『スター☆トゥインクルプリキュア』1~6話:感想

2019年3月16日
『スター☆トゥインクルプリキュア』を1話から6話まで見た時点での第一印象を書いていきたいと思います。

■主人公には力強さを感じる
・主人公の力強さは良いと思いました。
宇宙というスケールの大きな世界観に対抗するもの、それは主人公のオカルトへの前のめりっぷりでした。何が起きても怯えるどころか興奮し、むしろ宇宙人のほうが引くくらいに距離を詰めていく。オカルトマニアの主人公の持つバイタリティには力強さを感じました。

・不安要素としては「飽きやすそう」という点です。
この手のキチガイキャラってけっこう寿命が短いと思います。他の路線に転向するのも難しいですし、勢いを維持しようとすると今度は話が単調になりがちです。他のキャラとも絡ませづらいですし、チーム系の主人公には向かないタイプだと思います。そこをどうにかできるのだろうかという点には不安があります。 

■話の輪郭すら見えてこない
・主人公を除くとストーリーは全体的にぼんやりした印象です。今のところヒーローものとしても、各キャラの話にしても方向性が見えてきません。
失われたスタープリンセスの力を集めるとか悪の組織と戦うとか基本的な大枠だけで、どういうお話なのか、主人公たちがどんな人格なのかが伝わってきません。
ヒカルはオカルトマニア。ララは生真面目。エレナは明るく優しい。マドカは殻を破りたいお嬢様と、今のところ脇役のように一面的なことしか描かれていません。

・特に具体的な描写がないことが問題だと思います。全員「そういう性格だから」と口で言われるだけで具体的な行動や心理描写がありません。
典型的な例としてはプリキュアへの変身が挙げられると思います。ララとマドカはどうして変身できたのかよくわかりません。「フワの気分次第」が真っ先に脳裏をよぎるのは問題です。比較的マシだったのはエレナです。ただ、エレナもありふれた正義感や家族意識なのでキャラクターとしては弱いです。

・構成も弱いと思います。
マドカは変身にあたって従来の考えから変化したはずなのですが変わる前の姿を全然描けていないから情感が感じられません。初変身の回の前から顔は出していて5話までシリーズ構成が一人で担当しているのにこの構成はダメだと思います。初変身までに従来の姿を描いておく時間はあったはずです。他にやることがたくさんあるわけでもないスカスカの部分がいくつもあったので言い訳の余地を感じません。

・個人的にはララが踏み台にされてばかりで悪者扱いなことが引っかかります。
6話にして2回も「ララがヒカルに諭されて態度を改める」という展開をやっています。ヒカルの説得力が特に感じられない上に、ララの正当性も描かれていないので二人のどちらも正しいと思えません。 ヒカルは自分の考えを押し付ける嫌なやつだし、ララは根拠もなく自分は正しいと思っている馬鹿みたいで二人とも印象が悪くなっています。ゲスト相手にやっても角が立つ話をメインキャラどうしでやるのはマズイと思います。

・全体的にシリーズ構成の村山功さんが数年前に担当したまほプリで感じた問題点と似通っていることが非常に不安です。
話がスカスカで明らかに時間を持て余している感じがしたり、キャラが中心なのにキャラの人物描写が薄かったり、矛盾を感じる構成が似ています。

■フワ
・赤ちゃんポジションのフワはわりと可愛く感じます。
思ったよりも言葉を話せることが意外でした。メンバーが険悪な雰囲気だと「仲良し…」と泣きそうな声で言ったり挨拶したり、言葉による意思表示がはっきりしています。意思が明瞭な分、むしろ主人公たちより人物描写が多いように感じるほどです。そういう点ではメインキャラの中で最も好感度の高いキャラです。

・ただ、ポジションから考えると矛盾しているように感じる部分もあります。
赤ちゃんキャラなのに一番良い子でわかりやすいというのはフワ自身にとってもフワ以下の扱いの主人公たちからしても良くない状況ではないかと思います。ちゃんと考えてこうなっているならいいのですが、話をコントロールをできていないからこんなことになっているんじゃないかと不安に感じます。

■イケメン枠?
・カッパードさん、でいいんでしょうか?
顔立ちはハンサムですし、物腰も悪党らしい冷徹さを持ちつつも敵を対等な相手とみなす礼儀正しさのようなところも感じられて個人的にはかっこいいと言えると思います。
ただ、カッパらしさに溢れた頭頂部が目に入るとイケメンと呼ぶことにためらいを感じてしまうことは否定できません。一般的にカッパードはイケメンに入るのか、少し気になります。

