【一言感想】
・薄味。まずまずなんだけど、飛び抜けたところがない。
・鎧武の最終回後の話やドライブの1エピソードを期待して見るものではない。


【鎧武編】




■ストーリーはドラゴンボール
・ストーリーは簡単に言うとドラゴンボールです。
宇宙から強敵メガヘクスが侵略しに来た。紘汰がやられて地球にも侵略開始。ドライバーを持ってる光実と貴虎ががんばる。再生怪人でプロフェッサーが出る。紘汰復活からの大勝利!
以上です。アクションがメインでストーリーはほぼありません。鎧武の最終回後の話を期待するのは見当違いです。

■光実と貴虎がメイン
・わずかながらにあるストーリーは光実と貴虎がメインです。
基本的には2人は贖罪意識で動いているみたいでした。これが私が引っかかった点の1つでした。あまりそう見えない要素が多かったからです。
光実は舞を救うことを最優先にしていて、貴虎は光実のサポートを最優先していました。一般市民も大量に犠牲になっているのに重視する様子がありませんでした。これでは本編の繰り返しです。贖罪からは程遠い行為です。以下に具体的に触れていきたいと思います。

■舞の救助
・メガヘクスの侵略に対し、光実が取った行動は舞の救助でした。ところが舞が光実に送ったメッセージは「自分のことはいいから人類を守るために母船を破壊して」でした。舞の望みとも世界を守る行為とも反する行為を目指しました。しかも光実は独白で「舞を救うことが僕にできる唯一の償い」とまで言いました。この独善的な性格のどこが前と違うのか全くわかりません。

・舞を登場させることがノルマだからだとしたらもっと良い方法がいくらでもあったはずです。
たとえば、舞が母船の動力源にされていて、舞を救い出すことが侵略を止め世界を守ることにつながるようにする。たとえば舞といっしょに多くの市民も囚われていることにする。あるいは舞を助ければロックシードの量産ができるようになるので、光実は目先の市民を助けたがったけれども貴虎が冷静に判断して舞を救助し戦力増強してから反撃を図ることにした、などなど理由付けは簡単にできたと思います。

・そもそも変化を描くならば、むしろ舞と大勢の市民を天秤にかけて市民を選ぶほうが自然なはずです。舞の救助は復活した紘汰のおかげにするなり、顔出し出演で終わってしまったピエールや城之内に影で活躍させるなりできたでしょう。どうしてこんなに舞の救助も光実も中途半端な内容になってしまったのか不可解です。

■貴虎vsプロフェッサー
・メガヘクスの手駒としてプロフェッサーが復活しました。生前の記憶も人格もある再生怪人です。
舞の救助の途中で立ちはだかったプロフェッサーに対し、ゲネシスではないただの斬月の貴虎が不利を承知で光実を先に行かせます。

・このシーンも目的が舞の救助なせいで台無しになっています。
光実にとって「舞>>貴虎」であることは明らかだからです。これでは逡巡になりません。このシーンは「市民と貴虎」でなければいけなかったはずです。兄の貴虎よりも他人の命を優先することで光実の変化を表せました。

・このシーンではもう1つ不可解なことがあります。貴虎の逆転の仕方です。
2対1だったのが1人になり、ただの斬月とドラゴンフルーツ(ゲネシス)で戦力差も明らかです。台詞でも「戦極ドライバーではゲネシスに勝てない」と念を押していました。さて、それならどんな作戦で勝つのかなと思っていたら、真っ向勝負の斬り合いで勝ってしまい唖然としました。

・旧知の仲である貴虎vs戦極なので、「貴虎は戦極の癖を熟知しているので一瞬の隙をつく」とか「逆に戦極は貴虎の癖を知っていてそこを攻めてくる。それを逆手に取って、貴虎ならしないような戦い方をして逆転する」くらいはするのかと思っていました。それが普通に勝ってしまいびっくりしました。
逆算して考えると、恐らく最後の勝負前の言い争いで貴虎が勝ったからその時点で決着がついていたということなのでしょうね。私にはお互いに言いたいことを言って相手を馬鹿にしてるだけで、議論は平行線のままのように見えてしまいましたが。

■vs強化メガヘクス
・続いてのバトルは斬月真&龍玄タッグvs極ロックシードを吸収した強化メガヘクスです。こちらもあっさり決着がついて驚かされました。簡単に極ロックシードを取り返されて情けなかったです。

