Gのレコンギスタ 第16話 『ベルリの戦争』:感想

2015年1月19日

【ストーリー】

■ベルリがわからない
・ベルリの心情についていきづらかったです。
急にいろいろあって混乱するのはわかります。周りの状況ばかりが勝手に進んで、イライラして八つ当たりするのもわかります。しかしいきなり戦争の火種になりかねないような蛮行に至った理由がわかりません。ベルリってそんな馬鹿なことをする人でしたっけ?
基本的にポジティブで、かつ合理的に動くタイプで、状況そのものを変えようとはせず、与えられた環境の中でベストを尽くす。そんな良くも悪くも小さくまとまっている人だと思っていました。今回のことでベルリが何に喜び、何に怒る人なのかわからなくなってきました。

・これまでもいろんなことがあっても落ち着いていたので余計に今回のことが急に感じます。
個人的には今回の一件よりもデレンセン大尉を殺したことのほうがよっぽどショッキングに思えます。デレンセン大尉やカーヒル大尉の殺害と今回の件の違いは、自分で招いた結果か、他人の意図によって引き起こされたことかという点だと思います。「他人にどうこうされた」という部分がベルリにとって重要ということなのでしょうか?
Gセルフに認証機構がなければ誰も殺さずに済んだはずだと過去の事まで責任転嫁しているからあれほど衝動的な凶行に走ったのかもしれません。

・これまで良い子にしていた鬱憤が爆発したという側面もあるのかもしれません。
アイーダがだいぶ落ち着き、大局的に物を見ることができるようになってきましたし、次はベルリの番ということなのかもしれません。自分で動いて、結果に責任を持つようになるその一歩が今回の一件だったのかもしれません。

・今のところベルリは悪い意味でのニュータイプのように思えます。
ニュータイプは本来の意味は人とわかり合える人物を指す言葉ですが、UC世界では高いパイロット能力の持ち主を指す言葉として使われています。自分の考えを誰にも伝えず、力で押し切ろうとした今回のベルリはある意味ニュータイプの申し子と言えるように見えました。あの圧倒的不利な状況から容易く反撃する頼もしさが今回は怖く映りました。
考えてみれば自己主張の弱いニュータイプは初めてですね。富野ガンダムの主人公はみんな嫌なことは嫌とはっきり言うタイプでした。そういう側面から追ってみるのも面白いかもしれませんね。

■ポンコツ魂百までも
・最近落ち着いたかに見えたアイーダも今回は見事なポンコツに逆戻りでした。2代目ポンコツのロックパイの出番がなかったからでしょうか。あの逆ギレっぷりは痛すぎました。

・Gセルフのせいで酷い目に会ったと言っていましたが、Gセルフがなくてもアイーダは元から海賊部隊にいたしGアルケインもありましたよね。ベルリの人殺しの汚名って責めてたのはアイーダだけで、戦争嫌いなベルリ母やベルリを利用したい艦長たちさえ何も言っていませんでしよね。
そしてカーヒル大尉が恋人って、回想を見る限りでは恋人には見えなかったのですが…
自分を擁護する言い訳だらけでダメダメ過ぎでした。一昔前のアイーダを見ているようで懐かしさを感じてしまいました。
「時代は年寄りが作るものではないのです」なんて大それた台詞が口から出るにはこれくらい自分に都合よく世界を捉えられる人間でなければできない、という意味合いもあるのでしょうかね。

■バララ
・マスク大尉の右腕か、あるいはマニィの恋のライバルかと思っていましたが、今回は獅子身中の虫といった感じでした。本質的にはクンパ大佐側の人間なんでしょうかね?
マスクもクンパ大佐も出し抜くという可能性もなくはないのですが、あんまりトップに立つ器には見えません。

■火星と金星
・ノレドが大きなオリーブの木を見て「火星や金星から持ってきたの?」と言っているのが気になりました。
一般的には火星と金星に自然豊かなイメージはないと思います。火星なんて「乾いた土と砂の世界」で真逆です。それとも「火星人といえばタコ」というように「馬鹿みたいに大きい植物=火星や金星」というイメージが地球にはあるのでしょうか。
ラストの会話での「クレッセントシップがヴィーナスグローブに~」という台詞からすると、金星にもフォトンバッテリー関連の施設があるようなので、全くのでたらめとは考えにくそうです。
Gレコ世界だと火星や金星がテラフォーミングされた歴史があるんでしょうかね?

