金子彰史の源流ッ! 『天使の詩』&『天使の詩2』:感想

2013年3月10日
ワイルドアームズシリーズを手がけた金子彰史の処女作ということで、
天使の詩』と『天使の詩2』をクリアしました。

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【金子さんの源流】
■天使の詩1
・1のほうはアシスタントなので、ほとんど金子さんっぽさはありません。
強いて言えば、WAシリーズの敵の名前で見かけるのがいるくらい。(天使の詩がケルト神話ベースなので、ケルト神話に出てくるのかな?)
かと思うと終盤に天上界にいったらそこで、
老人『お若いの。若さって何かご存知か?』
主人公『振り向かないことでしょうか。』
老人『では、愛とは何かな?』
主人公『躊躇わないことです。』
老人『どこでそれを学びなさった?!』

とか、明らかに金子さんだろうw、と思う表現があったりするので油断できません。

■天使の詩2
・ディレクター&脚本の体勢が整い、こっちが本命ですッ!
世界観は普通のファンタジーなのに、フィールドマップのオブジェクトの配置からワイルドアームズっぽさを感じます。
脚本のほうも主人公とヒロインの悲恋がメインのはずなのに、義賊のランゾー、実は主人公の父親の敵の凄腕騎士など本筋とは関係ないキャラのほうが勢いがあるのが金子さんらしいです。

・あと細かいところのぶん投げっぷりも相変わらずです。
敵組織に村を焼かれ、妹を殺されたキャラが一旦離脱して、しばらくして戻ってきたときの反応が酷いw
『復興が一段落したから戻ってきた。』って、ええ~?!
あ、あの復讐とか、そういうのはいいんでしょうか? 別れたときの激昂っぷりからは想像もつかない豹変に戸惑いっぱなしです。

■金子さんの長所
・ワイルドアームズシリーズでも感じましたが、金子さんはRPGの作り方が上手いと思います。
天使の詩自体はありきたりなストーリーですが、それでも要所要所では盛り上がりがあります。それを支えてるのはゲームのシステムの使い方だと思います。

・2の最後に味方が助けに来るところなんか、しょっちゅう強制で入れ替わる仲間があってこそですし、せっかく集まったんだからとラスボス戦だけ自由にPTを組めるのはカタルシスがあります。
・それからBGMの使い方。前作主人公の退場→降り続いた雨が止め、船で世界中に行けるようになる。ストーリー的にもプレイヤー的にも、いろんなことに片がついたこのタイミングで、最高のBGMを持ってくる!
どれも方法としては当たり前のことですが、システムとプレイングのシンクロがちゃんとできてるゲームクリエイターは少ないと思います。

■WAの元ネタ探し

・魔剣ルシエドやカゼネズミ等、WAファンには『おっ!』と思える要素もちらほらあります。特にルシエドの扱いは驚きです。
2では魔剣の名に恥じない重要アイテムで、ラストシーンでも大活躍です。でも1での扱いがあんまりです。
だって入手経路が『終盤に訪ねる城で倉庫番のおっさんからもらう。』
しかもそのすぐ後に最強の剣が手に入るから試し切りすらしないまま終わる。でも道具で使うと全体攻撃でちょっと強いから魔法系キャラに使われる。あれ?魔剣って魔法攻撃ができる剣のことでしたっけ?
ルシエドだけ神話由来じゃないオリジナルだし、1と2でここまで扱いが違うと金子さん発案なのかと思えてきます。

なるけ音楽
・なるけさんはこの頃から作風は変わってないんですね。
ワイルドアームズの冒険者風の音楽とノーラみたいな牧歌的で民俗音楽風なのが混ざっています。その分、フィールドと街中の雰囲気がガラっと変わって、魔物のひしめく世界としての雰囲気が出てます。
1と2、音楽が違うだけでやる気がずっと変わるあたり、BGMの力は大きいと実感します。

【プレイ感想】

最後に一応ゲームプレイの感想も。
・昔のRPGなのでプレイ自体は楽しく無かったです。
特に1はエンカウント地獄、すぐに素の攻撃力がカンストしてバイキルトの意味がなくなる物理攻撃など挫けそうなところもありました。
・でも2はわりと普通に楽しめました。中盤からは打撃打撃、魔法系は道具使用の擬似魔法と、この時代特有の定番戦法で飽きが来ましたが。無限回復アイテムなど救済策もあって、プレイヤーにストレスかけるより、ぬるいほうにと舵取りしてるのはありがたいです。
金子彰史ファン、ワイルドアームズ好きなら必修!とまではいかないですが、ゲーマーとしては変わらない良さがあるってことを感じられて、やって良かったと思ってます。

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