『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』 第19話「ふたつの心でホワイトバーン!」:感想

2025年6月29日
■シンプルがゆえに粗が目立つ
・No1バトルも指輪争奪戦も無く、ガリュード以外は怪人も出ず、吠と昔世話になったお姉さんが中心の比較的シンプルな構成でした。
にも関わらずピンと来なくて困惑する内容が多くて困りました。シンプルにしてもクオリティの低さはいつもと変わりませんでした。

■笑えないギャグ
・前半のギャグ中心のデートは他のメンバーの好感度が下がる一方でいつもながらスタッフとの価値観の違いに苦しめられました。
バドミントンに割り込む禽次郎が盛り上がることは盛り上がった分だけ比較的マシに見えるくらいに他が酷かったです。
角乃と陸王はデバガメした挙げ句に吠の気持ちを無視して勝手にくっつけようと邪魔ばかりしていて最低でした。関係ないマナーの話を持ち込んだ竜儀よりも酷く見えました。
常連の立場を使って吠がバイトをクビになるよう仕向けた熊手といい、相変わらずスタッフの倫理観がヤバかったです。
角度を変えて「吠はノーワンワールドにいたときに辛い思いをしてきたみたいだし、たまには協力してやろう」と真面目に盛り上げても何も問題はなかったと思います。その方が悲恋(スタッフ曰く)も楽しいデートと対比が聞いてドラマチックになったでしょう。
今までにキャラが勝ち取ったNo1の称号にちなんだ展開自体は有りだったのに、実装がこれでは台無しです… 押し付けがましくて悪い印象になる分だけやらない方がマシまで有りました。

■クオンは何がしたかったの?
・後半のクオンの暗躍周りはだいぶ意味がわかりませんでした。
まず目的が理解できませんでした。ただの嫌がらせのつもりでやったわけではなく、クオンなりの目的(吠の闇堕ちや絶望?)があったみたいだったんですが、あれで上手く行くと思ったことすら理解できませんでした。そりゃ吠は怒るだけでしょう。
初登場時の意味わからんマウント攻撃よりも個人的には意味不明な行動に見えました。いったいどういう勝算があったのでしょう。今のところの印象だと「自分への恨みを強くすることが真の目的」とか言われた方がしっくり来ます。
相変わらず何も説明がないので謎ですが、熊手にも指摘されていましたし背中の傷で余命が短いとか事情があって関係しているのでしょうか。

■初耳なんだけど…
・生き返らせられる能力自体も初耳で戸惑いました。
クオンの指輪能力や副作用なんですかね? 前に捕まえた教授の能力「リゲイン」の応用かとも考えましたけど、ロボはまだしも死人を生き返らせるのはさすがに拡大解釈が過ぎる気がしました。クオン固有だろうがとんでも能力なことには変わりありませんが。
「クオンは実はもう死んでいて、自分の死体を自分の能力で動かしているだけである。その稼働限界を指すものがあの背中の傷である」みたいな話でもやっていくつもりなんでしょうかね?

・前回のラストに登場したブラック大獣神に乗っているのがクオンだとあっさりバラされたことも個人的には結構不思議でした。そこを速攻で明かすメリットってなんだったのでしょう?
私が前回の予告時点で疑っていたように「お姉さんには裏があるのでは?」と疑わせておく方が、結末の「ただ吠に会って『願いを持ってほしい』と伝えたいだけだった」という純真さが際立って良かったと思います。

■そんな話だったっけ?
・吠の願い関連の話自体もだいぶ理解し難い内容でした。
まるで吠が「俺は願いを持っちゃいけない人間なんだ!」と自分で思い込んで頑なになってるような扱いでしたけど、そんなことありませんでしたよね?
1話の時点でテガソードのカウンセリングでやる気になってましたし、その前にも「良いよな。お前はやりたいことがあって。俺にはねぇよ…」みたいにバイト仲間を羨ましがってましたよね。
吠はただ単に「やりたいことが見つからない」だけで積極的に否定してた覚えがないのでお姉さんが「願いを持って!」とか訴えてくることが不可解でした。話がすり替えられてるような感じで違和感だらけでした。

