『蒼穹のファフナーEXODUS』 第17話「永訣の火」:感想

2015年10月24日

■カノンの選択
・タイトルで覚悟していましたがカノンがいなくなりました…
永訣の火とは翔子の自爆と重なる花火のことであり、カノンの恋の炎のことだったんですね…
ウォーカーに2人でトドメを刺すシーンを見ていて、まるでケーキ入刀みたいだと不謹慎な想像をしましたがあながち間違っていなかったようです。心の底で望む形がそんな形だったことがカノンらしいなと思います。

・カノンに思い入れがある身としては、今までのファフナーで今回が一番過酷に感じました。
命を使い掴んだ未来で、薬で生きられる可能性を捨て、胸に秘めた思いと未来にあり得た可能性すら自分から捨てることを要求するなんて酷すぎます。命や希望以外に思いや可能性まで奪うなんて思いもよりませんでした。この辺りはさすが冲方さんだと心のどこかで感心してしまいました。

・飴がカノンの思いを象徴していたようでグッと来ました。
ずっとないしょで溜めてきたものを1人で急いで消化している姿からカノンの決意が伝わってきました。今回の内容だけで1本映画を作れる内容だったと思います。

・包み紙に残したメッセージが切ないです。
容子さんには「ありがとう」で、一騎には「さようなら」でした。しかし本当に一騎に言いたかったことはさようならではなかったはずです。その直前にはショコラにもありがとうと言っていました。命の恩人である一騎にもありがとうで良かったはずです。
胸に秘めた本当の思いも、感謝の気持ちすらも未来のために断ち切らなければいけなかった最期のカノンの胸中を考えると辛くなります。一方的に奪われたり押し付けられることも辛いことですが、自分で選ぶこともまた辛いものですね…

■説得力の重要性
・今回だけでかなり状況が好転しました。島の未来、パイロットの同化現象対策、彗の家族仲、ウォーカーの手口などなど大小様々な問題が解決しました。普通にやるとかなりのご都合主義です。しかしそう感じさせないのは説得力のおかげだと思います。
一連の流れは全てカノンの未来での戦いのおかげでした。カノンの明確な犠牲と強い覚悟を見てきたからご都合主義ではなく当然の結果として受け止められます。
未来の光景を混ぜての展開の圧縮、そして説得力となるその代償。実に鮮やかなお手並みでした。さすが冲方先生です。…でもカノン好きとしてはちょっと恨みます。

■エインヘリアルモデル
・カノンが最後に残した機体、これが前回映った機体の正体なのかもしれません。
エインヘリアルと言えば北欧神話に登場する「死後も戦う勇者たち」のことですが、ゴルディアス結晶と関係していそうです。乗り手が死者だからエインヘリアルなのか、それともゴルディアス結晶を動力源にするからなのか。何を意味しているのか気になります。

・あるいはトルーパーモデルも関係あるのかもしれません。
パイロットに絞ってもたくさんいるので死者の身体とするには機体数が問題になります。今余っているのはカノンの機体と剣司の機体だけです。その点、トルーパーなら機体数は問題ありません。咲良の能力で機体を量産する手はありますが、これはちょっと考えたくありませんね。

■ゴルディアス結晶
・ゴルディアス結晶自体がかなり大きな存在になったことも気になります。
人間もフェストゥムも受け止め、事象の地平線を具現化する存在になりました。総士の演説から考えると、結末に大きく関係してきそうです。

・里奈の夢から判断すると、ゴルディアス結晶でパイロット同士がつながっているのも間違いないようです。
千鶴先生が言っていた脳内のダークフロアと呼ばれる部分がフェストゥムの地平線とのつながりのようですね。そこが人とフェストゥムの架け橋になるのかもしれません。

・また、あれだけの存在だとエネルギー量も大きそうです。
コアを吸収したがってるエメリーとミールに取られたら大変なことになりそうです。ゴルディアス結晶は竜宮島のコアと違って、将来的には重要そうだけど今はなくてもどうにかなる存在というちょうど良いポジションなので不穏な感じがします。

■気になる2人
・灯籠流しのときに、咲良の母親の澄美さんと保さんが並んで立っていました。しかも咲良が怪訝な顔をしてそっちを見ているようでした。いつの間にやらそんな関係になっていたんですね。
咲良も視聴者もそう思っているけど勘違いという可能性もなくはないです。男女の関係といってもいろいろありますから。


次回のタイトルは「罪を重ねて」でした。
題名からすると人類軍の愚行を見せられるか、真矢がまた人を殺さなければいけない展開になりそうです。明るい兆しの見えた竜宮島に対し、派遣組はまだまだ希望の見えない過酷な日々が続きそうです。


コメント

8 件のコメント :

  1. 約1年振りのニ度めのコメントになる昇熱です。
    お久しぶりです。変わらずニチアサのレビューやこちらの感想を拝読しています。
    最近(というほどでもなくなりましたが)で一番うんうんと頷いたレビューは
    プリパラのあじみ登場の際の警察ではなく救急車を呼ばなければってツイートでした(笑)

