『爆上戦隊ブンブンジャー』 最終回「君のハンドル」:感想
■全体的に盛り上がれなかった
・前回の逆転劇の時点でスタッフと感覚が合ってないなと感じていたのですが、やっぱり最終回も特に盛り上がれないまま終わってしまいました。
・アクションはグランツ戦は良かったです。
大也の武器を託されてのブルーの二刀流が決まってました。
・ラスボスのはずのスピンドー戦がイベント扱いで実質無かったのは物足りませんでした。
ここ10話くらいまともに勝てるバトルが少なかったので余計に物足りなさが強いです。最後はバトルでスカっと!というわけにも行かず消化不良感が余計に強まりました。
■グランツ
・グランツの話は特にピンと来なかったです。
なんか射士郎との対比で「射士郎は自分で考えた上で大也を信じていて、グランツは盲信してるだけで自分のハンドルを握れてない」みたいに言われていて個人的には飲み込めませんでした。
前回もスピンドーが動けなくなったところで自分から助けていましたし、普通に自分の意思で動いているように私には見えました。個人的にはグランツと射士郎に大きな違いがあるようには見えませんでした。
あれをやるなら前回のスピンドーの救出も何もかもスピンドーの指示待ちで「グラーンツ!」って言われないと動かないキャラにすべきだったと思います。
スクラップだったグランツは
スピンドーのカリスマ性に魅せられ忠誠を誓った。
ここまでならシャーシロと大也の出会いに
近いものがありますが、決定的な違いがあります。
それは、シャーシロは決して大也に
忠誠は誓っていないということ。
信頼するに足る男の夢に共鳴し、
自らも自身のハンドルを握った上で
その夢に相乗りしただけ。
しかし、グランツはスピンドーを盲信してしまった。
その男がやっていることが
同乗するに値するのか、見る目を失ってしまった。
もちろん同乗するに値すると思っていた可能性もあります。
忠義を尽くすこと自体に美学を見出す人もいるかもしれません。
でもきっと、正義ってそういうもんなのかも。
・東映公式ページによるとスタッフ的にこういう話だったようです。
概ね私の理解は合っていたようです。その上で納得がいかない、ピースが足りてないと思うと私が感じた部分は変わりませんでした。
信じてる相手がやっていることがどうこうという点が重要なら、
グランツはスピンドーに対して「よろしいのですか?」とスピンドーの行動に対して確認することが多かったり、
「今すぐブンブンジャーを叩き潰すべきです。私にご命令ください」→その必要はないとスピンドーに却下されて不服そうだが従うグランツ。
みたいに「スピンドーの言動にグランツは内心正しくないと感じることがあるけれど盲信してるから従い続けてます」と見て取れる場面を入れておく必要があったと思います。
■スピンドー
・掃き溜め出身であることが語られました。
流れからすると「子供大也の隣室の子供のように他者に救われなかった”悲鳴を上げていた者”が自己救済で成り上がって他人の悲鳴を食い物にする側に回った存在」だったようです。
・個人的には「…それで?」という印象です。
部分的には理解できたと思いますけど、大也の思想や世界情勢と同じように断片的なイメージしか掴めていないので具体的に何がどうなってどうすればいいのか考える材料は足りていないように感じました。
たとえばスピンドーの「他人のギャーソリンに頼った命のつなぎ方」は「自分のハンドルを握っている」のか手放しているのかどっちに該当するんでしょう? そういうところすら判断がつきません。
スピンドー自体の捉え方も「救われなかった存在の怨念の集合体であり、世界を支配した後も被害者を増やし続ける負の連鎖の象徴」と見るべきなのか、虐げられた側ではあるがあくまで卓越した実力を持った個人として捉えるべきなのか、判断がつきません。
ブンブンを誘ったのがブンブンが勝手に落ちぶれた後だったなら「手法や被害は別にして、一面的には下で虐げられて悲鳴を上げている人々を救ってまわっていたアナザー大也」と見ることも可能だったんですけど、ブンブンのライセンス剥奪自体がスピンドーが仕組んだことなんですよね…
・スピンドー関連だと大也がスピンドーにも手を差し伸ばすところは良かったです。
救うべき悲鳴を上げている存在ではありますからね。法の裁きを受けさせることは変わらなくても手を差し伸べるかどうかは大きな違いだと思います。
スピンドーの最後の選択を否定しないところも同様に良かったです。
・個人的にはやるんだったら、こういう善性や行動の部分に焦点を当てたほうが良かったんじゃないかと思います。
暗い方面やリアリティを追求しても「万能の答えなんてありません」で終わって問題提起の意義が薄いと思います。
この辺は冨岡さんの露悪的とも言える悪い癖が出てしまったなぁという印象です。
■ブンブン復活
・これはダメだろうなと思っていましたが、やっぱり全然ピンと来ませんでした。
スピンドーが回復するほどに悲鳴が上がり続けている状況でなぜブンブンが復活できるほどのエネルギーが集まったのか納得できませんでした。愚かな民衆描写をしておいて民衆の支持で力が生まれると言われても説得力が低いです。
善エネルギーの発生源を子供中心の描写にしてるから余計に説得力がなかったです。子供の意思だけで世界が救えるなら子供時代の大也がもう世界を救ってるはずです。
ブンブン復活が前提で話が回っていて、他の要素とのリアリティラインや説得力が違い過ぎました。「カラーが違う」と言えるくらいに異物感が強かったです。
■先生
・本人曰く「魔が差した」だそうで最後まで反応に困る人物でした。
魔が差したと言われても昔の姿を知らないので本当にそうなのか判断できません。場合によっては「こいつ、刑務所に入れられてもまだ自分が悪いと思ってねぇぞ!」と呆れるべき場面という可能性もあり得ますからね。
やっぱりちゃんと先生と大也の過去エピソードを入れておいたほうが良かったんじゃないかなと思いました。よく知らない相手の知らない話をされても反応しようがありません。
■空気のまま終わったBBG
・BBGはとても中途半端な扱いのままでした。
「BBGに出場だ!…の前に宇宙中を救って回るぞ!」という話になったときは、このままBBGはフェードアウトして終わりかなと思いましたが、最後の最後になぜか出走してる場面が出てきて戸惑いました。要るんですか、これ?
