Gのレコンギスタ 第6話『強敵、デレンセン!』:感想

2014年11月2日

【ストーリー】

■情報量の密度と緊迫感
・今回は情報量の密度とそれによる緊迫感の演出がすごかったです。
ナット内のデレンセンとベッカーの会話と風景描写からは、ナット内の生活の様子やキャピタルアーミィが一般市民からどう思われているのかが伝わってきて、ベルリ母の反発がこの世界では当たり前の反応であることがわかりました。
リフレクターに関しての海賊たちの虚実混ざった反応からは、これまで比較的好感度の高かったクルーに不信感が募ることで脇役であっても一筋縄では行かないのだと認識させられます。

極めつけはエルフブルとGセルフの戦闘です。
いつの間にかエルフブルの下半身がなくなっていたり過程が省略され、目まぐるしく展開される戦闘でした。初めて見たときはびっくりしたのですが、「本編用に作ってボツにされたカットがOPで再利用された」という話を聞いたのも思い出しました。恐らくOPラストのエルフブルに盾を突き出して突撃するGセルフがそうなのでしょう。
だとすると、あのシーンは「Gセルフがリフレクターで受ける→ (OPのカットにつながって)変形途中のエルフブルにGセルフがシールドバッシュで攻撃、それにより関節部が破壊されエルフブルの下半身が切り離される→ 最後のデレンセンの反撃とトドメ」という流れということでしょうか。

・理解する間もなく事態が進展していき戸惑うことが多い回でした。
しかしそこが良かったと思います。
視聴者も多すぎる情報量に戸惑っているうちに状況はどんどん進んでいき、一段落するのは最悪の結末を迎えた瞬間になってから。そんな状況なら戦っている当事者には「なんだって言うんだ?!」としか言えないでしょう。
情報量の密度を濃くすることで、視聴者に戦闘の緊迫感や戦い終わった後のベルリの絶望を擬似的に体感させるための演出だったのだと思います。
リフレクターの圧倒的な強さやエルフブルのかっこよさも効いていたと思います。かっこいい!と浮かれることは場当たり的に最善を尽くしたベルリと重なります。余計に最後につきつけられる現実の重さが響いてきます。ストーリー展開以上の重さを感じる素晴らしい演出でした。

■悲しい触れ合い
・今回の接触回線の使い方はこのために用意したのか!と思えるほど鮮やかな展開でした。
あのまま相手が誰かを知らずに倒せていたらベルリにとってどれほど良かったことかと思います。
ベルリの楽観主義、モンテーロのピンチ、初の強敵がデレンセン大尉であったこと、そしてベルリが強かったこと。様々な偶然が重なって起きた悲劇でした。もしもモンテーロが圧勝/即死していたら、もしもこの前にベルリが殺した相手のことを認識していたら、この状況を回避できたルートがいくつも浮かんできます。
そう考えるとカーヒルの死はやはり大きかったのですね。もしもあのときに今回のように銃身を通してカーヒルの声を聞いていたら、恐らくベルリは今回のように「僕のせいじゃない!」と防衛反応を起こしていて、半端な責任感からアイーダにのこのこと付いて来ることもなかったでしょう。

・このタイミングでベルリが海賊たちに認められたことが悲劇を助長していると思います。
アメリアの戦艦を撮影しようとしたり、ベルリは表面上はキャピタルに属しているつもりでいます。ベルリから見れば海賊=敵、デレンセン=味方だったわけです。場当たり的に行動した結果、敵を助けて味方を殺してしまったわけです。そんなことで認めてもらっても喜べないでしょう。
クリムの呼び方が最後に「少年」から「ベル」に変わっていたのですが、素直に喜べませんでした。今回は言葉よりも態度のすれ違いが目立つ回だったと思います。

■身体性の魔
・富野監督が常々言っている「身体性」という言葉が否応なくのしかかって来る内容でした。
エルフブルの右手を振った最後の反撃、あれはデレンセンの癖なんでしょうね。接触回線で聞こえた声だけなら気のせいと否定できたかもしれないのに、あれを見てしまったからベルリは殺した相手が恩師だったとはっきりと自覚することになってしまいました。それだけに留まらず、ベルリが今後デレンセンについて何か思い出す度にたとえ良い思い出を思い返したときであっても、殺したときのシーンに結びついてしまうかもしれません。

■ベルリへの初めての感情移入
・初めて感情が表面化されてようやくベルリのことを少し理解できたように思えました。
しかしまさかこんな重苦しい場面で初めて感情移入するとは思っていませんでした。「ようやくわかった!」と喜ぶ気持ちがある一方、「わかってしまった…」と作中のベルリ同様にそんなことは知らないでいたかったという気持ちもあり、複雑な心境です。
もしからしたらこのインパクトのために、これまでベルリの心情を曖昧にしてきたのかもしれませんね。

・次回でどういうふうに立ち直るのか楽しみです。
次回の相手はマスク先輩、しかものんきに円陣を組んでいた様子からするとひょっとしたら部下も学校の同級生かもしれません。場合によっては味方殺しの悲劇を上塗りすることになりかねません。
私にはEDでベルリがカーヒルとデレンセンと腕を組んでいるカットが、ベルリが胸を張って二人を引っ張っていこうとしているように見えます。
二人に引っ張られるわけでもなく、二人を重しとして引きずるわけでもなく、二人の重さを抱えてそれでも前向きに進もうとしていることを表しているのかもしれません。それが次回なのか、いつになるのかはわかりませんが、希望はあるように感じています。


【アクション】

■戦艦でもかっこいい
・エルフブルとGセルフの戦闘の良さは語るまでもありません。
個人的には戦艦の描写にひかれました。戦艦の防衛戦というと、母艦が落ちるわけがないので緊張感がなく、たいてい退屈な印象になりがちです。でも今回の戦闘は緊迫感もあり爽快感もある、とても良い戦闘でした。
景気良くMSが落ちるわけでもないのに見応えがありました。ここがいいと特筆するほどの出来事がないのに見応えがあるのはすごいことだと思いました。




コメント

2 件のコメント :

  1. 恐らく父親がいない?ベルリにとってのデレンセンという存在は大きなものでしょうね
    デレンセンもビンタの避け方だけでベルリ生徒だと気付けた、ということなんでしょうか
    二人の関係は今まで思っていたよりも密接なものであった気がします

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    1. 私もそう思います。
      父性を感じていたのか、兄貴分だったのか、あるいは恩師だったのか、どういった存在だったのかまではわかりませんがただの知り合い以上の情があったと思います。

      デレンセンがベルリだと気づいたのはあの回避行動で間違いないでしょうね。
      ベルリは銃身をくっつけてからほとんど声を出していないので、デレンセンにとって他に判断材料はないと思います。ベルリは後の反応から見るにデレンセンの言葉を聞いてわかったのだと思います。

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