『仮面ライダーゴースト』 第11話「荘厳!神秘の目!」:感想

2015年12月20日

【ストーリー】

■ゴーストの集大成
・1クールの節目に相応しいゴーストの集大成のような回でした。
展開のあっさりっぷりがかつてないほどでした。具体例はいつもどおりダイジェストでお送りします。

西園寺とバリアはどうするのか→勝手に壊れる。
どうやってタケルが一番乗りするのか→他に誰も行かなかった。
こんなにあっさり生き返ってカノンは本当に本物なのか、化物になったりしない?→神様嘘つかない。
アイコンは一旦散らばるのかな。これでフォームが減らせるか→持ってたものは全部拾った。
ジャベルはどうやって倒す→普通に倒せる。

・ドラマになりそうな部分をことごとく潰しています。
もはやゴーストはできるだけ話を平板にすることを目指しているのではないかとすら思えてきます。見ていて虚無の広がりを感じました。何もないと思うことが間違いで何もなくて当たり前なのであり、何かあって当然と思っている自分が間違っているのではないかと虚無感に駆られました。ある意味すごい作品です。心を揺さぶられました。

・ちなみに東映公式ページによると、西園寺役の役者さんは今回でオールアップだそうです。
後で再登場する見込みも無くなりました。本当に徹底していて素晴らしいですね。

■そこでその台詞?
・ジャベルと相対したときの台詞が「俺は俺を信じる」でした。
私はここに違和感を覚えました。「(残った)命を燃やしきる」じゃないんですね。その直前に自分ではなくマコトの妹を助けることを選ぶという決断をしていたので今更信じるも何もないように感じました。自分の決断の正しさにまだ迷いがある、という様子でもありませんでした。なぜあの状況でその言葉を選んだのかいまいち意味合いがわかりませんでした。

■煽り担当はクビ
・グンダリと戦うシーンのCM前に「意外な人が新しいアイコンを見つける」という煽りテロップがありました。誰かと思っていたら、なんと御成でした。御成が意外…???
御成はその直前にも何個もアイコンを拾っていたのですが、どこが意外な人なのでしょうか?
もはや作品の内容とも全く合っておらず、心底呆れました。前回の次回予告より更に比べ物にならないほど酷い仕事です。今回の煽りと前回の次回予告の担当が同じ人なのかはわかりませんが担当者の見直しが必要だと思います。

■路線変更?
・ムサシがしゃべりました。しゃべれるんですね。
急なことで驚きました。これが予定どおりなのか、路線変更の結果なのかと疑問に思いました。電王路線にすればいいのに、という話はよく見かけますが本当にするつもりなんでしょうかね。


【アクション】

■こっちも集大成
・長らく歴代ワーストアクション記録を維持してきたキバをゴーストが超えました。
キバはまるで内容と合っていない格闘スタイルとフォームチェンジの扱いの酷さが受賞理由でしたが、今回のバトルはそれ以上でした。
ただひたすら数を出すだけで何の個性も役割も与えられていません。ビリーザキッドに至っては「味方を誤射して終了」でした。活躍しないどころか自殺点とは想像の遥か下を突き抜けました。瞬間風速においてはこの記録を超えるのは相当難しいと思います。

・ジャベル戦の逆転も非常に雑でした。
それまで一方的にやられて苦戦していたのに急に逆転しました。最後にニュートンに活躍させるなら、「ニュートンで動きを封じてスペクターとコンビネーションで逆転」のほうがまともだったと思います。他にも即席タッグなのだから、間に回想を挟んで「昔を思い出したら2人の息が合うようになった」など理由付けはいくらでもできたはずです。

・パーカーを重ね着しての合体必殺技もそこまでの流れのせいで台無しでした。
イグアナとスペクターが普通に倒しているので、むしろそこまでしないと倒せないゴーストが弱く見えてしまいます。「3体のグンダリをそれぞれ倒したら合体グンダリになり、それを重ね着キックで倒す」などとすればいいだけの話だと思います。