・2クール目まで経っても音沙汰なしの時点で実際に走ることは無さそうだなと覚悟していましたが、どっちにも煮え切らない態度のまま最後までふらふらしてた印象です。
走らないなら走らないでいいですけど、その割には時間を割いてて中途半端でした。ブンブンの夢がそれだけ大切なのかと思ったら大也の目標自体は世界中の人々を救うことだと終盤に明言されてBBGがノイズになる一方でした。
BBGに関しては明確に「無い方が良かった」と思いました。
■先斗
・元々BBGに出走する予定はないけどどうするんだろう? ビュンディーと一緒にライバルチームとして出走するのかな?
なんて思ってたら、急に「大也の意思を託されて、地球の世界中の子どもたちを救う活動を引き継ぐ」ことになってました。
…それ自体は構わないんですけど急で戸惑いました。
先斗は虐げられた側だったので救う側になることに不思議はありません。しかしなぜ今になってからなのか、そこがよくわかりませんでした。
大也を認める展開自体は中盤までにもう終わってると思うんですよね。斜に構えた態度は表向きは変わりませんでしたが、そこにこだわるなら最後まで特に変わるきっかけは無かったと思います。希望のエネルギーが集まってくるところでも特に反応ありませんでしたし。
大也側も不可解です。そうする気があるならもっと早く提案してると思うんですよね。大也は先斗の態度なんて気にしないでしょう。「君のその虐げられた側の怒りは本物だ。その気持ちを子供たちを助けることに使ってみないか?」なんて誘ってても何も不思議はないと思います。大也は自分の手柄になんてこだわらないからお金だけ出して活動内容は先斗に任せることになっても何も気にしないでしょう。
無難な展開なのに納得のいかない部分が多くて、いろんな意味で戸惑いました。
最終回自体の感想はこれくらいにしておきます。
全体の印象を今まとめると
「戦隊の持ち味は活かせているが、ブンブンジャー独自の面白さを出すことに失敗した」
という印象です。
全体の感想は改めて別の記事で書くつもりです。詳しくはそちらで書きます。
結局、ブンドリオ甦ったのも声援パワー吸収も王女のペンダントのおかげなんですよね…
返信削除スピンドーが弱体化し自分が負けた時の事まで考えてたグランツの方が上手だと思います
常槍達も友達の調の説得で側近が裏切りましたでどうにかなってしまいました、あの人がどういうやり取りをして調と友達になったどういう人間なのか全く知らないんですが
>結局、ブンドリオ甦ったのも声援パワー吸収も王女のペンダントのおかげなんですよね…
削除ブンブンジャー側は「ブンブンが死ぬのはどうするつもりだったの?」という点は疑問が多いですね。
>常槍達も友達の調の説得で側近が裏切りましたでどうにかなってしまいました、あの人がどういうやり取りをして調と友達になったどういう人間なのか全く知らないんですが
これは匿名さんの勘違いじゃないかと思います。
側近(バイスマイミ)が裏切ったのは射士郎の手引きだと言われていたはずです。裏切ったタイミングが最初からなのか、射士郎がISAに付いた後に話をつけたのかは謎です。
調との関係については「元から」としか情報がないと思います。
ISAの新人時代に一緒だったのか、同じ部署だったことがあるのか、はたまた学生時代からの付き合いなのか。いつからの仲なのかは不明だと思います。
友人でなくても今回のお話は成立すると思うので調との関係にこだわる意義は薄いと思います。
感想お疲れ様です。
返信削除1年通して不快に感じることは特に無かったのですが、いまいち盛り上がりに欠けるな……という印象でした。
ブンブンの復活に無理に理屈を捏ね回すならむしろ開き直って奇跡にしてもらった方が良かったかも……
匿名さん、こんにちは。
削除>ブンブンの復活に無理に理屈を捏ね回すならむしろ開き直って奇跡にしてもらった方が良かったかも……
印象としては
「ブンブン復活してもスピンドー強くて勝てないじゃん」
「ブンブンジャーは最初は大也とブンブンの2人から始まったんだから2人で倒したい」
といった要望と必要性を混ぜこぜにして出来上がった感じでしたが、時間をかけた割には説得力が薄かったですよね。
あれなら予想外の奇跡の方がまだ収まりが良かったと思います。
おお・・・奇跡か・・・
返信削除ところで、
Owl0079さんは
「百獣戦隊ガオレンジャー」と「超新星フラッシュマン」の本編を見たことがありますか?
ありません。
削除サンシーターは普通に生き残って終わりましたね。まあ、根っからの悪人って感じではないので違和感はありませんでしたけど。
返信削除同じ冨岡さん関連で言えばロケット団や三羽ガラスみたいなポジションでしょうかね?
私の印象としては「戦隊でよくあるやつ」でしかないんじゃないかなと思っています。
削除ロケット団は冨岡さんがシリーズ構成になる前から出てますし。