魂の込もった作品は歪になる。『戦姫絶唱シンフォギア』第1話:感想

2012年1月15日
ニコニコでも配信されている『戦姫絶唱シンフォギア』を見た。

魂の震えるアニメだった!
「目の前に化物に怯える人がいる。自分には力がある。だったらするべきことは決まっている!」そういうタイプのド直球に熱いヒーローものだ。こう言うと『興味ない。』で終わらせる人もいるだろうけど、個人的には内容よりも製作者の心意気に感動した。

初めて見た時に製作者のテンションに圧倒された。作中の雰囲気とは別のスタッフの熱意に呑まれたんだ。
アニメ自体の作りはわりと粗い。設定は多いが説明は1話ではなく、状況描写から判断するしかない。主人公のいる場所と時間も飛び飛びだから付いて行くのが難しいところもある。台詞回しも芝居がかって不自然なところもある。
スタッフもそれはわかってると思う。だけどあえてそのまま作っていったんだと思う。

『本当に魂のこもった絵はいびつであるべき!!』(島本和彦「吼えよペン」
シンフォギアはまさにそう。プロだから形を整えようと思えばいくらでもできたはず。でもそうはしなかった。
私自身こうやって文章を書いたりしていてもそうだけど、初めに『これを書きたい!』って思って書き始めても文章がまとまらず、自分でも意味が伝わりづらいと思う文章しか書けないことがある。だけど推敲するうちに文章は明らかに良くなっているのに、初めのに比べてどうもつまらないものになってくる。文章に込めた”熱”が冷めてしまった感じがする。

登場人物自体がヒーローとは何かを見つけるヒーローものもいいけど、『ヒーローってさ、こうあるべきだよ。あんたもそう思うだろ?!』ってスタッフが問いかけてくるもののほうが好きだな。実に金子さんらしいや。ワイルドアームズの雰囲気そのままだ。
シンフォギアから伝わってくる熱さも同じだと思う。なりふり構わず全力でやってる。恥ずかしげもなくぶつけてくるスタッフの思いが胸に響く。

製作者の熱さに触発されて、自分の中から込み上げてくる熱さを感じられる。その楽しさは本当に代えがたい。輪るピングドラムみたいによく練り込まれた上手な作品も好きだけど、私はやっぱりシンフォギアみたいに情熱でできてるもののほうが好きなんだなぁ。

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