・本来盛り上がるはずのアクションすらも虚無っていました。
どこまで盛り下げられるかという実験としては成功だったのではないでしょうか。


次回はタケルがタイムリミットを迎えるそうです。
メタ的な視点ではなく、こんなにも心の底から「どうせ生き残るんでしょ」と思えることはなかなか味わえない体験です。


コメント

8 件のコメント :

  1. なんというか、30分間一つの番組を見たという感じが全くしませんでした。いつの間にか消えた西園寺、いつの間にか生き返ったカノンちゃん、いつの間にか和解したタケルとマコト、いつの間にか現れた新しいアイコン、いつの間にか凄まじい小物臭を醸し出していたアランとジャベル…これまでそこはかとなく漂っていた視聴者置いてけぼり感がここに極まれり、という印象です。

    先週までは、まだ一クール目だし挽回のチャンスはまだまだあるさ、と気長に構えてましたが、ここまで中身のない話を延々繰り広げられると、もはや立て直しもクソもないですよね。早くも3号ライダーの情報が出回っているのを見ると、年明け以降も販促のペースが落ち着く気配は無さそうですし、一体どこに希望を見い出せばいいのやら…

    ところでつかぬことを伺いますが、管理人さんは平成ライダーの小説版はお読みになりましたか?私は一応現在刊行されているクウガからウィザードまで全冊読破しているんですが、是非管理人さんの感想をお聞きしたいと思ったので。無理強いはしませんが、まだお読みになっていないのであれば、今後手をつける予定があるのかどうかも合わせてお答えいたたければありがたいです。

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    1. 今のところ希望が見えませんね…
      「ゴーストの良さ」がわかれば目星のつけようもあるのですが未だにわかりません。

      >管理人さんは平成ライダーの小説版はお読みになりましたか?
      >今後手をつける予定があるのかどうかも合わせてお答えいたたければありがたいです。

      読んだことはありません。また読む予定もありません。
      私が興味があるのは基本的に”本筋のみ”です。映像作品なら映像作品、ゲームならゲーム、漫画なら漫画など根幹にあたる部分までで、小説版や漫画版、ドラマCDなどオプションにはあまり興味がありません。枝葉までも味わいたいという欲求が湧かない限りは普段は手を出しません。残念ながらご期待には沿えないと思います。

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  2. 厄介ごとのもろもろを沈めて主人公が自然と浮き上がる、そんな浮遊霊のような話運びがゴーストの神髄なのかと思えましたね。
    西園寺はボスですらなくアイコンを一か所にまとめる汚れ役を担っただけでした。ベルトがなければ無意味と知らないのも今更で、すべてを支配したい動機や今までの伏線も謎のまま。ナレーションでタケルが「父さんを裏切った」と言い切ってましたがこれもはっきりしません。
    そしてなぜか願い事の権利を与えられて吊り上げられるタケル。まだマコトも残ってるのに。クレーンゲームもどきの絵面もあって選ばれたタケルが間抜けに見える展開でした。

    そして特に深く考えることもなくマコトの願いを優先するタケルと今までの横暴を謝らないマコト。
    流石に弦太郎と流星の時みたいにけじめつけないと仲間には戻れないでしょう。のんきに笑ってる面々も次回タケルがピンチになると豹変するわけですからね。

    今回は独断で動いたジャベルが一番幹部らしかったというか。見てるだけのアランと差がついてますね。アランはジャベルが少し追い込まれたところで加勢するでもなく独断専行を理由に退却命令、その後でグンダリがやられた責任だけ咎めるなど、無駄なプライドの高さで足を引っ張っていました。ジャベルはアイコン2個奪ってるんですけど。アランだけアイコンの秘密を知らなかったのも驚きですよ。

