『蒼穹のファフナーEXODUS』 第19話「生者の誓い」:感想

2015年11月7日

■真矢
・冒頭の会話はひやひやしました。真矢はだいぶ精神的に危なそうだし一騎は相変わらず問題の本質を理解できていない様子でまたダメかと思いました。一騎が「(人殺しも含めて)俺が全部やるから」と言い出したときには殴ろうかと思いましたね。そうさせないために真矢が抱え込んでしまっているんでしょうに、全くこういうときに朴念仁は困ります。

・でも「帰ろう、いっしょに」と言ったのはナイスでした。
おかげで真矢がいつもの調子に少し戻れました。あそこで「遠見は帰ったほうがいい」なんて言ってたらまた地雷を踏むところでした。いつもの調子に戻った途端に冷静な洞察力が戻って、髪を切ったことに気づくところがとても真矢らしく見えました。

・展開の流れから考えると真矢の心境は、弓子とエメリーのシーンやビリーとジョナサンのシーンと対になっていると思われます。本当なら泣きたいくらいだけどもすがる相手もなく、周りから離れたところにあるコックピットに1人でいたわけです。一騎のフォローがなければ暉のように深刻な状況に陥っていたことでしょう。一騎が元気づけていなかったら、暉に対して笑いかけることもできなかったでしょうね。今回は珍しく一騎が人間関係で良い働きをしてくれました。

■暉
・暉は相変わらず良いとこなしでした。告白した直後に核地雷を踏み抜くとかどうしようもありません。
普段なら元から脈がないしまぁ仕方ないと思うところなのですが、精神状態が危ういので真矢から遠ざかるのは危険です。今最も現実的な意味で死にやすい状況にいるのは暉だと思います。

・広登とのクロッシングは幻聴なのか死者とのクロッシングなのか判断がつきませんでした。ひょっとしたら死者との境界を無くす、悪い意味でのゴルディアス結晶の活用なのかもしれません。

■咲良と剣司
・2人が結婚しました。時の流れを感じますね。
結婚に合わせて剣司がパイロットに復帰しました。
ジークフリードシステムは機体格納型でした。無いとダメなんですね。
結婚、指揮官機、無人機コントロール機が2機に増加し代わりが効くように、と死亡フラグがてんこ盛りになりました。道生さんが守ってくれることを祈ります。

・「生きよう、2人で」という台詞では、カノンのことを思い出してしまいました…
本当はカノンも一騎とこうなりたかったのだろうと想像したら悲しくなりました。しばらく2人のいちゃつきを見る度に凹みそうです。2人の結婚は論理的には喜ばしいことだと思うのに感情面では喜べません。

・タイトルの「生者の誓い」は2人の結婚を主に意味しているのだと思います。
”生者”とわざわざつけるのは、2人の会話であったように、2人とも生きようとする意思に焦点を当てているからなのだと思います。「自分は死んでも相手を守る」ではダメなのでしょう。つまり間接的な一騎や真矢への嫌味ですね。派遣部隊の人選はこれが基準だったようです。

・派遣部隊側はかなり困窮している様子でした。
優遇されているはずのパイロット用の食事すら乾パンと水になっていました。となると、この先物資の使いみちで「誰を生かして誰を見捨てるか」という話も出てくるでしょう。その辺りで一騎たちも自分たちの課題と向き合うことになるのかもしれませんね。

■エインヘリアルモデルの完成
・完成までの流れがかなり急でした。あの流れは雑だと思いました。良くないです。
特にウォーカーが何もしてこなかったことを不自然に思いました。パイロットの心理まで計算に入れるウォーカーなら、作戦が効いて封じ込めに成功したら更なる手を打ってきて当然だと思います。

・エインヘリアルモデル無しで彗にコアの引き寄せを行わせるのもおかしいと思いました。
竜宮島の大人たちは子供たちに無謀な作戦を強いることはしないはずです。まだ彗の独断のほうが自然だったように思います。

・ただ、あっさり完成したものの、一ヶ月近くの時間経過があったことは紛れも無い事実のはずです。その間にミールも弱っていく一方で大人たちの後遺症は悪化してしまったはずです。ひょっとしたら織姫の寿命も減ってしまったかもしれません。織姫が弱れば、織姫が抑えている芹の症状も悪化してしまうでしょう。この代償は次回以降で明らかになるのでしょうね。

