3DSソフト『フューチャーカード バディファイト 友情の爆熱ファイト!』:クリア後レビュー&感想

2015年10月8日

フューチャーカード バディファイト 友情の爆熱ファイト!
フリュー (2015-04-16)
売り上げランキング: 2,062


【評価】
7/10

■まえがき
・TCG経験はギャザ、バトスピ、ヴァンガードなど一通りやっています。
バディファイトはこれが初めてです。


【ゲームシステム】

■収録内容
・2015年1月9日に発売したブースター、『煉獄ナイツ』までのブースターパック8種類+プロモカードとトライアルデッキが使えます。

■UIは上々

・基本的にはヴァンガードの3DS版と似た感じです。デッキ構築に必要なソート機能からゲーム進行まで必要な機能は過不足なく揃っています。ソートは「竜騎士」など種族以外に「迅雷騎士団」など名称での絞り込みも用意されていて便利でした。

・対戦中の動作も重くなく、ストレスを感じる要素はほとんどありません。
いつでも使える魔法カードを持っているとフェイズ移行や動作の度に「使いますか?」と確認されるのは少し面倒でした。でもこれはシステム上仕方がないので許容範囲です。Yボタンで押しっぱなしでもスキップできるので操作の手間も少なめになっています。
体験版が出ているので心配な方はそちらでお確かめください。

・唯一3DSのヴァンガードと比べて劣化していると思ったのはパックの厳選です。
ヴァンガードの場合、パックを買ってもセーブされないので欲しいものが入っていなかったらタイトルに戻って簡単にロードし直せて便利でした。バディファイトの場合、店から出るときにオートセーブされます。厳選するには3DS本体のホーム画面に戻ってソフトを再起動させないといけません。レアの入手頻度やお金の貯まり具合は早いので厳選の必要性はそれほどないのですが、今使えるカード以外は欲しくない序盤にはやや面倒に感じました。次回作ではヴァンガードみたいにしてくれるとありがたいです。

■シングルプレイ
・敵AIはまぁまぁ優秀です。AIが比較的シンプルで特定のカードがあると必ず攻撃したり、攻撃の順番が奇妙だったりハメられるポイントはありますが、基本的には定石どおりで無難なプレイングをします。練習相手としては充分でしょう。

・特筆すべきはデッキの強さです。
序盤からレアで固めたデッキがどんどん出てきます。2人目の対戦相手のテツヤ相手に3回負けました。デッキコンセプトごとにレアカードが容赦なく4積みされているので本気のデッキでも普通に負けることがあります。序盤はかなり緊張感のある戦いを味わえます。
(*難易度を自由に変えられるので詰まる心配はありません。)

■ストーリー
・ほぼありません。アニメの展開をなぞって「ABCカップ→戦国学園→死神」と続いていき、オリジナルキャラと決着をつけて終わりです。キョウヤやグレムリンは出る前に終わります。
オリジナルストーリーと呼べるほどの量もありませんし、原作キャラの意外な一面なんて話もありません。ストーリーには期待しないほうがいいでしょう。

・ストーリーは全てスキップ可能なのでバトル以外に興味がない人には都合が良いでしょう。

・他作品のゲストキャラはほぼいません。
アイチとバディファイトの宣伝キャラのアミーゴタカタだけです。台詞もほとんどなくただ戦って終わりなのでゲスト目当てでやるのはオススメできません。

■マルチプレイ
・動作は特に問題ありません。シングルプレイと同じ感覚でプレイできます。
対戦相手は今マッチングしている人の中からランダムで選ばれるようです。ローカル通信以外で戦いたいデッキの対戦相手を選ぶことはできません。

・発売から約5ヶ月経った2015年9月の時点でも人はちらほらいました。
平日の夜の8時頃で5分に1回はマッチングできる程度でした。まぁ、こんなものでしょう。
マッチングはランクに基いて「自分と同格」と「格上」、「全て」の3種類を選べるのですが全て以外は「対戦相手が見つかりませんでした」になってしまいました。



【TCGとしての印象

■早く終わる分、運ゲー要素が多め
・コンセプトが「小学校のお昼休みの間にできること」だそうですが、本当に早く終わることが多かったです。自分の2ターン目(合計3,4ターン目)で決着がつくことも珍しくありませんでした。ライフが10で、ノーガードでくらうと1ターンの間に平均6ダメージも受けるのでただモンスターで攻撃しているだけでも2ターンあれば余裕で倒せます。更に攻撃とは別にダメージを与えられる必殺技もあるので特化させれば1ターンキル狙いのデッキも作れます。
(*1ターンキルデッキは最初に必要なカードを引けるかどうかの勝負になるので勝率は高くありません)
多くのカードゲームの場合、短くても5ターンや8ターン以上はかかるのが普通です。この展開の早さがバディファイト最大の特徴だと思います。

