『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』 第13話「家政婦激走!竜儀の流儀」:感想

2025年5月18日

■後回しにされるのも納得の出来栄え
前回の東映公式ページにこう書かれていました。
え? なんで「マナー対決」とかワケの分からないものが秘蔵ネタなんだって?

企画の初期も初期
まだ塚田Pや白倉Pなどのお偉方が企画会議に参加されていたころ
「で、どういう話のフォーマットをやりたいの?」
という疑問に対して

亜樹子さんとこちらで、最初に提案した「サンプルプロット」というものがありまして。
何を隠そう、それこそが「マナー対決」だったのです。

今思えば、なんで第一弾がそれだったのか……
謎が謎を呼びますが、どことなく亜樹子先生節を感じたのでしょう。

そのサンプルプロット。
緊張の面持ちで、上層部の皆様にお見せしました。
こんな題材で、怒られるかな……しまったかな……

それを見た白倉Pは一言、こう言いました。

「――これ、1話からやればいいじゃんw」

いや! 1話からマナー対決は攻めすぎてませんか!?
とにもかくにも、この変テコ対決が、上層部の皆様の心も掴めたようで安堵したのでした。

すみません白倉さん、13話になっちゃいました。

・最初は岸辺露伴でも見たありきたりな内容だけどいつもよりかは良いと思いました。
マナー違反をすると重い鎖がペナルティとして科されるからマナー勝負をしないといけない。必然性があってわかりやすいです。育ちの良い竜儀の個性も出せますし、キャラ的にも悪くありません。
最初の時点では「付き合う必要がわからないNo1バトルよりもこういう話を早めにやっておく方が良かったのでは?」と今回の内容を後回しにしたスタッフの判断を疑いました。

・でもダメなところは相変わらずダメダメなままでした。
怪人も戦隊側も俺ルールで勝負が勝負になっていません。「てめぇも土足だろうが!」という吠の指摘無視するのはおかしいと思います。そもそも侵略がマナー違反で防衛は正当なので攻撃することがマナー違反扱いされることも奇妙です。前もそうでしたが、だからといって「あえて敵有利なルールに乗った上で勝って完全勝利する」みたいなカタルシスや美学もないのでマイナスな味わいだけが目立っていてダメダメです。

・流れもグダグダでした。
次回用の顔見せ以外に出た意味がない指輪の戦士(レッドレーサー)。
余りまくって突然乱入してくるしかない敵味方。
乱入で話の腰が折れまくった後に始まるメインの怪人との対決。
これまでにも指摘してきたゴジュウジャーの構成がダメなところもそのままでした。

・これじゃあ後回しにするのも納得です。
ゴジュウジャーが一向に良くならなことも納得が行きます。初期プロットがこれで、半分ボツ扱いだったのに後から書いた話も悪いところは大差ないんじゃそりゃどうしようもありません。元々良くなくて改善もされてないんじゃダメに決まってます。

■ヘルパーさんは普通、赤ちゃん言葉を使わないのでは?
・赤ちゃん言葉を使われたら老人でなくとも怒ると思います。余りにも強引過ぎて普通に正気を疑いました。
あの…別に個人的に怒る理由を用意しなくても「侵略してきて破壊行動を行う悪党」というだけで倒すには充分なんですよ? スタッフは戦隊とかヒーローものを見たことがないんですかね?

「老人のヘルパーだから
『こっちの都合も聞かずにお散歩行きましょうねって無理やり連れて行かれるの嫌なんだよ!』とか
『運動しなきゃいけないからって子どものお遊戯会みたいなことを大人に強要するな!』とか
リアルな老人ネタでやろうかと思ったけど、これやると老害感が強いな…
介護なんてする方もされる方もできればやりたくないのは当たり前だし。じゃあ…怒る理由を別のにするか(理由をつけて怒るという根本的な発想を変えようとは思わなかった)」
みたいなどうしようもない論理的帰結の結果だったんでしょうかね。

■谷本健晋監督
・戦隊本編のデビュー回でした。
私の印象としてはなかなか良かったです。
格闘戦も良かったですし、変身ポーズもかっこよく見せようと工夫が感じられましたし、変身前のパートも台詞をしゃべるだけの棒立ちにせずにできるだけ動かそう、映像としての退屈さを消そうという意識が感じられました。
出来栄えとしてはベテランと比べても上というほど良くはありませんでしたが、真っ当なやる気が感じられたことは何よりも好感が持てました。今後も初心を忘れずに経験を積んでいってほしいです。


次回は暴走レッドレーサーと竜儀の話をやるようです。
前回の次回予告の時点では今回でレッドレーサーと竜儀の素性の話をやるものだと思ってたんですけどね…
現状の印象としては始まる前から「つまんなそう…」という期待できなさそう感を感じています。
1)「暴走レッドレーサー」という要素に特に面白みを感じない。
2)メイドさんの思考など話の流れが既に見えてる。
というのが主な原因のような気がしています。

