『宇宙戦隊キュウレンジャー』最終回まで見終わって:総合感想

2018年2月12日
『宇宙戦隊キュウレンジャー』を最終回まで見終わったので全体の感想を書きたいと思います。





【ストーリー】

■「1人1人がスーパースター、9人揃ってオールスター」→1人だけがスーパースター
・ 「1人1人がスーパースター、9人揃ってオールスター」がキュウレンジャーの標語の一つです。しかし実際にはレッド中心のストーリーでした。

・それ自体は他の戦隊でもよくあることなので特筆することではありません。
問題はキュウレンジャーの場合、追加戦士などもレッドのおまけ扱いで他作品以上にレッド中心主義が強かったことです。標語に掲げられたコンセプトとまるで噛み合っていませんでした。


・キュウレンジャーは売り文句どおりに人数が多いことが特徴の一つです。
5話までにメンバーは9人になり、1クール終わる頃には11人に増え、2クール目終わり頃には追加戦士の登場で12人に増えました。12人というのはサポートメンバーや普段は単独行動する第三勢力や敵などを含んだ数ではなく、常時戦闘メンバーが12人います。普段の回だと戦艦で待機しているメンバーもいますが、主要な回では12人全員が一応出撃します。

・戦隊に慣れている方なら「5人でも空気のキャラが出て来るのにそんなに増やして大丈夫なの?」と疑問に思う方が少なくないでしょう。その通りです。ダメでした。
元々一人あたりの出番が少ない上に、レッド、シルバー、単独主役の外伝作品が作られたオレンジ、子役が変身する水色、追加戦士であるホウオウソルジャー(二人目のレッド)が優遇され、他の7人の影は薄かったです。

・個人回の回数を数えると最も伝わりやすいと思います。
メインストーリーに絡む赤と追加戦士を除くと優遇されているオレンジ、シルバー、紫、水色が実質メインストーリーの回を含めて5,6回。空気な脇役たちは2,3回に過ぎません。
これではキャラの掘り下げができるはずもありません。脇役は最後までろくに掘り下げが行われず、ロボレスチャンピオンだった黒は最終回の後日談ではロボレスチャンピオンに戻ったと語り、シェフだった黄はレストランを開いて終わりなんて初期設定だけで描ける扱いで終わってしまい、見ていて可哀想でした。

・薄いだけならまだマシでした。
酷いときには「メンバーの個人回だと思っていたら、唐突にレッドが出張ってきて主役を食われた」回すらありました。メンバーが悩んだりしていてどう乗り越えるのだろうと思っていたら、レッドが突然出てきて精神論を語りだしてメンバーがそれに頷いてそのとおりにして問題が解決したときには唖然としました。

■メインストーリーも薄い
・メンバーのキャラが薄いので個別の楽しみは得にくいです。ではメインストーリーが面白いかというとそちらも今ひとつでした。
2クール目はオレンジがメイン。3クール目前半は追加戦士、後半は赤と金銀がメインでその合間に個人回やギャグ回を数話ずつ散りばめていて、散発的な構成になっています。各メンバー間のつながりも弱いため全体で一つの形になるようなこともなく、個々の展開も全体の展開も薄くなっています。

・終盤のストーリーに至ってはレッドである”ラッキー”の話ばかりでした。
「ラッキーは実は王族だった。実は王様である父親が洗脳されていた、と思ったらそれは偽物だった、と思ったら数話後に実は本物の父親は生きていて洗脳されていて襲ってきた」なんて冗談みたいな冗長な展開が繰り広げられました。

・ラッキーの話を除くと今度は「人々を救うために宇宙を支配している邪悪な組織と戦う」以上の展開がないので困ります。
こちらはこちらで「首領を倒した!、と思ったら死んでいなかった。また倒した!と思ったらまた復活した。また倒したけど無策なので復活した」なんてこれまたうんざりする展開でシンプルなヒーロー要素すら楽しめません。
ラッキーと首領に興味を持てないと「もうそいつらは見飽きたよ…」とぐったりしてしまいます。

■ラッキーに魅力を感じなかった
・上の記述を見れば、いかにキュウレンジャーがレッドであるラッキー中心のお話であるかご理解いただけたかと思います。
私にとって最大のネックは主人公であるラッキーに魅力を感じないことでした。とにかく出番が多くてどこにでも出張ってくるのですがその言動に説得力を感じることができませんでした。

