『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』:感想

2016年1月6日
スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号 コレクターズパック [DVD]
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) (2015-08-05)
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■登場するライダーの紹介&雑感
(メイン)
・ドライブ:この時点での最新作なので一応主役。でも出番は多くない。
・3号:ライバル役であり主役。看板に偽りなし。
・マッハ:3号のお供その1。出番はかなり多い。でも最後に大きくマイナスがつくので総合的には扱いが酷い。
・ゼロノス:3号のお供その2。3号やドライブの話し相手として出ずっぱり。2号ライダー的ポジションなので戦闘での活躍は少ない。

(サブ)
・Black/RX:登場時間は少ないけどキャラが原作に近く超優遇。
・555:こちらも出番は少ないけれど見せ場が多い。
・ギャレン&剣のライダー:脇役としてそこそこ出番有り。顔出しは橘さんだけだけど、声は全員本物。

(モブ)
・その他のライダー全て:1号、2号含む。
・ニンニンジャー:「そういえば『スーパーヒーロー大戦』だった」と顔を見てから思い出すほど出番がない。やっつけ仕事。
・魔進チェイサー:登場時間合計1分。キャラも崩壊していて出ないほうがマシだった。

■竜頭蛇尾
・本作を一言でまとめるとこの言葉に尽きます。
最初の1時間まではオールライダーとは思えないほどだいぶまともでした。でもラスト30分は安心と実績の米村クオリティでした。どこを重視するかで総合評価が大きく分かれそうな作品です。


【前半30分:ちょっともっさり】

・前半は普通にそこそこ楽しめました。
物語はライダーは基本的にショッカーライダーとして洗脳されているがたまに正義に目覚めるライダーがいる世界で、仮面ライダードライブこと進ノ介が正義に目覚めるところから物語が動き出します。ここまでに30分かけたのはテンポが遅いように感じました。内容がありきたりで先の展開がわかりきっているので面白くありません。3号と世界観への興味だけでモチベーションを保っていました。それでもいつものオールライダーに比べればだいぶマシでした。


【中盤30~60分:ここは普通に面白かった】

・真ん中の30分~60分までが一番面白かったです。具体的に範囲を説明すると、ドライブが正義に目覚めてからレース後半のフォーミュラ登場前までです。

■ちゃんとシチュエーションがある
・いつものオールライダーではケンカだの謎のサボりなどわけのわからない理由でライダー同士が戦ったり、全然出てこなかったりしますが、今作ではちゃんと理由があります。
洗脳されてるのでライダー同士が戦う状況がちゃんとしてるし、組織の裏切り者と追手という原作の流れに沿った根拠があるので違和感がありません。ライダーがショッカーの手先として次々と襲い掛かってくる展開は危機感が感じられて雰囲気が出てました。

■人物描写が比較的まとも
・3号もところどころ怪しさが隠しきれていないものの、まずまずでした。
侑斗が怪しんでいた3号を信用する流れも共闘したことが根拠になっていて理由としては悪くありません。

・進ノ介も思考力を活かしたり軽口を叩いたり、米村にしては驚くほど原作に似せてありました。窮地でも相手の発言を逆手にとって挑発してレース勝負に持ち込む流れは進ノ介らしいと感心しました。
ベルトさんは不自然に台詞が少なかったですが、これはたぶんクリスペプラーさんの都合だから不可抗力とします。進ノ介が正義に目覚めたときに「君が正義に目覚めるときを待っていたよ、進ノ介!」くらいは言ってほしかったですが。

■唐突な展開もだいぶまとも
・レースの展開もまともで驚きました。
4号が2+2体、マッハが4台、555が1台と、主役のドライブと3号以外の出走者の退場もそれぞれの見せ場に割り振ってあり、ちゃんと考えてありました。どうせまた適当に片付けられるのだろうと思っていたら順序立っていて驚きました。

■原作の扱いもまとも
・そしてRXの復活です。ここは原作の流れを踏まえていて良かったです。
Blackのときに敵に囲まれて殺されたと思われていた光太郎がRXになって再登場しました。普通なら超展開ですがRXなら納得がいきます。ベルトを壊されて宇宙に放り出されることに比べれば怪人の包囲なんて大したことありません。

・555や剣もだいぶマシな扱いでした。
悪かったのといえばゼロノスくらいでしょう。かませ犬役であまり活躍がありませんでした。その代わり台詞も出番も多めだったので、ゼロノスも全体としてはそんなに悪くありませんでした。