暴走レッドレーサーは脈絡を何も感じません。レッドレーサー自体に品行方正な印象がないので「あのレッドレーサーが非行に走るなんて…!」といった意外性やギャップが特にありません。
元々指輪の戦士自体がしょうもないやつらばかりでヒーローとは別物感が強いので最初から無理があると思います。

メイドさんの方は「あの優しかった竜儀坊ちゃまが!」とか
「優しい坊っちゃんなら良いお医者様にもなれるのにどうしてこんなくだらないことを?!
(それに対して竜儀がテガソードに救われた話や今の竜儀の行動がどんな良い未来につながるのかをメイドに説く)」
みたいな話なんだろうなとおおよその想像はつく感じで、今回で先に顔見せした分だけ勢いや情報量が減ってお話にとってマイナスになってる印象が強いです。
「そんなありきたりな話で終わるわけないだろ!」と予想を良い意味で裏切ってくれると良いのですがゴジュウジャーでそんな出来事は全然起きてないんですよね…







コメント

2 件のコメント :

  1. 以前4話で離脱したものです。
    SNSにて作中で介護について触れていると散見し
    介護の現場で勤めているので、一部分に補足だけコメントさせていただきます。

    ■ヘルパーさんは普通、赤ちゃん言葉を使わないのでは?、の内容についてですが、
    実際の現場にて高齢者相手に赤ちゃん言葉を使う介護者は実際存在しましたし、
    相手の自尊心を傷つけるやり方だと問題になりました。

    が、それは十数年くらい前の話です。
    今ではコンプラ研修が徹底され、そもそも赤ちゃん言葉は禁止されております。
    相手の人格や年齢を尊重したコミュニケーションを取るのが
    当たり前というのが一般的な風潮になっております。

    たまにパートさんとかで入ってきた人や新人の若い子が、
    重度の認知症を患っている方相手等に
    赤ちゃん言葉をつかうという悪いケースもありますが、
    正直知識を持たないごく少数の人しか行いません。


    あと、お散歩やお遊戯の件に関しては
    完全に緑側の主張が知識不足で間違っています。

    ヘルパー・介護者の業務は国の報酬に基づいて厳密に厳しく決められております。
    介護計画に含まれていない行為は、
    たとえ相手の家の草むしりでさえ違法として罰せられるほどです。

    緑の主張している散歩・お遊戯は
    おそらく介護業務の中の「リハビリテーション」に含まれるものと思われます。
    日常生活動作を維持する筋力が衰えないよう定められている運動内容で、
    介護現場では対象者のレベルに合わせてリハビリ体操が設定されており、
    おそらくこの散歩・お遊戯も
    彼の生活レベルに合わせたものが提供されていたのだと思われます。
    それは専門知識を持つケアマネージャーが必要に応じて設定しているため、
    そもそも緑の日常生活における可能な動作レベルが、
    その程度であったと予想されます。

    一見幼稚に見える散歩やリハビリ体操に、介護者相手へ怒りを抱いているようですが、
    これは現実の現場でも起こりうる、利用者側からの苦情ケースによく似ております。
    これをさせられているということは、
    その運動を行わないと生活に悪影響が及ぶレベルに
    身体能力が低下していたのだという事実には
    作中に触れてほしいと思っておりますが、
    おそらくこの脚本家には無理なのでしょう。
    何せ本来なら努力して毎日体を動かすことで肉体的な健康年齢を得るものを、
    指輪の効果で一気にラッキー若返りさせるような、
    数多くの高齢者の日頃の努力を馬鹿にしたような展開を描くくらいですから。

    全体的に高齢者問題に関する知識が十年前くらいの認識で止まっており、
    おそらく井上さんは高齢者介護について下調べもなにもせずに
    脚本を書いてるんだろうなと、若干怒りすら覚え、思わず筆を取りました。
    長文失礼しました。

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    1. >が、それは十数年くらい前の話です。今ではコンプラ研修が徹底され、そもそも赤ちゃん言葉は禁止されております。

      本職の方から見てもやっぱり変なんですね。素人の私ですらおかしいと思いました。


      >緑の主張している散歩・お遊戯はおそらく介護業務の中の「リハビリテーション」に含まれるものと思われます。

      こちらに関しては匿名さんの誤解なので訂正しておきます。
      お散歩とかお遊戯の話は、「赤ちゃん言葉で怒るくらいなら他の老人介護ネタで理由を用意した方がマシでは?」と、”私”が代わりの理由として想像したもので、ゴジュウジャー本編ではやっていません。

      ゴジュウジャー本編で実際にやったことは主に、
      1)「伝説のヘルパー」と呼ばれている敵がロボットに乗って現れ、ロボで応戦した緑(ゴジュウイーグル)に対して赤ちゃん言葉で接し、緑が「赤ちゃん言葉使われるとムカつくんだよ! こっちは赤ん坊じゃないんだよ!」とキレた。
      2)伝説のヘルパーがやられるときに「こっちも気使ってやってんだよ!」と逆キレしながら死んだ。
      の2つです。

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