・その最たるものがラッキーの決め台詞である「おっしゃ、ラッキー!」です。
一般的な解釈をすると「運が良かった!」という意味に聞こえますが、作中での意味は少し異なります。
自分で考えた作戦が上手くいったときや敵に追い詰められてピンチのときにも「おっしゃ、ラッキー!」とラッキーは言います。

・作中での説明とスタッフの発言から解釈すると、
「不安を感じる状況でも自分はできると信じて困難に挑戦することで道は開ける」
という意味があり、
「自分は幸運だから上手くいく(と信じ込む)」
という一般化した言葉にその意味を込めたものがこの決め台詞のようです。この時点でだいぶわかりづらいのですが、実際にはもっとわかりづらいです。

・つまり造語なのかと思っていると今度は「雑誌の景品に当たったぜ。おっしゃ、ラッキー!」 や予期せぬ幸運でうまくいったときに「おっしゃ、ラッキー!」と一般的な使い方でキーフレーズを使い出して戸惑ってしまいます。
結局、最後まで信念の話なのか幸運の話なのか定まらず、両方の意味を含んだまま終わりました。キーフレーズや決め台詞は内容をわかりやすく一言に圧縮して伝えるために使うものだと私は思っているので、キーフレーズが一番わかりにくいことが不思議でなりませんでした。
ラッキーは独自の価値観で動く破天荒な人物で元々わかりづらい上に、決め台詞までわかりづらくてラッキーがどういう人物なのかなかなか理解できませんでした。

・決め台詞もそうですが、ラッキー自体もとっつきにくい人物でした。
もう一つの決め台詞が「お前の運、試してやるぜ!」です。好戦的な響きのとおり、敵と戦い始めるときに主に使います。
しかしながらラッキーは敵だけでなく、一般人や仲間に対してもこういう好戦的な態度をよく取ります。基本的にケンカ腰で、誰かが「無理だ。できるわけない」などと言っていると突然首を突っ込んできて相手の事情も無視して「諦めてるからできないだけだ。まずやってみろ」と苛烈なことを言い出す人物です。

・ここまでなら俺様キャラや天才系の一種で済むのですが、挫折の描き方がダメでした。
幸運キャラにありがちな突然ツキが無くなる展開で挫折からの復帰を描いたのですが、ラッキーの態度の落差が激しすぎました。それまでは他人にも「とにかくやってみろ」と無茶ぶりしてきたのに、自分にツキが無くなった途端に自信を失い「ラッキーじゃない俺には無理だ… 勝てるわけがない」と牙を抜かれたような有様になってしまいました。
スタッフ的にはおそらくラッキーの弱さを描くことで「いつも強気で頼りになるラッキーが!?」というショックと「こういう気持ちを抱えても立ち直れるんだ!」という逆境からの立ち直りを描きたかったのだと思いますが、私には「他人に厳しく、自分に甘い」という悪い印象にしかなりませんでした。

■テーマが長丁場に耐えられなかった
・テーマの表現自体にも疑問が浮かびました。
「おっしゃ、ラッキー!」が挫けない信念だとしたらそれは他の仲間には無いものなのでしょうか? 全宇宙が支配された状況で反旗を翻す時点でかなり信念があると思うのですが。
仮にラッキーが特別だとしたら、それは標語にあるような「九人の究極の救世主」ではなく「救世主ラッキーとその仲間」ではないのでしょうか?
実際、作中の登場人物はラッキーを特別視してばかりだったので、ラッキーが「俺たちはキュウレンジャーだ!」と言う度にツッコミたくなりました。
私は最後までラッキーについて行きたいとも思えませんでしたし、ラッキーを信じるメンバーの心境も理解できませんでした。「諦めずにやってみよう!」という啓発的な内容なのに共感できないのは辛いです。

・いずれにしても一年間も保つ内容ではなかったと思います。
1話:ラッキーが自分の運を信じた結果逆転し、メンバーはそれを目撃する。
最終回:ラッキーが自分の運を信じた結果逆転し、メンバーはそれを目撃するついでにラスボスのおまけを倒す。

一年経過してこれでは多くの視聴者は満足できないと思います。話が全然動いていません。
最初から最後までラッキーを変えずにこのテーマでやりたいのなら、ラッキーを通じてメンバーが変化していき、最後には宇宙中の人々の意識が変わるくらいの変化がないと話が弱いと思います。


