Gのレコンギスタ 第22話 『地球圏再会』:感想
■トントン拍子に五つ巴
・今回は一気に話が進みました。パッと地球圏に帰ってきたら、アーミィ、アメリア、トワサンガが睨み合っていて、そこにジット団とメガファウナが加わり、事態は混迷を極めています。流れとしてはッ3勢力のどれかがジット団と組む、あるいはジット団にやられることでバランスが崩れて戦局が動くことになりそうです。
・話が進むのは歓迎なのですが、少しすっきりしない内容でした。
途中経過が大幅に省略されているため解釈の幅が広すぎるように感じたからです。想像で補いたいところなのですが作中描写がないため何とでも解釈できてしまいます。
■金星人のムタチオン
・今回ラ・グー総裁により、ジット団の蜂起の理由であり、クンパ大佐が戦乱を引き起こした理由である金星人の秘密が明かされました。
説明はされたのですが、サンプルが少なすぎていまいち状況を飲み込めずにいます。
・金星人のムタチオンの要素は大きく分けて3つあると考えます。
1)長寿化
2)肉体の衰退
3)ジット団の蜂起
この3つの因果関係を解釈しきれずにいます。
シンプルに解釈すると「長寿化により繁栄を誇っていたが、突然変異を起こして肉体の衰退が起きた。ジット団はこの状況を打破するために蜂起した」という考えになるのですが、
技術で長寿化したら突然変異で肉体の衰退が起こったのか。
それとも長寿化も突然変異で起きたのか。
あるいは総裁がムタチオンと言っていたのは、ジット団の蜂起のような精神面での突然変異を指しているのか。
どれとも捉えられます。
・更にサンプルもラ・グー総裁1人しか提示されていません。総裁の年齢の話が地球人向けのジョークでないとしたら、金星には長寿の人がそれなりの数いることになります。その中には当然ボディスーツを着ないと生きられない人もいるでしょう。この部分の説明がもう少しほしかったです。
・逆に長寿化に疑問を抱かせる存在は複数提示されています。
健康そうなジット団の隊員もそうですが、顕著な例がフラミニアさんです。ロルッカさんやラライヤの台詞から考えて、フラミニアさんは少なくとも数年以上トワサンガに住んでいます。その間に外見に変化がなければ不自然に思われるはずです。化粧など変装で誤魔化したという線もなくはありませんが、ジット団に戻った現在も外見に変化がないので考えにくいと思います。肉体の衰えに関してはロルッカさんたちのコロニー内での仕事が農作業や何でも屋であった点から疑う余地はありません。
もう一つ大きな理由がジット団が同胞の殺害を躊躇わなかったことです。
長寿化が一般化している文明では殺人は最大級のタブーになると思います。命>>物という価値観になるのが自然なように思えます。しかしジット団はバッテリーのフレームの破壊には気をつけていたのに、テンポリスの排除には一切躊躇がありませんでした。力量の差は歴然だったので手加減しようと思えばする余裕はあったはずです。
こういったところがネックになっていて、金星の状況がよく理解できずにいます。
・仮に長寿化と肉体の衰えが金星では周知の事実であるならば、ジット団が蜂起した理由も理解できます。いずれ自分も無惨な姿となり、子供や孫が生きられるかもわからないとなればなりふり構ってはいられないでしょう。それなら彼らの言い分も理解できます。
しかしその前提になる金星の状況が曖昧なため、議論している暇がない差し迫った事態なのか、まだ他に道を模索する余裕が残されているのか、ジット団の正当性がわかりません。
・地球圏での勢力争いもそうだったのですが、もう少し客観的状況描写を入れたほうがよかったのではないかと思います。
たとえばラグー総裁に会う前に金星の町並みを映して、元気に働いている老人(本当はボディスーツで無理をしいてる)を見てノレドたちと視聴者に好意的に受け止めさせてからアイーダと総裁の展開を持ってきたり、やりようはあったと思います。
■現在の情勢
・もう一つがわからないのが現在の情勢です。
クンパ大佐やクリムたちは、ベルリたちが金星に向かった時点ではトワサンガと組んでいました。両者がトワサンガを見限ることに不思議はないのですが、トワサンガはそれを許さないでしょう。トワサンガの本拠地にいる以上、クンパ大佐と言えども簡単には逃げられないと思います。
ところがベルリたちが地球圏に戻ってくる頃にはトワサンガ脱出どころか、クンパ大佐たちはアーミィに戻ってキャピタルタワーにいるし、クリムたちもアメリア軍として健在でした。おまけにガランデンの格納庫に液状カーテンが設置されていたり、トワサンガの技術はしっかり頂いてきた様子でした。いったい何があったのでしょう?