・欠点もあります。それは最初に引ける6枚で勝敗が大きく分かれてしまうことです。
デッキ構成としてはモンスター&武器で26枚前後、魔法や必殺技で24枚前後にするのが定番です。比率とはおよそ半々なので運次第で最初の手札が全て魔法カードということも珍しくありません。こうなると一方的に攻撃され続けて何もできずに負けてしまいます。
また1ターンキルデッキで最高の手札を揃えられた場合などは手の施しようがありません。

・他のカードゲームの場合は倒すまでに必要なターン数が長いためドローのチャンスが多くあります。たとえ手札が全て魔法だろうと、死ぬまでにモンスターを引いて手持ちの魔法を活かすことができるようになっています。バディファイトの場合、そこまで耐えるとはまず不可能です。

・デッキによって勝率は変えられますが、1戦1戦は運に左右されるところが大きいです。
この点は好みが分かれる点だと思います。
個人的にも良くもあり悪くもあると思います。運良く圧勝できることもあれば、手札を見た瞬間投了したいと思うこともありました。デッキの強さが実感しづらいところは少し問題かなと思います。デッキによって変わるのは主に勝率で、「前より長く戦えるようになった」「前より早く倒せるようになった」など確かな手応えが得難いところがあります。強くなれるかより目先の勝ち負けにこだわる子供にはバディファイトの形式のほうが良いのかもしれませんね。

■コンボよりグッドスタッフのほうが安定
・上記のとおり、展開が早いためカードが揃わないと戦えないコンボデッキより単品で戦えるグッドスタッフのほうが有利です。どれを引いてもそれなりに戦えるデッキでないと勝率が下がります。

■チャージ&ドローはかなり良かった
・バディファイトではドローの後に「チャージ&ドロー」ができます。チャージ&ドローとは手札の1枚を任意でゲージ(魔法や強いモンスター召喚に必要なコストに使うもの)を溜めるのに充て、デッキから1枚引く行為です。
要らない手札を捨てつつ、新しいカードを引けるのでチャンスが広がります。このシステムのおかげで「1枚あると便利なんだけど2枚は要らない」なんてタイプのカードも2,3枚とデッキに入れられます。もし手札にダブったら1枚はチャージ&ドローしてしまえばいいので事故ることが減ります。

・その一方、手札を捨てるには変わらないため序盤には要らないからと必殺技を捨て続けた結果、後半必要になったときに引けないで困ることもあります。数ターン先のことも考えてチャージするカードを選ばなくてはいけません。この点はプレイヤースキルが試される点で面白かったです。

・ゲージはチャージ&ドローを除くと効果や魔法以外では増えないため、基本的に毎ターンやるべきです。しかしときにはしないほうが良いと思える場合もあります。手札のバランスが良く、ゲージも充分有り、あと少しで決着がつけられそうなときにはあえてチャージしないこともあります。この点も面白かったです。

■サイズ選択が面白い
・フィールドにはモンスターの数は3体まで、サイズ合計は3になるまで置くことができます。
ライフを減らすために必要な打撃力は基本的に2~3で、サイズ1でもサイズ3でも大差ありません。そのためサイズ1を3体のほうが打撃力は高いが手札の消費が激しく、サイズ3一体は手札のコスパは良いが速攻性に欠ける、サイズ1,サイズ2、武器の牙王フォーメーションは手札消費と攻撃力のバランスが良いが、センターががら空きで防御が薄くなる、というバランスになっています。

・このサイズ選択はなかなか面白かったです。
サイズ3中心にして一枚で2,3体の敵を倒しながら長期戦に持ち込み、手札のモンスター切れを狙うなどサイズ差を活かした戦法もできます。

・速攻を狙ってセンターを空けているとノーガードで殴ることになるので防御魔法がないとすぐ死にます。防御も基本的に小型単体除去か攻撃一発無効化しかないので敵の攻撃を全て防ぐことはできません。2発通るだけでもライフ4,4割分も減ってしまいます。攻撃しつつ防御できる「移動」持ちのモンスターがいないとセンターを空けての攻撃はハイリスクハイリターンで有利な状況でもひやひやしました。

・センターに置いておけば安心かというとそうとも限らないところがまた面白かったです。
「貫通」持ちを出されて守備を無意味にされたり、ライフは多く残っているもののモンスターの消耗が激しくて手札切れで数を並べられなくなったり、様々なシチュエーションが起こりました。あるデッキには有利に戦えても、別のデッキだと無力化されて逆にアドバンテージをつけられたり、明確な原因を提示されながらも一筋縄ではいかないところが面白かったです。
バディファイトのゲーム性の中ではサイズが一番面白かったかもしれません。

