『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』 第1話「世間を騒がす快盗さ」:感想

2018年2月11日

【ストーリー】

■安心の香村さん
・ジュウオウジャーのシリーズ構成を務めた香村さんらしい、そつのない作りで安心して見られました。
快盗に警察、ギャングである敵組織とそれぞれの状況と世界観をわかりやすく描きつつも今回の主役である怪盗の3人のドラマもしっかり目立たせていました。

・快盗側だけでなく敵側も立てていたことが良かったです。
あそこで気づかなかったからがっかりでした。敵との攻防は敵も強くないと盛り上がりません。後継者争いという敵側が協力しない理由も用意されていましたし、敵側も抜かりはなさそうです。

・予告状はそれで予告になっているのかと疑問に思いました。
あれはどちらかと言うと自分たちがやったことを示す”犯行声明”に見えました。そもそも快盗の3人が怪盗をやる気は無いのではないかと思うところがあるのでそこの関係なんでしょうかね? 「奪う前に予告状を出せと上から言われたからやる(超雑で意味がない)」ってことなのでしょうか。

・私がストーリーで興味をひかれたところは快盗側に依頼しているルパンの子孫の立ち位置でした。
一つ一つがとてつもない力を秘めたルパンコレクションを収集しているという時点で怪しいのですが、今回の警察側の変身アイテムを見た快盗の発言からすると警察のバックにも同じ人物がいるっぽい感じでした。
快盗と警察の共通の敵として立ちはだかるのか、それとも奪い返せれば快盗でも警察でも構わないから潰し合いも一向に気にしない非情な依頼者として快盗と警察の関係性に一石を投じるための存在なのか。どういうふうにドラマに作用するのか気になります。

■キャラの印象
・快盗側の赤は飄々とした軽めのノリだが根は真剣なタイプで、青はクール、黄色は一般的な尺度で言えばメンバー内で一番の真人間みたいですね。
今回の話からするとあくまで共通の目的のために結びついている関係のようなので、性格や価値観の違いによるドラマがあると面白そうだなと思いました。

・警察側はまだ大して描かれていないのでノーコメントなのですが、唯一マスコットキャラについては書きます。
首(?)から上を見た瞬間は「うん、いいんじゃない」くらいの普通の印象だったのですが、全体像が見えた瞬間びっくりしました。二頭身くらいのマスコットかと思っていたら、思ったよりも全然人型でした。中の人がどういう姿勢なのか見て取れるほどの人型でけっこう引きました。あれ、可愛いんですかね…? 私は見慣れるまでにだいぶ時間がかかりそうです。


【アクション】

■1話の予算の有効活用
・いつもながらの見事なアクションでした。今年も戦隊シリーズはアクションに関しては何の心配も要らなそうです。

・個人的には後半のバトルでの炎の使い方が良いと思いました。
弾丸などと比べると軌跡がはっきり見えるので立体感が映えます。カメラワークも炎の出し方もお金がかかるので多用できるものではないでしょうが、1話の予算の使い方としては良いと思いました。

・カメラワークも普段は見れない映像が多くて良かったです。
ちょっといろいろ盛りすぎて1話内での映像としての同一性を保ててない感じもしましたが、全部あれで統一するのは無理なので仕方ないでしょう。

■ルパンレンジャー
・予告で見た段階では顔の矢印みたいなマークは何だろうと思っていたのですが、シルクハットがモチーフなんですね。それで警察側は警察帽がモチーフと、なるほどです。モチーフがわかったら何だか良いデザインのように見えてきました。まんまとスタッフの術中にはまっていますね。

・快盗側は悪党系のモチーフなのでポーズに幅が出て見ていて楽しいです。痛そうなアクションからかっこいいポーズまで正義の味方より自由が効きます。
ピカレスクモチーフはゴーカイジャー以来なので何だかんだで7作も間が空いているんですね。個人的にはもうちょっと頻度を上げて4作に一度くらいやっても問題ないと思います。

・予告の印象だとスーツの生地が安っぽい印象だったのですが、今のところ本編を見ても印象はあまり変わりませんでした。
特に警察側は顕著で、ご当地戦隊のロゴを付けたらそのまま受け入れられてしまいそうに見えました。動きやすさ重視とか何か理由があるのでしょうかね。

■個人的に好みだったところ
・怪人が勢揃いした光景を見られたことが個人的には楽しかったです。
リデコと再生怪人は当たり前で、それどころか怪人の数自体が減ってる昨今では珍しい光景でした。たぶん当面の怪人を並べただけだと思いますが、それでも豪華な感じの絵面が見れて面白かったです。


次回は巨大ロボ戦と警察側の描写がありそうでした。
快盗側と警察側のロボの直接対決はあるのかが気になります。普通だとCG作る手間だとかイメージの問題など様々な都合で避けるところです。
警察側のキャラは今のところテンプレ的な印象なのでそこの掘り下げがあるかどうかも気になります。快盗と警察の関係を描きつつ怪人をどう盛り込むのか楽しみです。

コメント

6 件のコメント :

