ファントム覚醒『クロスボーンガンダム ゴースト 4巻』:感想

2013年8月22日

『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』の4巻
を読みました。
実質的には3巻と4巻合わせて一つなので、4巻をいきなり読み始めるとフォントの決心が唐突に見えてしまいます。4巻を読む前に3巻を読み直しておくと展開にスムーズについていけると思います。

機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト -4 (カドカワコミックス・エース)
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(2013/06/24)
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■ファントム覚醒
・4巻でついに主役機のファントムが本格始動しました。
全身から炎をたなびかせる姿はとてもガンダムには見えません。ですが、動きに合わせてなびく炎はケレン味溢れて、かなりかっこいいです! 動く方向に合わせて炎の方向が変わっていて、本当に迫ってくるような躍動感があります。長谷川先生の動きを重視した絵とマッチしていて、ガンダムとは異なるヒロイックなかっこよさを見せてくれます。

■ロボットを動かすもの

・ストーリー重視の3巻とは対照的に、4巻はほぼ戦闘のみの構成となっています。
それでも4巻の一番の見せ場は戦闘ではなく、主人公フォントの覚醒にファントムが呼応するシーンだと思います。

・機能不全で停止した機体の中で絶望に駆られるフォント。逆境の中でも勇気を振り絞る子供の姿に触発され、自分の中にあったおぼろげな正義を握り締めてレバーを握る。その気持ちに応えるように再起動し咆哮するファントム。
奇跡のようなファンタジーではなく、フォントは再起動が完了していることを確認した上でレバーを握っているあたりがロボットものという感じがします。あくまでなるべくしてなったことですが、動かしたのは紛れも無くフォントの心です。
3巻のコロニー潜入から始まった一連の流れのラストカットのファントムの姿もそういう意味だと思います。Iフィールドでみんなを守り、両手を突き出した姿勢のまま静止している機体。戦えたのは機体のおかげです。しかし結果をもたらしたのは、そこにいた少年だった。歓声の向けられる先がそれを如実に表しています。これぞ搭乗型ロボットものですね。

■F99+アマクサ=ファントム
・機体の設計思想はF99のミノフスキードライブを無理にでも再現しようとしたものだそうです。
説明書きからするとVガンダムが作られる以前からプロジェクトは進められてた感じがします。たださすがにミノフスキードライブを制御できないのを、全身のIフィールドで強引に制御するという設定は無理があり過ぎだと思います。最長15分でも、全身Iフィールドが使えたらみんな搭載してるでしょう。Iフィールドで捻じ曲げてビームシールドを無効化するフレイムソードも似たり寄ったりです。星屑並みのオーバースペックです。

・でも個人的にはこの発想嫌いじゃありません。
というのも確かに既存のガンダムシリーズの設定から考えると無茶苦茶ですが、見方を変えれば良い解釈だと思うからです。だって実際に漫画読んでて面白いんですもの。それが何より重要なことです。

・思うに「全身から炎を吹き出す機体、炎のような刀身を持つビームサーベル、時間制限付きの強さ」そういう機体を出したい!という思いから始まったのでしょう。それを後からガンダムの世界観に沿うように設定を付けたから歪になったのでしょう。
設定に拘らずに面白いものを作ろうとする姿勢は正しいと思います。そう考えれば、一応の理由付けができただけ上々だと思います。

■武装
・ファントムの武装が気になります。
クロスボーンシリーズはアンカーや足のナイフといったギミックが魅力的でしたが、ファントムは今のところIフィールドとフレイムソードしか武装がありません。追加しようにもビーム系武器は出力的に厳しいでしょうし、実体武器は機体から発生する高熱が問題になりそうです。このあたりは本家Vガンに合わせて、形状の変わる炎を活用して見せ場を作るんでしょうかね?

ファントムの見た目と設定や一騎当千のスーパーロボット的活躍と、表面的にはガンダムからかなりかけ離れて、ほぼ長谷川先生オリジナルとなりつつあります。長谷川先生のテイストが苦手な人には厳しいかもしれません。ですが戦争という状況下での群像劇という点はブレていません。
次巻の舞台はジャブローになる模様。ガンダムと長谷川先生オリジナル、どちらに振れるのか、次巻で結論が出るでしょう。

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