・敗因は人間を吸収したことで得た感情だったようです。
それならなぜもっとメガヘクスの変化と感情を強調しなかったのか不思議です。前半を機械的に描写し、後半は感情豊かにしゃべらせれば表現できたはずです。
もっと手を加えるならば、斬月がメガヘクスを羽交い締めにして龍玄に自分ごと撃たせるシーンで貴虎と光実の台詞を省き、
メガヘクス「実の兄を撃てるものか!→(言い終わる前に無言で撃たれる)」
と、メガヘクスがデータで理解した感情と2人の絆の違いを示すなどメガヘクスを混乱させる出来事を入れたほうが極ロックシードを奪い返す展開がスムーズだったでしょう。

・紘汰が復活した後の流れも不可解でした。
舞が何も役に立っていなかったからです。舞がサポートして勝つ形にすれば、舞を助けた意味が生まれ、紘汰が初戦で負けた理由にもなり、一石二鳥だったはずです。それがなぜ無言で見ているだけになるのか理解に苦しみます。
たとえば光実に力を貸して、光実が龍玄・極(スーツは龍玄・黄泉の色違い)になる、など盛り上がる展開にできたと思います。
何もサポートせず、棒立ちで見ているのでは舞の存在意義がありません。

■強さがいい加減
・個人的に一番引っかかったのはここです。強さがブレまくっていて納得がいかないところが多かったです。鎧武パート34分のうち、20分近くがバトルに充てられています。バトルをメインに据えているのにバトルをいい加減を扱うのはおかしいと思います。

・貴虎vsプロフェッサーも納得いきませんでしたが、メガヘクスはもっと気になりました。
紘汰以上に強い相手がたくさんいる。かなり絶望的な状況です。それをどうやって切り抜けるのかと思ったら相手が勝手に弱体化してしまいました。私はこのパターンが大嫌いです。盛り上げるために強敵を出しておいて、倒す方法が思いつかなかったら弱くするなんて最低の手法だと思います。
アクションも表現できてなくダメダメでした。トドメをトリプルライダーキックで仕留めるなら、前半で極が単独キックで倒しちゃダメでしょう。1人でも倒せる、3人キックでも倒せるじゃ意味がわかりません。

■アクション
・ストーリー展開がかなり穴だらけだったのですが、全体の流れ自体は悪いと思っていません。
子供向けの映画としてはドラマパートを増やすよりもアクションパートを増やすほうが楽しめると思います。ドラマに割ける時間が短くなれば、全体の流れが薄くなるのは仕方ありません。

・ただ、肝心のアクションが微妙だったのは残念でした。
テレビ本編で見たようなアクションばかりで際立ったものがありませんでした。量を多くした分、クオリティも下がってしまったことが残念です。

・唯一、黒影の槍を奪って使う龍玄は面白かったです。
龍玄の中華風のフォルムと槍を振り回す姿がマッチしていてかっこ良かったです。

【鎧武編・総合感想】
・散漫な印象を受けました。
光実の話、貴虎の話、紘汰と舞の存在、アクション多めのエンタメ作品…
いろいろな要素を盛り込んだものの芯になるものがなく、お互いに良さを潰し合っているところが目立ちました。何をして何をしないのかはっきりさせれば面白くなったと思います。


【ドライブ編】

■ルパン
・『劇場版 仮面ライダードライブ』というより仮面ライダールパンとタイトルにつけたほうが適切なくらいルパンの説明が多いように感じました。
それなのにルパンと進ノ介やベルトさんとの接点が薄く、独立した要素になってしまっているのは良くないと思いました。半分がルパンの話なのに、作品のどこともつながらない内容になっていて見応えが減っているように感じたからです。
「もしベルトさんがドライブではなくZZZで戦っていたらどうなっていたか」という説明にそこまで時間をかける価値はなかったと思います。これならルパンの心情などをもっと掘り下げて、ただの倒されるべき悪役から脱してほしかったです。

・あと配役(お笑い芸人)は完全にミスキャストだと思いました。
過剰な演技とルパンのキャラが合っていません。ルパンはもっと「一見すると自分の美学を持ったまともな人間に見えるけれど、実際はZZZのせいで静かに狂ってきている」キャラのように私には見えました。最初からあんなあからさまにおかしなしゃべり方では、教会での進ノ介の「あんたの心は暴走している」という台詞が台無しだと思います。

■進ノ介
・劇場版の進ノ介はかなり気弱で驚きました。本編にはなかった描写です。
興味深い内容だったのですが、進ノ介に割かれている時間が短いのがネックでした。「考えるのは後にして今はルパン逮捕に集中しよう」とあっさり立ち直ってしまったので、引きずっているのか、ある程度克服できたのか、よくわかりませんでした。

・ベルトさんに精神的に依存しているところは最終回の流れと似ているように感じました。
ただ、最終回を見た後にこの劇場版を見た感想としては「劇場版で一回ヘタれてたのにまたヘタレたの?!」と呆れました。40話近く経ってぶり返すのは変だと思います。「仁良との対峙とかいろいろしたけど、結局弱気な性根は変わっていませんでした」じゃお話にならないと思います。
もう1つの劇場版のサプライズフューチャーを見ればこの違和感が消えるのでしょうかね?

