『英国王のスピーチ』:感想

2012年5月6日
英国王のスピーチ』を見た。
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(2011/09/02)
コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ 他

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■あらすじ
第一次世界大戦~第二次世界大戦の激動の時代、ヒトラーが台頭し始めた頃に王位につくこととなる後の英国王ジョージ6世。彼には王として大きな欠点があった。彼には吃音症=いわゆる”どもり”があったのだ。奇しくも時代はラジオやフィルム映画が始まり、肉声を聴かせるのが当然の時代となっていた。死期迫る前王の父。次期後継者でありながら奔放な兄。来るべき時に備え、吃音症を克服し王の務めを果たすために治療の専門家の元を訪ねる…

■感想
全体の流れは王族を扱った内容らしく落ち着いた静かな流れで、要所要所で映画らしい盛り上がりを入れてある。史実6のフィクション4といった感じかな。私は全然英国の歴史を知らないし、ヒトラーとイギリスの当時の関係とか歴史には疎い。それでも英国王が国民にとってどういう存在なのか。国王の務めとは何か。それを担う王の重圧。そういうのがこの映画で少しわかった気がする。

個人的には音楽の使い方が印象に残った。
ドキュメンタリーテイストで吃音症と王の責務を扱っているから全体的に重苦しい雰囲気で基本的にBGMはない。例外としては王宮やパーティなどないほうが不自然なシーンくらい。室内の静寂に声だけが響くのが味わい深い。特に吃音症の症状で声にならないときの舌打ちのような音、たぶん喉が動かず口だけ動いている音が印象的。主人公のジョージ6世は生真面目で堅物な人物なので表情はそんなに豊かじゃない。怒ってもあまり表情に出さないように務めるタイプの人間だ。吃音症のクリック音が焦燥感や憤りを表しているようで演出として面白かった。

この映画で一つ個人的な事情で楽しめなかった要素がある。
ジョージ6世の妻を演じているのが『スウィニー・トッド』の女主人役の人なんだ。どちらも亭主役が堅物な分、わりとユーモアと愛嬌がある役どころで似た印象を受ける。そのせいでどうしても裏があるんじゃないかと不信感が募ってしまった。それだけ演技が上手いってことかな。奥さんは本筋にあまり絡まないから全体の印象には全く影響がないので同じ症状の人も大丈夫です。

雰囲気が地味で静かで、物語も治療の過程で育まれる友情と王の務めの物語で一貫している。社会的テーマを扱った映画というわけでもないので、誰かとエンターテイメントとして楽しむにも、語り合うにも不向きだと思う。一人でじっくりと見るのがオススメです。

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