【アクション】

■広く浅く
・アクションはいつもどおり良かったです。信頼と実績の戦隊アクションと呼べるクオリティを保っていました。その点では何も心配いりません。

・9人なので各メンバーの出番が少なく、せっかくの武器の種類を披露する回数が少なかったのはもったいなく感じました。
大剣、爪、レイピア、ナイフ、斧、槍、鎌、銃剣、ハンドガン、ライフル、マフラー、片手剣&盾と様々な種類の武器があり、多種多様な戦い方が見られました。戦隊なのでどのメンバーでコンビネーションを繰り出すかという楽しみもあり、バリエーションの数はシリーズでも最高峰と言えたでしょう。

・その反面、当然のことながら武器一つあたりの出番は減り、ストーリー面で記述したレッド偏重主義もあってレッドの武器以外は活躍の機会が更に減りました。
これは裏を返せば「飽きずに楽しめる」とも言えるでしょう。出番が少ない分、もうこれは見飽きたと思う武器はほとんどありませんでした。出番がやたらに多いレッドですら工夫があって充分楽しめました。

■ロボなんて無かった
・ロボの影はとても薄かったです。
戦う相手自体が怪人が巨大化したもの以外に、汎用の量産型ロボや雑魚が巨大化したものがいてそちらで終わってしまうこともしばしばありました。

・そもそもストーリーに絡まないことが多めでした。
メインストーリーが進む回ほど「巨大ロボが敵を抑えている間にメンバーが内部に突入する」といった展開が多くありました。等身大の敵とも戦いに比重が置かれることが多く、巨大戦は省略しても話が成立する展開ばかりで必然的にロボの影が薄くなりました。「頼もしい!」と思える描写がない巨大ロボは無残です。

・キュウレンジャーのロボは組み換えが特徴の一つでしたが、そちらも微妙でした。
活躍するのは序盤だけで合体ロボが増えてきた2クール目以降は合体形態の前座に過ぎませんでした。戦隊ではお馴染みの光景です。今回もそこはダメでした。


【総合感想】

■毛利さんのイメージが崩れた
・これまでのライダーなどでのローテーション参加のイメージでは、派手さはないけど丁寧な話運びが毛利さんの取り柄かと思っていました。
しかし今作は「雑で退屈」という最悪の出来栄えでした。全48話中、42話とほぼ独りで書いたはずがまるで一体感のない行き当たりばったりの展開でがっかりでした。「本当は2クールの予定だったのに開始直後に4クールにされた」なんて嘘を言われても信じてしまいそうなくらい後半の展開がめちゃくちゃでした。
ラスボスのはずなのに30話頃から何度も倒されては強くもならずに復活するドンアルマゲやラッキーの父親の話の繰り返しは常軌を逸しているように見えました。私には全くあの展開の面白さが理解できませんでした。いったいどの辺りに面白さを見出したのか不思議です。

■挑戦しても成功するとは限らない
・ここまで私の感想を書き連ねてきましたがキュウレンジャーがどんな作品かは、東映公式の最終回のページに書かれたプロデューサーのメッセージを読むのが最もわかりやすいと思います。

 『9』人でスタートし、最終的には『12』人まで膨れ上がるという前代未聞の大所帯に加え、『宇宙』というかつてない壮大なフィールド。そんなスケールの大きな世界観に、本当に描き切れるのかという不安を覚えた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

それは、私たちも同じでした。
常に宇宙を語るに相応しいスケールを求め、意識しながら、試行錯誤してきました。

そんな中、スタッフ・キャストの根幹に求めたのは
これは『ナシ』だろ、ではなく、これも『アリ』かな、というスタンスでした。

最初から自分で入り口を狭めない。
実現の可能性を探らずに勝手に閉じない。
不安でも、まずは大風呂敷を広げてみる。
取捨選択するならば、その後で決めればいい。

時間も限られる中、それはある意味非効率な提案なのかもしれませんが、
必ずや個人の、そして作品の糧となりレベルアップにつながるはずだと信じて、
そう、まさに『やらない理由を探すのはやめよう』と。

これはキュウレンジャーが良く言っていた言葉であると同時に、主題歌の『LUCKYSTAR』の歌詞にもある言葉です。つまり、作品自体が目指していたことと、作品を見るであろう子供たちに伝えたかったことは、同じだったんです。伝えたいことは、自分たちで体現しなきゃ伝わらない。失敗を恐れずに、後ろを振り返らずに。そう信じて、ラッキーたちと共に冒険してきた一年間だったのではないでしょうか。

