3DSソフト『カタチ新発見! 立体ピクロス2 』レビュー&感想

2015年10月20日
3DSソフト『カタチ新発見! 立体ピクロス2 』のレビューと感想です。
筆者のピクロス歴は「クラブニンテンドーでもらった『クラブニンテンドーピクロス』→『ピクロスE6』→本作」で初心者に毛が生えた程度の経験です。
前々からDSで出た立体ピクロスに興味があったので本作を買ってみました。結論から言うと、思ったとおりの良い出来栄えで満足しています。革新的なものではありませんが、値段、品質共に上等なゲームでした。




カタチ新発見! 立体ピクロス2


【初心者でも安心】

・個人的には立体ピクロス2の最大の売りはここだと思います。難易度とやりごたえを調整できる機能がかなり充実しています。

■充実したチュートリアル
・まずは「チュートリアル」です。
チュートリアルがしっかりしているので本作がピクロス初体験でも全く問題ありません。
「1つ1つ説明→実際に指示どおりに操作→終わったら練習問題を自力で解く→また別の説明」という形になっているのでプレイしながら覚えることができます。聞きっぱなしだと飽きやすいので1つ1つ試せることがありがたいです。

・また初心者用のチュートリアル以外に、実用的な中級テクニック・上級テクニックのチュートリアルも別に用意されています。応用問題で悩み始めたときもサポートがあるので安心です。

■3段階の難易度設定
・続いて「3段階の難易度設定」です。
スウィート・マイルド・ビターの3段階の難易度が用意されています。最初から自由に難易度設定できるので、一度クリアしないと最高難易度が選べないなんてことはありません。

・最高難易度のビターはけっこう難しいです。平面ピクロスの経験者である私も手こずります。ビターだと6分以上かかった問題が、試しにマイルド(ノーマル相当)でやってみたら30秒で解けたこともありました。単純にイージー・ノーマル・ハードと言うよりも、ビターだけベリーハードくらいに考えたほうが適切だと思います。ちなみに私はずっとビターでやっています。

・マイルドとビターでは問題を解く流れが全く異なるので、低難易度でやってから高難易度に挑む場合、実質的に別問題として遊ぶことができます。
初心者から初めてステップアップしていきたいと思っている人は、本作一本でかなりやり込めると思います。

■部分的に頼ることができるナビ
・難易度を下げるほどではないけど、ときどき詰まることがある。そんな場合も大丈夫です。ナビを押せば、今塗るか壊すかできるラインを教えてくれます。
どうしてもわからないところだけ教えてもらうも良し、総当りで探せば見つかるけど疲れちゃうので楽するために使うも良し。難易度調整と違って、ナビは自分の望む範囲で使うことができます。

■仮置きは必要無し
・平面ピクロスの場合、高難易度の問題では仮置きは必須でした。
仮置きとは、右か左どちらか塗るのだけど数字からはどちらか絞り切れない場合に「仮に右だとしたらその先はどうなるか?」と仮定して考える方法のことです。もし右が間違いだった場合、仮置きして進めると必ずどこかで詰まります。そうやって正解を導き出していく方法です。
平面のピクロスではどの場所でどう仮置きするか見極めるのが早く解くための重要なテクニックでした。しかし本作では仮置きは必要ないように作られています。

・しっかりマーキングしてから全体を見渡せば、必ずどこかに確定できるポイントが用意されています。じゃあ簡単なのかというとそうでもありません。
最高難易度のビターでやっている場合、各数字をよく見て起こりえる配置の組み合わせを考えないと確定できないようになっています。ある箇所で数分間悩むことも少なくありません。仮置きは必要ないものの難易度自体はあまり変わっていないと思います。むしろどこが怪しいかをパッと見で絞れない分、難しくなっているかもしれません。

・総当りでいけば必ず解けるけれども、素早く正解を導き出すのは難しい。そんな具合で良いバランスになっています。


【ゲーム内容】

・どんなゲームかは、この公式のトレーラーを見るほうがわかりやすいと思います。 






■問題数=300問以上
・問題数は公式では300問以上と書かれています。
私が200問解いた時点で240問までアンロックされています(問題をクリアするほど先の問題がアンロックされていく仕組み)。これに加えてアミーボによるアンロックもあります。300問以上のうち、アミーボがどれだけ含まれているのはわかりませんが、充分なボリュームがあります。

*追記:300問解いた時点でアミーボ抜きでも、347問+未アンロックの項目が1つ(推定5~6問?)有りました。

■プレイ時間は30秒~20分超
・一問あたりのプレイ時間は様々です。
30秒以下で終わるものもあれば、じっくり考えさせられて20分以上かかる問題もあります。難易度設定やナビの有無により大きく変わるので自分の好きに調整できます。

・中断セーブもあるので長い問題を少しづつ解いていくこともできます。
通勤途中など合間合間に遊ぶのも苦になりません。

■セーブデータは3つ
・プレイ前は完全に個人用かと思っていましたが、セーブデータは3つも作れます。
家族で遊ぶこともできますし、「まずはノーマルでクリアして、別のセーブでビターに挑戦」ということもできます。地味にありがたい機能だと思います。

・中断セーブも各セーブデータごとに1つずつ作れます。
中断セーブは何度でもロード可能でクリア評価にも関わらないので、コンティニューとしても利用可能です。高評価のためにミス無しプレイを狙うときも小まめにセーブすれば安心です。


