『HUGっと!プリキュア』2クール目終了時点での感想

2018年7月19日
・ハグプリについての24話終了時点での感想です。

■ルールー&エミル編
・2クール目は実質的に追加戦士二人であるルールー&エミルのお話でした。
二人とも自分の目標に向かって意欲的に動いた結果、プリキュアになる夢を叶えていて爽やなサクセスストーリーでした。明確に目標を立てて確固たる成果を上げている分だけ初期三人よりも活動的で魅力があります。
マシェリとアムールのデザインは衣装が派手で化粧と釣り合っていて初期三人よりも断然綺麗だと思います。

・ストーリー全体としては初期メンバーの関わりが全然無いことが気になりました。
ルールーとエミルの二人に限定すると初期メンバーは関係ないから問題ないんですが、作品全体にとっては接点を作らなくて問題ないのだろうかと不安を感じました。
二人との関わりがないだけならともかく初期メンバーに進展がないことはもっと不安です。無為に時間が空いた結果、「ハナは『何かになりたい』と思っているだけで自分からは何もしない」という怠惰な印象が芽生えてきました。サアヤとホマレは地道な下積みが必要な分野でありブランクがありますから地味ですがそれで理由を付けられないこともありません。いきなり大会だの大きなイベントに臨むのも調子が良すぎますからね。しかしハナは弁解の余地が見あたりません。ここしばらくはお得意の”応援”すらあまりしていませんので。成果が挙がらないのはともかく行動すらないのでは困ります。
現状だとなまじルールーとエミルの株が上がった分、「二人はプリキュア」どころか、もう”二人がプリキュア”(他は要らない)でいいんじゃないかなと思えてくることがあります。しかし二人ともプリキュアの追加戦士でよくある「仲間になった時点で大半のドラマが終わっていて、加入後は特にドラマがない」ポジションになりそうな気配も感じます。頭角を現しているルールーとエミルは伸びしろが怪しく、初期メンバーは順調に株を落としている状況が不安です。

■育児なんて無かった
・タイトルにも関連していますし、1クール目では”育児”要素も力を入れていくのかなと思っていましたがそんなことはありませんでした。
いつもどおり販促の切れ目が縁の切れ目でした。ハグタンなんてどこ吹く風で、もうよくて「ハリーの子供」、下手すると「愛玩用のペット」でしかありません。プリキュアシリーズではよくあることですが、ハグプリもやっぱりダメだったみたいです。

■切り捨ててはいけなかったのでは?
・1クール目でも名ばかりだった”お仕事”要素は2クール目では更に空気度を深めていました。
プロのファッションショーの舞台の飾り付けを素人の中学生たちが任せられるなど常軌を逸した光景が平然と行われているほどでした。仕事舐めんなとしか言いようがありません。真面目に受け止めるとセミプロであるのにそんなことをするホマレやサアヤの人格が怪しく思えてきます。

・お仕事要素の扱いの雑さ自体は以前と大差ないのですが、ここまでの話の流れを踏まえると想像以上に問題なのではないかと思えてきました。
2クールの節目だったであろう23話ではハナが重要な存在であるかのように描かれていました。ストーリー全体の構図から考えても敵の思想が「停滞の下での秩序」であるようなので、今は何も持たないが可能性だけはあるハナは他のプリキュアよりもカウンターになりえる存在だと思われます。
これならなおのことお仕事要素は切り捨ててはいけなかったのではないかと疑念を深めています。特に具体的な目標や夢はないが何かをしたいと漠然とした願いを持っているハナという人物を描くならば様々なことを広く浅く体験できるお仕事体験はうってつけの材料だと思います。それがなぜ無用なノルマ扱いになっているのでしょう。ハナの話にスポットがあたる度にストーリー全体の構成への疑問が増す一方です。

