『仮面ライダーアマゾンズ』 第13話(1stシーズン最終回)「M」 (TV版):感想&最終回まで見終わっての全体感想

2016年9月28日

【最終回の感想】


■1stシーズン最終回
・1stシーズンというより「分割2クール」でした。
最終回の時点では何も終わってないし、引きも特にありません。締りのないがっかりな最終回でした。
悠は半端なままで、仁も特に変化がなく、マモルはようやく状況が変わっただけで駆除班も続投。誰も死なない、何も起きないで終わるとは思いませんでした。2ndシーズンで新しく投入される要素の前振りもなく、現状だと興味を保てません。「2ndシーズンで完結します」という裏が取れない限り、見ないと思います。また引き伸ばされるんじゃやってられません。

■アマゾンの種別
実験体=第一のアマゾン
仁=人間にアマゾン細胞を移植した第二のアマゾン
悠=アマゾン細胞に人間の遺伝子を混ぜた第三のアマゾン

ということだったのですね。”悠のことを第三のアマゾン”と呼ぶ理由がわかりました。マモルが第二世代で、悠が第三世代という話かと思っていましたがミスリーディングだったようです。シグマの外見が悠のアマゾン体に似ていたのも、シグマが「人間の死体にアマゾン細胞を移植したもの」だったからなのでしょうね。この論理でいくと仁のアマゾン体も似た姿をしているのでしょう。

・マモルがよくわからなかったのですが、実験体と同じ第一のアマゾンでしかないんですかね?
ポジション的には悠のプロトタイプといった可能性もありそうですが、マモルの食人や失踪に対して悠の母親が特に反応を示していなかったのでその線は薄そうです。


【総合感想】

【ストーリー】

■駆除班はやっぱり要らない
・最後まで駆除班の存在意義を感じ取れませんでした。
マモルの話をするだけなら「マモルのデータ取りと面倒を見るための研究班」で充分だったと思います。駆除班自体にドラマがあるならまだわかりますが、マモル関連の話だけで野座間製薬から独立している点も活かされていません。「金のために実験体を狩る駆除班」=「生きるために人間を食べるアマゾン」という構造なのでしょうけど、これならときどき登場するモブ扱いでもできたと思います。これほど出番を増やしバトルでも多用するほどの価値を見いだせませんでした。

■話のバランスが悪い
・ポジションが優遇されているのは仁だけど、仁の話はほとんどない。
・悠が話の中心だけど悠の進展は非常に遅い。
・駆除班は出番が多いけど特にドラマがない。

全体的に話が薄く感じました。キャラクターが多いのは内容を盛るためだと思っていたらそんなことはありませんでした。
ニチアサのライダー同様に1話分の内容を分割して2話の前後編にしているように感じました。そういう因習を止めてくれるのも期待していたのですが…

■その割に製作の要望は詰め込みすぎ
「アマゾンのタイトルを継ぐのでアマゾンらしさを出したい」
「ダークな雰囲気も出したい」
「仁がお気に入り。でも主役は悠。モグラ獣人役のマモルも出さないといけない」
「せっかくだから生身アクションやミリタリー風のもやりたい」

まるで「ニチアサとは異なる大人向けのダーク路線のライダー」という企画と、「アマゾンの精神的続編」という2つの企画を無理やり合体させたようなチグハグ感を感じました。相性自体は悪くないものの、重なる部分がないので2つの異なる話をバラバラに進めることになってしまったと思います。話が薄く感じるのはこの辺りのシナジーの弱さも原因ではないかと考えます。

■総評:望んでいたものと違った
・総評としてはこの言葉に尽きます。

期待していたもの:「毎回吹き出る血しぶきと生身では許されないゴア」
実際に実装されたもの:「ニチアサの爆発程度の頻度の血しぶきと毎回出る駆除班の手ぬるいバトル」

・イメージしていたものは出てくることは出てきましたが期待を下回り満足できませんでした。 期待を裏切られたというほどではなく、「こんなものか…」と失望する程度で酷くはありません。総合的には普通です。

・アクションはラスト2話くらいに敵を次々と倒す演出を繰り広げてほしかったです。
4000体も実験体がいるのに雑魚敵はほとんど出ず、1話ごとに1体倒すペースでした。クオリティが低いわけではありませんががっかりしました。カブトみたいに「雑魚怪人=サナギ。中ボス怪人=成体」とでもして、どんどんスーツを使いまわして敵をたくさん出してほしかったです。

