『仮面ライダーゴースト』 第6話「運命!再起のメロディ!」:感想

2015年11月15日

■毛利さん
・今回の脚本は最近戦隊とライダーのゲスト登板としてお馴染みになってきた毛利さんでした。
いつもながらの安定感ある作風でした。とても常識的で見やすい内容でした。アカリと御成、仙人とユルセンを並べてキャラクター性の違いを示して「どっちか片方いれば良くない?」という疑問を解消しようと試みたり、偉人由来の品の出処、依頼形式の活用などこれまで放置されてきた雑多な問題を解決しようとしているように見えました。自分の作風を出すことよりもその作品でできることを重視しているようです。毛利さんのそういうところは信頼してます。

・シリーズ構成の福田さんのゴーストと大きく異なったのがタケルやアカリのキャラです。
アカリはヒロインらしいヒロインになっていました。タケルが既に死んでいるという設定を掘り下げることにも貢献し、だいぶ存在感がありました。
幼なじみなんだから普通に考えて動かしますよね。特に珍しいことはしていないのにゴーストでは目新しい要素に感じられてしまいます。

・タケルの性格はキャラが違いすぎて、判断がつかないところがありました。
復活までのスケジュールを立ててみるかと思えば、スペクターに負けたらアイコンを捨てて一目散に逃げて自分から台無しにしたり、タケルの頭の中がどうなっているのかよくわかりませんでした。
自信喪失のせいで一時的にこうなっているのか、毛利さんの解釈だとタケルはこういう煮え切らない性格なのか、全部が全部自信を失っているせいとも思えないところがあって判断がつけられません。どこからが毛利さんのオリジナル解釈なのでしょう?

・タケルの浄化と命燃やすぜ関連は相変わらずあやふやに見えました。
この辺りはこれまでの積み重ねがないからどうにもなりませんね。相変わらず何を考えて相手を抱きしめてるのかわかりません。
命燃やすぜに関しては「死んでいるのも死んだように生きているのも変わらない。命がなくなると怯えるよりも、命を燃やしてでも今何ができるかを追い求めよう」といった趣旨のようでしたが、いまいちピンと来ないです。生前のタケルが無気力だったならまだわかるのですが、生前も死後も特に変化は見受けられません。説教モードになると別人のように見えます。

・なぜ今回を福田さんが担当しなかったのか不思議でなりません。
明らかに前回の敗北の影響が色濃く残っている内容で実質前後編でした。挫折と立ち直りといえば主人公の掘り下げとして定番どころです。しかもゴーストでは初めての大きなイベントだったはずです。そんな重要な話をなぜ福田さんがやらなかったのか、理解に苦しみます。明らかにおかしいのでやっぱり私が何か重要な文脈を見逃しているのでしょうか…

・お話は良かったのですが戦闘と販促はかなり酷かったです。
ムサシになる意味が全然わかりません。どう見てもベートーベンで戦い続けるほうが有利だったと思います。ムサシになるならなるでどうやってムサシで音符攻撃に対抗するのかと疑問に思っていたら、結末は「突然音符攻撃を止めて殴りかかってきた」という最悪のパターンでした。いい加減このパターンは禁止してほしいです。せめてベートーベンの攻撃で音符発生装置が壊れたとか最低限の理由はつけてほしいものです。

■マコト
・タケルよりも話が進んでいて驚いています。
妹?が出てきたので生き返らせたいのかと思っていたら、アイコンはアランにあっさり渡してしまったり謎が多いキャラクターです。それでいて何かあるらしいと明らかになったと思ったら、次回でもう何があったかの説明に入るみたいです。スペクター以外にあと5人くらいライダーが出るのかと思うほどの超ハイペースです。なんでこんなに急ぐのでしょう?
タケルの性格も掴めないうちにマコトのほうが説明されていく流れが非常に不可解です。販促の都合でマコトの話をしないといけないと初めから決めていたなら、タケルはもっとわかりやすいキャラにするか謎めいたキャラにするほうが便利だと思うのですが。ライバルポジションの2号ライダーが出てきても話の全体像が掴めません。

■ベートーベンフォーム
・見るからにもう出なさそうな感じでした。
アクションしづらい、エフェクト付けるのが面倒くさい、敵と絡ませづらい、長所短所がはっきりしない、と使いづらい要素が盛りだくさんです。これを上手く使えたら大したものです。