■本末転倒
・ヒーローものや自己実現を目指す魔法少女ものとしては敵ではなくヒーローのほうにスポットライトがあてられるのが当然だと思います。
しかしハグプリの場合はヒーローが解決すべき課題や困難のほうにばかり焦点があてられているように感じる部分があります。エミルの兄や2クール目のやられ役幹部のパップル、それにハナのいじめ(?)の過去など壁として立ちはだかる内容の描写は多い一方、それを解決するプリキュアたちの心境や説得の裏打ちになる描写は少ないと思います。課題と解決法のバランスが釣り合っていないので見ていて「これだけ根深い問題がこんなあっさり片付くの?」と違和感を感じる場面が少なくありません。私は問題を丁寧に描くよりもどうやって解決するのか、何にどう取り組んだのかを描くほうがドラマでは重要だと思います。「プリキュア」が主役であるならばなおさらです。

■主役はハリー?
・今のところお話の方向性が全然見えてきません。一度俯瞰的に考えてみようかと要素や印象を整理してみたところ、「主役はハリーなのではないか?」という考えが浮かんできました。
味方サイドで世界観に深く関わっているのは誰かというとハリーはクライアス社の事情通であり訳あり(脱走者)っぽいですし、主要要素である育児もお仕事もお手本を務めています。世界を取り巻く状況に対して葛藤を感じているのもハリーでドラマ面でも一番濃い感じがします。消去法で考えていたらプリキュアを差し置いてハリーが主役らしく見えてきました。かなり馬鹿げた考えなので杞憂であることを願います。

■アクション
・どんどん簡略化が進んでいて残念です。適当に格闘して説教し始めて必殺技ドーンというプリキュアお決まりのダメなパターンが増えています。時間も短く、クオリティもいまいちなので良いところがありません。バトルのシーンが日常よりも退屈なのは問題だと思います。

・幹部戦のバトルの流れが壊滅的なことが気になりました。
「戦う→劣勢→反撃」まではよくあるパターンなのですが、ハグプリの場合はこの後に「反撃→説得→話がついた後に必殺技」という流れが入ります。説得が終わった時点で話としては一段落しているので、その後にわざわざ必殺技を撃っても後片付けとしか言いようのない状況で気持ちの持っていきようがありません。


■2クール目時点での全体感想
・1クール時点で感じた悪い予感の方向に向かっているように感じます。
お仕事や育児にバトルなど各要素の放り投げ具合は悪化の一途です。
初期メンバー三人は変化に乏しく話が動きません。特にハナは深刻で、願望が抽象的なため無為に時間を過ごすほど本人のやる気が疑われていきます。取り巻く状況は進展しているのにハナはろくに進めていません。そこに追加戦士二人がドラマ面で躍進してしまったので三人にとっては完全に向かい風です。ルールーとエミルを越えないとドラマとしては二人に比べて貧相に思われ、成果をやりすぎるとここまで時間をかけたのに結局ご都合主義かと思われかねません。だいぶ状況が詰んできている気がします。果たして活路はあるのでしょうか?

・時間をかけたわりに、という点では悪役側もそんな印象になりつつあります。
最初からいた幹部はろくなドラマもないまま使い捨てられ 、新幹部がぞろぞろと出てきました。しかし最初の幹部があの扱いだったので新幹部もどうせ雑なドラマで使い捨てられて終わりかと思うと期待できません。
ハナたちが幹部たちに対して「救いたい」とか、あるいは「憎い」とか思ったことがないので関係性が生まれないんですよね。ハナたちにとってはただの”かわいそうな人”で、巻き込まれて怪人に使われた一般人Aと本質的には大差ありません。そんな敵と決着をつけても達成感はありません。
悪役側の中で機能しているならまだ意義がなくはないのですがそれも怪しいです。上層部はプリキュアたちが勝っても「希望が大きくなるほど絶望が深まる」とそれはそれで歓迎しているようです。敵幹部の勝ちも負けも計画のうちで波乱がなく、プリキュア側もいくらやっても対処療法となっていて、勝っても負けても甲斐がなくて楽しみがありません。これだけ時間をかけてやるならもっと敵幹部とプリキュアに関係性を築いたり、敵幹部内で波風を立ててほしいです。


コメント

4 件のコメント :

