『仮面ライダーガヴ』 第5話「思い出がヒリヒリ」:感想
■ちょっと展開が弱い
「人間を幸せにするのが悪いことなんじゃなくて、幸せな人間を襲うグラニュートのほうが悪い」
と、ショウマが開き直って2話のギャル社長の元に自分から戻っていきました。私はちょっと展開が弱いように感じました。
父親の行動の是非がショウマにとって課題になっていたならともかく初耳ですし、「ストマック家なんていくらでも倒せるから問題ない!」と調子に乗れるほどの成果も挙げていないと思います。
誰が悪いとか責任の話じゃなくて人間に不安を与えないことをショウマは最優先してる印象だったのですが私の解釈間違いだったのでしょうか。
・個人的にはこの辺がしっくり来ないのですが「ショウマは力に溺れて調子に乗っている」とか意味があるんでしょうかね?
グラニュートに虐げられてきた素性を考えれば連戦連勝で妙な自信を持つのも無理もないとは思います。
調子に乗っていたとしてもそれが不健全かというとこれも微妙なラインだと思います。下手すれば自信を持ったこと自体が初めてな可能性もあり得るくらいに不遇な生い立ちですからね。ずっと卑屈なまま生きるよりは根拠が薄くても自信を持って生きるほうが健全な気もします。
ショウマの人間との関わりの有無に限らず、人間がスパイスにされる事件自体は減らないでしょうしね。そこにこだわり過ぎると「自分の視界に入ってる相手を守れればそれで良いのか?」という別の問題に踏み込むことにもなりかねません。それは話が広がりすぎてやぶ蛇でしょう。
・個人的には「不幸になることを恐れて幸せになることを諦めないといけないなんておかしい!」くらいが今のショウマには妥当なラインかなと思いました。
父親の方針で不幸であり続けて不満はありつつも漠然とそういうものなのかと納得してきたけれども、人間界に来てお菓子を食べる喜びや他人の幸せを感じたことで幸せであることの喜びやそれを搾取するグラニュートへの怒りが込み上げてきた。
個人的な怒りに突き動かされている状態くらいが自然な範囲かなと思いました。今のショウマは子供っぽいので論理的な答えはあまり似合わないでしょう。
■ストマック家の事情
・グラニュート界には普通のお菓子も有るんですね。
ストマック家もグラニュート界を支配する一族とかではなく、いずれ取り締まられる可能性を心配しないといけない程度の社会的地位だそうです。思ってたよりも大した存在ではないみたいでした。
・家系図的なものも出てきました。
闇菓子を作り始めたのはショウマから見て祖父の時代からだそうです。
闇菓子装置を発明したのは今回出てきた祖父の弟=大叔”父の”デンテ”で、ショウマのガブを改造したのもこの人であり、開発担当の次男”ニエルブ”の師匠でもあるそうです。
父親のブーシュが一番偉いならショウマたちが家の中ですら肩身が狭いのは不思議だなと思っていましたが、祖父の生死は不明ですが祖父が隠居はしてもまだ生きてたとしたら家庭内でもショウマたちの扱いが難しくなるのも納得が行くかもしれません。
■眷属=エージェント
・今回、双子がエージェントを生み出す場面がありました。やっぱりこの理解で合っているんですね。
エージェントを倒すときにいつもの「どうする? 闇菓子に関わるのを止めるか、ここで俺に倒されるか」っていう問いかけが無かったのも眷属であって生き物じゃないことをショウマが知ってるからなんでしょうかね。
・東映公式によると誰が生み出したエージェントかは発光部や衣装の色で判別できるそうです。
今回バイトに”任務”を持ちかけていたエージェントは双子の青とは違うオレンジ色だったので他の3人の誰かみたいですね。以前ランゴに報告していた部下らしきエージェントが似た色だったので普通にランゴでしょうか。
■仮面ライダーガヴ・ヒリヒリチップスフォーム
・演出は良かったです。炎の派手さはよく出せていましたし、刃を投げつけて破片から出る炎で敵を囲んだり、必殺技封じにハンドルを押さえてくる敵ごと回転してハンドルを回したり、それぞれに見せ場がありました。
・ただ、敵を思いっきり切ってるのにダメージが入ってる感じがしなかったことは良くなかったです。
それだと派手さがかえって裏目に出ます。違和感が強くて目に映る出来事そのものが信用できなくなってしまいます。結局1体は逃げられてるし、方向性がバトルの流れと合っていませんでした。