そう、大風呂敷を広げてしまったら、後はそれを実現させるためには頑張るしかないんですね。努力するしかないんです(笑) 

・そう志して挑戦したものの、実際には見事に失敗したのがキュウレンジャーという作品だと思います。スタッフが「アリ」だと思ったのは私にとってはナシでした。
キュウレンジャーを見ていて、スタッフの言ったとおりだと思えた人はそのまま見続けていいと思います。逆に違和感を感じた人は止めたほうがいいです。その印象は最後まで変わらないでしょう。

コメント

24 件のコメント :

  1. 感想お疲れ様です。

    今作は初期メンバーが9人ということもあり、今までのやり方では無理だろうから、キュウレンジャーというチーム(組織)を中心に回していくのかな?と思いきや、やったことはいつもの特定キャラ優遇+レッド偏重でしたね。そのレッドのラッキーも前作のジュウオウジャーの大和みたいに魅力的だったらまだよかったんですけど、ラッキーは見ていてイライラするキャラクターでしたし、ストーリーもラッキーが成長して物語を引っ張るのではなく、周りがラッキーを過剰に持ち上げて後押しする流ればかりで本当にうんざりしました。俺様キャラで言えば、戦隊でいうとゴーカイジャーのマーベラスとかいいお手本がいっぱいいたはずなのにどうしてこうなってしまったのか...リベリオン本部という組織の設定も話が進むにつれて死に設定と化したのも残念でした。

    またスティンガーとスコルピオの対決や、アントン博士の正体など、さんざん尺を使った割には、「えっそれで終わり?!」と肩透かしを食らう展開があまりにも多くて、最終回のドンアルマゲを何回も倒しているところを見ても尺の使い方があまりにも下手糞過ぎたと思います。後半の野球回やヨシヒコ回とかも「今そんな回やってる場合じゃないでしょ...」と思うことも多く、東映の公式サイトを見ても、制作陣だけが盛り上がればいいでしょみたいな雰囲気を感じて回が進むごとに疎外感が増していきました。

    次の作品のルパンレンジャーvsパトレンジャーも今までの戦隊にはない型破りな設定ですけど、メンバーたちが1年間を通じて成長したり、みていてワクワクするようなストーリーにしてほしいものですね。来週も感想楽しみにしてます。

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    1. >キュウレンジャーというチーム(組織)を中心に回していくのかな?と思いきや、やったことはいつもの特定キャラ優遇+レッド偏重でしたね。

      それで大丈夫なのかと心配でしたがダメでしたね…

      >リベリオン本部という組織の設定も話が進むにつれて死に設定と化したのも残念でした。

      リベリオンはわけがわからなかったですね。
      まともに活動しないから事実上壊滅状態なのかと思いきや、壊れたチャンプを直したり小太郎が研修に行ったりして健在っぷりを示す。でも各地で起きた反乱運動には特に加担しない。何が何やら理解できませんでした。

      >肩透かしを食らう展開があまりにも多くて、最終回のドンアルマゲを何回も倒しているところを見ても尺の使い方があまりにも下手糞過ぎたと思います。

      引っ張り方も落とし方も悪いのがきついですよね。
      あっさりしてるなら「はい、次」と切り替えができますし、終わり方が良ければ途中の引き伸ばしも許容できるのですが、どちらもダメでした。

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  2. かなり早い時点で「レッドとオレンジ贔屓し過ぎピンク冷遇し過ぎ」と否定的な事言われてた気がしますが、結局最後まで挽回出来ませんでしたね
    どうせ人間キャラ(非着ぐるみキャラ)しか活躍出来ない作りなら、せめて赤青黄緑桃黒みたいな定番カラーのキャラを人間キャラにしてほしかったなと未だに疑問と不満に思います

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    1. >結局最後まで挽回出来ませんでしたね

      そこは危惧したとおりの結果になってしまいました。
      5人の作品でも空気キャラが出るのでもっと増やせば空気キャラが増えるのは当たり前なんですよね。

      >せめて赤青黄緑桃黒みたいな定番カラーのキャラを人間キャラにしてほしかったなと未だに疑問と不満に思います

      私はそこに疑問を抱いたことはありません。
      色に特にこだわりがないので何色でも構いません。赤、赤、銀、オレンジ、水色という色のバランスは赤系と暗めの色が多くてあまり良くないと思いますが。最初から決めていたなら配色も全体でバランスが取れるようにしたほうが良いとは思います。

