『仮面ライダーアマゾン』最終回まで見終わって:感想

2012年8月18日
Youtubeの東映公式ページでやっていた『仮面ライダーアマゾン』を見終わりました。

仮面ライダーアマゾン Vol.1 [DVD]仮面ライダーアマゾン Vol.1 [DVD]
(2003/08/08)
特撮(映像)

商品詳細を見る


仮面ライダーのテーマ、『異形のヒーロー』に本格的に踏み込んだ内容で面白かったです。
アマゾンで育った野生児ゆえに言葉を話せず、人々から迫害され、何かあるたびに悪者にされるアマゾン。それでもなお正義のために悪の組織と戦う姿はまさに仮面ライダーの精神です。

■アクション
・特に戦闘が素晴らしい。手足のヒレを使って敵を切り裂くダイナミックな格闘シーン。それに豊富な足技も魅力的だ。水面蹴りやローキックとハイキックのコンビネーションなど他では見られないアクションが堪能できます。どう見ても当たってないけど、あれはあれで完全に脚を振りきれるからアクションとしてはかっこいいと思います。

・アマゾンの戦闘シーンが素晴らしいのはアクションもさることながら、内容にマッチしていることが大きいです。噛み付き、ひっかき、容赦のない攻撃を仕掛けるアマゾン。切り裂く度に血が吹き出し、敵の返り血にまみれていきます。その凄惨な姿は悪との孤独な戦いがきれいごとでは済まないことを無言で物語っています。ストーリーのダークな内容を戦闘でも体現できていて、相乗効果でどちらも盛り上げてくれます。
それでいてアクションとしてはスプラッター描写のおかげでスッとするから、重くなりすぎないんですね。

・敵がまた良い味わいがあります。見た目はユーモラスだけど、やっていることは人間を食料にするために捕まえようとしたり、昆虫や爬虫類モチーフらしい原始的な恐怖があります。組織がどうのだの、今後の伏線とかそういったややこしい要素はなしに、「放っておけば間違い無く被害は増え続ける!」そう思わせる恐ろしさを持っています。

■ストーリー
・話の面白さは、マサヒコくんの子役とは思えない演技によるところが大きいでしょう。しゃべれないアマゾンに代わって狂言回しの役を務めていますが、巧みな演技で視聴者をどんどん話に引き込んでいってくれます。あの子供らしい明るさがなかったら、さすがに陰鬱になり過ぎていたと思いますね。

■テコ入れの弊害
・前半は文句なく面白いんですが、残念ながらテコ入れ後の中盤以降はかなり失速してしまいます。
特に13話でアマゾンがしゃべれるようになると、ダークな雰囲気はどこへやら。マサヒコくん補正もなくなり、すっかり子供だましのダメダメ昭和特撮に落ちていきます。戦闘は出血が減った以外は雰囲気は同じだったことは唯一の救いでした。

・15話からはゲドンに代わって、新しい組織ガランダー帝国が現れます。でもこれがつまらない。ゲドンは悪の怪人がみんな動物的な本能で動いていたのに、ガランダーの怪人はどうやったら東京を壊滅させられるかを真面目に考えていて完全なサラリーマン。サラリーマンじゃアマゾンの相手は荷が重いですよ。作戦自体はけっこう現実的で良いんだけど、実行前に企画書を精査されるやつらじゃ、ワイルドでおまけにチート能力付きのアマゾン相手には勝ち目が全く感じられません。

■もぐら獣人の最期
・中盤以降は散々ですが、この話だけは良いです。テコ入れ前の前半とこの20話のためだけにアマゾン全24話を見る価値があります。
その姿ゆえに改心した後も散々白い目で見られ、アマゾンのことは理解したリツコさんさえ嫌がる始末。そんな境遇を変えようと良いとこ見せるために潜入作戦を試みるも失敗し、死のカビに侵されてしまいます。自分をサンプルにして解毒剤を作らせようとし、「早くしてくれ。これじゃ死に切れない。」と言いながらも、解毒剤が完成したとき、自分は使わず人を助けるために使うよう言い残し、最期にようやくみんなから認められて満足気に息を引き取っていく。アマゾンの前半部のテーマ性を体現した内容に感動しました。
ヒーローと認められなかった異形の怪物の存在と生き様、もう一人のアマゾンがここにいます。

ライダーのテーマ性に感心がある人はぜひ見てほしいです。
スプラッターものとしてもマイルドによくできているので、スプラッター入門としてもオススメです。宙を飛ぶ首にゾッとしながらも笑えるようになったら、あなたも立派なスプラッター好きですよ。

コメント

0 件のコメント :

コメントを投稿

 コメントは承認後に表示されます。
*過度に攻撃的な言葉や表現が含まれている場合、承認されない場合がございます。節度と良識を保った発言をお願いいたします。