『蒼穹のファフナーEXODUS』 第9話「英雄二人」:感想

2015年3月7日

■英雄二人
・雲間からの突入は前期のOPとエクソダス1話の冒頭を彷彿とさせるものでした。
1話の冒頭と重ねている点は演出上の意味が大きそうですね。1話の防衛戦ではフェストゥムと交戦規定アルファのせいで悲惨な結末を迎えました。今回の戦いも似たような過程と結末を迎えようとしていました。その戦況を一変させたのが二人の活躍です。ジョナサンたちを始め、人類軍に与えた印象は果てしなく大きいものだったと思われます。

・どんどん蹴散らされる敵といっしょに視聴者のメンタルもごっそり減っていきました。
一騎は1人でも金目になっちゃう救済を地域全域レベルで行うし、総士はフェストゥムでもできないワームスフィア大量発生に強制同化と、いついなくなってもおかしくないような戦い方でした。

・あれじゃ真矢だって心が折れますよね。まさに「英雄二人」であって、真矢たちが立ち入る余地が一切ありません。あれだけの数のフェストゥムを倒すことも、救済の肩代わりをすることも、何もできることがありません。今回二人が支払った代償と、これから誰がその役目を担うのかとを考えると泣きたくなります。

■一騎
・祝福とは何のことなのでしょうか?
フェストゥムの力を使っても人間を命がけで守ること。つまり自己犠牲なのでしょうか。短命であった乙姫の祝福は生と死を教えることで、痛みによって支えられ、同時に苦しんできた総士の祝福は痛みでした。そう考えると確かに自己犠牲的に戦ってきた一騎の祝福はそれで合っているのかもしれません。

・私としては今の一騎の考え方に反対します。
祝福とは己の内側から湧き上がってくるものを伝えることであって、一騎の自己犠牲精神は一騎が望んだものではないと思うからです。
七夕の一騎の本来の願いは「生きたい」でした。それが自分の命を使ってでも「生きる」ことに変わりました。今の状況では周りと積極的に関わることは戦うことを意味します。確かに必要性はありますし、一騎以外にはできないことだと思います。
しかしそれで本当に良いのか、生き急ぐように結論を出すことを急ぎすぎていないかと心配になります。今のまま最期を迎えても悔いを残さずにいられるのか、疑問に感じています。

■総士
・ずいぶん加虐的というか、楽しんでるように見えました。あれは総士の変性意識なんでしょうか?
ディアブロ型やスカラベ型の間に戦艦の残骸の活用も挟まっているので、単にその場の敵を駆逐するのに最適な行動を取っているだけとも考えられるのですが、曰く付きの機体だけに気がかりに思えました。。

・心配といえばジョナサンも気になる描写がありました。
文字通り「救世主」のような活躍を見せるザインを見て、「父が作ろうとしたザルヴァートルモデル」と呼んでいました。しかし実際にミツヒロが作ったのはニヒトのほうです。この認識と描写のズレが引っかかりました。
ミツヒロはイドゥンの乗ったニヒトに殺されているので機体に取り込まれている可能性も充分あります。ニヒトに乗った総士の言動といい、少し気がかりなように感じました。
実験的存在で短命という点では、ジョナサンは狩谷由紀恵とも共通点があるんですよね。ジョナサンがニヒトに近づくことがあれば、何か起こるかもしれません。

■ディアブロ型
・対ファフナー用のフェストゥムで、殺したパイロットを小型のフェストゥムにして別の機体に取り憑かせる能力があるようです。非常に効率的に人間を苦しめるところがディアブロ(悪魔)と呼ばれる理由でしょうか。

・あの融合能力が竜宮ファフナーにも有効なのか心配です。
もしも有効だったら物理的な損害も、パイロットの精神面での損害も甚大なものになりそうです。機体の進化で得た保護機能が守ってくれるといいのですが。

■裏切り者
・「エスペラントの中には人の心が読める者もいるというのに」ということは裏切り者には人の心がないってことですね。催眠術などで操られていて本人には自覚症状がないから読めないのか、それとも、そもそも人でないのか。エメリーが「心に壁を作るの」と美羽に以前教えていたので、擬態したフェストゥムは元より、エスペラントの中に裏切り者がいてもおかしくありません。