■アイテムは長所短所がはっきりしていている
・アイテムの存在は面白いと思いました。
モンスターと比べて打撃力と攻撃力のわりにコスパが良く、破壊されることもほとんどなく、安定した戦力として使えます。その代わりに防御は薄く、相手のライフもどんどん減らせるけど自分のライフも減って、先に自分が死んでしまうことも充分あり得ます。かといってライフが減ってきたらセンターにモンスターを置くなんてことをやっているとアイテムが持ち腐れになり、始めからモンスター主体のデッキにはアドバンテージを取られ続けてしまいます。

・ダブったアイテムに困ることもあります。装備できるのは1つまでで手札に何枚も来てもチャージするしかありません。デッキ内の枚数が多いとチャージ&ドローして引いたカードがまたアイテムということもしばしばあります。枚数が多いと腐りやすくなり、枚数が少ないと戦い方が安定しなくなり、痛し痒しです。何枚入れるべきか、どう戦うべきなのか、一度デッキを作った後に調整することが多いのはアイテムの枚数だと思います。

■1つのワールドでできることは限られている
・バディファイトは製作者が想定したコンボやシナジーが中心になっていて、工夫できるところが
少ないように感じました。
バディファイトにはいくつもワールド(クラン)があります。本3DS版では8つのワールドが使えます。更にワールドの中に「武装騎竜」「竜騎士」などの種族で分かれています。その他に「煉獄騎士団」「迅雷騎士団」「ジャックナイフ」など名称指定もあります。種族や名称指定を中心にして相性の良いカードを集めてデッキを組むことがデッキ作りの基本です。

・問題に感じたのはワールドの特色よりもレアカードが中心になっていることです。
たとえばマジックワールドは魔法が得意で、特にドローに優れています。しかしドローカード自体は他のワールドにもあります。モンスターのステータスなど他の点で劣り複数のカードを組み合わせないといけない分、むしろ他のワールドより手札が足らなくなることさえあります。
デッキ作りをするときにはワールドがどうというより、「このカードは強い。このカードが使えるのはxxワールドで、種族はxxだから~」と、あるカードを中心にして組むことがほとんどでした。そして中心になるカードはほとんどがレアカードです。
ワールドの数=戦法の多さ、ではなく、「使えるレアカードの多さ=戦法の多さ」のように感じました。そのためブースターパックの種類が少ないワールドはデッキ作りの選択肢が2,3通りしかありません。主人公が使うメインワールドであるドラゴンワールドはカードプールが広く様々なデッキが作れるものの、他のワールドはかなり寂しい印象を受けました。


【感想】

■バディファイトのお試しとしては文句なし
・UIは上々、敵はそれなりに強く対戦の練習としても充分。カードプールもブースター8種類分とたっぷりで、インターネット対戦も完備。TCGのお試し用・対戦ツールとしては申し分ないと思います。
ストレスに感じる要素もなく、こうしたらいいのにと思う要素もあまりありませんでした。ストーリーが薄いのはやむを得ないでしょう。そっちに力を入れるよりプレイ部分に力を入れてくれるほうが重要です。

■TCGとしての感想
・1ターンでライフが半分以下になりえるため、2ターン目でもう相手の手札次第では負け確定の危険性を感じることも珍しくありませんでした。緊張感のある戦いが起こりやすいことが特徴の1つだと思います。
その反面、「コンボ主体にして上手く引けなかったら数ターンはライフを消耗して耐えて後で貯めた手札で逆転する」という戦法は不可能です。この点で作れるデッキのボトルネックになり、最初の手札に大きく左右される運ゲー度が上がっている点は否めません。ここは一長一短だなと思います。

・デッキ作りは不自由なように感じました。
総じて見るからに強いカードが強くて、意外性があまりありませんでした。速攻性が高いためレアカードも4積みでないと引けず、勝率は大きく下がってしまいます。レアカードを一枚ずつ足して地道に強化する要素は薄く、完成か未完成かの2択のように思うことがありました。
レアカードに絞ることはわかりやすいことはわかりやすいと思います。ただ、あまり賛成はできない考え方でした。

・短い時間で終わるのでさくっと勝負できるのですが、その分何戦もできるかというと疑問です。
運や相性に左右される部分が大きいので、勝っても負けてもすっきりしないところがあります。立ち回りの重要性が低めなので「こうすれば勝てるかもしれない」と対策を講じる楽しみは少ないように感じました。TCGというよりトランプに近いゲーム性なのかもしれません。
導線がわかりやすいのでTCGの入門には良いと思います。しかしやり込むなら他のTCGのほうが良いかなと個人的には思いました。



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