■彗
・あそこまで同化されてしまうと助かっても今後戦うのは難しそうに見えました。しかし今回の展開の意味合いを考えると、逆に希望があるかもしれないとも思いました。

・彗の同化はおそらく「コア転送→ダイレクトアタック」というアザゼル型に汎用的に使える作戦を今後使えないようにするための処置です。それとたぶん、オルガさんのように他のパイロットがやられそうなときに転送して助けることを防止する目的も含まれているでしょう。
そう考えると、転送能力が自由に使えなくなるだけで充分目的は果たせます。パイロットとして乗れるレベルで助かる可能性はありそうです。

・ただし日常生活は厳しそうです。
今回も体重の増加で辛そうでした。症状の悪化は同化現象対策の副作用として起きるものなので助かっても症状の大幅な悪化は免れないでしょう。よりにもよって里奈がフリーになってチャンスのときに日常生活が困難になるとは可哀想です。治療の進歩やゴルディアス結晶のパワーで緩和されると良いのですが。

■甲洋の帰還
・救助シーンは1期と劇場版の再現でした。これがタイトルの「生者の誓い」のもう1つの意味ですね。さすが安心と実績の甲洋です。
しかしこれで派遣部隊を助けられる切り札が1つ減ってしまいました… ワームスフィア弾を使ってましたし、ニヒトみたいにワープもできないものでしょうか。 

・しかもよくよく考えてみれば、甲洋が助けたのはアマテラスこと、”マークゼクス”改だったんですね。翔子の機体と同じモデルです。他の人の感想を見て初めて気付きました。
そう考えると、最後の「助けたぞ、一騎…」は甲洋が同化されたときのことを意味しているだけでなく、翔子が死んだ直後に一騎を責めたことも含んでいたんですね。

・EDにも登場しました。EDの黒い機体は甲洋のフィアーで間違いない様子です。
1つわからなかったことは「今まで甲洋がどこにいたのか」という点です。劇場版の時点では機体は壊れたものの甲洋のコアは残っていたはずです。今までも島がピンチなときは何度もありました。しかし甲洋は現れませんでした。少し奇妙です。
コアがウルドの泉から発生したということは、劇場版の後はフェストゥムの世界に行っていたのでしょうかね?

■エグゾダス計画
・エグゾダス計画や織姫の一言など島を捨てるような前ふりが散見されました。
普通に考えると島を捨てたらミールやゴルディアス結晶も捨てることになるから自殺行為なように思えます。なぜそんな現実味のない話を今するのか、見るからに引っかかるポイントでした。
戦いがある限り島は捨てられない。となると、EXODUSの間にミールもファフナーも必要なくなるときが訪れるということでしょうか? にわかには信じがたいことでした。

■4人目は織姫?
・エグゾダス計画、EDの人気のない街を歩く一騎たち、適格者の見当たらないドライツェン。こうなると4人目が織姫という線もあり得るかもしれないと、ふと思いました。
エグゾダス計画で島民を避難させて、島全体をバトルフィールドにして決戦を行うとしたら、人気のない街も人選の理由も説明がつきます。織姫はやけにカノンとの接触が多かったです。これはカノンの機体を使うことへの違和感を無くすための段取りだったと考えられます。
「島が犠牲になったらお終いじゃない?」とか「織姫に戦わせるくらいなら誰か残るでしょ…」などつっこみどころも多々ありますが、カノンが生き返ったり、他の誰かがドライツェンに乗るよりかは信憑性があるように思えました。


次回のタイトルは「戦士の帰還」。
楽観的に考えると甲洋、あと彗のことを指しているように思えます。ここで満を持してのクーラボックス召喚は止めてほしいです。

コメント

8 件のコメント :

  1. 今回の話を見てカノンが変える前の未来ではエインヘリアルの開発もできず、島を放棄してしまったのだと思います。ウォーカーは人が苦しむ姿を見て楽しんでいたので、島の人が逃げ出すと思い笑いながら見ていたのではないでしょうか?

