『王様戦隊キングオージャー』 第25話「王と民の戦い」:感想

2023年8月20日
■意外性ゼロのメンバー集め
・「全部乗せロボを動かすにはパイロットがあと14人必要だ!」と言っても、ネームドがほぼ全部選ばれているから何も意外性がありませんでした。といってメイド長やシュゴッダムの技術者みたいなほぼ知らないモブだけが選ばれてもモブでしかないから反応しようがありません。
こういうのはたとえばラクレスのような元敵など意外なメンバーや信用できない面子がいたり、「邪悪な王として嫌われてるギラに誰が協力してくれるんだ?(パイロット集めを通じて、民はちゃんとギラの真意を理解してくれていたことが判明する)」みたいなシチュエーションで初めて面白みが出るネタだと思います。最初からアテがありまくる状況ではむしろ作業的で退屈です。
そもそも地球ごと吹き飛ぶことがわかってる状況だから「危険だけどいいのか?」なんて話は成立しません。数話前に「死にたくなかったら協力しろ!」という話をやった後では尚更成立しません。民どころかスタッフの考えまでころころ変わりすぎです。

■確認する意味あるの?
・カグラギの話は全然意味がわかりませんでした。
「裏切りが得意なカグラギを信用して命を賭けてくれるやつなんているのか?」というシチュエーション自体は王道だと思うんですけど、相手がクロダと妹なんですよね。これまで尽くしてきた側近と長い間敵地でスパイしてくれた妹なんて確認するまでもないと思います。
この状況ならむしろ「よくこれまで国のために尽くしてくれた。申し訳ないがもうひと頑張り頼む」と断られるとは微塵も思ってない絆の強さを描くべき状況に見えました。

■お前が言うか?!
・ヤンマたちに対するギラの説教は何言ってるんだこいつとむしろ反感を覚えました。
「勝率50%とか情けないこと言ってないで士気を上げることを考えろ!」ってギラが言えることじゃないと思います。作戦を立てたのはヤンマだし、ギラはパイロット一人さえ自分で選べてません。「俺を信じて命を預けてくれるか?」とあの中で一人だけ自分の口から言えてないやつがどの口で言っているのやら。
せめて先にブーンを犠牲にすることを選んでからにしろって思いました。あれじゃ「他の全員揃って勝てそうだからブーンも連れてくか」と後出しで選んだようにすら見えかねません。ダサ過ぎです。

■そういう話じゃないような?
・今回はやたらに「覚悟」という言葉が強調されていましたけど、覚悟があればどうにかなる状況には見えませんでした。
覚悟が全てを解決するという理屈が正しいなら序盤のギラの体たらくは何なんですか? 邪悪の王となって王と討つと決めた時点で全て解決してないとおかしいでしょう。重要なのは実行力やプランの内容のはずです。実際、メンタル激弱脳みそお花畑のデズナラクの自暴自棄な行動が世界規模の脅威になっている状況なのですから行動の有効性は語るまでも無いでしょう。

・ジェラミーのプランが言っていたようなバグナラクの王になって和平を結ぶだけならがっかりです。それじゃ「全てを統べる」じゃなくてバグナラクを統べるだけです。
そんなこと2千年前にやっておけば良かったじゃないですか。変身アイテムがないから実力が足らないって言うならそれこそ口で勝負すれば良かったでしょう。バグナラクと地球の和平につながるような物語を作り上げ、2千年かけて平和を築くほうが「語り部」にふさわしい偉業でしょう。
次回以降に「というのは嘘で、王様全員殺して俺が全てを統べる王になる!俺が決めたのはその覚悟だ!(『Fake!』の音声と共に突如姿を表し王様たちを潰そうとするタランチュラナイト)」と騙し討ちするくらいはやってほしいものです。

■ゴッドキングオージャー
・外見は相変わらず変化が少ないですね。
エクストリームキングオージャーの手足を伸ばして、顔と胸にパーツを被せた程度で大して変わったように見えません。ここまでのロボの強化フォームがどれも同じ形式だったので余計に刺激が少ないように感じます。
外見的な変化の大きいタランチュラナイトやキングコーカサスカブトのほうがよほどかっこよく見えました。