・普通だったら
「お姉さんは吠が子どもの頃に死んでいるので今の吠の事情を知らないで昔のときのままのつもりで話していた。
それに対して吠が『いや、今の俺には願いがあるから大丈夫』と言おうとしたところでお姉さんがクオンに殺されて伝えられずに終わり、
吠が怒りで立ち上がると共に『俺の願いが今決まったぜ… 俺の願いはノーワンワールドの連中を一人残らずぶちのめすことだ!』と初めて明確に意思表明する」
とか、そういう流れの方が合っていたと思います。

■そこで合体?!
・この流れでテガソードとグーデバーンの合体が行われることも戸惑いました。いや、むしろ吠一人で勝つべき場面じゃありません???
せめて「吠一人ではブラック大獣神に勝てない。吠もそれをわかっているから熊手に『協力しろ!』と自分から言い出す」なんて風にして、なりふり構わない願いへの真剣さやお姉さんを踏みにじられた怒りを示せる流れだってできたと思います。
ガリュードがすっかり空気になっていて強敵感が薄くなってるので余計に展開が飲み込みづらかったです。強敵感があった頃なら脈絡なく合体を出しても「吠一人じゃ勝てそうにないからなぁ」と納得することができたかもしれませんが、今のガリュードにそんな凄みは感じません。
おまけに前半でゴジュウポーラーにあっさりしのがれて、「お前焦ってんのか? 背中の傷が辛そうだもんな。俺様にバレないとでも思ってたのか?」なんて見透かされてたので、今回単体に限ってもボスとしての格が失われていました。

■テガソードホワイトバーン
・合体シークエンスを見てびっくりしました。目立つ部分がほぼグーデバーンじゃないですか!
テガソードは背中にくっつくのと頭の上に乗せてるだけで、これじゃ「おんぶに抱っこ合体」も良いところです。前回親ぶって説教までしてたのにこれでは情無さ過ぎます。
個人的にはグーデバーン単体の方が見た目がかっこいいと思うので余計に何これ感が強かったです。

・装備は指と肩のミサイルが特徴のようでした。…そこ?!
個人的にはまだ肩の上のテガソードの足から出るビームの方が強そうに見えたのでミサイルの方が必殺技使いでびっくりしました。ロボに関してもスタッフとセンスが合わないようです。

■コンビネーションは良かった
・今回はメインのゴジュウレッドvsガリュードのアクションは冴えませんでしたが、残りのメンバーvsガリュードが召喚した戦士たちの方はそこそこ良かったです。
乱射で敵の動きをまとめて止めて、ブラックとイエローが一箇所に追いやって固まったところを構えていたグリーンの矢の雨で一掃。
という流れはスムーズだし、コンビネーションが感じられて良かったです。

・まぁ、そのせいでかえって普段のバトルのつまらなさが際立ってしまった感じもあります。
怪人との戦い=No1バトル=タイマンだからコンビネーションする余地が無いんですよね…
戦隊と言えばチームワークなのに自分からチームワークしようがないコンセプトにするって何を考えてるんでしょうね? 初歩的な疑問が再び湧き上がってきました。


次回は角乃の妹がギャルでありシンケンジャーの指輪の戦士として登場するそうです。
…は? なんで行方不明の妹が有名ギャルになって登場するんですか???
「有名人なのに妹だって気づかなかったのよ、この迷探偵?!」とか、
「え、もう出すの? それもこんなしょうもなさそうなネタで???」とか、
「シンケンジャーである意味は何?」とか、
ツッコミどころが多過ぎます。
「実は妹は偽物でした。(シンケンジャーだけにね!)」みたいなスタッフのドヤ顔が公式ブログに書かれている未来が脳裏をよぎりましたがさすがにそこまで糞ではないと思いたいです。

・その他に東映公式ページを見ていたらびっくりする文面が目に入ってきました。
いま二代目じゃなくて吠って呼んだよね!?
呼んだよね!?!?!?!?キャー!!