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  3. とにかくラッキーが、毎週のように理不尽に怒鳴ってる印象しかありませんでした。面白くないを越えて私には不快にすら感じました。とても、残念な作品です。これなら、おバカでハチャメチャでもニンニンジャーの方が全然好感が持てました。

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    1. >とにかくラッキーが、毎週のように理不尽に怒鳴ってる印象しかありませんでした。

      私もラッキーの言い草にはついていけませんでした。

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  4. レッド偏重主義的な物はまぁはっきり言ってしまえば今に始まった事ではないので特に言うべき所は無いのですが、兎にも角にも番組の“根幹”たる「9人の究極の救世主(の伝説)」が作中何の意味も持ち得なかったのが致命的でした。
    21話(放送時点)で冷凍睡眠から目覚めたツルギが変身したラッキー達を見て「お前ら…キュウレンジャーか!?」と言うシーンがあったので、その頃は「ツルギの過去回想で先代キュウレンジャーでも出てくるのかな?」と仄かに期待していたんですが特に触れる事も説明する事も雑誌等で後付する事も無く33話で「9人の究極の救世主の伝説=ショウが勝手に言い触らした噂」レベルに落ち着いてしまいました。おまけにその過去編を基準にしても過去に行ったキュウレンジャーは8人しかいないしオライオンを数に入れた節すら無いので整合性も何もあった物ではありません。

    追加戦士(正規の意味で)の鳳ツルギ/ホウオウソルジャーは速攻でラッキーの信徒と化していましたがそれでもまだ別行動中に他のキャラと絡んだりリーダーシップ発揮したりと個性を打ち出せてた(キュウレンジャー比)ような気はします。ホウオウソルジャー自体もアクションは頑張ってたと思いますしね。
    そういう意味ではツルギが前に立ってた22話(ラプター・スパーダと行動)・27話(ラプター・スパーダ・チャンプ・スティンガー・ショウと行動)・38話(実質ショウとセット行動)は割と普段空気気味なキャラに焦点当たってて好印象でしたし…。

    「敵」に関しては正直言って期待外れ通り越して失望すら感じました。見るからに本編で扱いきれる筈の無い「88人のカロー」はVシネ含め10人しか登場せず残り78人は44話の「ドンアルマゲの行動を知り戦意を失っている。」と言う台詞1つで強制退場。その癖何故か夏場から尺とスーツ数稼ぎのフクショーグンは出てくるわドンアルマゲはオチ含め一般怪人と大差無い扱いと言う救い様の無さです。
    ジャークマターを「宇宙全体を脅かす脅威」として描けていないので連動して反抗勢力たるリベリオンも完全に空気です。むしろ余りに空気過ぎて「枠移動によるテコ入れで途中から設定消したんですか?」と聞きたくなるレベルです。
    ↑の方も書かれていますが、Pと脚本肝煎りのスティンガーを売る為に予定変更したツケが19~21話はふんだんに出ています。本来ならば秋にスコルピオとの決着をつける(当初の予定では「12人全員共通の敵」と言う設定)予定が思い付きで兄弟対決に走った結果、ホウオウソルジャー復活回と被ってどっちにしても尺が中途半端と言うグダグダ加減を露呈しました。(普通に考えれば20話でスコルピオと決着、21話でホウオウ復活→モライマーズ艦隊一掃が妥当でしょう。)

    個人的に言えば戦隊(特に21世紀)の「キモ」は“赤”と“追加戦士”だと思っているのですがその取っ掛かりの赤が控えめに言って自己中のチンピラ程度でしか無かったのがきつかったです。
    散々暴れ回ってたスティンガーに対しては「キュータマに選ばれたんだから良い奴に決まっている!」と無条件で決めつけ反発するチャンプを「お前まだそんな事言ってるのか」と一蹴、そうかと思えばツルギに対しては「俺達を否定し、仲間を見捨てたお前をキュウレンジャーだと認めない!」と自分ルール満載です。
    作中でもそういうキャラ(=俺様ルールの番長キャラ)を通してるのかと思えば、そういった様子は無く、Pや脚本すら公式サイトで「仲間を見捨ててまでドンアルマゲを討ったツルギは間違った正義の持ち主と言えます。(意訳)」とまるで「共通見解」の様に追い打ちをかけてくるのでもう救いようがありません。
    先ほど「ツルギは個人的に好き」と書きましたが、正直に言えば「ラッキーがどうしようもなく魅力が無いのでそれに比べればまだ設定ゴリ押しでキャラ立ててる風アピールしてるツルギの方が直視できる」レベルです。
    作品の顔のレッドがこんなキャラなので当然他のキャラは薄いか滑ってるかしかなくなるのも当然の帰結なんですよね。