  1. アクションはパイロットだからとかスーツの仕様変更とかもあるのでしょうが「ルパンレンジャーの方向性」は見えてて良かったです(撮り方も結構個性的な場面多かったですし)。少なくとも飛んだり跳ねたりする事は予算が減る2クール目以降も継続出来るでしょうしね。
    シナリオもカフェ(喫茶店?)でのやり取り(「誰も助けてくれない」→「それが俺達のルール」)をシリアス場面でも使っててルパンレンジャーの関係性描写に一役買ってました。

    サブタイの時点で明らかでしたが今回はルパンレンジャー紹介回みたいなものだったのでパトレン側は本当に「キャラ紹介」以上の事をしていませんでしたが今回のを見るにシリアスもギャグも出来る様なので少なくとも「ルパンレンジャーに引きずられてシリアス一辺倒になる」と言う事態は避けられそうです。

    今後の懸念としては「警察」と言うシステム上後手後手に回りかねないパトレンジャーをどう扱うのか?と言う所と「後継者争い」設定のギャングラー内乱をいつまで引っ張るか?と言う所ですね。
    香村脚本は脚本家のキャラの入れ込み具合がもろに作中での扱いに反映されると言う特色があるのでそこを含めしばらくは様子見です。

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    1. >少なくとも飛んだり跳ねたりする事は予算が減る2クール目以降も継続出来るでしょうしね。

      私もその辺りの基本的なアクションは大丈夫だと思います。
      ライダーと違って強化フォームで動きにくくなることも少ないですからね。

      >シナリオもカフェ(喫茶店?)でのやり取り(「誰も助けてくれない」→「それが俺達のルール」)をシリアス場面でも使っててルパンレンジャーの関係性描写に一役買ってました。

      今回どこを見せるか一貫していて良かったですよね。

      >今後の懸念としては「警察」と言うシステム上後手後手に回りかねないパトレンジャーをどう扱うのか?

      怪盗と警察だと警察が勝つと話が終わってしまうのでストーリー上は怪盗のほうが逆説的に有利なんですよね。かといって完全に仲間になると作品全体が無個性になってしまいますし。その辺りのバランスは私も気になります。

      >「後継者争い」設定のギャングラー内乱をいつまで引っ張るか?

      こっちはメインストーリーの進行に合わせるんじゃないかなと私は考えています。
      快盗と警察の関係は進展が遅いでしょうし、ルパンコレクションも後半までは集まり切るとは思えません。メインストーリーの進行をするために敵の組織を使うのではないかと推測しています。
      敵組織だけでも「有力な候補者が第頭してきた(いわゆる幹部勢)」「候補どうしが手を組んだ」「後継者が決まった」など段階的に進められると思うのでストーリーを一区切りしてステップアップするのに使えるのではないかと思います。

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  2. 巨大戦がないまま1話目が終わるってずいぶん久しぶりな気がします。少し寂しかった反面、時間配分としてはこれくらいがベストだなと感じました。

    怪人たちが一堂に会してるシーンを見たときは、もしかしてこれ皆幹部なのか?!と胸が高鳴りましたが、流石に違いましたね。とはいえ、あそこにいる奴らだけでも、エグゼイドやビルドの怪人の数を軽く超えていそうで、複雑な気分になりました。特撮業界全体で予算は年々減らされていますが、使い道の自由度という点では、戦隊はだいぶ恵まれている方なのかもしれないですね…

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    1. >巨大戦がないまま1話目が終わるってずいぶん久しぶりな気がします。少し寂しかった反面、時間配分としてはこれくらいがベストだなと感じました。

      そうですね。私は1話でやらなくてもいいと思っているので嬉しいです。
      やるなら敵の巨大化やロボットの意義をちゃんと入れてほしいです。

      >特撮業界全体で予算は年々減らされていますが、使い道の自由度という点では、戦隊はだいぶ恵まれている方なのかもしれないですね…

      私は自由度の問題よりもスタッフの工夫のほうを問題視しています。
      ベストを尽くして無理なら仕方ないですがそうは見えません。

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  3. 2つの戦隊を並行して描くということで不安もありましたが、とりあえず1話は快盗側に絞ることでまとまりをよくしていましたね。無理に両方の個性を出そうとしなかったのはいい判断だと思います。

    監督はジュウオウから参加の杉原監督ということで、かなり早くメイン監督になったなあと驚きました。しかし新しい撮り方に挑戦していて、若い人材の起用が成功しているようで嬉しいです。今後はおなじみの竹本監督や加藤監督も参加するでしょうし、本当に戦隊はアクションに関して裏切られることはありませんね。

    ジュウオウの時は多すぎないくらいの要素を丁寧に適切に料理した印象の香村脚本ですが、今回は普通にやっていたら入りきらない情報と要素の量なので、どう配分するかに注目したいです。

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    1. >無理に両方の個性を出そうとしなかったのはいい判断だと思います。

      はい、私もそう思います。
      あとは片方が犠牲にならなければ言うことありません。

      >監督はジュウオウから参加の杉原監督ということで、かなり早くメイン監督になったなあと驚きました。

      早いですよね。いろいろ独自の撮り方をされてきた人なので抜擢するのも有りだと思います。戦隊のほうがスタッフ育成は順調なようですね。

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