熊手に名前を呼んでもらえるなんて1万年早いクマ……
あ、内なるベアックマが出てしまいました。

ということで、初代チャンピオンの熊手が
遠野吠を「二代目」ではなく「吠本人」として認め
新たな合体「テガソードホワイトバーン」を会得したことにより
ひとまず追加戦士/熊手真白篇は落ち着くことになります。

え? 熊手編が終わり?!
こっちは「追加戦士登場直後なのにくだらない話ばかりやって、いつになったら本題に入るんだ?」と思っていたんですけど???
そのせいで今回の見せ場だったはずの熊手が吠を認めるシーンもグダグダになっていたのに何終わらせるんでしょう。私からすりゃ始まってすらいませんよ。

百歩譲って熊手編は終わりにしても、グーデバーン周りは全然片付いて無くないですか?
テガソードとの関係も決着がつかないままなぁなぁで合体しちゃって余計に糸口が無くなった気がしますし、テガジューンに至ってはまだ手出しすらしてません。破滅の王子として生まれた生い立ちも、世界をめちゃくちゃにしたことも、まだ熊手の言いなりに動くだけの自我の薄さもグーデバーンが抱えてる問題は何一つ解決してないんですけど、終わりで良いんですか? 「願いを叶える」という前向きな題材で動いているはずの作品でこんなスケールの小さいネタを引っ張ってもしょうがないと思うんですけどねぇ…

こんなに早く登場すると思ってなかった角乃の妹といい、理解しがたい展開が畳み掛けてきました。
「ひょっとして路線転換に入って、引っ張るつもりだったネタを在庫処分し始めたの?」という疑念すら浮かんできました。個人的にはそっちの方がありがたいくらいですけど、元々正気を疑う内容が多いのでまだ判別がつきません。これ以上のがっかりは避けたいので根拠の薄い過剰な期待は止めておきます。





コメント

4 件のコメント :

  1. 前々回の感想で「随分と早い夏休み」と書かれているのを見て思わず笑ってしまいましたが、確かに制作陣の時間感覚が狂っているのかかなり早い「お盆回」でした。

    >え? 熊手編が終わり?!
    こっちは「追加戦士登場直後なのにくだらない話ばかりやって、いつになったら本題に入るんだ?」と思っていたんですけど???
    そのせいで今回の見せ場だったはずの熊手が吠を認めるシーンもグダグダになっていたのに何終わらせるんでしょう。

    個人的に今回一番失笑したのがクオンが真白に「これ以上指輪を集めるのはやめて欲しい」と言ってた所でした。
    その後唯一所持しているであろうニンニンジャーリングは謎に交換されて、真白は取り返そうともしないで、集めているとは一体……。

    そしてふと思ったんですが真白って変えた指輪を一度も使ってませんよね?
    色を変えただけで実態も見せずに真白編が終了とは……。

    >そのせいで今回の見せ場だったはずの熊手が吠を認めるシーンもグダグダになっていたのに

    オムライスの時にも思いましたが「このオチで何故こことここを分断しているんだ?」となりますね。
    真白の二代目呼びもどういう思いでやってるのかよく分かりませんし。

    >「実は妹は偽物でした。(シンケンジャーだけにね!)」みたいなスタッフのドヤ顔が公式ブログに書かれている未来が脳裏をよぎりましたがさすがにそこまで糞ではないと思いたいです。

    陸王が絡みそうにないのでまともにやるつもりはないんじゃないかと思ってます。
    昭和回みたいにステレオタイプによるパブリックイメージのギャルネタをやるだけやって「いつも通り何の話してるのか全然分かんなかったな」となる気がします。

    返信削除
    返信
    1. >確かに制作陣の時間感覚が狂っているのかかなり早い「お盆回」でした。

      なるほど。確かに死人が帰ってきたからお盆と言えますね。

      >その後唯一所持しているであろうニンニンジャーリングは謎に交換されて、真白は取り返そうともしないで、集めているとは一体……。

      ガリュードも真白も指輪をいくつも持ってるはずなんですけどね。誰も奪おうとしません。ゴジュウジャーもケースまで持ってるのに誰も奪いません。
      指輪争奪戦とはいったい… 指輪ポロポロ戦くらいが良いところです。