    個人評価としては「前後の流れを無視して1カットを切り取ればそこそこ見れるかもしれない作品」です。等身大アクションもロボ戦もシナリオもキャラも演者の演技もネットでよく叩かれてるゲキやゴセイに遠く及びません。
    Pと脚本は「過ぎたるは尚及ばざるがごとし」と言う言葉の意味を考えた方が良いと思いました。

    長文、乱文失礼しました。

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    1. >番組の“根幹”たる「9人の究極の救世主(の伝説)」が作中何の意味も持ち得なかったのが致命的でした。

      キュウレンジャーの伝説は全然意味がありませんでしたね。
      早々に9人以上に増えてしまいますし、増えたあとのフォローも満足のいくものではありませんでした。おまけに過去改変との整合性はあやふやだし、伝説なのに信じているのは主にキュウレンジャーのメンバーばかりで一般人との関係がほとんどありませんでした。想像していた要素も全然ないし作中独自の使い方も皆無で、存在感がありませんでした。

      >追加戦士(正規の意味で)の鳳ツルギ/ホウオウソルジャーは速攻でラッキーの信徒と化していましたがそれでもまだ別行動中に他のキャラと絡んだりリーダーシップ発揮したりと個性を打ち出せてた(キュウレンジャー比)ような気はします。

      メンバーでは目立っていたほうだと思います。
      ただ、結局ラッキー至上主義の世界なので「ある面ではラッキーを超える」ということが許されませんでした。どうあがいてもラッキーの下に位置するしかありません。その点ではツルギも脇役も変わりはなかったと思います。

      >まるで「共通見解」の様に追い打ちをかけてくるのでもう救いようがありません。

      スタッフとの温度差は激しかったですね。
      本編を見ているだけでもラッキー崇拝は見て取れましたが、あれほど持ち上げられると戸惑います。逆にラッキーが好きになれれば一体感があって楽しいのかもしれません。

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  5. 総評お疲れ様でした。
    自分がキュウレンジャーを一年観て抱いた印象は「ハッタリ戦隊」でした。設定の大きさ・敵の規模・戦隊の人数などは確かに歴代戦隊最大のものだったと思いますが「ただ多くて派手なだけが良いことではない」と今作を観て改めて感じました。

    せめてメンバー全員が個性とストーリーを確立しているならばまだよかったのですが、実際は半分くらいのメンバーが薄っぺらいキャラで空気だったのも残念でした。特にガルとスパーダは存在そのものがギャグと化していてギャグのために生み出されたようなキャラでガッカリでした。「こんな扱いで出すくらいなら12人もいらない」と思わせてしまうのは大人数ものとしては致命的だと思います。各メンバーに愛着が湧かないのではなく「愛着を湧かせるのが不可能」でした。ラプターや小太郎の存在も「ロボ娘や子供を出せば話題になるだろう」「人数を増やせばそれで食い付いてくれるだろう」という安直な考えが透けて見えるようでした。

    また、今作は最初からとにかくやたらと過去の作品に対して挑戦的・挑発的な作風だったのも印象的でした。番組前の宣伝動画で、「スーパー戦隊は長きにわたる伝統を自ら打ち破り」という文句があったのが未だに忘れられません。地球が征服されている中でのスタートという今までにない形も、前年のジュウオウジャーと真逆の作風だったので期待より「なんでそんなショッキングなところから…?」という戸惑いが先にありました。その戸惑いを魅力的なキャラと良い脚本で払拭してくれることを期待していたのですが、キャラは既に述べたとおり愛着が湧かず脚本も明るいのか暗いのかよく分からずイマイチでした。

    「苛烈な雰囲気と独自の理論を展開し、常に自信に満ちていて仲間内の評価も高いけれど、信頼の目で見ることはできない」という、ラッキーに対する印象がそのままキュウレンジャーという作品自体の印象にダブりました。そういう面も含めてハッタリ戦隊と呼びたいです。

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    1. >「こんな扱いで出すくらいなら12人もいらない」と思わせてしまうのは大人数ものとしては致命的だと思います