■ベルトさん
・変わらぬ秘密主義でした。
疑問に思った時点で早く情報共有してほしいものです。現実でもこういう人は嫌いです。「言っても俺より良い考えは浮かばないだろう」と思ってるみたいで信用できません。

・そう思っているせいで殉職するシーンも悲しくありませんでした。
むしろ劇場版のドライブ編で一番スカッとしたシーンだったかもしれません。間違ってますね~
ベルトさんに関しては正しく見れていない自信があります。

■マッハ
・全く戦わず、こっそり役にも立ったりもせず、誰にも見られないところでカメラにグラビアポーズをとるだけでした。
顔見せにも限度があるし剛のキャラも違う、いろんな意味で何だこりゃと思う出番でした。

・こんな程度でもノルマ解消として扱われることに驚きました。
私がチェックする側だったら怒ると思います。ノルマの処理がこれくらいでいいなら今後も無理して出さずに簡単に済ませてほしいです。

■アクション
・けっこう不満でした。
理由は劇場版クオリティのアクションがあまり見れなかったからです。ルパンを掴んで引きずりながらの連射はまぁまぁでしたが、あれだけでは物足りません。

・予算と時間の大半はしょぼいカースタントやルパンの逃亡劇用に使われてしまったようでした。この手のハリウッドの劣化品に需要があるのだろうかといつもながらに疑問に感じます。
そんなのよりどうせならチェイサーとの共闘のほうをもっと見たかったです。共闘と言いながら、雑魚退治が終わったらさようならでは味気ないです。

・最後のキックも残念でした。
霧子が乗っているのに1話のキックと大差ありませんでした。タイヤ交換やボディの換装など2人のコンビネーションならではのアクションが見たかったです。

【ドライブ編・総合感想】
・目玉要素がカースタントだったことが何よりの難点でした。
そんなことより進ノ介とベルトさんの話かルパンを魅力的に見せることに力を費やしてほしかったです。どちらも時間が足りず、煮え切らないところで終わってしまいました。
あれもこれもできるほどMOVIE大戦には時間がありません。いい加減その辺りを考えて作ってほしいです。


【フルスロットル編】

■クロスオーバーとしては及第点
・鎧武とドライブのクロスオーバーとしてはツボを押さえてたと思います。
戒斗の反逆や極の召喚した武器を使う龍玄たち、仕事する舞に、ハートたちの参戦。やっておくべきことはおおよそやっていました。

・ラストの紘汰&舞とみんなの再会は特に良かったと思います。
劇場版の内容と関係ないところでオチをつけるのは手堅い手です。本編だと紘汰と周りのメンバーの関係性が曖昧でしたしね。

・メガヘクスと鎧武勢の個性に関する問答も悪くありませんでした。
個性の多さを可能性の広がりとして捉える考え方は、個々人の独立性が高い鎧武ではあり得た展開だと思います。
ただし、途中までならあり得た展開であって鎧武本編の終盤ではあり得なかった可能性だと思います。結局最後はみんなは無視して、紘汰vs戒斗の頂上決戦で終わったので個性の多さとか関係ないでしょう。強いやつが全てを決めるのが鎧武のルールだったので三条さんの考えた展開は成立しないでしょう。

■全体的にコミカル
・紘汰と進ノ介の掛け合いが何度もあったり、フルスロットル編はコミカルなシーンが多かったです。
完全にエンタメ路線でした。いかにもvsものという感じがしました。
それに強さが相変わらず適当でした。弱すぎるZZZメガヘクスと戒斗に一掃される量産型メガヘクスは笑うしかありませんでした。そこをごまかすためのコミカル要素だったのかもしれません。

■働かない紘汰
・最後のメガヘクス要塞で紘汰が何もしていないことが目立ちました。
変身した状態でトロイドロンの助手席に座っているだけで何もしません。最後の最後でかっこ悪いと締まらないと思います。空中に蔦を伸ばして足場を作るなど何か役割を果たすほうが良かったと思います。

■ルパンはどうやって生き返ったの?
・最後のここがよくわかりませんでした。
「バイラルコアで肉体を再構成した」これはわかります。しかしそもそもZZZはメガヘクスに吸収されてそのメガヘクスは宇宙で爆散しました。どうやってルパンが生き残って地球に帰還したのかがわかりません。ベルトさんが生きてたこと自体には驚いていないことに戸惑いました。どういうからくりだったのでしょう?