『仮面ライダーガヴ』 第22話「真実は甘く苦い」:感想
■展開も味わいもあっさり
・絆斗の改心は幸果やラキアに言われたことを冷静に考えたら解決しました。
論理的で理性的なんですが展開としてはあっさり感が否めません。幸果の方が正論なので絆斗がただ無駄に回り道しただけになってしまいました。
絆斗はそういう不器用な路線なのでこういう無駄も発生するのは当然のことではあるんですが、かったるい展開になることが避けられないのも当然のことです。
見ていて「理解はできるけどもうちょっとどうにかならないものかな?」という気持ちは否めません。
・これなら1つの回の間に「絆斗の疑念→いや、ショウマはそんなことしない!」とまとめて片付けるくらいで良かったんじゃないかなと思います。
そうでないなら幸果は挟まず、絆斗は絆斗なりに回り道しながらでも自力で結論にたどり着く構成にした方が絆斗の解像度が上がるし、まとまりが良かったんじゃないかと思います。
師匠はジャーナリストだったわけですし、師匠殺しがグラニュートへの嫌悪感の源でもあるわけですから「そういえば師匠はいつも言ってたっけ。『余計な先入観は捨てろ。自分の目で見たものを信じろ。それがジャーナリストだ』って…」みたいにグラニュート憎しではなく、本当の原点に立ち返るような話にすればまとめるのは難しくなかったと思います。
■こっちの方がドラマが多い
・個人的にはラキア周りのドラマの方が面白かったです。
説明的な台詞は少なく、登場人物の思考や立場を前提にしないと意味がわからない場面が多かったです。
・絆斗に対しては人物としてのラキアらしさが出ていたと思いました。
「ガヴが違うからあれはショウマじゃない」なんて説明はせず、「自分が何でビターガヴを庇ったのか考えてみろよ」と助言するに留めて去っていくところは、いろいろ思っても表に出す口数は少ないラキアらしさとショウマに実際にグラニュート被害者の様子を見せられて自分が心を動かされた経験が反映されている感じがして感慨深かったです。
・酸賀に対してはお互いの情報格差や立場の違いが入り組んでいるところが良かったです。
最初はニエルブの使いのふりをして情報を聞き出そうとし、酸賀に「君って裏切ったんでしょ?」とフリがバレてからはバイトのフリは止めるけど「なんでお前がそれを知ってるんだ?(さっき連絡は一方通行だって自分で言ったよな?)」と牽制していました。
その上でニエルブの下っ端ってわけではないらしいと推測してビターガヴの情報を直接聞き出すのは諦めて、「お前は何がしたいんだ?」と話す可能性がまだ有りそうな別の情報を集めようとしているところは賢いと思いました。
・ラキアと言えば、ヴラムの使ってるゴチゾウは死なないっぽいですね。
裏切った後の補給はどうするんだろう?と思っていましたが壊れない限りは必要ないっぽいです。
ヴラムのゴチゾウは完全な機械なのかな?とも疑問に思ったりしていましたが、自我はあるみたいですね。今回、ビターガヴについて論理的な推察をしていてびっくりしました。頭良いですね。
■胸の詰まり、ならぬガヴの詰まり
・ショウマの方は普通に行き倒れて、デンテに救助されていました。
電話も使えるなんてゴチゾウは本当に賢いですね。シーン再現で玩具のプレイバリューも上がるので地味に良いシーンです。
・ショウマが倒れた原因は「生み出したゴチゾウが排出されずに詰まっていたこと」だったようです。
便秘的な感じだったんですね。ウンチでも詰まれば人は倒れるくらいなので、ゴチゾウが詰まったら大変でしょうね。
・この辺の話は「何でも食べればゴチゾウが作れるってわけじゃないよ。食べてショウマがどう感じたかがゴチゾウを生み出すのに必要なファクターなんだよ」というゴチゾウ関連の疑問へのアンサーも兼ねていたんでしょうかね。
■ビターガヴ
・ガヴが剣にセットして発射したゴチゾウを受け止めて自分の剣に吸収していました。
いつも健気で一生懸命なゴチゾウが役に立つどころか敵に使われて主人に牙を剥くことになり、尊厳破壊されたゴチゾウが可哀想でした。ゴチゾウにとってはマジで「死んだ方がマシ!」のどころじゃない心境だったんでしょうね。
・剣の方はなんか蛇腹剣的に伸びました。
グミを取り込んだからグミの特性を反映して剣が伸びるって話なんですかね?