■気になる会話
・もう一つ気になったのがレイハントン家ゆかりの二人の会話です。
ロルッカ「クンパ・ルシータ大佐という人物…」
ミラジ「ご存知で?」
これはどういう意味があったのでしょう?
普通に考えると、地球人の名前なんて知らないほうが当たり前のはずです。ただの状況把握のためのシーンと考えるには長過ぎます。何か他に意味があるように思えます。

・ただの性格描写という可能性も考えられます。
ミラジさんは技術屋という説明があり、ロルッカさんはご老体と呼ばれていました。ロルッカさんは以前はレイハントン家の下で働いていたのかもしれません。政治屋のロルッカさんは名前のような細かい点にも目をつけ、技術屋のミラジさんは気にしていない、そういうことなのかもしれません。

・もう一つ浮かんだのはロルッカさんがクンパ大佐に見覚えがあることを暗示していた可能性です。
今回、新情報として幼少のベルリとアイーダを亡命させた人物の名前が出てきました。ピアニ・カルータ大尉、そんな風に聞こえる名前でした。この人物がクンパ大佐の正体なのかもしれません。2人を運んだ当人であるならば、2話の時点でGセルフとベルリとアイーダの関係性を見抜いていたのも合点がいきます。
今回ロルッカさんがクンパ大佐の名前(見た目も?)に反応していたのは、ピアニ・カルータ大尉を知るロルッカさんにとってクンパ大佐の名前の響きや外見などに漠然と引っかかるものがあったからかもしれません。


コメント

2 件のコメント :

  1. これまでのベルリの行動の背景にはスコード教への信仰と、アイーダへの好意があったと思います
    特に前者は人格形成の基盤となっている、と思います。
    ザンクト・ポルトへ上がり、そしてトワサンガのレイハントン家に辿り着いて自分が地球人ではなく
    トワサンガの人間であることを知りましたが、その土地も鉄の塊の向こうに宇宙があるような
    ひどく頼りないものであるという受け入れがたい事実に直面して精神が揺らいでいるのではないでしょうか。
    昔から姫と呼ばれてきたアイーダが事実をすんなりと受け入れている事もベルリにとっては受け入れがたいのかもしれません。
    加えるならばアーミィを野放しにしていたり、トワサンガの頼りない土地と繋がっているスコード教への疑念もあるのでしょう。

    後者としては単純にベルリがどこまでの感情かは推し量れませんが、
    好意を抱いていた女性が実姉であると発覚しては年頃の少年にとってはショッキングだと思います。
    いずれにせよ様々な事実に迫られてその場では呑み込んで流したものの、時を置いて考えていくうちに怒りが込み上げてきたのだと考えます。

    返信削除
    返信
    1. スコード教の信仰心に関しては私は懐疑的です。
      リアルでいえば欧米人のキリスト教程度で基本的な価値観には影響しているものの、そこまで信仰していないように感じます。たとえばアブテックのタブーです。MS開発はタブーに近い行為であることは何度も語られてきました。しかしベルリはキャピタルに戻ってきた後も目的を果たすためとはいえMSに乗る正当性に悩んだことはありませんし、アサルトパックの光学センサーのときのように技術に対して好奇心が勝ることさえあります。
      ベルリが反論にスコード教を持ち出したりするのは信仰心ではなく、理論武装としての側面のほうが強いと私は考えています。

      私が今回わからなかった点はベルリがショックを受けた理由ではありません。
      アイーダとの関係の変化や出生の秘密などアイデンティティが揺らいでいるのでそれはわかります。
      わからないのは「ベルリがどういう人間であるのか」という点です。
      八つ当たりしたり衝動的な行動に走るのはわかりますが、それが殺人未遂や戦争の火種になりかねない行動だったのは理解しかねます。たとえば、リアルで「カッとなって殺した」なんて言い草がありますが、多くの人が怒ったときにそうするかといったら普通はしません。人によっては物にあたることすら自制する人もいます。無意識化での感情や行動の抑制は存在すると私は思います。
      ベルリは規範意識が強く、良い子であろうとしていた節があります。そういった性格であれば無意識化での抑制も働くほうが自然に思えます。ところが今回の行動は私の想像から大きく逸脱したものでした。私のベルリ像とはかけ離れた結果でした。
      原因は私の考え違いだと思います。しかしそうなるとベルリとはいったいどんな人物なのでしょうか? そこが見えずにいます。

      削除

 コメントは承認後に表示されます。
*過度に攻撃的な言葉や表現が含まれている場合、承認されない場合がございます。節度と良識を保った発言をお願いいたします。