『蒼穹のファフナーEXODUS』 第20話「戦士の帰還」:感想
■美三香
・最前線に立つシールド使いの宿命でしょうか…
誰が死んでもおかしくない状況でしたが、美三香がやってくれなかったら遥かに多くの犠牲が出ていたでしょう。島の平和はいつも誰かの犠牲に成り立っています。
・タイトルの「戦士の帰還」は甲洋だけでなく、美三香の帰還時の姿のことも指しているのでしょうね。
生きているのか生きていないのかも判断がつきません。砕けて何も残らないよりも辛い状況です。あれも「命は守るが命以外は保証しない」という島の加護の結果なのでしょうか…
あの状態からでも芹の再生や剣司の治療で身体を取り戻せるといいのですが望みは薄いでしょうね。生きているならあの状態でもファフナーに乗ることでクロッシングによる会話ができるかもしれません。零央ならそれでも受け入れてくれるでしょうが、普通の女の子の美三香にはそれもかえって酷でしょう。
■剣司
・剣司の能力は同化現象の治療と機体の再生でした。
治療といっても実際には肩代わりだと思われます。常識的に考えると肩代わりする剣司の同化現象が大変なことになるでしょう。これで症状の進んでいる咲良との進行速度の違いを埋めるのでしょうかね。
最終的には咲良の同化を全部肩代わりして、とっくに限界を迎えている咲良といっしょに生きることになりそうです。この場合、剣司を道連れにすることに咲良はどう思うのかが気になります。咲良が剣司の足を引っ張るようなことを良しとするとは思えません。どういった結末を迎えるのでしょうか?
■甲洋
・甲洋の能力は毒だそうです。
ニヒトがロードランナーに使った再生妨害因子のようなものみたいですね。
存在を否定するフェストゥムを否定するためにフェストゥムを消滅させる毒を使うとは何とも因果な能力に思えます。ワームスフィア砲や毒ブレードがかっこよく見えることも業のうちでしょうか。
・カノンの残した最後のメッセージは座標でした。
パッと考えて思い浮かぶのは派遣組との合流ポイント、もしくは操たちの居場所です。「N48,E135」で軽く検索してみたところハバロフスクの近く、ロシアの内陸のようです。海は近くにあるけれど気軽に合流できるポイントではなさそうですが、日本列島が消滅しているファフナー世界ではロシアも地形が変わっている可能性もあるので何とも言えません。
わざわざメッセージに残さなくても普通に司令たちに伝えておけば良かった気もしますが、甲洋宛にしたということは甲洋がいる時期でないと行っても意味がないということなのでしょうね。
■芹
・「もっと同化したいの」とおっかないことを言っていました。
芹みたいな美人さんにそんなこと言われるとゾクゾクするのですが、正しい意味でもゾクゾクしました。良い意味で考えれば、自分の現状を正しく理解し肯定的に行動している、と言えるのですが、アルヴィスサイズのリバイアサン型すら同化してしまうことが良いことだとは思えません。昆虫やフェストゥムにさえ命を感じていた芹が自分の欲求を満たすために他者を蹂躙している、ともとれる内容でどう受け止めるべきなのか戸惑っています。
■ゴルディアス結晶
・剣司たちが見た死者たちの物言いは「我々は○○によって~を学んだ」と完全にフェストゥムの話し方でした。個々の意識も無いようでした。基本的には「情報集積体・ミール」という名前のとおりみたいですね。
・気になった点は「我々はお前たちによって”新たな共鳴”を学んだ」と言っていた点です。
新たな、ということは過去にもあったということを示唆しています。ゴルディアス結晶と島のミールが同一の存在なのか異なる別の存在なのかと考えてきましたが、この台詞は大きな判断材料になりそうです。
「新たな共鳴」がSDPだと解釈すると、その前に学んだ共鳴にあたるものが見当たらないのでゴルディアス結晶と島のミールは同一の存在だと考えられます。
SDPはパイロット固有の能力なので共鳴と呼んでも違和感はありません。新たな共鳴がSDPではなく死者のことやクロッシングのことを指していると仮定するなら、ゴルディアス結晶と島のミールは異なる存在という可能性も充分残ります。
どちらも有り得そうで判断がつきません。
■戦闘
