『五星戦隊ダイレンジャー』最終回まで見終わって:感想

2013年6月26日
東映公式チャンネルで配信されていた『五星戦隊ダイレンジャー』を最終回まで見終わりました。
今見ても面白いところもあるのに、いろいろ惜しい作品でした。

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【ストーリー】
■戦隊にはぴったりの個別エピソード
・ダイレンジャーのストーリーの特徴の一つが、リーダー無し&各脚本家が5人を個別に担当していることです。
特に中盤以降になると、陣や3バカが出る個別エピソードと本筋のストーリーとが完全に分かれてきます。この構成は、中~後半でダレがちな戦隊にはぴったりだと思います。ですが弊害もあります。

■登場人物が本筋に絡まない
・5人と本筋のストーリー、脚本を完全分業制にしたせいで各登場人物とストーリーまでかけ離れてしまったのです。その最たる例が、キバレンジャー、コウです。途中で訳あって離脱するのですが、その前後の流れが酷い。

①いきなり『実はもう数日で化け物になってしまうんだ!』と設定暴露→②力が暴走して正気を失って離脱→③手をつくして元に戻る。

これ自体は唐突な設定なんてキッズ向けにはよくあることなんでいいのですが、ダイレンジャーの場合、経過があまりにも酷い。②から③の間で 4 話 も間が空いているんです。
暴走して去った衝撃の展開の後に何事もなかったように個別エピソードが進んで、呆気にとられました。

全体的に、こんな具合です。普通だったら前回の話の流れと整合性を取るために、一言状況説明を入れたりするものですが完全分業制のせいかできなかったみたいです。

■一つ、一つは面白い
・全体は、ぐちゃぐちゃになっていますが、一つ一つのエピソードは面白いです。
井上のダンディズムが色濃く出過ぎて別作品化してる亮vs陣。荒川さんらしい王道の友情物語の将児vs3バカ大五とクジャクの悲恋。
各脚本家の個性と登場人物の個性がマッチした個別エピソードとは対照的に本筋は、スケールが大きいです。

大神竜に始まり、終盤のクライマックスの連続からの無常感のある終わり方。本筋も個別も単体で見れば面白い内容だったのに、全体のちぐはぐさが台無しにしていて非常に残念です。

【アクション】
■かっこいいぞォォォ!
・戦隊において本格的アクションの先駆けと名高いダイレンジャー。噂通り、名乗りから本格的な拳法でかっこいいです。武器も棍や剣、ケレン味溢れる大輪剣と雰囲気も見栄えもばっちり!
構えてる姿は今見ても少しも見劣りしません。

■だけど、腹だたしい
・なのに、なのにアクションは残念です。
原因は雰囲気がゴレンジャーから続く旧戦隊の雰囲気そのままなことでしょう。
かっこいい棍でかっこよく構えてから繰り出すのが、ギャグじみた 金 的 だったり、いつも大真面目な大五の必殺技が 幻 山 手 線 だったり、「なんでこうなるの…?」というアクションがほとんどです。
シチュエーション的に見せ場になればなるほどこのギャグ描写が強まるので、見ていて憤りを感じます。そのままのほうが美味しいステーキに、変なソースかけられて台無しにされた気分です。

【感想】
・アクションを期待して見始めた私にとっては、良い意味でも悪い意味でも裏切られました。
その回、そのアクションごとに、毛色ががらっと変わるので一括りに語れない作品だと思います。

ストーリーに興味がある。アクションが見たい。明確にダイレンジャーで見たいものが決まっている人は見て、損は無いです。裏切られる部分もありますが、最後まで通してみればトータルでは満足のいく内容です。
あんまり肩肘張らずに見るのをオススメします。

コメント

6 件のコメント :

  1. マルゲリータ2023年2月25日 23:47

    どうも、マルゲリータです。
    私も先日YouTubeで観ました。アクションも物語も面白い作品だったと思います。
    エンディングの「迫力満点!」のフレーズに、間違いはなかったなと。

    しかし、owlさんの言う通り物語がぶつ切りになっていたのは、問題だったと思います。今こんなことしてる場合なのかな?って何度も思ってしまいましたから。

    テーマには、「五人全員が主人公」というものがあったそうですが、やはり実現は難しかったようで、カズとリンの印象が薄かったです。
    カズと関わりがあった亀夫は、敵じゃないですし、頻繁に会話するような場面もなかったですし、リンは、コウとワンセットみたいな扱いで、母親に激励されるのはリンじゃなくて、コウなのでは?とツッコんでしまいました。