【ラスト30分:スーパー米村タイム】

・ここからはいつもの地獄でした。
後半に明かされる内容がぶっ飛んでます。1つ1つ語ると長過ぎるので箇条書きにします。見た人にはわかると思います。

・3号が洗脳されてないってショッカーは何を考えてるの?
・ショッカーの本拠地なのに警備がばがば過ぎ。
・フォーミュラとライドブースターの登場がやっつけ過ぎ。
・1号、2号はどうやって首領の電子頭脳に潜り込んだの? 意味不明。
・唐突過ぎるニンニンジャーの登場。
・マッハの酷すぎる死に方。
・復活した1号、2号、3号がすることが雑魚掃除。
・強敵であろうチーターカタツムリは3vs1の袋叩きで締まらない。
・とてもラスボス戦とは思えない大首領との戦闘。

・どれもこれも意味も面白さもわからないシーンばかりでそれまでの盛り上がりが一気に冷え込みました。
ラスト30分は実にいつもの米村でした。大魔王は健在です。一瞬でも「ひょっとしたら…!」なんて期待した私が馬鹿でした。

・逆に興味深い点もありました。それはラスト30分に酷さが集中しているのにその内容はいつものオールライダーと大差なかったことです。
この酷さはオールライダーのノルマの結果という側面もあるはずです。通常のオールライダーであればノルマを90分に分散できるので、ラスト30分に集中させた今作は遥かに酷いものになるはずです。ですが見た印象としては「いつものオールライダー」でした。集中させても分散させても内容が大して変わらないことが非常に興味深いです。前半はまだまともにした今作でこの程度で済むならいつもは何をやってるのでしょう?

■マッハの酷すぎる死に方
・割愛すると言ったものの、これだけは語らないわけにはいきません。
マッハの最期は扱いも流れも酷すぎました。他のライダーといっしょに戦っていたはずが、なぜか離れた場所で敵と戦っているシーンから始まって、敵を倒したと思ったらいきなりどこからか現れた4体に囲まれて粘液一発で動きを止められて棒立ちのまま殺されました。周りのライダーは誰も助けにくる素振りすらありませんでした。
ただ死ぬだけなら他のライダーも歴史改変ビームで消されてるのでまだ許容できるのですが、大首領を倒して歴史が修正された後も剛だけはなぜか死んだままになりました。続編の『仮面ライダー4号』につなげるためのようですが、ピンポイントに剛だけが死んだままというのはご都合主義的で萎えます。それなら、たとえば歴史改変装置(仮)を破壊して爆発に巻き込まれるとか、もっと特別な死に方にするのが筋だと思います。脈絡がないのに続編につなげるなんて馬鹿げています。こんな理由で雑に殺されるなんて最悪です。

・中盤までの扱いがマシだっただけに余計に憎たらしく感じます。
マッハは高速移動しながら戦ったり武器以外に特徴の薄かった本編よりもマッハらしい戦い方をしていましたし、剛もおっさん勢の中での若手ポジションから軽口を叩いたり本編序盤の性格設定を活かしたキャラ付けが良かったです。ドライブ本編よりもずっと良い扱いだと思っていたら、最後の最後でこの扱いはショックでした。


【総合感想】

■3号とは何だったのか?
・最後まで見ると微妙に感じるのは、ラストのスーパー米村タイムだけが原因ではないように思います。原因の一端は主役である仮面ライダー3号、黒井のキャラが曖昧だからだと思います。

・黒井に関して一番疑問なのは黒井の考え方です。
終盤になって黒井は洗脳されていないことが明らかにされます。ですが洗脳されていないならショッカーがほぼ壊滅した状況で1号、2号を倒す必然性は薄いはずです。つまり黒井の意思で自発的に1号2号を倒したと考えるのが妥当でしょう。

・しかし戦った理由がわかりません。黒井は生来の悪党というわけではありませんし、ショッカーに対する忠誠心も見受けられません。ショッカーが滅んだ後でも戦い続ける理由が見当たりません。
作中の流れから好意的に解釈すると、「勝利に拘る=強さに拘る→黒井が改造手術を受けたのは強制などではなく、純粋に強くなるために自分から志願した。1号、2号と戦ったのは、ショッカーの思惑とは関係なく、ショッカーを倒し最強の存在となった2人を倒し勝利の栄冠を掴むためだった。しかし1号と2号を倒した後に勝利に拘るだけの自分の考えに疑問を持つようになった」
というところかと思われます。

・しかしこう考えても、なぜ黒井がショッカーの命令に従い続けたのかがわかりません。
1号2号を倒した後悔から「最強であり続けよう」としていたのなら、1号2号がいなくなっていい気になっているショッカーを野放しにしておくのは変だと思います。ショッカーだろうがライダーだろうが誰かれ構わず強いやつに勝負をしかける狂犬になるほうが自然でしょう。