・戦闘がメインでしたが流れがぶつ切れでちょっと微妙でした。
主な原因はウォーカーvsフィアー、美三香、零央、里奈&彗と中心になる人数が多いこと。そしてSDPの限界とリスクがわからないので今の状況がどのくらいのピンチなのか認識しづらいことだったように感じました。
特にSDPは素直に理解することが難しかったです。同じように能力を酷使したように見える芹や彗がOKで美三香は限界というのは直感的に納得がいくものではないように感じました。
美三香に関しては描写が足りていなかったことが原因かなと思います。描写はありませんでしたが状況から考えると美三香は島の上空全てを覆うくらいにシールドを広げていたはずです。限界を迎えたのもそれが大きな要因でしょう。そこが映像で伝わらなかったことが流れについていけなかった原因ではないかと考えています。シュリーナガルでザインが同化された人々を救うために街中に結晶を張り巡らしたように、ツクヨミが広域にシールドを展開する様子が描かれていたら受ける印象が違っていたのではないかと思います。
・個人的な理由としては私の「見る心構えができていなかった」という点が大きいと思います。
前回のエインヘリアルモデル完成→戦闘開始、コア引き寄せ、までの流れがトントン拍子だったのでウォーカーとの戦いは今回の冒頭5分~10分くらいで終わりかと思っていて、こんなに激戦になるとは考えていませんでした。そのせいで美三香の死も「こんなところで死んでしまうのか」とあっさりした印象になってしまいました。「第三次蒼穹作戦」と名づけていたくらいですし、もっと重く受け止めるべきでした。
・アクションとしてはトルーパーが一番楽しめました。
走れる、飛べる、壊れてもOK、と良いことづくめです。咲良の消耗具合からすると本当はもっと多くのトルーパーが活躍していたのでしょうね。アクション面だけで言えば、そちらのほうが見てみたかったです。
パイロットのほうは能力が増えてごちゃごちゃしてきたので、トルーパーの存在はそこを補うための役割もあるのかなと思いました。
■ナレイン将軍
・将軍の立てた作戦はえげつないものでした。
衛星だと人がいるかなど細かい点は把握できないことを逆手にとった偽の陣地、そして時限式のフェストゥム呼び寄せと同時に退路の封鎖。対人戦のノウハウがたっぷり盛り込まれていました。フェストゥムへの危機感を煽って人間同士の戦いを避けようとすることは正しいと思うのですが、今回の作戦はやり過ぎで余計に恨まれるのでは…と不安も覚えました。
・あれで共食いアザゼルまでやってきたことは意外でした。
衛星フェストゥムと組んでるから「人類軍? どうでもいいよ」と来ないかと思っていました。意外と馬鹿みたいです。買い被りすぎただったのかもしれません。
しかし遠回しな作戦という可能性もまだあります。部隊に甚大な被害を与えてこの事態を仕組んだナレイン将軍への恨みを募らせるのが目的か、あるいは内通者に今は人類軍の追手を緩めたいという思惑があってそのために人類軍を襲うのかもしれません。共食いアザゼルはお馬鹿なのか、賢いのかどっちなのでしょう?
次回のタイトルは「目覚めの時」。普通に考えると操たちのことでしょう。
総士のポエムの「旅の終わりを迎えようとしていた」という辺りから考えると、ダスティンや暉の話にも決着がつくのかもしれません。
「目覚め」という単語には少し引っかかるところもあります。ジョナサンやエメリーなどこれまで微妙に怪しげな面子が動き出すという意味もあるのかもしれません。残り多くて6話と結末が近づいてきただけに気になります。
もうルガーランス系列の武器は説明書通りの使い方をされない運命なのでしょうか……フィアーがかなり強かったですね。ザインより強い気がします。
返信削除芹ちゃんのアレはいろんな意味でゾクゾク来ましたね。
ダスティンたちは自業自得です。
>ルガーランス系列の武器
削除フィアーの使ったガンドレイクのことでしょうか?
遠近両用で演出しやすいことと、元が使いづらい武器だから、というのもあるのでしょうね。
最近は防御力が高い敵が多いので、甲洋はなおさら強いように見えますね。
劇場版の描写を見る限りだと、甲洋は再生などはできないようなので防御は苦手なのかもしれません。