      そうですね。あれなら1話限りのゲストキャラのほうがマシなくらいでした。

      >地球が征服されている中でのスタートという今までにない形も、前年のジュウオウジャーと真逆の作風だったので期待より「なんでそんなショッキングなところから…?」という戸惑いが先にありました。

      私はそこには特に何も感じませんでした。
      バトルものではレジスタンスものは珍しくないと思っていますので。「どうせそこを掘り下げる気はないだろう」と形骸化を見越していたのもありますが。

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  6. サブ参加ではいい仕事をしてくれるけど、メインを張ると駄目になるライターさんはしばしばいますが、毛利さんもその手のタイプだったと結論付けしていいのでしょうかね。初のシリーズ構成にしてはいろいろ重荷となる要素が多過ぎたと私は思っているのですが…

    いずれにせよ、戦隊の脚本家陣もまだまだ世代交代は道半ばですし、毛利さんにはこの経験を活かしていつか再チャレンジして欲しいと願っています。流石にここで切り捨ててしまうのは惜しいです。

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    1. >毛利さんもその手のタイプだったと結論付けしていいのでしょうかね。

      結論の出し方は人それぞれだと思います。
      私にとっては「キュウレンジャーはダメだった」でしかありません。挽回できるかもしれませんし、次のチャンスが無いまま終わるかもしれません。それは今後次第です。

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  7. ラッキーは魅力がないを通り越して、個人的には「これまでに見たレッドの中で最低最悪」でしたが、他のキャラについても、人数の多さと一部のキャラ偏重による一人一人にかける時間のなさが、単なる雑さにとどまらず、キャラ達の情けなさ、冷酷さ、無神経さ、無責任さ等、ネガティブなキャラ描写として成立してしまうことがしばしばあってきつかったです。
    例えば歴史改変で死んでしまったオライオンを知らないと言ったエリスに全員無反応だったり、地球がもうすぐ爆発する時にくじで選ばれないという理由だけでただ見ているだけの留守番メンバー(しかも直後にオリオン号が見かねて自分を犠牲にして救う)、ペガサスに「これまであったことを教えてくれ」と言われて楽しそうにメンバーついかやパワーアップのことだけ語り、オライオンやオリオン号、ラッキーの父等、自分たちのために命を捨ててくれた者を忘れたかのような態度など。
    毛利さんには「初メインなのにいきなり大人数を任せて、しかも書かせ過ぎ」と同情もしていたのですが、望月Pのインタビューによれば毛利さんが書きたがったとのことで、また上記のようなキャラのあまりよろしくない描写は書く側の感性感覚にもよるのかと思うと、見る目が厳しくなってしまった感じはします。また、度重なる身内の闇落ち等似たような展開の繰り返しには引き出しの少なさも感じました。

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    1. >単なる雑さにとどまらず、キャラ達の情けなさ、冷酷さ、無神経さ、無責任さ等、ネガティブなキャラ描写として成立してしまうことがしばしばあってきつかったです。

      棒立ちや指示待ちは良くなかったですね。
      キュウレンジャーに限らず起こることですが、キュウレンジャーの場合はメンバーの人数が多い上に中心になる人物がラッキーばかりなので余計に目立ちます。

      >度重なる身内の闇落ち等似たような展開の繰り返しには引き出しの少なさも感じました。

      繰り返しに物語上の意義があるならいいのですが、特に感じられませんでした。
      同じ悪堕ち仲間であるクエルボとナーガの会話もありませんでしたし、力のために身を投げ出したことのあるスティンガーも何もありませんでした。繰り返しの悪い側面ばかりが出ていたのは単純に良くないと思います。

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  8. 仮面ライダー鎧武でも主人公贔屓を強いられて虚淵さんが頭を抱えたらしいですが、最近は主人公を優遇した展開にしないと人気が出ないと上の人は判断しているんでしょうかねえ
    この傾向によって不自然に感じる展開になる事も多いので、出来れば考えを改めるか、せめてもう少しマイルドにしてほしいところですけどね…

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    1. ライダーと戦隊では事情が異なると思います。ストーリーの傾向も個人と集団で真逆だと思いますし。

      私の意見としてはレッドが主役である以上目立たせるのは当然の方向性であり、それ自体は構わないと思っています。
      ただ、そうするならばレッドと他のメンバーの関係をどうするのか、集団を意味する「戦隊」という用語とどう折り合いをつけるのか。その工夫が問われると思います。
      たとえばシンケンジャーはレッド偏重でしたが、侍をモチーフにしてレッドが殿様で他のメンバーは家臣という構図にして理由付けを行ってありました。
      ストーリーに落とし込む工夫を凝らし、かつ飽きさせないだけのバリエーションを作れるなら問題ないと思います。