    パーカー重ね着も結局は普通のキックで地味に着地してましたね。武蔵が厳かに話しかけてきたのに対してタケルの返事がチャラいのも、力を借りてる感じがしません。

    1クール目の決着でここまでひどいのも珍しいですね。販促終わったら落ち着くのでしょうか。

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    1. 異常なまでにシンプルでスムーズな話の流れでしたね。肉付けする前のプロットのようでした。
      マコトはこの先どうするんでしょうね? 今はやることがないし、タケルに協力しようにも本当に協力するために協力することになってしまい、マコトの話が終わってしまいます。タケルのほうも選択を後悔したり身近に迫る死を痛感する暇もなくタイムリミットを迎えることになりそうです。2クール目からは「第二世代」の話でも始まるのかと思うほど行き詰まっています。

      ジャベルやアランは何なのでしょうね。アランがアイコンの力を知らなかったり、知らない情報や設定が多くて置いてけぼりにされてるように感じます。今回のアランの判断がアランの立場からすれば当然なのか、それともアランの私情に寄った判断なのかすら区別できません。

      >武蔵が厳かに話しかけてきたのに対してタケルの返事がチャラいのも、力を借りてる感じがしません。

      タケルのキャラは未だによくわかりません。
      ムサシにタメ口だったり、イグアナを呼んだユルセンに「偉い!」と声をかけたり軽めの印象がありつつも、「命が!」とか「偉人のように」などやたらに重苦しい言葉もよく使います。二面性とか、やるときはやる男という感じでもなくキャラを捉えかねています。

      >販促終わったら落ち着くのでしょうか。

      そうなるといいのですが、販促を除いてもやりたいことが見えないのですよね…
      タイムリミットの後にやることすら思い当たりません。誰かが死んだり、タケルのタイムリミットが延期になったりして、また生き返らせるためにアイコン集めという展開は絶対に嫌です。

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  3. 設定や流れは悪くないのに今一つ乗り切れない原因はどこにあるのかなと考えましたが、積み重ねのないことに主な原因があると思いました。一話完結で展開を早くしたことで、スペクターと戦いながら怪人を一話で片付けることになり、ドラマ部分が駆け足になってしまいました。タケルのスタンスも内面も明確でないまま決断を迫られる状況になっても、感情移入できませんね。最低限、生き返ることとカノンの命の間で悩むシーンはもう少し必要でした。

    今回のムサシが話しかけてくる場面は、本来父親とも関係があるムサシの魂がついにタケルに語りかけるという盛り上がるシーンのはずです。しかし偉人の魂なるものがどんな存在なのかが曖昧なために、戸惑いが先に来てしまいました。偉人本人の意思がそのままアイコンの中に存在してるのでしょうかね?

    アイテムを集める必然性、アイテムの奪い合いと、ライダー未経験の人だけに販促をしやすくしようと頑張ろうとしたのだとは思います。しかしそこにドラマを盛り込み過ぎたのが災いして全てが中途半端になってしまっている印象です。序盤は販促と説明に徹するとプロデューサーが言っていたそうですが、それならタケル、マコト、アラン、西園寺、ジャベルとドラマに絡む人物を出しすぎです。改めて三条さん、小林さんたちは販促とドラマの両立においてすごかったんだなと思います。今後はいきなり未経験の人をメインに据えるのはやめて、サブやゲストからメインに昇格させるようにしてほしいです。

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    1. 積み重ねはありませんね。
      いくらノルマが多いとはいえ、タケルやマコトの分をやるくらいの時間はあると思うのですが全然できていません。あえて描かないかのと思えるほどです。

      >今回のムサシが話しかけてくる場面は、本来父親とも関係があるムサシの魂がついにタケルに語りかけるという盛り上がるシーンのはずです。

      同じように感じました。
      タケルにとっての偉人がどういうものなのか実感に乏しい上に、脈絡なくいきなりしゃべりだしたのでどう捉えたらいいのかもわかりませんでした。前ふりになりそうなものと言えばモノリスと接触したことですが、今は何がどうなってるのかわかりません。今のところは一応、偉人の魂そのものなのだろうと考えています。でもこの場合、ビリーザキッドとかツタンカーメンはどうするんでしょうね?