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  2. そういう考え方もできると思います。
    しかし私はその可能性は薄いように感じます。1日2日程度なら様子を見るかもしれませんが、約一ヶ月島がずっと引きこもり続けて何の動きもなく反撃も作戦の1つもやってこなかったら、途中で不審に思うほうが自然だと思います。私はウォーカーがそこまで馬鹿だとは思いません。

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  3. OPで機体がない芹が織姫の言うように病状が緩和されるなら島を離れるのか
    Owlさんの言うように織姫がパイロットになるならば
    劇場版のように島のワルキューレの岩戸に再び入るのかちょっと読めませんね。
    私としては芹が自ら島から離れるって選択肢は思い浮かびませんが。

    甲洋は次回以降の剣司や咲良との会話に期待ですがカノンが来る事を剣司に告げた以上
    甲洋は復活する前にゴルディアス結晶の中でカノンと会話していたのかもしれませんね。
    もしカノンの未来予知だけならばあの帽子の3つ目の飴のメッセージは楽園に住んでた甲洋へのものかもと。

    EXODUS第一話のプロローグの総士の台詞がどういう意味として映像に出るのか
    カノンが未来を変えた以上、竜宮島がかつての居場所にならない終わりになればいいですが
    もしくは希望の地が島が必要なくなるほど人々に恩恵を齎す存在となるのか
    まだまだ回収する複線や存在が多いですね。

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    1. 芹の立ち位置は気になりますね。
      芹の性格から考えると一番最後まで島に残りたがるはずです。しかしだからこそ島を離れて別の道を見つけることに意義があるようにも思えます。
      これまで島の平和は誰かに分け与えられるものでした。一方、広登が目指したことは島の平和とは異なる広登だけの道でした。広登の流れから考えると、再び島での平和な日々に戻ることよりも新たな希望に歩み始めることが推奨されていると考えられます。パイロットの中でこの先の生き方が最も固まっているのは芹だと思います。その芹が島を離れて別の道を見つけるならば、ドラマとしては面白いと思います。
      とはいえ肝心の「芹はどうして離れることに同意するのか」という点は見当もつきませんけどね。

      帽子に隠したメッセージが甲洋宛という説は聞いたときになるほどと思いました。
      一騎宛だとするとなぜ帽子なのかという疑問点が解消されないままでしたが、甲洋なら符号します。整合性が高く、一騎宛と考えるより可能性が高いと思いました。

      ただ、1つわからないのは「カノンから甲洋へのメッセージって何だろう?」ということです。
      「みんなを守ってくれ」とか「母さんを頼む」だと、甲洋にとっては当たり前のことでわざわざ書き残す価値がないように思います。未来関連のことでは織姫もだいぶ未来を知っているようですし、剣司のようにクロッシングで伝える手もありそうに思えます。翔子関連はカノンが言うことではないでしょう。 カノンと甲洋は接点があまりありませんし、甲洋だけに伝えることは何かと考えたときに私には答えが浮かびません。いったいどんな内容なのか気になります。

      だいぶ物語が収束してきているけれども、まだまだ先が見えないのでドキドキワクワクできますね。
      超展開による圧縮が必要な流れもだいたい終わったと思いますし、この先が楽しみです。

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  4. だいぶ盛り上がってきましたね。島の方はフィアーの増援があるので安心です。

    派遣組があいかわらず絶望しかありませんけど、西尾弟はまだ人間味が有りそうに見えました。かえって、真矢の方が危うく感じます。



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    1. 島のほうは戦力が揃ったので比較的安心ですね。日常生活のほうの影響は不安材料がありますが。

      暉は人としては正常な反応だと思いますが、正常な人が生き残れる環境ではないと思います。
      その点では異常な精神状態の真矢のほうが安心かなと私は思います。一騎のおかげで越えてはいけないラインは越えずに済みましたし、一騎たちに何かない限りしばらくは大丈夫じゃないかなと思っています。

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    2. そうなると、派遣組の懸念状況は戦力や物資の補給、ビリーやジョナサンですね。

      彼らには、アイ共々 生き残ってほしいです。

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    3. 現状としては外敵や環境のもたらす危険性のほうが大きいと思います。
      内部の問題で一番大きなものは、キャンプ内の負の感情の高まりによって美羽やエメリーが倒れることだと思います。2人の能力を使ってフェストゥムを遠ざけたり内通者や工作員を探しています。島で言えばヴェルシールドのような存在のはずです。2人の能力が使えなくなると一気に防御が手薄になってしまうでしょう。

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