■クンパ大佐
・逆にはっきりした点はクンパ大佐の思想でした。
本当に人類の未来だけを考えてるように思えました。私欲が混じっているならばアーミィが勝つほうが都合が良いはずです。しかし「マスクに沈めさせればいい」という適切なアドバイスを思いついているのに沈黙を保っていました。
Gレコ世界の人間は自分のことを含めてあまり先のことを考えていない人ばかりなので、その点では明確なビジョンがあるクンパ大佐が一番安心して見られます。
・クンパ大佐でよくわからなかった点は、クンパ大佐がトワサンガ人なのか、金星人なのかどちらなのかということくらいでした。
金星からトワサンガに潜り込んで自力でトワサンガ内でのし上がったのか、それともトワサンガである程度の地位を築いたからクレッセントシップで金星に行けたのか、ラ・グー総裁の発言ではどちらとも判断のつかない内容でした。
■ウィルミット長官
・今回ベルリにまで「時勢を読めてない可哀想な人」みたいな扱いを受けていましたが、長官はそんなに捨てたものではないように思えました。
長官はクンパ大佐の計算を狂わせた唯一の人間ではないかと思ったからです。クンパ大佐に私欲はなく、裏方に徹してきました。そのクンパ大佐が唯一表立った行動に出たのがアーミィの設立でした。戦況を調節するためにアーミィを裏で操るため、とも考えられますが、アーミィを操るだけなら情報部の大佐として動けば充分でしょう。やはりこれは計算外だったのだと思います。
・クンパ大佐の本来の計画では、ヘルメスの薔薇の設計図をゴンドワンとアメリアに流して大陸間戦争を起こすように仕向け、キャピタルが他国の戦争に危機感を感じたところに情報部として薔薇の設計図の情報を渡すことで軍事化を進める予定だったのだと思われます。
この目論見を狂わせたのがウィルミット長官の強固な意思です。今は時流に合っていないため馬鹿みたいに描かれていますが、戦争が始まる前の時点で各国高官の中に長官のような意識を持った人が多ければ戦乱は避けられたかもしれません。
■ケルベス中尉の乗り換え
・ついにレックスノーから乗り換えてくれました!
しかし乗り換えた機体は金星のヘビーメタルもどき、ザンスガットでした。ケルベス中尉は小隊長やってるんですし、Gルシファーとか今回点検していたやつとか、もっと相応しい機体があると思うのですが… なんだかんだでメガファウナもワンオフ機ばかりになってきたので、ケルベス中尉は機体の性能に頼らなかっこいい戦い方を見せてくれると信じることにします。
■マニィの元鞘
・マニィはやっぱりマスクの元に帰りましたが、機体はジーラッハでした。どこから出てきたんですか…
バリア付きで安全性が高いからマニィに充てがわれたのでしょうかね。私はけっこう無茶するラライヤにジーラッハをあげたほうが良かったように思いました。ケルベス中尉のザンスガットといい、機体の配分を誰が決めたのか謎に感じます。ハッパさんは関わらないでしょうし、艦長はめんどくさがって避けそうに思えます。パイロットそれぞれで適当に話し合ったのでしょうか。
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿
コメントは承認後に表示されます。
*過度に攻撃的な言葉や表現が含まれている場合、承認されない場合がございます。節度と良識を保った発言をお願いいたします。