    >明るい兆しの見えた竜宮島に対し、

    それは視聴者の立場なのが大きい一言かと…
    派遣組は総士や溝口さんと色々と察している面々がいるでしょうけど
    まだ広登の死の衝撃は表面化していないのに対して
    竜宮島は派遣組が出発してから初の喪失者(戦死者というのが正しいのかもしれませんが敢えて)です。

    島には強い大人たちがいますが、娘二人に先立たれた容子さんの悲しみは言うまでもなく
    共闘してきたパイロット達への精神的なダメージがどう響くのかと思わずにはいられません。
    かつてのザイン並みの活躍と称され前半最終回ではパイロット達への奮起も促した
    リーダー格でもあるカノンの喪失は織姫がいくら希望を残したと伝えたとしても辛さが先立ってしまう気がして。
    後輩組よりも蒼穹作戦を共に乗り越えた剣司や咲良の反応も想像するだけで心苦しいです。

    前回で操と思しき映像はありましたがいつになったら甲洋の方は再び島を守りにきてくれるのか…

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    1. どうも、お久しぶりです。ツイッターも見ていただけて嬉しいです。
      あじみはキャラの持つ味がすごかったからですね。誰がどうみてもイカれてるキャラでした。あれを放送枠移動後の一発目に持ってくるプリパラはマジですごいなと震えました。

      >それは視聴者の立場なのが大きい一言かと…
      そうですね。私もそう思います。時系列が同じとも限らないですしね。今回のラストと同じ時系列にたどり着く頃には事態が好転しているかもしれませんし、余力のできた竜宮島が救援に来ることで派遣側の事態が改善する可能性もあります。

      カノンは怯える後輩たちを勇気づけた当人ですからね。ショックはあるでしょうね。
      しかし未来のために命を使うことを身を持って示したカノンの勇気は仲間にも正しく伝わると信じています。容子さんは相当ショックだと思いますが、カノンの残した機体データがあるので娘の死を無駄にしないために気丈にがんばるだろうと思っています。

      甲洋はどういうタイミングでしょうね?
      来るとは思うのですが、どんなタイミングなのか予想がつきません。
      甲洋は戦力的には微妙なんですよね。ベテランファフナー1機増える程度でザインやニヒトほどの影響力はありません。戦力が充実している現状だと、ただ来ても大した活躍が期待できません。
      現状だと、
      1)人類軍がフュンフを元に作った新型ファフナーを奪って登場(敵と思いきや味方というニヒトの意趣返し)
      2)人類軍相手に無慈悲に戦う汚れ役
      3)無難に操といっしょに登場
      4)戦いではなく、フェストゥムの世界での水先案内人を務める
      くらいしか思いつきません。

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  2. 甲洋に関しての4つの提案の中では1と2が合わせたものが望ましいですが
    今回のゴルディアス結晶の話もあり4の意見の可能性があるかと思います。

    1期で甲洋は乙姫にスレイブ型覚醒へと導かれましたし
    2期では島に関する事を覚えている織姫が甲洋を呼んでくれるのではないのかなと。
    織姫はOwlさんが危惧しているエメリーとも接触はしているので
    島の危機に直結すると予測できるものには先に対策を打つのではないのかと考えています。
    フェストゥムの世界と島の融和を繋げる意味でも甲洋がうってつけの存在ですからね。

    カノンが島にいることを決めたのが1期の17話。いなくなるのを決めたのは2期の17話。
    甲洋も意識が回復したのが1期の20話だったように3週間後の2期の20話に期待したいところです。

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    1. 立ち位置を活かすなら4でしょうね。4に関してはミョルニアも誰もいないので他に適した人物が見当たりませんから。

      1期と絡めるとするとタイミングを合わせてくる可能性は高いですね。
      ただし、やや遅いタイミングになるので時期から考えると衛生フェストゥムか、共食いアザゼルへの突破口を導き出す役目かもしれませんね。

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  3. ニコ動で視聴しました。

    久々の戦闘シーンで胸が躍るとは素直に言い難い状況でした。

    彼女の最期はあまりに儚く美しかったです。

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    1. 亡くなり方としては綺麗でしたね…
      カノンの心境を考えると全く喜べませんが。

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  4. 彗君のお守り関連は少し分かりにくかったです。

    お守り発見→お姉さんがどういう思いで戦っていたか?のコンボが決め手となったのでしょうか?

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    1. その辺りは不明だと思います。
      話の主軸が「カノンの行動がもたらした変化」に寄っているので、お父さんがお守りを見せたことや彗の反論の効果のほどが不明瞭になっています。

      台詞からすると、「両親は早苗が既に死んでいることを受け入れられていなかったけれど物的証拠を見たことで受け入れられた」みたいでした。両親のこの辺りの認識は特に描かれていなかったので、そういう認識だったのかとしか考えようがないと思います

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