      >そしてふと思ったんですが真白って変えた指輪を一度も使ってませんよね?
      色を変えただけで実態も見せずに真白編が終了とは……。

      使ってませんね。真白の手元から離れたら色も戻るみたいですし。
      普通だったら「同じ指輪でも真白版だとこんな違う効果が!」みたいな販促を入れるものなんですけどねぇ。いくら”コレクションアイテム”と言っても本編でも集めるだけの飾りでは販促にならないと思います。

      >真白の二代目呼びもどういう思いでやってるのかよく分かりませんし。

      二代目呼び自体から飲み込めていませんよね。
      これが何回目の指輪争奪戦なのかも知りません。真白が初回だと聞いた覚えもありませんし。
      真白の心境に至ってはもっとわかりません。「テガソードに願いを叶えてもらうなんて無駄だから止めておけ」ってつもりで言ってるなら吠だけでなく他のメンバーにもそういう態度を取るべきなのに、なぜか吠だけで意味がわかりません。くだらない先輩マウント以外の意味があるのかすらわかってない状況で二代目呼びを止められても何の感慨もありません。

      >昭和回みたいにステレオタイプによるパブリックイメージのギャルネタをやるだけやって「いつも通り何の話してるのか全然分かんなかったな」となる気がします。

      回単体としてはそんな感じの可能性は高いと思いますが、妹関連はそれで片付けると大問題だと思います。
      「出すだけ出しいて妹の結末は引き伸ばし」だともっと悪いと思います。

      削除
  2. なんか良い話してるはずなのに全然心が動かないんですよね…
    まず視聴者は吠と嶺(この名前も今回初めて知った)がノーワンワールドで初めて話した時の様子とかどうやって生き延びてたのか全く知らないんですよ
    あと嶺は取り込まれてそのまま死んだという事だがそのノーワンは今どうしてるのか
    今までのノーワン怪人は適当に人間に話かけてYESだったら即怪人化して活動して即ゴジュウジャーに倒されるを繰り返してるがそんな作品だったっけこれ
    不自然にシリアスな情報を入れるわりに肝心の嶺と吠の情報が少ないのでなんかチグハグ

    こんな製作陣だから次回で行方不明なってた角乃の妹はギャルなってました~!とかやれちゃうんだろうなあ
    本物でも偽物でも角乃というキャラや戦うモチベへの悪影響は避けられないと思うが…

    返信削除
    返信
    1. ノーワン関連はほとんど情報が無いですよね。
      特にノーワンワールドに入り込んだ人間を取り込んだノーワンがまだ1体も出てきてないので違いがあるのかどうかすらわかりません。普通の作品なら「ファイアキャンドルやブーケなど幹部格は迷い込んだ人間を取り込んでから長い時間が経過した個体」とかそういう設定を出すものですけど、現状だと何もない上に「取り込んだのに中身のお姉さんが死んだ」とか想定しなかった情報だけが増えて余計に混乱させられました。
      もうクオンにお姉さんと二人も出たのに、吠たちがノーワンワールドでどんな生活を送っていたのかも描かれてませんし、スタッフが視聴者にどんな認識を持ってほしいと思ってるのかすら理解できません。

      >本物でも偽物でも角乃というキャラや戦うモチベへの悪影響は避けられないと思うが…

      無難に行くなら「角乃は最初は喜んだから次第に違和感を感じるようになり、最終的に偽物を倒す。その過程で本物の妹や犯人の手がかりを得る」
      みたいな流れになると思いますけど、ゴジュウジャースタッフの場合はこの程度すらまともにできるか怪しいですからね…

      削除

 コメントは承認後に表示されます。
*過度に攻撃的な言葉や表現が含まれている場合、承認されない場合がございます。節度と良識を保った発言をお願いいたします。