・画面の流れとしてはナレイン将軍の独白の後に、人類軍の司令とダスティンのシーンに移っているので人間の仕業と捉えるべきなのかもしれません。
新国連もエスペラントの存在は認識しているようですから、ファフナーがフェストゥム用に読心防止装置を備えているように、対エスペラント用の読心防止装置を開発していてもおかしくないでしょう。

■1話の残り組
・1話冒頭で生き残った小隊メンバーのうち、まだ登場していなかったビリーのお兄さんと黒髪の女性(キース)は新国連側に就いたんですね。しかもずいぶんきな臭い部隊にいるようで、どうやら今回のシュリーナガルでの騒ぎが終わっても人と人との争いは避けられないみたいです。




コメント

6 件のコメント :

  1. ラスボスは味方になってもラスボスのままということですね。ニヒトの戦闘シーンを見てそう思わざるを得ませんでした。敵の武器が紙一重で止まっているのに冷静な総士にはさすがに冷や汗と言うか安心感というか複雑な感情を感じました。

    ザインはザインでこれまで以上にパワーアップしていて、かなり心配です。

    ジョナサンは、単にザルヴァートルをいっしょくたにして覚えているだけかと思います。それで、違和感の感じるあんな言い方になったのだと予測できます。

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    1. ジョナサン視点ではそうだと思います。
      ミツヒロたちがジョナサンに研究内容を詳しく説明するとは思えませんから、ジョナサンが知っているのは人類軍で周知されてる範囲に過ぎないでしょう。新国連のことですから北極ミール戦でのザインの活躍を「ミツヒロが命に替えて作り上げた機体」とプロパガンダにした可能性もあります。

      問題はジョナサンが虚栄に満ちたガラスの土台の上に立っていることです。
      真実を知れば崩れ去ってしまう不安定な状況にいるということです。これに関してはアイやビリーも同じです。今回の一件で一騎への神聖視はますます高まるでしょう。しかし一騎もまた脆い存在です。ザインや一騎が戦えなくなったとき、全てが崩れ落ちる危険性が高まっていると私は考えます。

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  2. そう言えば、一騎が引退扱いだってこと知らないんでしたね。また一波乱ありそうです。

    しかし、人類軍のファフナーも竜宮島とは一味違う武器を開発しているみたいですね。人類軍製ガルム44は銃身の上下にミサイルを装備しているみたいですし。

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    1. 誰のことを指しているのかわかりませんが、ジョナサンたちは一騎が現役引退していることを知っていると思います。一騎たちとも直接話しましたし、司令とナレイン将軍が初めて会ったときにファフナーの年齢制限の話をしたところにいましたから、常識的にも以前から戦ってる一騎たちが乗れないことは理解していると思います。

      変わった武器もありましたね。ジョナサンの持っていたクナイのような刃を飛ばす剣?が気になりました。従来の武器とは全く違う系統の武器で、どう作用する武器なのか想像がつきません。

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  3. 見直して見て気付いたのですが、美羽ちゃんってザルヴァートル開発者2人の孫娘なんですよね。なんか、不思議です。

    後、ジークフリードシステムが人類軍側に有るということは、ザルヴァートルの開発者たちが島を出るときにデータを持ち出したのでしょうか? 鹵獲されたエルフやフィアーには搭載されていないので、解析された可能性は難しいと考えます。

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    1. そうなりますね。何かを残すと死んでしまう短命の一族でもあります。美羽は一族のジンクスを破ってくれると良いのですが。

      設定は詳しく知りませんが、技術自体はあったのだと思います。ただしヘブンズゲート作戦でもジークフリード・システムを使わずに無謀な作戦を採用していたので、サイズの縮小が困難、扱える人間がいない、など何か問題があったのだと思います。

      EXODUS時点で実用化に至ったのは技術革新のおかげか、あるいは前期の5話で竜宮島と新国連が接触したときか、竜宮島を占拠したときに得た竜宮島の最新式のデータを発展させたからかもしれません。どちらの時点でも各機分割搭載型のデータはないはずなので、竜宮島が最終話以降にデータ提供を行っていない限りは独自開発だと思われます。

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