・現行作品であるドライブの主人公の進ノ介を脇役にしてまで黒井を盛り立てておきながら、黒井の考えや変化が曖昧なことがもやもやします。
ラスボスであるはずの大首領を倒す上でも3号は直接的には関わっていませんし、終盤に向かうほど作品の焦点がぼやけていったように感じます。といって終盤に進ノ介が目立っていたわけでもありません。主役不在の物語になってしまったように感じます。黒井をメインで進めるなら最後まで貫き通してほしかったです。

■マシだけどオススメできない
・全体の評価としてはこんな感じです。
いつものオールライダーに比べれば、中盤まではだいぶマシです。でもラスト30分はいつもどおりのグダグダです。オールライダーの中から一本選べと言われたら3号を選ぶでしょうが、他の劇場版ライダーと並べて考えた場合にはとてもオススメできません。何とも微妙な印象です。せめて剛の死に方がなければ「オールライダーのノルマ地獄の中で足掻いた努力作」という評価のしようもあったと思います。


コメント

9 件のコメント :

  1. オールライダー物としてはストーリーは面白い方でしたね。正義のライダーVSショッカーライダーは多勢に無勢もあって、ライダーバトルの中では割合ヒロイックな絵になってました。ただし数だけ揃えたいつものラストバトルは言うに及ばず。

    黒井が1号と2号を倒した理由は米村氏のインタビューによると、尺の都合でカットされたそうです。黒井は妻子をショッカーに殺され、ショッカーから「妻子を殺したのは1号と2号」と吹きこまれていたそうです。デストロンに騙されていたライダーマンと同じパターンであり、この点を補完すれば彼の贖罪意識や、ショッカーが洗脳ではなく嘘で黒井を支配していたことが見えてきます。これを含めて黒井は良キャラだと思ってるんですが、知らずに疑うしか選択肢がない人には不親切ですよね。

    剛は続編の4号でその生還が描かれますが、そこまでの道のりはだいぶ厳しいものです。タイマンさせてもらってますが、加賀美と同じレベルの扱いを受けてます。それほど話の中心になるというわけでもないので、剛の死に特別な意味を求めるなら、あまり期待しないのが吉でしょう。

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    1. >オールライダー物としてはストーリーは面白い方でしたね。

      オールライダーの水準でいえばかなりマシでしたよね。あくまで”オールライダーでは”なのが難点ですが。

      >黒井は妻子をショッカーに殺され、ショッカーから「妻子を殺したのは1号と2号」と吹きこまれていたそうです。

      見た後にそんな話を見かけましたが、それでも個人的には1号2号を殺したあとの黒井の考え方が不思議です。贖罪意識が強いならショッカーに反旗を翻しそうに思えますし、自分の間違いを正当化しようとしてきたなら強さにこだわることにつながらないように思えます。ショッカー亡き後でも1号2号を殺した理由としては充分ですが、その後の黒井とどうつながるのかがよくわかりません。

      >剛の死に特別な意味を求めるなら、あまり期待しないのが吉でしょう。

      そんなものでしょうね。ライダーの単発企画に期待するほうが間違いだと思っています。あの理不尽な展開を正当化するほどのものはありえないだろうと思っています。

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  2. 自分もこの作品は近年ではトップレベルに近いぐらいストーリーも描写も出来ていると思うのですが、
    確かにおすすめできるかとなると少し悩みます。

    個人的にはBlackの扱いが良かったことがこの映画での一番の見どころだと思っています。
    商業的にもライドロンを知らない世代にライドロンを知ってもらう良い機会になりましたし、ずっと見続けている人からすればディケイドの客演時よりも渋さが更に増したその姿に惚れ惚れしたことだろうと思います。

    ニンニンジャーはいらなかったというのもとても共感できます。
    下手に戦隊を出演させるくらいならいつものテンプレのオールライダーキックでもかました方が画になりますからね。

    総じて自分の評価は中の中の下くらいですかね。
    少し惜しいな、と思いました。
    まぁ、販促的なことだろうと考えてすぐに妥協しましたが。


    あと、仮面ライダー4号についてですが
    あの作品は近年の仮面ライダー作品はの中で自分が一番のおすすめしたいものの一つです。
    剛の死について疑問が拭いきれないのであればみないことにするのかもしれませんが、
    仮面ライダー555に思い入れがある人ならば、ぜひ一度は見ていただきたい作品です。

    正直、スポンサーがつかず販促も求められないだけでここまでのクオリティのものが出来上がるのかと驚きました。
    なぜ、『 電王』ではなく『 ゼロノス』なのか、
    その答えも電王の設定を振り返ってみると自ずと分かってきます。