・面白そうに見えた武器の数々も基本一度きりでお終いでした。
牙狼といい、どうしてこう生身アクションをしたがるのでしょう。個人的には残念でなりません。そういうのをやりたくてスタント業に入ったのかもしれませんが、その土俵に立った場合には予算などの外部的要素も含めてハリウッドのアクション映画などに到底及びません。あくまで「TVシリーズの特撮」という分類でのみ輝けるものだと思います。

・ストーリーも同様で思い描いていたものと落差がありました。私にとっては前座が続くばかりで全然本題に入ってくれない内容でした。

・代表的な例で言うと悠です。
態度が煮え切らなかった悠は最後に「とりあえず自分が守りたいと思ったら、人間でもアマゾンでも守る。それ以外は関知しない」という線引を決めました。個人的にはそんな線引は当たり前で、その先をどうするのか、そう考えた先に何を見出したのか、そういう話を聞きたかったのです。生きるか死ぬか、食うか食われるか、そんな根源的な話をしているのだから何が重要なのかの価値判断も自分勝手に決めるのは当然だと思います。それが現時点での結論として堂々と出されてしまったので呆然としました。どれも序盤の時点で途中経過として思い浮かぶ内容でしかありませんでしかなかったのです。
2話の展開からもっとハイペースで進むことを期待したのが失敗でした。「相手が仲間であろうと食べずにはいられない」という話を予想よりも早い2話でやったので出し惜しみせずにどんどん踏み込んだ話をしていくのだと錯覚してしまいました。

■収穫
・特撮界隈で言う「大人向け」だの「ダークな作品」というものが自分の価値観とは異なることがわかりました。今後はそういう話を耳にしても話半分に受け止めることができるでしょう。

・それとアクション監督の好きなものを撮らせるとこういう映像になるという事例の新しいサンプルが採れました。劇場版でもネット配信のオリジナルシリーズでも大差ありませんね。
この路線だといずれ海外ドラマやハリウッド映画とぶつかって資本力の差で潰れるだけだと思うので私の望む方向ではありません。限りある資源を活かすリミテッドな方向で可能性を見出したいです。

コメント

6 件のコメント :

  1. いつぞや、ライダーのスピンオフ作品を見ない理由について、「TVシリーズ、販促番組という制約から外れると、他のあらゆるジャンルの作品が競合相手になる。」という趣旨のお話をされていましたね。アマゾンズを見て、その意味がようやく分かりました。

    例えば、よく「大人向けの特撮」の代名詞として名前が挙がる作品の一つに「仮面ライダークウガ」がありますが、戦闘や販促を完全に脇に追いやっていたかというと、私は決してそうは思わないんですよね。どうもアマゾンズの制作陣はそういう本質的な部分を履き違えていたような気がします。

    白倉Pは「海外展開も視野に入れた作品を目指している。」とか仰っていましたが、その辺はどこまで本気なのか正直怪しいです。私は単に、今のニチアサのライダーに不満を持っている層の受け皿を用意したかっただけではないかと思っています。もしそうなら、一定の成果は得られたのかもしれません。この先TVシリーズ一本でやっていこうにも先細りする可能性の方が高いですし、ネット配信枠という新たな選択肢を確保しておくこと自体は決して悪いことではないと思っています。

    返信削除
    返信
    1. >アマゾンズを見て、その意味がようやく分かりました。

      私が言いたかったことは概ねその理解で正しいと思います。
      アマゾンズを見ても純粋な映像作品として勝負になるとは思えませんでした。

      >私は単に、今のニチアサのライダーに不満を持っている層の受け皿を用意したかっただけではないかと思っています。

      はい、私もただの懐古枠だと思います。
      商業的にはベルトのコンセレ版など「古い玩具のリニューアル豪華版」と同列の存在だと思います。

      >この先TVシリーズ一本でやっていこうにも先細りする可能性の方が高いですし、ネット配信枠という新たな選択肢を確保しておくこと自体は決して悪いことではないと思っています。

      ビジネス的には悪くないと思いますが、個人的にはがっかりでした。
      これは新しい可能性と言えるほど立派なものではなく、30、40代の懐古主義者をターゲットに「取れるところから取ろう」という発想に基づいているように見えます。5年後、10年後を見据えた作品とは思えません。私はそれほど期待する気になれませんでした。

