそれはわかるのですが、それなら髪型や目鼻立ちはもっと丁寧にしてほしかったですね。

      なお、あくまでこれは体験版の話なので製品版でも同じかはわかりません。
      アイテムの回収速度などは改善されたらしいです。キャラメイクに関しても何らかの修正があったかもしれません。参考にするのであれば、実際に買われた方のご意見のほうが正確だと思います。

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