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  9. アクションが良かった!とかならまだ救いはあったんですが、肝心のアクションはスーツの仕様変更(ライダーと同じプロテクター方式)で動きのキレは無くなり、大体セイザブラスター撃ってるだけって言う淡白さ。
    ロボ戦も初期は天秤+蛇脚でキック技したり、カジキ+鷲でアーチェリーっぽくしたりと頑張ってはいたんですが、ネタが尽きたのかすぐに良く分からんビーム撃って終わるのばかり…。

    振り返ってみると本当印象的な戦闘シーンないですね…。ギリ覚えてるのが21話のホウオウソルジャーの一連のシーンって位に…。

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    1. >ロボ戦も初期は天秤+蛇脚でキック技したり、カジキ+鷲でアーチェリーっぽくしたりと頑張ってはいたんですが、ネタが尽きたのかすぐに良く分からんビーム撃って終わるのばかり…。

      初期は普通だったんですけどね。二体合体を始めた辺りからはギミックもアクションも全然冴えませんでした。

      >振り返ってみると本当印象的な戦闘シーンないですね…。

      すごく良いという評価ではありませんが、私はそんなに悪いわけでもないと思っています。
      コグマスカイブルーのマフラーやスティンガーとチャンプのコンビネーションなど面白いものもあったと思います。

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  10. 私はどうしてもラッキーに感情移入できませんでした。
    人数が多くレッドが熱血漢で着ぐるみが多い戦隊と言うとキョウリュウジャーを思い出しましたが、あちらは個人的に人数が多くても本作より活かされておりメンバー全員が魅力的に思えたのに対し、本作は「人数が多すぎる上に掘り下げも出来ていない為魅力も感じない」と最悪でした。
    私はチャンプとラプターが好きだったのですが、あまり活躍しないのが残念でした。チャンプが急にスティンガーを相棒呼ばわりしたのも引っかかっていますし、スコルピオの改心も不快感が極まりなかったです。スコルピオが何回も出て唐突に改心した辺りから視聴する気がすっかり失せてしまい、遂には視聴を辞めてしまいました。ここ数年では初めてな気がします。
    敵もイカーゲン以外は皆弱そうな外見&身内ネタ、復活展開過多という見飽きるほどの構成でうんざりしました。

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    1. >私はチャンプとラプターが好きだったのですが、あまり活躍しないのが残念でした。

      その2人は最後までパッとしないままでした。
      チャンプはアントン博士の話で数話使ったメイン回があったはずなのにダメでした。

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  11. 初期メンバーが9人もいるのに追加戦士は必要だろうか?と考えませんでしたか? 9人の中に追加戦士が3人入った時、どんな気持ちでしたか?

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    1. 各話感想に書いてあると思うのでそちらを先にご覧ください。

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  12. ラッキーが王子と判明する辺りで脱落してましたが、完走お疲れ様でした。

    完全に足かせにしかなっていない史上最多のメンバー、これまた歴代最大規模な割にちっとも強さや魅力を感じられない悪役、無駄に多い上販促もロクにできてないコレクションアイテム、SFを標榜する割に想像力と表現力がお粗末極まりない舞台設定、メインライター担当回に限って整合性がガタガタな脚本、笑えない通り越して倫理観を疑うようなギャグ描写、身内だけで盛り上がってる感ありありの製作日誌、事務所の都合かと疑いたくなるスティンガー…というか岸洋佑推し
    色々と突っ込みたいところは大量にありますが、やはり他の方も仰ってる「主人公として欠片も魅力が感じられない、むしろ戦隊史上最低レベルなレッドのラッキーヨイショ」が一番キツかったです。何この男版メアリー・スー。

    記事中にも触れられてますが「一人ひとりがスーパースター!」がキャッチなのに、本当に何で「スーパースター!シシレッド」なんだろう?
    無難に「ラッキースター!シシレッド」じゃ駄目だったのか?
    というかラッキーが名前で口癖が「よっしゃラッキー!」って正直「事あるごとに自分の名前を大声で連呼してる馬鹿」にしか見えなかったです。

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    1. ラッキーは最後まで特に変わりませんでした。好感を持てないと話についていけないことも変わりませんでした。

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