    どこかからのまわし者なんてものではないのですが、
    是非ご視聴なさってみてください。

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    1. オールライダーとしては良いほうなんですよね。
      BlackとRXは良かったです。昭和vs平成など最近のオールライダーで特定のライダーが優遇されることは珍しくありませんが、たいてい出ないほうがマシだったと思える内容でした。その点、3号では原作の流れを踏襲して話に組み込んであってまともに面白かったです。

      ニンニンジャーは出てくるまでこれが”スーパーヒーロー大戦”だったことを忘れていました。出さないでいいと思いますし、出すならもっとちゃんとやるべきだとも思いました。あの雑さでオールライダーなんだよなぁと痛切に感じ入りました。
      トドメはオールライダーキックのほうが百倍マシでしたね。どうせいつもどおりにするなら1号2号の復活&3号との共闘というシチュエーションがある分、ライダーキックのほうが関連性があってまだ盛り上がったと思います。

      4号はいつか見るかもしれませんが、特に見たいというわけでもないです。
      555に関して言うと昭和vs平成での扱いが酷かったので東映を信用できません。私の考える乾巧とギャップを感じています。

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  3. 4号での乾巧について、ネタバレをしない程度にお伝えしたいと思いますが、
    まず一言いえるのは昭和vs平成の乾巧とは全く違う運命を辿った乾巧である、ということです。
    人によってはTV最終話のあとに、昭和vs平成の乾巧と、4号の乾巧という2つのルートに運命が分岐したと感じられるかも知れません。

    私はTV後の乾巧はこの2つのルートでいうと
    断然4号の運命の方が正しいと感じました。
    そう感じさせてくれるだけの説得力やメッセージ性がこの作品には詰まっています。

    他にもドライブらしい(?)謎解き要素や、小さなところに配置された後に続く伏線など、見ていて飽きない仕様もあるので、お暇があれば是非どうぞ。

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  4. 以前別の記事のコメント欄で(たしか鎧武の記事でしたっけ)、「私はシリーズ構成の米村さんの方が好き」と仰ってましたが、それは単純にシリーズ構成のときはいい仕事をするという意味なのか、それともサブで参加したときと違い他所に被害を及ぼさないだけマシという意味なのか、どちらなのでしょうか。正直私はカブト後半でのあの体たらくを見て以降、この人にシリーズ構成は絶対に任せてはいかんと常々思っているのですが…スマプリは例外ですが、あれは前年の震災の影響で例年よりも脚本の発注がかなり遅れたため、米村氏が好き勝手やる余裕が無かったためではないかと個人的には思っています。

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    1. このトッキュウジャーと鎧武のコラボ回のことですね。
      http://owl0079.blogspot.jp/2014/03/vs.html

      >それでもポエムなど他の脚本家と足並みが合わない独自路線は苦手ですが。
      私はむしろシリーズ構成の米村さんのほうが好きです。(カブト、スマプリなど)
      シリーズ構成としても仕事しないので物語全体は期待できませんが、各話は見どころがあります。
      統一しないことで結果的に各脚本家やスタッフがのびのびとやれてポテンシャルを引き出せてる感じがします。

      後者の被害を出さないだけマシという意味です。
      といっても、どちらにしても根本的な評価は対して変わりません。米村さんが疫病神であることは同じです。SHTに取り憑いたまま祓えないならば、せめて被害が少なくなる道が好ましいというだけです。

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  5. マルゲリータ2023年12月21日 20:19

    YouTubeで配信されているので見て見ましたが、確かに序盤から終盤までの流れは良かったと思います。洗脳が解けるライダーとそうでない人の違いや、謎のシグナルバイク、相変わらず噛ませ犬で雑な扱いの昭和ライダー達といった粗はありましたが、続きが気になりましたし、バトルも面白かったです。
    霧子とベルトさんはいつも通りでしたが、進ノ介と剛の描写は良かったですし。

    ですが、いい奴なのか悪い奴なのかフワフワしていた三号の、よく分からない推測での片付け方、マッハの最後、もっさりのんびりしたラスボス戦、締めるところや大事なところが酷すぎました。それでもスーパーヒーロー対戦よりも、いいのでは?と思ってしまえるのが不思議。いや、ヒーローを殺したままにしなかっただけ、終盤はマシだな。

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    1. マルゲリータさん、こんにちは。

      前半はライダー映画ではまともなほうなんですけどね。後半はいつものムービー大戦だし、マハの扱いは酷すぎて意味不明なくらいで頭を抱えました。いろんな意味で「なんでこうなった?」と思う作品でした。

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