今回の演出はたくさんいる雑魚を次々と倒していくようなバトルのほうが合ってたと思います。
次回は2号ライダーが登場するようです。変身するのは順当に絆斗ですかね。
先輩ライターは前回ガヴを信用してる絆斗に苦言を呈したり、絆斗の過去を唯一信じた人だったことから逆に怪しく見えて本当は先輩ライターこそが絆斗の母親の仇なんじゃないかと疑ったりもしましたが、普通に良い人なだけだったっぽいですね。
このタイミングでの絆斗のライダー化は不穏な感じがしました。今回の「こいつは化け物じゃない!」の根拠が薄いところが不安を感じました。以前にも「化け物と戦う…ってことは人間?」と種族の差にこだわる傾向を見せていましたし、ショウマがハーフだと知ったら敵対的になってもおかしくなさそうです。
ライダーになってグラニュートを倒せる力を得たことですれ違いも起きそうです。今のところ成功した試しがありませんが、ショウマの「もう闇菓子に関わらないなら助けてやる」問いかけに従う怪人が現れたら絆斗と揉めることになりそうです。
個人的な怒りに突き動かされている状態くらいが自然な範囲
返信削除ホントこれそう思います
そこだへんの草を食べるくらい虐げられてて、目の前で母親やられてますからね
前回とか激昂して殴りかかると思いましたが、そういう感情をそもそも持たないほど空っぽなんでしょうか
このままだと2号ライダーの方が復讐の主導になりそうで主人公が薄れるかもなと思いました
>前回とか激昂して殴りかかると思いましたが、そういう感情をそもそも持たないほど空っぽなんでしょうか
削除この辺りはまだわからないところが多いと思います。
「思考が基本的に善意主体でできているから他人に対して怒るという発想がない」といった生粋の善人なのか、
「『怒る=憎い父親と同じようになる』という発想があって他人に対しても怒ることにストレスを感じる」といったトラウマ的なものなのか。
生まれも育ちも現在の状況も大半が特殊なので、感情がふさがっているのか欠けているのか抑えているのか今のところは判断が難しいと思います。
>このままだと2号ライダーの方が復讐の主導になりそうで主人公が薄れるかもなと思いました
「視聴者にとってのわかりやすさ」という基準ではそうなる可能性は有ると思います。
スタッフはそれも織り込み済みで、「主人公は複雑なキャラなのですぐに理解してもらえるとは思ってない。序盤は販促も兼ねて単純な牽引力は2号ライダーに任せる。主人公には後から魅力を感じてもらえばそれでいい」という方針で意図的にやる可能性もあり得ると思います。良いか悪いかは出来栄え次第だと思います。
ショウマが人形を拾ったのは、「誰かを不幸にしたくない」や「ストマック家を許せない」という理由だけでなく、「父親と同じ轍を踏みたくない」という意味合いも含まれていたと思います。ただもう少し欲を言えば、先週の老夫婦を置いてけぼりにした自分が昔の父と同じだったことに気づき、後悔するような描写が欲しかった気もします。
返信削除>ショウマが人形を拾ったのは、「誰かを不幸にしたくない」や「ストマック家を許せない」という理由だけでなく、「父親と同じ轍を踏みたくない」という意味合いも含まれていたと思います。
削除はい。あの場面は「他人を幸せにしてしまってもいいのか?(それ自体は悪いことなわけないだろ!)」という逡巡と決意を含んだ行動だったと思います。
>ただもう少し欲を言えば、先週の老夫婦を置いてけぼりにした自分が昔の父と同じだったことに気づき、後悔するような描写が欲しかった気もします。
それも同感です。
そもそもの「他人を幸せにしてもいいのか? 悪いのは襲ってくるグラニュートじゃないのか?」という疑問自体が前回の老夫婦の一件から生じたものですからね。
ギャル社長の元で多くの人を幸せにする道を求めたようですが、ショウマのメンタル次第では自分の幸せや贖罪などを理由に老夫婦の元に戻る道もあったと思います。
次回以降に手紙とかでフォローできれば何よりなんですけどショウマは住所も手紙自体も知らないから直接会う以外には今は無理そうなんですよね…
後で1話の男の子と再会して「そうか。別れた後もこんなふうに思ってくれている人もいるんだ。落ち着いたら他の親切にしてくれた人たちにも会いに行きたいな」とか思う場面があるといいなぁと思っています。