      >序盤は販促と説明に徹するとプロデューサーが言っていたそうですが、それならタケル、マコト、アラン、西園寺、ジャベルとドラマに絡む人物を出しすぎです。

      そんなことを言っていたのですか。個人的には販促はともかく、説明は全然できていないように感じます。
      登場人物の多さは不思議ですよね。マコトは2号ライダーを出す都合上仕方ないにしても、アランは謎の黒幕のままでもストーリー進行に支障はなかったように思えます。ジャベルも西園寺に似た役回りをやらせることはできたでしょう。そんなことよりタケルやマコトの掘り下げや今後のストーリーに興味を持たせる内容にするほうが良いと思います。

      >今後はいきなり未経験の人をメインに据えるのはやめて、サブやゲストからメインに昇格させるようにしてほしいです。

      この辺りは難しい問題ですね。フォーゼ以降の別ジャンルの人を連れてくるやり方は見事に失敗しているので、このやり方に問題があることは間違いないと思います。
      しかし経験者なら良いかというとそうともいえません。ウィザードのきださんやニンニンジャーの下山さんは経験者ですが、こちらも成功とはいえないと思います。
      米村&井上時代や小林さんの乱用など育成を怠ったツケで首が回らなくなっています。外の人でも作れるような販促体制を築き上げるなり、今は上手くいかなくても地道に後進を育てるなり、地に足の着いた堅実な対策を施してほしいと思っています。

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  4. 今回は今までのフォームが総登場するということでアクションシーンはそれなりに期待してたんですよね、少々扱いがぞんざいでも絵面の派手さで補えるのかなと…しかしそのわずかな希望すら叶いませんでした。

    例えば、平成ライダーの全作品でこんな調子なら、日本の映像作品ではこれが精一杯なんだと思って然程気に留めないのですが、実際はクウガやダブルなど、フォームチェンジをちゃんと扱えてる作品もあるわけですからね。それとも、この二作が良く出来すぎているがために、視聴者が過度にシビアに見ているというだけなんでしょうか。実際、ここまでの数のフォームが一クール目に登場するなんて特撮番組の長い歴史の中でも前例のないことですし。

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    1. フォームチェンジの扱いは悪い意味で想像以上でしたね。
      マイナスイメージが付いたものが多かった分、出さないほうが販促としては良かったのではないかとさえ思います。

      >実際、ここまでの数のフォームが一クール目に登場するなんて特撮番組の長い歴史の中でも前例のないことですし。

      私はYESでありNOであると考えます。
      数が多いのは確かです。扱いきれるわけがないというのは客観的事実だと思います。全てのフォームを目立たせるのは時間的に不可能である可能性が高いと思います。

      しかし、ではゴーストが最善を尽くしたのかというと疑問に思います。
      客観的に見てまともなフォームチェンジの使い方だったと思えないからです。匿名さんが例に挙げられたクウガとWを例にすると、フォームチェンジの使い方の基本は相手への対応です。「だったらこれだ!」という台詞がよく使われるように、相手の特性や行動に対して有効であるからフォームを変えることがほとんどです。

      ではゴーストがどうだったかというと、どうみてもそんな使われ方はしていません。ビリーザキッドの誤射のようにむしろタイミングの悪いフォームチェンジのほうが目立ちます。
      全てのフォームを使うにしても、たとえばタケルに「あいつに効きそうなのは…あのアイコンだ!(ニュートンのこと)」と戦闘序盤に言わせて、御成たちがニュートンを見つけるまでの間、他のフォームでしのぐ、という形にすれば時間稼ぎなのだから劣勢であっても当たり前でありニュートンで圧勝できることも理由付けができたでしょう。

      今回の流れは状況や設定を充分に活用していたとは言えないと思います。
      この点があるので「数が異常なのだから”上手くできなくても仕方ない”」と評価する気にはなれません。この言葉はベストを尽くした者にだけかけられる言葉だと私は考えます。

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