学術的ケモノ愛 『セントールの悩み』2巻:感想

2012年12月10日
『セントールの悩み』の2巻を読みました。
セントールの悩み (2) リュウコミックスセントールの悩み (2) リュウコミックス
(2012/02/13)
村山 慶

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■あらすじ
・ちっちゃな子多めで、ついでに保護者も多めと俺得な絵柄です。作者が動物好きだからか、子供書くのはすごい上手です。ちっちゃくてほわほわしてるけど、ちょこまか動いて落ち着きのない感じがして健康的な可愛さがあります。

・2巻目は連載していた雑誌の一時休載(よくある休載という名の廃刊ではありません。)のせいか、コミックリュウ以外に同社発行のケモノアンソロジーやWEB版、果ては作者の同人誌までいろいろより合わせて作られています。
そこを考慮に入れて読まないと1話ごとの内容の落差に面食らうと思います。

【各話感想】

■第5話
・いきなりクライマックス! ヒロインの従姉妹のケンタウロス幼女、紫乃ちゃん初登場。個人的にはそのお母さんのほうが好きですが。2巻は全部で160ページなのに、この5話だけで50ページ近くも使ってる気合の入れよう!
・委員長の三つ子姉妹も登場します。耳と尻尾つきの猫幼女でこれまた可愛い。個人的には3女の千奈美ちゃんが良いです。前髪は降ろして、後ろはショートポニーテールな髪型がちょっと大人びてて可愛い。ああいう、女性らしさと活動的な感じが両方する髪型好きです。
全体を通して、子供の無邪気なすきすきオーラが出てて癒されます。

・お気に入りのシーンは、委員長が逃げまわる三つ子を捕まえるシーン。首の後を捕まえられて、ちょっとアゴを垂らす感じにダラーっとした感じが実に猫っぽい。全体に伸びてるようでちょっと丸まってるところがすごいリアルです。

■セントールの秘密
・歴史の授業の形を借りた世界観のお話。同人誌らしく設定みっちりで人を選ぶ内容です。
なるほど。と思ったのはセントールの悩みの世界は、6本肢が主流という設定。天使の羽もケンタウロスの四つ足も人魚のヒレもそれで説明がつくわけですね。作者さんのツイッターを見ていても、よく動物の生態や形状の話が出てきます。異種交配を物理的に可能にするために、ファンタジーに逃げずにこういう設定を考えたんでしょうね。

■第6話
・これも同人誌から、女の子らしい髪型談義から各種族の生態について広げていきます。天使の輪が髪の毛だったとは思いませんでした。6本肢では説明がつかない角も髪の毛なのかな? 硬そうなサイの角も髪の毛だと言いますし、そうなのかもしれません。

■第7話
・ついに登場、人魚回!
人魚は基本的に美形で巨乳っていう開き直り方がステキです。でも大きいと水棲生物としてはどうなのかなと思いますが、きっと作者さんもどっちを優先するか迷ったんでしょうね。想像に固くありません。

・個人的にはキョーコ回ですが、細目と冬は相性良好。姫に寄りかかる前のコマが良いですね。細目のままだけど、おそらく目を見開いてるであろうと思えるのがなんか良いです。

■第8話
・馬だけに流鏑馬のお話。のはずが強盗犯や殺人犯が出てきて戸惑いました。
それまでも軍国主義っぽいシーンがちらほら隅っこに写ってたり、ちょっと不安になります。

■人面犬の恐怖
・これは完全に世界観が別物な短編です。普通に人間出てきますからね。
タイトルの通り、頭が人な人面犬のお話。と見せかけて実は…
愛くるしい犬と、犬に服を楽しそうに着せてる飼い主が写ってるタイトルカットの時点で「どこが恐怖?」と思ってしまいます。それも作者の予想通り、人面犬の意味するところがわかったとき思わず恐いと感じるのが上手いですね。

【感想】
可愛い子供多めでマイルドな売れ線路線な感じなので、ケモノ好きじゃない人にとっては1巻より読みやすいかも。ケモナーは設定周りで感心させられます。
残念ながら寄せ集めなのでチグハグした感じは否めません。単行本として一本筋が通ってない感じで、短篇集と思ったほうが良いと思います。

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