パン⇔剣≒リック 『シャイニング・ハーツ』第10話「異世界からの使者」:感想

2012年6月22日
今回はラストに向けてのストーリー展開が主だった。
作画節約も全般に渡り、パンの作画でさえあの有様だった。
一見すると特に語るべき内容は無さそうに見えるが、テーマとしてかなり重要だったと思う。
それは作品の中核、”パン”の対となる存在が明確になったからだ。

■パン⇔剣
・パンの反対の存在は剣だった!意外とベタだ。ナウシカでもそんなのあったね。
しかしそこがこのアニメの面白いところでもある。普通は剣が中心でそれに対してパンがあるものだが、シャイニング・ハーツでは真逆である。そこが面白い。

■リックとパン、そして剣
・リックは剣士だったが記憶を失い、パン屋として第二の生を受けた。外界から隔離され、平和そのものな島では必要ないものだから当然の成り行きではある。マデラや三人娘と出会い、パン屋として成功したリック。満ち足りたはずの生活の中でリックは剣と出会った。
剣の道へとリックを引きこむかのように、竈は壊れた。自分の店=アイデンティティを再び失った中でリックは自分とは違う道を行く人々と出会った。剣を道具とし自分の理想を追い求めるシャオメイ。剣をも超える兵器を探求するハンク。パンと剣を両立するローナ。同時に自分と同じ道を歩むメルティにも出会った。
パンと剣。過去と現在。二つの間で揺れ動くリックの心。迷う中で一度決めたはずの心もまだ定まらない。

■カグラの変化
これまで何にも染まらず無色であったカグラが初めて自分の意思を示した。強大な力を持ちながらも人々を守るために自分を省みない道を選んだ。
シャイニング・ハーツでは、パン=他者の幸せを願う思いやり。剣=自分の理想のために力を振るう我欲。をそれぞれ象徴しているように思える。力を人々を守るために使うことを望んだカグラはパンと剣の融和を表してるのだろうか。
こうして構成を見なおしてみると無駄がない!無駄に思えた4話や5話にも意味が見えた。

■次回へ向けて
迫りくる鋼鉄の戦艦。乗員は爬虫人。エルフや精霊にまで通じた共通言語”パン”もトカゲ相手には通用しないだろう。過去そのものであるあの剣を手にしたとき、リックは何を選択するのか。無慈悲な暴力の前にパンは無力なのか。テーマは見えた! その集大成が次回明らかになる。乞うご期待。

コメント

1 件のコメント :

  1. つまり「パンは剣より強し」ということですね、分かります!

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