【改善点】

■難易度がバラバラ
・ピクロスEシリーズの場合、序盤は簡単で後半になるほど難しくなるのが普通でした。
本作の場合、難易度はわりとバラバラです。もちろん後半に行くほど平均的な難易度は上がっていくのですが、序盤でも難しい問題は難しい一方、後半でも30秒以下で終わる楽勝な問題が混ざっています。
実際、私が今まで解いた中で一番難しいと感じたのはNo21の問題でした。No順に解く必要は全くないので難しかったら飛ばせばいいのですが、この点にストレスを感じる人もいるでしょう。

■ギブアップ時の中断セーブの誤消去
・中断セーブをロードする際には「ギブアップ→問題選択画面からBボタンでバックしてロード画面に戻る」必要があります。
問題はギブアップするときに「中断セーブも消しますか?」と聞かれることです。デフォルトでは消すほうにカーソルが置いてあるため、ボタンを連打していてうっかり消してしまうことがしばしば起きます。そこは消さないほうをデフォにしてほしかったです。

・中断セーブは、次の中断セーブをするか問題をクリアすれば自動的に消えるので、あえて消すメリットは無いと思います。中断セーブのロード自体が推奨された仕様ではないといえ、手心を加えてほしかったです。

■一部の数字が見づらい
・基本的には問題ないのですが、一部の色がついた数字が見づらくミスを誘発することがありました。
そのラインを塗り終わるとヒントの数字が半透明になる仕様と合わさると一気に見づらくなります。
色を変えたりフォントを工夫したりすれば、もう少しどうにかできると思います。次回作での改善に期待します。


【個人的感想】

■ちゃんとピクロスしてる
・立体ピクロス2をやってみて一番驚いたことは、完成前にある程度形がわかることでした。
平面のピクロスの場合、正直言って完成しても何の絵なのかわからず、色がついてようやくわかることがほとんどでした。ぶっちゃけ「絵を削りだす」という楽しみを感じたことはありませんでした。
その点で立体ピクロスは大きく違いました。従来の四角いブロック(青色)以外に削り終わると形が変わるモーフィングブロック(黄色)があるので、文字通り「少しずつ形作る」ことが可能になっています。削りながら何の形なのか完成形を無理なく推測することができて楽しかったです。ピクロスとしては正しい進化だと思います。

・その傾向が特に顕著なのがビッグパズル(ミクロス)です。
ミクロスは「小さなピクロスをいくつも解いて、解いたピクロスが組み合わさると大きな一枚絵になる」というものでしたがプレイする上では退屈でした。顔に当たる部分など重要パーツを解くとすぐ全体像が見えてしまいますし、問題も単調なものばかりで作業的でした。
しかし立体ピクロス2のビッグパズルではパーツ単位になったことで大きく変わりました。どのパーツがどことくっつくのかわからず、具体的な完成形が完成するまでわからないのです。完成してみると、このパーツはここにくっつくものなのかと感心できます。
今作にもミクロスがあると聞いたときには水増しで嫌だなと思いましたが、それは杞憂でした。立体になることで一番変わったところはミクロスだと思います。

■平面と立体のゲーム性の違い
・立体ピクロスをやっていて、平面ピクロスとはゲーム性自体が異なるように感じるところがありました。仮置きの有無も理由の1つなのですが、目指している楽しみが根本的に異なるように思えます。

・平面ピクロスの場合は、先を読む思考力が重要でした。
どの位置に仮置きをすれば他の場所も確定していけるか、いくつもある候補の中から数字の流れをヒントにして考えることが早く解くために必要なことでした。

・立体の場合は1つ確定させたら、回転させて縦軸と横軸を切り替えて次に確定できる位置を素早く見つけることが早解きの鍵になります。
平民ピクロスが先の先まで読む思考力が試されるのに対して、立体ピクロスは1つ確定させたらそこから確定できる位置を探しだしどんどん確定させていく、そういった状況の変化に対する瞬発力が試されているように感じました。
平面の場合はじっくりと深く考えるほうが解きやすかったですが、立体では「AがダメならBを試す」とどんどん頭を切り替えて考えるほうが解きやすいように感じました。

・ピクロスのルール自体がシンプルなので楽しむには、どんどん難易度を上げていくか、早解きなど自主的な縛りプレイに向かうしかないかと思っていました。
少しルールの組み合わせを変えるだけでゲーム性もだいぶ変わると気づけたことは収穫でした。

■ピクロス好きにはオススメ
・ボリューム、難易度、操作性、オリジナリティ、いずれも高い水準の良いゲームだと思います。これで3000円ならピクロス好きは買って損はないと思います。

・ピクロスに興味のある初心者の方も買って後悔しない出来栄えだと思います。
自分に合うか心配な方はまず本作の体験版をやってみるか、500円で買える『ピクロスE6』で試してみることをオススメします。(*ピクロスE6は立体ピクロスではなく普通のピクロスです)

コメント

2 件のコメント :

  1. このソフトを買うか悩んでいたので、とても参考になりました!

    返信削除
    返信
    1. 参考になって何よりです。
      そう言っていただけることが励みになります。

      削除

 コメントは承認後に表示されます。
*過度に攻撃的な言葉や表現が含まれている場合、承認されない場合がございます。節度と良識を保った発言をお願いいたします。