■超展開、でも基本は忘れない
・今回はラスト2話の山場だけあって超展開の連続でした。
唯一順当な展開はチェイスが死ぬだけのどうでもいい役だったことです。さすが「レジェンドから逃げない！」ですね。逃げずに殺すことだけはしっかりやりました。ストーリーは放り投げてもレジェンドは雑に処理する。それがスタッフのこだわりなのでしょう。

■ソウゴ
・今回も見事な王様っぷりに痺れました。殺されそうな国民を見捨てて逃げる王の姿は実に王らしさに溢れていました。「俺の民を見捨てない」とか言っていたやつのことは忘れましょう。

・「最初から覚悟はできていた」という発言もすごかったです。
ビビってベルトを手放そうとしたことなんてあるわけありませんやね。これだから毛利とかいうシリーズ構成でない脚本家は信じられません。
龍騎回でミラーソウゴの話を書いた下山とかいう脚本家もストーリーも全くわかってないアホですね。ソウゴは最初から覚悟が決まっていたのだから自問自答なんてあるはずないのに。

・「最後のタイムトラベルだ！」も壮絶でした。
私の記憶によるとソウゴがタイムマジーンでタイムトラベルしたのは16話のオーマジオウとの対面が最後だったと思います。30話以上もしてなかったことに並々ならぬ思い入れがあるんですね。個人的には「あ、タイムマジーンは無かったことになってなかったんだ」と思いました。

■時間の流れがめちゃくちゃ
・今回は全般的に時間の流れとその影響が理解できませんでした。

・オーマジオウ「お前が来たことは私の記憶にはない」
→記憶にないということは時間の流れが変わったということであり、そうするとオーマジオウの存在自体が消滅するはずなんですが…
というかそもそもここまでの流れは白ウォズタイムジャッカーも何もかも予定調和だったというのですか？　オーマジオウの記憶している歴史はどうなっているのでしょう？　これだとオーマジオウ自体も「20人目のオーマジオウ（何度ゲイツたちが介入して歴史を変えようが結局ソウゴは最低最悪の魔王になった）」とかでないと整合性がつかない気がします・

・ツクヨミたちがタイムスリップして過去に行くことを思いついたのはソウゴの介入の影響
→これを真に受けるとゲイツたちは「過去のソウゴがオーマジオウと戦い、自分たちを助けてくれた」という事実を承知の上で「お前は魔王になるから殺す！」とか「こいつは信用してもいいかもしれない」とか言っていたことになってしまいます。明らかにおかしいです。時間の流れがおかしいか、あるいはゲイツやツクヨミが命の恩人を殺そうとするキチガイか。究極の選択ですね。

・そもそもソウゴは何しに今回オーマジオウの未来に行ったのでしょう？
「オーマジオウを足止めする」と言っていましたがツクヨミたちが撤退する足止めでいいのでしょうか？　だとすると「足止めしない＝ツクヨミたちも死んでいた」という未来が最初にあったことになり、ソウゴが介入しない＝ゲイツたちはあそこで死んで過去に来ることはない→「じゃあこれまでのオーマジオウに対抗したソウゴはどうやってドライバーを手に入れたんだ？」というパラドックスが起こると思います。
ソウゴの介入有りきで考えるとそもそもゲイツたちはソウゴの介入がなくても過去に行くことを思いついていたことになってあの思いつくシーンの意味がわからなくなりますし、ソウゴが介入する＝ツクヨミにウォッチを持たせるなのでツクヨミは1話からずっとウォッチを持っていたことになるでしょう。わけがわかりません。

・ソウゴがツクヨミにウォッチを持たせたこと自体も謎だと思います。
見た感じだとオーマジオウが協力してくれないとウォッチは空のままでツクヨミはライダーになれなかったようでした。しかしソウゴはオーマジオウに協力を求めることはありませんでした。ソウゴの計画のままだとツクヨミが空のウォッチを持っているだけで終わりですし、オーマジオウが協力してくれると確信する根拠もまるで見当たりません。ソウゴは何を考えていたのでしょう？

・なんかいつの間にかツクヨミが力を持てば他の世界を消滅させずにツクヨミたちの世界を救えることになってますし、全く話についていけませんでした。

■「考えるだけ無駄」は公式お墨付き
・いろいろ考えてみましたが結論としては無駄です！　なぜならば公式がそう言っているからです。以下東映公式のプロデューサー様の発言の抜粋です。

たとえば46話『オペレーション・ウォズ』でいえば、一同がなぜ白ウォズを頼ろうと思うに至ったか、そのくだりがごっそり落ちてます（編集でカット）。
その尺は、ドラマやアクションに回りました。もともと、説明よりもそっちを優先するための構成なので、それでいいのですが。

この手のことが、次回はもっと盛大に起きます。
最終回はいやおうなく尺が伸びるものなので、相当圧縮したはずですが、驚くほど入りませんでした。直近の47話や48話で振った謎すら、軽く３つくらい回収されずに終わるでしょう。
そのぶん、よけいな説明にまどわされずに、一同の最終回が楽しめるはずです。
もし補完が必要なら、放送後にいくらでもできますしね。　

だそうですよ。「話は意味がわかるようにできてません」と公式から声明が出るとは驚きです。

・「ストーリーよりアクションを優先する」という考え方自体は一理有ると私は思います。アクションやヒーロー活劇がメインですからね。
しかし「”ドラマ”を優先するためにストーリーを省略します」というのはおかしいと思います。前後の文脈が途切れたドラマなんて存在するとは思えません。それはドラマではなく、ただの”場面”になってしまうと思うからです。それは文脈もキャラの積み重ねもないままに台詞で言わせただけで良いことを言ったつもりになるのと同じことだと思います。
もっともスタッフがこういう考えで話を作っていたならこれまで意味がわからなかったのも納得です。場面を作るだけで満足ならあれでもいいんでしょうね。

・しかしまだ一つ疑問が残ります。いったい誰がジオウをタイムトラベルや歴史改変を主軸に据えた作品にしようと言い出したのでしょうか？
プロデューサーのこの発言から考えてプロデューサーが設定を邪魔な存在とみなしていることは明らかだと思います。タイムトラベルや歴史改変を行う作品にしようと決めたのもプロデューサーだと思っていたのですが違うのでしょうか？
もし同一人物で間違いないとすると私が思いつく理由は
「面白いかと思って始めたけど、こんなに設定に準拠した話を作るのが面倒だとは思わなかったから設定は捨てちゃお」
なんてどうしようもない理由しか思い浮かびません。真実はいったい何なのでしょうか。



次回で最終回です。
ストーリーはどうしようもないと宣言が出ているのでどうもこうもありませんが、このままオーマジオウには負けっぱなしの手加減されまくりという恥辱にまみれたまま終わるのでしょうか。個人的にはそっちのほうが大問題だと思います。