Z級ですら無いD級映画。映画『宇宙人王さんとの遭遇』:感想

2013年6月2日
映画『宇宙人王さんとの遭遇』を見ました。
オススメ度 -5/10



【あらすじ(ネタバレ付き)
 主人公ガイアは中国語通訳。あるとき彼女は知り合いから破格の報酬の案件を持ちかけられ、不審に思いつつも乗ってしまった。目隠しをされ着いた先には中国語を話す宇宙人、王さんがいた。
物腰の穏やかな王さんに対し、横柄に初めから疑ってかかる捜査官にガイアは不信感を募らせ、王さんを脱出させることを決意する。そして二人が地下から脱出したときに目にしたものは…
街を破壊するUFOの大群。そして王さんはおもむろに最終破壊兵器を作動させ、一言
『お前、バカだな。』
こうして地球はエイリアンに乗っ取られましたとさ。 

【感想】

■見どころが無い!
・中国人=厚顔無恥な侵略者というコテコテのプロパガンダ映画でした。
それだけでも不快なのですが、憤りを感じるのはそこではありません。この映画、映画としてクソつまらないんですよ!!
ストーリー、設定、演出。どれを取っても最低で、1時間半の間全く楽しみがありませんでした。最悪な思いをさせられた上に金取られるなんて冗談じゃないです。

■最低プロット&設定
・人種差別のプロパガンダ映画ってだけでも最低の気分ですが、一つの映画としてもゴミ以下です。何が酷いってこの最後の展開が途中から見え見えなんです。『この流れだとこれ以外終わらせよう無いよな~でもまさかね。』と思ったらこの様です。予想を一つも裏切ること無く終わってくれます。

・それも展開が読める理由が酷すぎる。
主要登場人物が3人しかいないのに人物描写が紙切れのように薄いんです。
主人公の通訳=人道主義で、王さんに同情しちゃったバカ。
捜査官=KGB的な存在で王さんを侵略者と決めつける人種差別主義者。
王さん=善良そうな宇宙人。でも発言が曖昧で嘘くさい。
これだけです。そして脚本も台詞もこの設定の範囲でしか描かれません。なんでそう思うのかとか、意外な一面とか、それまでの印象をひっくり返すようなシーンとか、なーーーんにも有りません。
ジャンプ漫画やラノベでもここまで酷くはないでしょう。

■リアリティがゼロ

・単純に映像作品としても見るに耐えません。
意味もなくテンポの悪い間。なんで入れたのかわからないサスペンス(と思われる)描写。
何よりSF映画なのにリアリティが全くないんです。エイリアンを尋問する秘密基地なのに、いるのは捜査官1名。科学者1名。警護1名。どんな警備してんだよと違和感を感じてしまって、ひょっとして国家組織ではなくマフィアなのかと疑ってしまいました。

・明らかに反感を抱いている主人公がトイレに行くと言っても、警備の人はなぜかその場で待機。あげくに主人公はズボンの下に隠し持っていた携帯を使う始末。X線もボディチェックすら無しの空港以下の警備体制には呆れてしまいます。

・しまいには不意を突かれたとはいえ、屈強な警備員が真正面から女に突き飛ばされて思いっきりすっ転びます。筋肉すら信用してはいけないなんてどうなっているんでしょうか。

・とどめに宇宙人を拷問する方法が安っぽい端子をつけての電気ショック。自白させたいなら自白剤を試そうよ。

・地獄はまだまだ終わりません。突然警報が鳴り響き、基地から人がいなくなったため主人公と王さんは脱出できたのですが、これもおかしい。UFOの攻撃が始まったから避難したのでしょうが、それならなぜ襲撃者の仲間である王さんを放置したのでしょうか? 始末するなり、人質に使うなり、生死を問わない尋問を行うなり、やるべきとはいくらでもあったはずです。素人でも疑問に思う展開は本当にうんざりします。


SF好きとしては、こんな腐った映画の低予算の言い訳にSFが使われたことに強い憤りを覚えます。
つまらないより酷い、見たことを後悔する映画です。絶対見てはいけません。


コメント

4 件のコメント :

  1. SF好きねえ・・・(笑)

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  2. > SF好きねえ・・・(笑)
    ロメロの『ゾンビ』しかり、差別への風刺として使うのは良いと思います。差別するために使われるのは嫌いなんです。風刺にしては中国語を話すくらいでお粗末ですが。

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  3. 携帯を警戒しないのは電波遮断をきちんとしてるから
    自白剤を使わないのは、地球人と異なる生物に使った場合の効果が不明(下手をすれば死亡してしまう)から
    じゃないかな 普通に考えたら

    返信削除
  4. > 携帯を警戒しないのは電波遮断をきちんとしてるから
    > 自白剤を使わないのは、地球人と異なる生物に使った場合の効果が不明(下手をすれば死亡してしまう)から
    >
    > じゃないかな 普通に考えたら
    [色:0000FF]普通に考えればそうですよね。
    ところが電気ショックのときには、死んでしまうから止めろと主人公に言われても捜査官は実行してるんです。
    明らかに死ぬかどうかよりも情報を早く入手することを優先しています。
    これまで肉体的に拷問しても効果が上がってないならば、効果が不明でも自白剤を試すほうがマシに思えます。
    そうでなければ、焦らずに効果的な方法を検討するのが当然だと思います。[/色]

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