ガヴの方のゴチゾウを発射する意義は未だにわからないのでショウマの剣よりもビターガヴの方が高性能に見えました。その辺の実用性の違いも酸賀の改造による変化なのでしょうか?
ショウマの方は真面目に考えるとそもそもなんで口から剣が出てくるのか謎ですからね。親父が「ショウマは弱いからガヴから剣が出るようにしろ!」とか無茶な注文をつけたのか、それともショウマの責任感や罪悪感が強いから”自分で”戦うための手段としてバトルスーツや剣をガヴから生み出す形に至ったのか。
・2対1のアクションはちょっといまいちでした。CGとの連携が上手くいっていないように見えました。
露骨に時間も空間も無駄な合間が空いていて「CG入れるならこれくらい空ければ充分ですかね?」というアクションスタッフのためらいが表に出ちゃってました。
完成度が低かったです。あれならCG無しでアクション中心にした方がずっと面白くなってたと思います。
■黒飴だった
・ビターガヴが今回新しく食べていた飴みたいなのって「黒飴」だったんですね。
てっきりビターガヴは辛いものや炭酸系にしか反応しないのかと思ってました。だからコーラ飴か何かかと思ってたら黒飴で意外でした。
・黒飴から生まれたゴチゾウは「ブルキャンスパイシーゴチゾウ」だったそうです。これも意外でした。
ビターガヴがキックしていたのでキッキングミのビター版なのかと思ってました。なんでショウマの方はわざわざ必殺技前にケーキングからブルキャンに変えたのだろうと不思議に思っていたのですが、ブルキャンつながりだったんですね。
次回は生きてた?(2体目?)ビターガヴ退治をしたり、ショウマが思い出した絆斗母の話をしたりするみたいです。
今回の描写と次回予告の感じからすると、絆斗母は
連れ去られて脱走中?にショウマと出会う。しかし捕まり、闇菓子にされてしまった。
あの水没イメージは人プレス化以前に使われていた装置で煮込むかドロドロに溶かしたりして人間から旨味を引き出す。
ショウマは絆斗母が溶かされる様子をランゴに見せられてトラウマになって記憶を封印した。
みたいな感じなんですかね。現状だと後の展開に続く要素は特に感じません。絆斗のストマック家への恨みを補強する必要性も感じませんし。
今、絆斗母を思い出すことはあんまり重要な話には見えないんですけど、どこにつながるんでしょうね? 話の過程で誘拐犯が出てくるのか、視聴者向けにストマック家への怒りや非道さを思い出させるためなのか、それとも「絆斗母の件はどうなるんだ?」とミスリード的に視聴者を引っ張ってきたけどもう要らないから処理するだけなのか。
記憶の中に酸賀が出てきて一気に敵対度が上がったりするのでしょうか?
お疲れ様です。触れられるかどうかわかりませんが、なんで"幸せな"人間を使うことが質の高い闇菓子になることが分かったのか…。ですよね。改めてストマック家許すまじで納まるんでしょうか・・・
返信削除匿名さん、こんにちは。
削除>なんで"幸せな"人間を使うことが質の高い闇菓子になることが分かったのか…。
この辺は触れるかは微妙だと思います。
偶然の産物(食料用に捉えた人間がチョコに落ちて死んだらチョコがすごく美味しくなった)とか、
たくさん試して試行錯誤の末の結論とか、
あるいは元々グラニュートから感情を抽出した麻薬とかがあって、「感情の断片じゃなくて丸ごと入れたらもっとすごいんじゃね? でもそれやったらグラニュート殺しになっちゃう… あ、人間って生き物でやったら良くね?」と発展したとか、可能性はいくつもあり得ると思います。
どれも人間基準だと不道徳な行為ですし、純粋な美食追求としては別段不思議はない試行錯誤になってお話としてはあまり面白くはならないんじゃないかと思います。
お話に絡む要素があるとすれば、「人間を食べることを始めたのがストマック家か否か」かなと思います。それ次第では客観的な罪の重さが変わってくるでしょう。