『仮面ライダーガヴ』 第3話「ソーダパンチは罪な味」:感想

2024年9月15日
■良いネタを惜しみなく使ってる
「助けてくれた人間が悪人」とか「幸せは作ればいい」とか、一つのネタだけで1話ずつ作れそうな良いネタをいくつも使っていることに驚きました。
「悪人だけを狙う自称”正義の味方”のグラニュートと出会って、人間は善良なものだと思っていたから何が正しいのか悩むショウマ」なんてネタはいつか来るだろうなと思っていましたが、早々にカードを切ってきました。その程度のネタを惜しむ必要はないという強気な姿勢だと嬉しいです。
「どうせ途中で息切れするからいっそのこと最初と最後に全力を投入する!」という割り切り方だとしても、何の考えもなくダラダラして結果的に中だるみしていくよりかは意欲的でしょう。

・基本的なフォーマットはこれまでと同じ行き倒れ形式でしたけど、今回はショウマのほうがゲストに主体的に関わっている点が大きく違うと思いました。
ゲストから教えられるパートは最初の「ご飯はちゃんと食べないとダメ」で終わらせて、ショウマのほうがゲストのおじさんに「そんなことのために助けたわけじゃない」と善意とは何かを説く側に回っていました。
おじさん側の結末が結局会社が潰れてしまったところがちゃんとしてると思いました。この話は「別に泥棒をする必要は無かったじゃないか」で終わっちゃ台無しですからね。
「泥棒に成功していたら会社は潰れなくて済んだかもしれないが、そんなこと恩人の社長は望まないだろうしショウマのように悲しませるだけだった(だから未遂で済んで良かった)」のほうが善意の意義を説く話としては適切だと思います。

・個人的にはショウマが「”化け物”を利用していた」場面が良いと思いました。
またしても助けたゲストに「化け物!」と恐れられてたじろぎつつも「…もう悪いことしちゃダメだからね!」と怖がられる存在ならばその立場を活用しようとしていたところがショウマの逞しさと悪ぶっても隠せてない善良さがにじみ出ていて良かったです。

・「正義」の話は真面目にやってもスケール感の違いから子供にはピンと来ない話が多いと思います。
古典的な仮面ライダーをやりつつも、正義を善良さに翻案してわかりやすくしてあるところは真摯な姿勢だと思っていて私は結構気に入っています。

■お菓子の意味
・これも結構良かったです。
「お菓子ばかり食べてちゃ身体に悪いよ!」という、いかにも教育的な内容でしたけど、そこから「お菓子は辛いときにも食べることがある」と、思い出の中の母親の心境を想像する流れにつなげるのは良い掘り下げでした。
ショウマにとっては結構ショックな出来事だったと思います。部分的にとはいえ、自分と過ごしていた母親は不幸な環境に苦しんでいたんだなと気づいてしまったんですからね。母親が不幸だったかどうかの客観的な真偽はまだ不明ですが、恐らく他の兄妹から存在を否定されてきたであろうショウマにとっては嬉しい情報では無かったでしょう。
ニチアサでは子供人気のために主人公を子供っぽくすることはよくありますけど、子供っぽさを特に活かさない作品もニチアサでは珍しくありません。傾向としてはその手の設定を見た瞬間うぇっとなる地雷設定ですけど、ちゃんと話に活かせれば有りだなと実感できました。

■グラニュート研究者
・なんか新キャラが登場しました。
初手が眷属の拉致だったので個人的には印象が悪いです。
主人に忠誠を尽くせずに息絶えるなんて眷属にとっては悪夢のような光景な気がしますが、「誰かに使われて死ねるならそれでハッピー!」だとそれはそれで眷属ちゃんの印象が変わりそうです。

■仮面ライダーガヴ・パンチングミアシスト
・見たまんまのパンチ強化のフォームでした。
ソーダのパチパチ感によって意外と防御など絡め手も使えるようでした。そこは見た目のシンプルさとは異なるギャップがあって面白かったです。

・必殺技の防御しても衝撃が伝わるパンチも面白そうでした。
直接殴って倒すだけよりも倒した後に爆発することの説得力が感じられました。そこも良かったです。

・途中のミサイルの辺りのシーンは微妙な印象でした。
グミアーマーのぷるぷる感やソーダのパチパチ感を表現したかったのだと思うのですが、アイディアは適切でしたが出来栄えが微妙でした。
アクションとCGの取り合わせのクオリティが微妙で何がどうなってるのか具体的に伝わってきませんでした。とりあえず直球のエフェクトをつけて誤魔化そうとした感じになってしまいました。


次回も基本的にはゲスト中心のお話になりそうな感じでした。少なくとも序盤のフォームチェンジが出切るまではこのフォーマットが続きそうですね。








コメント

2 件のコメント :

  1. こんにちは。
    過去ログを拝見したところ、令和ライダーシリーズは初回からまあまあかそれ以下、以降はいまいちかそれ未満の反応を示されていたようですが、ガヴは今の所一番良さそうな評価で安堵しております。否確かに、中盤以降で1話感想でおっしゃられた通り中だるみしそうな気も否定できないのですが…。
    個人的に、令和ライダーシリーズは販促目的と併せたキャラや設定の増やし過ぎで、脈絡的な面でストーリーに弊害をもたらしていたのではないかと推測しています。
    あと、レギュラー陣は名前に味覚系の単語が付く感じですから、あの研究者も「酸味」ということで準レギュラー入りする形になりそうですね。

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      >令和ライダーシリーズは初回からまあまあかそれ以下、以降はいまいちかそれ未満の反応を示されていたようですが、ガヴは今の所一番良さそうな評価で安堵しております

      ガヴは今のところ完成度が高いと思っています。他の令和ライダーは主人公の魅力が感じられないとかどういうお話か伝わってこないなどガヴと比べてとかそれ以前の問題が多かったと思っていますが。

      中だるみに関しては序盤の出来栄えとは良くも悪くも独立した事象なことが多いので何とも言えませんね。
      序盤が良くても段々下がっていく作品もあれば、序盤が悪くて最後までダメな作品もありますから。今のところは漠然とした不安はありつつも今を楽しみ、「この調子で続いてほしい。2,3クール目はせめて6,7割くらいの面白さを維持してほしい」と願うだけです。

      >個人的に、令和ライダーシリーズは販促目的と併せたキャラや設定の増やし過ぎで、脈絡的な面でストーリーに弊害をもたらしていたのではないかと推測しています。

      そういう可能性もあると思います。
      私はそれも原因の”実”とでも呼ぶべき部分で、根本的な原因はスタッフに実力不足の部分が大きいと思っています。
      何が面白いか何がつまらないかの判断ができてないから余分な設定やキャラを増やしやすく、ストーリーの整合性や説得力もわからず「この展開はおかしいから止めましょう」とか「これ面白くなりますかね?」といった判断ができていないのだと思います。
      ストーリーは脚本家の実力が大きいのでさておき、設定と設定に基づくストーリーで言うならガヴと他の令和ライダーで大きく異なっているわけではないと思います。扱い方次第でガヴの設定でもつまらなくもなるし、他のライダーでも面白くしようはあったと思います。

      >レギュラー陣は名前に味覚系の単語が付く感じですから、あの研究者も「酸味」ということで準レギュラー入りする形になりそうですね。

      字面はそんな感じですね。ストマック家もショウマ以外は「舌」を意味するいろんな国の言葉らしいですし。

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