・必殺技の演出は凝っていたんですけどバトルがしょぼすぎて盛り上がれませんでした。
地底バトルは抵抗もなく引っこ抜いて終わり。地上ではダイゴーグより弱いデズナラクが勝てるわけがなく一方的にボコボコにされて終わり。
元々デズナラクを倒すだけならエクストリームでも余裕じゃないかという印象だったのでゴッドキングオージャーでないと不可能な理由がある地底で時間制限付きで戦って倒したほうが面白くできたと思います。

・地底戦の目玉は合体時の名乗りだったのかなという印象を受けましたが、キングオージャーには特に名乗りとかの印象が無くて唐突な印象を受けました。
そもそも基本的に言葉が通じないキャラばっかりですよね。ジェラミーで散々「行間を読めない馬鹿ばっかりだから戦争が終わらないんだろうが!」とか言っておいて今更言葉の意義を説かれても反応に困ります。
こういう展開をやるなら「誰でも知ってるキングオージャーの伝承を暗唱して初めての戦いに不安な民たちを奮い立たせ合体を成功に導く(ジェラミーの創った伝承も無駄ではなかった)」みたいな展開のほうが自然だと思います。王様戦隊結成でもうやっちゃったし、伝承もむしろ元凶としてコケにした後だから実際には無理ですけどね。


次回は寄ってたかってボコボコにされて瀕死のデズナラクとジェラミーがバグナラク王の座をかけて決闘するようです!
…前回デズナラクが元気なうちに終わらせておいたほうがまだ良かったんじゃないかと思います。弱った相手を倒しても倒したほうの印象が悪くなりかねません。ジェラミー初変身時にデズナラクは1回倒してますし…
こんな結果が見えてる消化試合と同じく結果が見えてる和平会議だけで次回が終わるんじゃ今から退屈です。
「ジェラミーが王になったとバグナラクの民に見せつけるためには瀕死だろうがデズナラクをその手で殺す必要がある。王になるにはそういう非情なことだって必要になる」みたいな意味合いをもたせられるんでしょうかね?




コメント

4 件のコメント :

  1. >地底戦の目玉は合体時の名乗りだったのかなという印象を受けましたが、キングオージャーには特に名乗りとかの印象が無くて唐突な印象を受けました。

    初めて聞く名乗り向上だったので個人的に「今まで他人の伝承を基に動いていたキングオージャーが『これからは俺達が歴史を作っていくんだ!』」という話でもするのかと思ってましたが特に何もありませんでした。

    次回は「まだ」生きていたデズナラクとの決着ですか、予告でもタイトルでもオチが判り切ってるのでとっとと次の話をして欲しいものです、「結局ジェラミーはデズナラクを生かした」とかやっても今回の覚悟が台無しでしょうし。

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    1. >初めて聞く名乗り向上だったので個人的に「今まで他人の伝承を基に動いていたキングオージャーが『これからは俺達が歴史を作っていくんだ!』」という話でもするのかと思ってましたが特に何もありませんでした。

      そんな話だったらまだわかるんですけどねぇ。
      実際にはいつ打ち合わせしたのかと思うほどスラスラと一連の文章を分担して読んでいて内容も行動も違和感だらけでした。

      >「結局ジェラミーはデズナラクを生かした」とかやっても今回の覚悟が台無しでしょうし。

      覚悟だの言ったからにはそんなぬるいオチは止めてほしいですね。

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  2. こんにちは。もう少しで3クールに入りそうな(入った?)キングオージャーてすが、主要キャラの成長が一向に見られません。初期設定をなぞってるだけでひたすらに退屈な時間が続いています。
    個人的に、ドラマの脚本家はそういった表面上には現れない要素の描写にも期待してるので…

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      王様であることを強調しているくらいですし、ギラ以外は元から完成されているつもりなのでしょうね。ギラは見当違いな内容が多くて全然意味がわかりません。今回もなぜか何もしてないのに説教する側にまわっていました。

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