・プルンスは見た目はゆるキャラですが好感度は高いです。
プリキュアじゃないから戦力になりませんが、それでもフワたちを守ろうと精一杯努力しています。大人ポジションだけあって思考も行動も作中で一番まともなので好感度も必然的に上がります。

■アクション
・最序盤にして既に作画が低水準です。3話にして青山独り作画でした。最近はフルCGだった春映画が手描きのせいだからでしょうね。
動かないのでアクションの出来栄えは評価し難いです。これが今だけの問題なのか、今後も同じなのかで話が変わってきます。最近のプリキュアの実績から考えると大幅に良くなることは期待できそうもないと思いますが。

■バリアと武器
・プリキュアは腕などにバリアを展開できて、敵は武器を使うところが他のシリーズ作にはないユニークさですね。プリキュアは格闘かビームかが基本なのでバリエーションを増やすのは良いことだと思います。

■怪人廃止?
・あと幹部と雑魚中心で今のところ使い捨ての怪人が出てこない点も珍しいです。
基本的にノルマで嫌々やっててストーリー上の意義が感じられない作品のほうが多かったので怪人を止めるのは有りだと思います。幹部と戦う場合、バトルの展開が焦点になりますが今のところは問題はないかなという印象です。

・かと思っていたら6話では人間から怪人を生み出す定番の展開がありました。
7話はまた幹部&雑魚のようでしたが怪人はアイワーン専用という扱いなんでしょうかね。あんまり出ないことを祈りたいですがアイワーンが幹部の中では格上扱いみたいなのでストーリー上で大きな戦いほどバトルが盛り上がらないのも困りものです。

■デザイン
・キャラデザはスイプリやドキプリでお馴染みの高橋晃さんです。
今作でも吊り目気味で可愛いです。個人的にはミルキーが一番好みです。

・キャラデザ自体は良いと思うのですが、大人っぽいデザインは内容と合っていないように感じます。
外見は肩出し衣装だったり大人っぽくて高校生くらいという印象ですが性格は小学生みたいでアンバランスに感じます。キャラの性格から受ける印象としてはキラプリやハトプリみたいな幼いキャラデザのほうが合っているんじゃないかと思いました。

■変身シーンに流れる歌
・変身シーンにプリキュアが歌ってる感じの歌が流れるようになりました。
これまでも最強必殺技がミュージカル調だったりしていましたがその中では一番まともな使い方だと思いました。元々変身シーンが間延び気味で「変身というより”着せられてる”」と感じるものも少なくありませんでした。歌を流すことでプリキュアに変身するキャラの能動性が感じられ、変身シークエンスの間延び感も軽減できて良いと思います。

■ネット配信
・今更ながら今作では見逃し配信されるようになりました。
キッズアニメではネット配信は当たり前どころか、もう「ネット配信だけでいい」とまで言い出す作品もある中ではこれでも3周遅れくらいの対応ですが、無いよりはずっと良いです。

■全体の印象
・「悪くはないけどフワッとしている」という印象です。
マイナス点が少ないだけで「ここが良い!」という強みもあまり感じられません。どこか明確に嫌いな部分があって見なくなるタイプではなく、「う~ん、別に見なくてもいいかな」と視聴意欲が薄れていくタイプのように感じます。キャラの魅力でもストーリーの面白さでも、何か作品の軸となる魅力を早めに打ち出してほしいです。


コメント

2 件のコメント :

  1. 九衛門ファン2019年8月11日 19:02

    まどかとえれなの描写は少ないですよね。最近は陰も薄いですし。特にまどかの話は父親のせいもあるのでしょうか、視聴する度に息苦しさを感じてしまい、あまり楽しいという気分になれません。キャラとしては可愛いと思うのですが……6話からだいぶ話数が経過しているので、2クール目の感想をとても楽しみにしています!マオが追加して当初の物語に抱いた印象と変化が見られたのかそこも気になります!

    返信削除
  2. 2クール目の感想は今週中に書くつもりです。
    もっともあまり書くことはないのでご期待には沿えないであろうと思いますが。

    返信削除

 コメントは承認後に表示されます。
*過度に攻撃的な言葉や表現が含まれている場合、承認されない場合がございます。節度と良識を保った発言をお願いいたします。