【ストーリー】
■ディケイド・アナザーエピソード
・ディケイドの前半を担当した會川さんということもあって、やっぱり実質ディケイドの新エピソードでした。
それぞれの夢の表れという形でオールライダーが出てきたのは意味があって良かったです。ディケイド以降いろいろなライダーが主役になってオールライダーが作られましたが、ディケイドが一番相性が良いですね。

・今回作中で出てきた「クロスファイアー」「ライダーは人間の自由のために戦う」というキーワードにピンと来なかったのですが、「クロスファイアー」は仮面ライダーの元になった没ネタで、「自由のために戦う」は初代ライダーのＯＰナレーションなんだそうです。そういう背景があるんですね。知りませんでした。今回のボスの名前「アマダム」がクウガの力の源と同じ名前なのは、昭和と平成を結びつけるためだったんですね。
ディケイドもテレビ本編で出ていない1号の台詞を引用したことになり、旅を続けている感じがして良かったです。

■ライダーとは
・ライダーとディケイドがメインだった分、ウィザードは割りを食った形になってしまいました。そこは残念です。
「絶望を希望に変えた」という形で関連付けたのは上手かったですが、「ライダーは人間の自由のために戦う」と同様にこれもピンと来なかったです。昭和ライダーにしても平成ライダーにしても、その生い立ちに悩んでる印象が無いんですよね。たいてい始めは「すげぇー！」か、「何だこれは？！」という反応で、悩むのは中盤以降になってからという印象があります。
この辺りは、ライダーの定義を「悪の力をもって正義のために戦う戦士」という立場として捉えるのではなく、「悪と同じ力であることに苦悩しながらも、それでも正義のために戦い続ける人」と、一人の人間の生き方として捉えるべきなのでしょうね。だから今回のオールライダーには、それぞれオリジナルを反映した性格を持たせていたのでしょう。ディケイド同様に彼らもそれぞれの人生の途中なのです。

・ライダーを再定義しつつも、「環境に嘆くよりも自分の意思をもって立ち上がれ」と檄を飛ばす素晴らしい内容でした。ライダーの意義、メッセージ性、鎧武の販促、オールライダー、これだけの要素を盛り込んでも綺麗にまとめるのはすごいですね。會川さん、ライダーに戻ってきくれないでしょうか。

■未練
・番外編は番外編でとても面白かったのですが、個人的には晴人と士で話を作ってほしかったです。
戦う目的が見えず、まだ旅の途中である2人はお互いに補い合えたと思います。晴人が士の世界を廻る旅に付き合う、そんな物語も見てみたかったです。

■なぜインフィニティの指輪を託したのか
・今回疑問に思ったのは、晴人が最後にインフィニティの指輪を託したことです。
インフィニティは唯一晴人が自分で創りだした晴人の希望です。その指輪を子供に託す、つまり希望を未来に託したということでしょうか。これまでずっと一人で抱え込み、自身を「俺が最後の希望だ」と言ってきた晴人が他者に希望を託す。しかも誰よりも守りたい相手である別世界のコヨミをです。これだけで晴人が一歩進んだ印象を受けます。

【アクション】
■オールライダー大決戦
・今回も引き続きアクションはオールライダーが中心です。というかほぼ全編オールライダーのみです。
登場後すぐは予算の都合でエフェクト抜きで、全員ただポコポコ殴るだけの同じ打撃音が続いたのはあんまりでしたが、その後は良かったです。特に3人ずつのコンビネーションキックは、これまでのオールライダーの反省がしっかり踏まえられていてばっちり決まってました。人数が多く、引き絵にすると迫力が無くなってしまうので、3人がちょうどいいですね。

・巨大戦も意外と見応えがありました。ＣＧレベルは相変わらず時代遅れですが、オールライダー無双の爽快感がたまりません。ただマシントルネイダーで体当たりかますのはどうかと思いますが、ゴウラムやカブトのバイクでも無理がある。個人的には、Ｗであえてルナを選んだとこが嬉しかったですね。あの強いけど、うねうねしたキモい姿。かっこのつくトリガーではなく、ルナってのが素晴らしいです。ライダーの話の後なので、あの異形の姿が誇らしいです。

・ただ、あの話の流れで鎧武が一人で圧倒というのはいまいちでしたね。
販促としては完璧でしたが、物語の邪魔になってしまいました。商業ベースの特撮、それもスペシャルとなれば当然のことですが慣れませんね。

■今週のランドさん
・脚本家が変わってもやることは変わりませんでした。
あのタイミングで「ランド」とベルト音声が聞こえた瞬間、「もう止めてー！！」と心の中で叫んでしまいました。どんだけランドさんをいじめるんですか。でも地味に成長が伺えます。地面から生やすのではなく、空中に飛ばしてました。あと5回くらい出られれば強いランドさんが見られるかもしれません。


来週からは仮面ライダー鎧武が始まります。
脚本家・虚淵さんはともかく、シリーズ構成・虚淵さんにはブラスレイター、ガルガンティアと良い印象がありません。このイメージを払拭してくるといいのですが、どうなるでしょうか。龍騎を彷彿とさせる戦国ライダーと個人的な不安材料が多めです。