  1. 九衛門ファン2018年7月22日 16:07

    私はお仕事というよりはお手伝いの延長みたいなものなのかなと思っています。ファッションショーの舞台の飾りつけは人手不足だったのか、大人がやるとキレイなものができるけど、中学生達がやると斬新なものができることもあるかもしれないとリタが任せたというのならある程度の納得はできるのではないかと思います。えみるとルールーは魅力的で非常に良く好きなキャラなのですが、やはりさあやとほまれが割を食っている感はありますね。まだ中盤なので今後巻き返してほしいものですが……アクションは簡略化が進んでいると私も思います。第23話の最大のピンチ回などはタイトルの割にアクション面でのピンチ描写が無いなと思ってしまったり。同じ川村さんデザインの5とスマイルの23話と比較しても絶望感は薄かったように思いました。クライアス社も描写が少ないので今後もあまり深いドラマは書かない方針なのかもしれませんね。まほプリの終わりなき混沌よりかは扱いは良いとは思いますが……とりあえず個人的には3クール目まで様子を見てみようかなと思っています。3クール目の感想も楽しみにしています!

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    1. >私はお仕事というよりはお手伝いの延長みたいなものなのかなと思っています。

      実態から判断するならお手伝いと呼ぶほうが妥当だと思います。しかし公式に”お仕事”と名乗っている以上はアルバイト程度には扱うのが当然だと思います。そしてそこには一定の責任を伴うことも当然だと思います。そんなこと素人に頼むなよと思う案件もあるので必ずしもハナたちが悪いとは限りませんが。

      >中学生達がやると斬新なものができることもあるかもしれないとリタが任せたというのならある程度の納得はできるのではないかと思います。

      私は頼むこと自体が常軌を逸していると思います。
      あのデザイナーはスランプになったら保育園に苦情を入れるほど仕事に何かしらの思い入れがある人物のはずです。そんな人が実力も見ないで素人に任せるはずがありません。新人起用なら実績のないアシスタントや芸大の学生などもっと可能性の高い人材はいくらでもいると思います。かなりの有名デザイナーのようですから声をかえれば乗ってくる人には困らないでしょう。ハナたちの芸術センスに何かを感じ取ったわけでもありませんし、明らかに異常だと思います。
      妥当に行きたいなら「学生主催or町の催し物にあのデザイナーが協力してくれた(浄化の影響で寛容になったから)」とでもしておけば済んだ話だと思います。

      >クライアス社も描写が少ないので今後もあまり深いドラマは書かない方針なのかもしれませんね。

      そういう方針であると考えるのも現状に肯定的に捉えるなら有りだと思います。
      私はそれならそれでもっと1話1話を楽しく盛り上げていって然るべきだと思うので疑問ですが。

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  2. こんにちは。
    「育児」と「仕事」の両立は無理だろうけど片方は流石にしっかりやるだろ…などと思っていたんですが、なんとビックリ両方とも残りませんでした。
    キーキャラのはぐたんに至っては、画面外で勝手に健やかに成長なさっているので「愛玩動物」と言うよりは昔懐かし「愛玩ロボット犬」的な扱いですね。
    2クール目を見るに、今作のコンセプトだったはずの「子供(はぐたん)を守る母親でもあるプリキュア」は軌道修正して「プリキュアである子供を守るプリキュアの母親」の話になったんですかね?

    追加戦士がアンドロイドと小学生のセット売りでなおかつ“アイドルプリキュア”なのはまぁいいんですが、困った事にこの二人はプリキュアになる前もなった後も「お互いが大好き」で関係性が完結しちゃってるんで人間関係の拡張要素が全く無いんですよね。
    初期3人は、「まったく成長が無い(はな)」or「表層的な記号だけがどんどん盛られる(さあや・ほまれ)」でもうキャラとしての広がりは絶望的ですし残り半年どうするんでしょ。
    いっそ秋口に勝手に育ちきったはぐたんが中学生態にでもなって無理矢理独立させる位した方が多少は波風建つかも…なんて思っちゃう程度にはプリキュア側のキャラは壊滅的です。

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      現状だと行き詰まっている感じが強いですね。
      このまま「あれもこれもやってどんどん広げていくと思ったら、最初に提示された一つの要素で全部だった」というよくあるパターンの一つで終わってしまうんでしょうかね。

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