    50年後の同窓会が、現実には叶わぬものになってしまったのが、悲しいです。

    最後に同じ拳法戦隊の「獣拳戦隊ゲキレンジャー」の感想を
    うかがってもよろしいでしょうか?
    幼い頃は、「なんでリオ達がなんでこんなに出てくんねん!もっとゲキレンジャーみせろ!」って思っていましたが、今見て見ると「ゲキレンジャーなんかいいから、臨獣殿の方見せてよ。」って思っている自分がいて驚きました。
    出ては消えていく武器といい、強化形態が出た後次々出て来た追加戦士といい、
    あまりいい印象はないのですが、owlさんの感想が知りたいです。

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    1. マルゲリータさん、こんにちは。

      >テーマには、「五人全員が主人公」というものがあったそうですが、やはり実現は難しかったようで、カズとリンの印象が薄かったです。

      そういうテーマだったんですか。結果としては上手くいかなかった印象です。
      5人それぞれに担当する脚本家をつけたせいで「”俺にとっては”こいつが主人公」という形になってしまい、5人全体、作品全体でのクオリティや方向性の統制が取れなかったように見えます。
      一人の脚本家が全体を書いていたら可能だったかもしれませんが、一人でお話のバリエーションを出しつつ全話書くのは人間業ではないでしょう。現実的には実現困難なお話だったと思います。方向性が似ているボウケンジャーも全体の調和は上手く行っていませんでしたし。

      >最後に同じ拳法戦隊の「獣拳戦隊ゲキレンジャー」の感想をうかがってもよろしいでしょうか?

      ゲキレンジャーは私が物心がついてから最初に通しで見た作品なので印象深いです。
      全体としては「素材は良いけど料理の仕方がダメだった」という印象です。

      どう見てもリオやメレのほうが優遇されていてお話がいびつでした。
      命がけの修行で強くなったリオやメレを圧倒する、もらったアイテムでお手軽強化されたゲキレンジャーという構図はゲキレンジャーのほうが卑怯に見えることが多々ありました。リオはかっこよかったですが、戦隊としてはダメだと思います。
      劇場版だったかのインタビューで監督が「リオをかっこよく撮れたから満足です」みたいなことを言っているのを見てやっぱりそうなんだと納得した覚えがあります。

      ストーリーは普通に面白くないダレてる展開が多かったと思います。
      序盤は修行がテーマの一部のはずなのにリオたちのほうがよっぽど修行してるように見えるのが致命的でした。ジャンを主軸にすれば「ジャンのように修行の在り方にこだわらないことが強さの秘訣」なんて言えたかもしれませんが、実際には師匠の言いなりなので格好がつきません。おまけにパワーアップは修行の後にアイテムをもらうのがメインで余計に修行とはいったい…という感じでした。
      終盤はシリアスでしたけどそういう土壌があまり無かったのでノレませんでした。

      キャラの中ではゴウが好きでしたが死ぬほど不遇でした。修行して奥義を身につけたのに先にメレに使ったせいでリオに破られる展開は唖然としました。
      台詞も少なく、口癖の「まいったぜ」しか台詞がないような回が続いたときには思わず自分が「まいったぜ」とつぶやいてしまいました。あれ以来、戦隊のキャラの扱いの平等性には期待しなくなりました。

      アクションは最初はカンフーだし武器もヌンチャクや奥義など変わっていて面白いと思いました。
      でも結局活かせなくて残念なクオリティでした。特に多vs1の戦闘が足を引っ張りまくっていて、次々とやられるか見学してるかという流れが多くてゲキレンジャーがかっこ悪く見えました。1vs1のバトルは良かったですがそれ以外は酷かったと思います。

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  2. ダイレンジャーのアクションってかっこいいですよね。
    まるで、ジャッキー•チェンみたいでいいですよね。
    「極めるファイティングパワー」繋がりで、
    獣拳戦隊ゲキレンジャー(全49話)と
    光戦隊マスクマン(全51話)と
    バトルフィーバーJ(全52話)
    も1話から最終回まで見てほしいです!
    それらもカッコいいのでオススメです!
    バトルフィーバーJの場合はアクションシーンについて賛否があると思うけど
    そのかわりスパイアクションもの要素がかっこいいので
    オススメです!

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    1. ゲキレンジャーは全話見たことがあります。
      あちらは個別のアクションは良くてもダイレンジャー以上にバトルの展開で台無しだと思いました。アイテムなどを使わず純粋に戦うメレやリオのほうがよほどかっこよく見えてしまいました。

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    2. じゃあ、残りは光戦隊マスクマンとバトルフィーバーJですね。

      あと、質問なのですが
      ゲキレンジャーやマスクマンやバトルフィーバーJ
      の感想のレビューに関しては
      作る予定はあるのでしょうか?

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    3. ゲキレンジャーは無いですね。放送当時に見ただけで記憶が朧気ですし、感想もごく普通のものになると思うので特に書く価値を感じません。
      他の作品は見たら書くかもしれませんね。特に見る予定はありませんが。

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