映画『鎧武&ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦』 :感想

2014年7月22日
映画『鎧武&ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦』 を見ました。
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(2014/05/09)
白石隼也、奥仲麻琴 他

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【総合感想】
ウィザード好きにはおすすめ
・鎧武好きは止めておいたほうがいい。
・どちらも特に好きではないライダー好きにはおすすめしない。


【ウィザード編】
■最終回後の晴人
・物語は本編最終回の後日談から始まり、晴人のコヨミに対する境を描くことがテーマになっています。脚本は香村さん。
他のメンバーも全員出てきますがほとんどおまけです。仁藤でさえ「キマイラを捕まえてベルトに戻した」という重要事項が台詞でさらっと流されているほどです。
コヨミを思う晴人の気持ちと晴人を思っていたコヨミの気持ちが苦悩も含めて描かれていて、本編での描写があっさりしていたのが物足りなく感じていた人にはもってこいです。

・きれいに終わった一方、個人的には気になる点もありました。
「晴人はあの後どうするんだろう?」という点です。
本編終了時点ではコヨミの指輪を葬る場所を探しながら自分の道を見つけていくのだろうと思っていたのですが、今回の劇場版で指輪の埋葬だけが終わってしまいました。
しかし晴人のこの先は何も描かれていません。
人々を守るためにファントムと戦うのか、それとも違った形で魔法使いとして人助けをしていくのか、あるいは魔法を捨てて普通の人として生きるのか。
その辺りが全く描かれなかったのが心残りです。

■30分の限界
・3分に一回程度戦闘を入れながらも、しっかりとウィザードの真の52話を描いていて驚きました。
しかし、しょせんは30分なのでいろいろ無理もあります。
敵ボスのファントム・オーガは超強い上にグレムリンなどいろいろなファントムを食べて吸収していたり、どこにこんなやつが隠れていたんだと思いましたし、最後の奇跡のエンゲージは完全に理解不能です。
仁藤のキマイラの件や瞬平の指輪細工など本編から派生した部分も大きく省略されて結果のみが提示される形です。
細かいところは必要悪として割り切ったほうがいいでしょう。

■ここが良かった

・個人的には、これだけ省略した中でも最後にオーガに勝てた理由だけははっきりさせていたことに好感を抱きました。
自分のアンダーワールド内で戦い、「俺の希望が溢れているこの世界で負けるはずがない!」というのは説得力があります。
ここは雰囲気で流しちゃいけない箇所ですよね。
その直前のコヨミとの思い出を巡りながらの戦いが効いています。

■アクション
・監督は田崎監督。
カメラの切り替え頻度も少なく、スローモーションも決め手になる一撃くらいで、とても安心してアクションを楽しめます。
青空をバックにしたカットやウィザードのメタリックな部分の日光の反射など、視覚的にヒロイックな絵作りが印象的です。
Movie大戦パートに比べて手間暇かかっている感じがしました。

・一番のお気に入りはアンダーワールド内での戦闘。
本編で初めてコヨミと出会ったときや買い物をしたときなど、思い出深いシーンを背景にオーガと戦うウィザード。
晴人がなぜ戦えるのか、何を原動力としているのかがインパクトのある映像表現で伝わってきます。
背景としての晴人とウィザードと同じ画面に二人同時にいるのもファンタジーな感じがして良かったです。
他では見られない表現なので、これだけでも見る価値があると思います。


【Movie大戦編】
■not鎧武編
・「ウィザードの次は鎧武編」と思っていたのですが、見てみたら鎧武編はありませんでした。
Movie大戦編に吸収されてしまっていました。これが鎧武好きにはおすすめしない理由です。
鎧武編と言えるのは冒頭のダンスシーンとビートライダーズで円陣を組んでの変身までで、それ以降は紘汰も戒斗も完全な狂言回しで出ている意味がありません。
鎧武からの登場人物の誰もが物分かりがよいイエスマンと質問係。
きれいを通り越して恐いくらいです。

■安心のMovie大戦クオリティ

・完成度の高かったウィザード編とは打って変わって、ストーリーもアクションもグダグダの極みです。
ストーリーは「戦国時代」「武神ライダー」などオリジナル要素が強く、そのため新要素登場→キャラの会話で説明→次の要素登場→説明、と延々「何これ?」と思う話が続いて全然楽しめません。
アクションも終盤は3分に1回新要素が出てくるせわしなさで、しかも敵がずっとラスボスの武神鎧武とお供の中ボスが相手。
そのせいでライダーがんばる→敵もがんばる→ライダーがんばる→敵もがんばる、の繰り返しでせっかくの劇場版オリジナル要素が登場しても全然盛り上がれません。
鎧武とウィザードも含めて6人で囲んでおいて一撃でやられるとか、かっこ悪すぎです。

■もっとがんばろう
・悪い意味で詰め込みすぎだと思いました。
羅列するだけでもこれだけの要素が詰まっています。
・鎧武のモチーフだから戦国時代(実質無関係)。
・各武将を登場させる(当然説明とキャラ立てが必要=紘汰たちの空気化)。
・他のライダーも登場させる(W~ウィザードの5人だけだが、一人3分のアクションでも15分=全体の25%もとる)。
・イチゴ、キウイ、マンゴーなど鎧武玩具も販促。更にスイカやダンデライナーも出す。(紘汰たちに出番がないので盛り上がらない)。
・W、フォーゼなどレジェンドライダーのロックシードも出す。
・後で限定販売するので、ラスボスの武神鎧武も活躍させる。

どうやっても1時間じゃ無理です。プロデューサー&監督には断る勇気を持ってほしいです。
しかも二つの要素をまとめて片付ける工夫もせず、敵も用意せず、淡々と片付けてしまいました。
今回の劇場版限定変身の『インフィニティードラゴンゴールド』なんて、変身→火を吐きながら近づく→即やられる、という冗談みたいな扱いでした。
隣にいる鎧武はよりにもよってダンデライナーに乗って得意満面というのが更に拍車をかけています。せめてスイカにしてくださいよ…

■ストーリーはもっと酷い
・とどめはストーリーです。Movie大戦なので元から期待してないのですが、予想以上でした。
まさか劇中の問題を何も解決しないまま終わるとは思っても見ませんでした。
作中では戦国時代の名の通り、争いが絶えない情勢です。
紘汰たちは「自分が全国制覇することで争いのない世界を作る」というイエヤスに就いたのですが、ラスボスの武神鎧武を倒しても全国制覇にはなりません。
武神ライダーが倒されただけで、領主も兵隊もまだまだ残っています。
ラスボスを倒したら水が吹き出したので水不足が解消されて万事解決!みたいな雰囲気でしたが、問題は解決していません。
しかも代理で戦っていた武神ライダーがいない今、あの世界では人間同士が血で血を洗う殺し合いをすることになるでしょう。
こんな中、笑顔で帰っていく紘汰たちを描くのはおかしいと思います。なんで普通にハッピーエンドにしなかったのでしょうか。
そこまで丸投げするのは予想外でした。

・Movie大戦がぐちゃぐちゃなのはいつものことですが、アクションやコラボでさえここまで酷いのは初めてです。
個人的にはこの映画を見るにしても、ウィザード編までで止めておくほうが満足度が高いのではないかとさえ思ってしまいます。

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