眞悧→桃果への片思いだった? 輪るピングドラム 第24話『愛してる』:感想

2012年1月1日
実に綺麗に終わった。
バッドエンドではない。しかしハッピーとも言い難い。でも主要人物と物語の整合性を取れる範囲ではベストな終わり方だったと思う。あれだけやって、不幸に終わる人がいなかったってだけで凄いよ。

ピンドラがすごいのは、あれだけ各登場人物の話をしながらも最後は題名でもある『輪るピングドラム』に帰結させたこと。もちろんテーマに沿ってキャラが配置され、話が展開するんだから当たり前のことだけど、それができてる作品ってほとんどない。その上、登場人物を活動的に描くなんて、すごいや。
最後までプリクリの正体とか、乗り換えの内容はよくわからなかったけど、終わり方には納得がいったのも主題が完結したからなんだろうな。

-眞悧について-
最後の線路での桃果との邂逅シーンを見て思ったことがある。
箱を壊せぬまま亡霊と化してしまった眞悧がしたかったことは、ただ桃果に会いたかっただけなんじゃないかな? 『両親ができなかったことを子どもの君(冠葉)がやるんだ。』とか言ってたけど、あれだけ現世に関与できるならもっと成功する確率の高いやり方があったと思うんだ。成功するかよりもむしろ邪魔者=苹果や晶馬=桃果に当たる存在を待っていたように見えた。
そらの孔分室での走りまわる桃果を遠くから見下ろす描写とテロ事件時の『桃果よ。』『眞悧だよ。』を合わせて考えると、眞悧は一方的に桃果に見ていて、桃果からすると興味のないその他の人の一人に過ぎなかったように思える。そんな眞悧が唯一桃果に真正面から見てもらえた瞬間、それがあのテロ事件のときだった。死んで亡霊になってまでやろうとしたことが、もう一度桃果に会うこと。そのために多くの人を巻き込んで、事件の再現をした。ひょっとしたらピンドラは壮大な片思いの話と言えるのかもしれないね。
だけどその桃果は眞悧に言いたいことだけ言って、去っていった。しかも今度はペンギン帽も残さぬ徹底ぶり。哀れだが自分勝手な眞悧は救われぬ。それがピンドラなのよね。眞悧はまた次のチャンスを待つって言ってたけど、あれはただの強がりだと思う。

個人的には輪ではなく、自分と桃果の点と点を線でつなごうとしたことが悪いことだとは思えない。
独立した点である自分を輪の一部なんだと言われても。それなら、なんでこんなに息苦しいのさ!って思っちゃうよね。大多数側に所属する人に『心を開け。』とか言われても、『今から大勢で乗り込むから家のカギを開けておけ。』って言われてるようなもんだ。
とんでもないダメ人間の眞悧に一番感情移入してしまう。私の運命の果実はまだまだ遠い。

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