次回は早くもマコトの過去が明らかになるようです。
それが終わったら次は何をするつもりなのかさっぱり浮かびません。いろいろな意味で展開が気になります。


コメント

10 件のコメント :

  1. 毛利さんなので特に不安はありませんでしたが、よくまとまっていたと思います。ゲストの主張とタケルの悩みをリンクさせたり、アカリの幼馴染みという設定を活かしたり、手堅い作風でした。どんな作品でもキャラや雰囲気を合わせて脚本を書ける能力はすごいと思います。
    ベートーベンは使いにくそうですね。強いて特長をあげるなら単体で広範囲に連続攻撃できそうな点でしょうか。鎧武のイチゴアームズのように雑魚一掃に使えそうです。
    次回予告を見て思ったのが、「遠距離タイプ多すぎない?」ということでした。エジソン、ロビンフッド、ベートーベンに、次回のフォームは「銃の名手」とのことです。一応、エジソン:電撃・閃き、ロビンフッド:分身、ベートーベン:音、次回:早撃(?)という区別だと思いますが、あまりに被りすぎている気がします。逆に言えば、今後使い分けを上手くできるなら評価はぐんと上がるかもしれません。

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    1. 毛利さんはいろいろなところで見かけますが、どの作品でもそつなくこなしているのはすごいですよね。たいてい得意不得意があったり、何でも自分の色にしてしまったり良くないところがあるものですが、毛利さんはそういう感じがありません。

      ベートーベンはあと一回出れたら良いほうかな、と思っています。
      本質的にはフォームというよりシフトカーのような能力が使える交換デバイスでしょうから、あんなものかなと思っています。

      遠距離タイプ多いですね。アクションで差別化しやすい近接タイプが多いならわかるのですが。
      次は二丁拳銃みたいですね。形が違うだけ差別化は図りやすいはずですが、ロビンフッドの例があるので安心できません。使い分けは実現できたら良いんですけどね。現状だと期待をかける気にはなれません。

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  2. 僕の勝手な思い込みかもしれませんが、平成一期の頃のサブライター回ではキャラ崩壊や設定無視が平然とまかり通っていた気がするので(響鬼後半がその最たる例)毛利さんの仕事ぶりは一視聴者としてとても安心できるのですが、サブライターがメインライターの尻拭いばかりさせられるようになってもそれはそれで問題ですので、その辺のバランスを今後上手く保って欲しいです。

    後、怪人との決着を翌週に持ち越さなくなった点は素直に評価したいなと思います。今作では同じ素体のスーツに武器や装飾を付け替えたりして予算を抑える工夫をしているようですが、同じことをなぜフォーゼやウィザードでもやらなかったのか不思議です。これをやるだけでもストーリー展開にずっと幅を持たせられたと思うんですが。

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    1. 米村や井上さんがやってた頃はよくあることでしたね…(遠い目)
      毛利さんや香村さんのようなサブライターに恵まれることは幸運だと思います。けっこう好き勝手やってる長谷川圭一さんやゴーバスターズの頃の下山さんみたいに微妙な人もまだまだいますから。全体の質が向上して、サブから次のシリーズ構成にもつながっていくと理想的だと思います。

      1話完結は怪人に関しては確実に良いですね。
      ただ鎧武やゴーストのように、その分話の展開が急になったり、怪人の種類を出さないといけないため怪人のデザインが簡略化される傾向があり、難点も少なくないと思います。
      現実的な落とし所を早く見つけてほしいと願っています。

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  3. なんだか変な感じがしながら今回の話を見ていたのですが、見ている最中にはその違和感の正体が分からずじまいでした。人の感想を見たりしてようやく分かったのですが、タケルの周りのキャラクターがちゃんと動いていたことと、それにもかかわらずタケルがいつも以上にフワフワしていたことを自分の中でうまく消化できずにいたのでした。
    タケルのことがどんどん分からなくなってきているような気がします。スケジュール表で計画を立てていたり(不安と焦りの象徴だったのかもしれませんが)「前回の割に意外と前向き?」と思いきや眼魂を置いて逃げるという信じられないこともやっていました。ドライブの進ノ介は「俺は警察官だ」という最低限のアイデンティティがありましたが、タケルにはそれすらもないのでさっぱり分かりません。今回「命を燃やす」「自分を信じる」ということを再確認していたようでしたが、個人的には最初からよく分かっていないので困惑してしまいました。そのうえマコト関連の話が進んでいきそうなので、進ノ介とチェイス以上に悲惨なことになるのではないか本当に心配です。

    アクションは残念でしたね。アカリとの繋がりを描きたかったのかもしれませんが、せっかくの音符眼魔を斬り殺すとは思いませんでした。前回で力使い過ぎたんですかね?

