『グラスリップ』最終回まで見終わって:総合感想

2014年9月30日
こっちは最後まで見た上での全体感想です。
最終回単独の感想、及び考察はこちらの記事を御覧ください。

■混ぜるな危険
・とても難解な作品でした。
『シムーン』も手がけた西村純二作品ということで覚悟して見たつもりでしたが、読解するための実力が足りませんでした。
「こういうことかな?」と自分なりの仮説ができたのが10話でした。あと3話しかないよ…
考察を書くために2周半かかりました。脳みそフル回転でぐるぐるします。

・ある程度の流れがわかった上で見ると各シーンが順当に進んでることがわかるのですが、初見だと今どこを目指しているのかさっぱりわからず不安でしたね。
基本的な構造は青春+将来への不安+人間関係のトラブル+友達内恋愛*6人と、この時点でもどこが本筋なのかわかりづらいのに更にSF(実際はファンタジー)を加えてしまったから、さあ大変。
この組み合わせはまずかったですね。
せめて祐の姉ちゃんと彼氏なり、早めにモデルケースになる存在を出して流れを示しておくべきだったと思います。

■一周回って面白い
・でも方向性がわかった上で見ると面白いですね。
一回目だと真意に気付かなかった台詞があったり、見落としているところがいろいろあったことに気付かされました。
特に駆は「唐突な当たり前の孤独」が明かされるまでは何を考えているのかピンと来なかったので、2周目で理解できる点が多かったです。
一つ一つの台詞とシーンが次の前振りになっているので、一つ見落とすとだんだんよくわからなくなってくるんですね。
わかりづらい原因の一つでもありますが、中身がぎっしり詰まっているとことでもありますね。
無駄な台詞がないので退屈することがありません。

■テーマ
・一言で上手くまとめられないのですが、要素としては「表面だけではなく相手を理解することの難しさ」「同じようでも違うもの」、演出面だと視界と音がフォーカスされていたように感じました。
「良い感じに無神経」とまで言われる透子が空回りする一方、「一を聞いて十を知る」凄まじい洞察力の駆も別の理由でコミュニケーション不全を起こすバリエーションの豊富さは圧巻でした。
こういう流れだとたいてい「以心伝心」とか「大切なことは言葉では伝わらない」とかそんなオチになりますが、最後まで言葉も態度も行動も全部必要という姿勢だったのはすごく良かったです。
個人的には誰も完全にはわかり合えなかったところが好きです。
完全なんて無理ですもんね。一つでも大切にしていることをわかり合って、それを拠り所にして進んでいくことにリアリティを感じます。

■ロマンチックじじい
・私は『シムーン』と『True tears』、あと『SAMURAI DEEPER KYO』で西村監督を好きになったのですが、今回もロマンチック全開でした。その点は満足しています。
脚本:西村ジュンジな回も半分くらいありましたが、12話なんて監督&脚本&絵コンテ:西村純二で脳みそ沸騰しそうでした。実際見たら「わ、わかるけどわからない!」と死ぬほど戸惑うことになりましたけどね。
カゼミチのマスター(祐の祖父)なんて監督の化身じゃなかろうかと思って見てました。
いきなり「最近お嬢さんはますます美しくなられましたね。恋の季節でしょうか」とか言い出したときには「ロマンチックじじいー(58歳)」と叫びました。
真意は孫の友達が憂鬱そうにしてるからクッキーを差し入れる口実を作りたかっただけですが、意識してないとは思えません。
本当に乙女チックでロマンチックなおじさんです。

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