      削除
  2. やっと最終話まで見たのですが、途中から見るのがやや辛くなっていました。白倉Pが「最近のライダーって面白いと思いますか?」なんて発言をした、という話を聞いていたので期待していたのですが、ものすごく期待外れでガッカリしました。
    私はクウガを見てニチアサにハマったので、いわゆる平成1期、特にクウガのようなニチアサのフォーマットとは違う形になってもドラマを追求してくれるのかと期待していましたが、実際にはニチアサレベルの濃度のドラマがワンクールなので見ていてつまらなかったです。
    主役は悠だったんですよね?彼は最初自分は人間なのか悩んでいて、人間を守る駆除班と共に行動することになったと思うのですが、最終的に自分はアマゾンだと自覚してアマゾンと共に生き、人間と敵対することも厭わなくなりました。私にはなんでそうなったのかの過程がイマイチ伝わってきませんでした。そのうえ、彼の自分が守りたいと思ったものだけ守るという信念は、当初の彼の悩みからするとすごくチープな着地点に感じられました。あれだけ駆除班周りに時間を割いていたのですから、人間である駆除班とアマゾンである自分との違いなどにもっと時間を使って欲しかったです。

    アクションも正直なところニチアサでもできるレベルばかりで肩すかしでした。逆に今は地上波ではこの程度の流血表現もできないのだということを思い知らされて悲しくなりました。また毎回出てくる駆除班のアクションが洗練されているというわけでもなく、装備もアップデートされることなく貧弱で、弱いのに半端に打たれ強く、毎週見ていてイライラしました。

    4000体いるはずなのにほぼ毎回1対1の状況になるアマゾンたちや、タンパク質摂取やランクなど強さのいい加減さ、4000体相手にするには明らかに全てが足りないのに何も増強されない駆除班など、色々とニチアサ並みの雑さが目立ちました。結局私はTV版しか見ていないので配信版とは印象が大きく異なる所もあるかもしれませんが、少なくとも私はこれのためにアマゾンプライムに入らなくてよかったと思いました。アマゾンプライムなら普通に別の海外ドラマなどを見ていた方が面白いですよね。ベテランたちが集い、配信なので自由にやれるということですごく期待していた分、この程度か…というガッカリがとても大きかったです。何もしないと先細りするというのは分かりますが、これを新たな方向性だと言って絶賛する人が少なからずいることは私にとって大きな驚きです。面白いものを作りたいという気概があるなら普通に日曜日の朝に発揮していただきたいです。

    返信削除
    返信
    1. >実際にはニチアサレベルの濃度のドラマがワンクールなので見ていてつまらなかったです。

      もっと濃密なのを期待していました。悪くはないのですけど、こんなものかという印象は否めません。

      >そのうえ、彼の自分が守りたいと思ったものだけ守るという信念は、当初の彼の悩みからするとすごくチープな着地点に感じられました。

      あれで終わりだったのは拍子抜けでしたね。
      他の登場人物と比べて軽いように感じました。あれで仁や駆除班の面々と対等に渡り合おうというのは厳しいと思います。

      >弱いのに半端に打たれ強く、毎週見ていてイライラしました。

      やられ役でもなく雑魚相手の数合わせでもなく、中途半端でしたね。
      せめて駆除班単独でアクションが見れるものだったら良かったのですがそうではありませんでしたし。

      >ベテランたちが集い、配信なので自由にやれるということですごく期待していた分、この程度か…というガッカリがとても大きかったです。

      『仮面ライダー the 1st』とかと大差ないように感じました。
      あえてやるからには以前とは違う何かを見出したのかと思っていたのですが…

      削除
  3. 最近のニチアサのライダーに不満を持っていた人たちが「販促などの縛りがなければライダーは十分面白いものを作れる」と言っていましたが、縛りがなければ自由にできるのは戦隊もウルトラマンも同じで、ライダーが特別優れた作品を作れるわけではありません。逆にアイテムなどをとっぱらってアクションとドラマで進行する以上、作品がライダーでなければならない理由、ライダーでしか出来ないことを入れて欲しいものです。

    返信削除
    返信
    1. >ライダーでしか出来ないことを入れて欲しいものです。

      たぶん「ダークな雰囲気」というのがスタッフの定義するライダーらしさなのだと思います。個人的にはそれをやるならバイオレンス路線を含んだアマゾンでやることではないと思いますが。改造人間の悲哀、と言ってもアクションに爽快感があると「それだけ好き勝手できる力があるなら良いんじゃないか?」という側面が出てきてしまいます。

      削除

 コメントは承認後に表示されます。
*過度に攻撃的な言葉や表現が含まれている場合、承認されない場合がございます。節度と良識を保った発言をお願いいたします。