    それにしても1話1怪人完結はどうなんでしょうか。個人的には何話か明らかに1話じゃ尺が足りない話があったと思います。もう少しうまい時間の使い方を模索してほしいです。

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    1. タケルのことが一番わからないですね。
      今回は挫折と立ち直りだったので成長か変化が描かれていたはずなのですが、そもそものタケルのスタート地点が理解できていないので何がどう変わったのかわかりませんでした。「命燃やすぜ」や「俺は自分を信じる」という言葉の背景が未だに見えません。

      >アカリとの繋がりを描きたかったのかもしれませんが、せっかくの音符眼魔を斬り殺すとは思いませんでした。

      ムサシは何だったのでしょうね。ムサシの販促がノルマなら、スペクター戦なり他で使うほうが無難だったと思うのですが。敵が武器を持って襲いかかってるなど演出面でのフォローもありませんでした。
      アカリと絡めて使うなら、「敵の音波攻撃の余波でアカリの天井の壁が崩れ、ムサシを使って助ける」などベートーベンを立てつつムサシを使う手立てもあったと思います。ノルマがおかしいのか、ノルマの処理する部分がおかしいのか、まったくもって奇妙でした。

      >個人的には何話か明らかに1話じゃ尺が足りない話があったと思います。もう少しうまい時間の使い方を模索してほしいです。

      私も話のスケールが放送時間と合っていないと思っています。
      ノルマに時間を取られてストーリーを進める時間が少ないのは仕方がないと思いますが、それにしても毎回話の展開が変なように感じます。始めから時間を計算して収まるように書いているのだろうかと疑問に思えるほどです。そこが上手くできないと、たとえ2話完結にしても「前編はスカスカ、後編は駆け足」などまた別の問題が起こりそうに思えます。

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  4. 毎回熱のあるレビュー楽しみに読まさせていただいております。

    今日のニチアサもなんでこんなピンとこないんだろう?
    その問いを明らかにしてもらってる気がします。

    ここで野暮な提案ですが、現在テレビ東京系で放送中のウルトラマンXを見てみるのはいかがでしょうか?

    話の展開やドラマ、特撮など見どころがとても多く
    毎回の密度がとても濃い作品です。

    こちらをみると最近のニチアサのモヤモヤが取れるのではないかと思います。是非是非

    失礼いたしました。

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    1. お褒めいただきありがとうございます。

      >現在テレビ東京系で放送中のウルトラマンXを見てみるのはいかがでしょうか?

      ウルトラマンXは早送りでチェックするに留めています。
      理由はストーリーもアクションも私の好みではないからです。好みに合う合わないの問題なので今のところXについて書くつもりはありません。

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  5. マルゲリータ2021年11月16日 18:49

    >ムサシになる意味が全然わかりません。

    ムサシはタケルの憧れの人物ということは分かっているのですが、憧れだけでフォームチェンジに使われても困りますよね。第二話でムサシは電気攻撃に弱いと分かっているのに、なぜスペクター・エジソン相手に選んだのか理解に苦しみました。その後の展開に関しては言わずもがな。

    これも前話でスペクターの言っていた「価値も分からず、能力も使いこなせていない。」という発言の通りなのでしょうかね。私には、そもそも使い方が分かっていないように見えます。

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    1. >これも前話でスペクターの言っていた「価値も分からず、能力も使いこなせていない。」という発言の通りなのでしょうかね。

      そういう可能性もあると思いますが、個人的にはそうだったとしてもやる意義が理解できません。
      「主人公は指摘されたとおりの馬鹿で、今もまた馬鹿なことをしています」って新キャラを持ち上げるためにしてはデメリットが大きすぎると思います。やるならせめてその後にそのフォームを使った思わぬ行動で一矢報いてフォローする必要があると思います。
      フォームやバトル関連についてはゴーストはかなり壊滅的だと思います。

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