『プリパラ』アニメの1stシーズンを見終わって:全体感想

2015年4月1日
・38話をもって、アニメの『プリパラ』の1stシーズンが終わりました。このまま時期を空けずに2ndシーズンに突入するわけですが、一つの節目として1stシーズンまでの感想を書きたいと思います。


【ライブ】

■歌とライブは満点!
・面白かったです!
3クールの間、退屈することがありませんでした。曲数も数えてみれば10曲(+コスモさんで1曲)もありました。4話に1回は新曲が出ている計算になります。改めて数えてみるとすごいペースですね。退屈しないわけです。

・曲数に加えてライブごとの衣装の変更もありました。衣装もただの販促ではなく、衣装が変わると雰囲気も変わって、同じ曲でも新鮮味が感じられました。これも飽きさせない理由ですね。
女児向けながらホットパンツやチャイナワンピなどセクシー系の衣装もあったことが個人的には嬉しかったです。その一方、水玉模様が非情に毒々しいカエルちゃんコーデなどわかるけどわからないデザインもあって、バランスが絶妙だったと思います。

・歌とライブに関しては満点でした。
ただし、サイリウムチェンジとメイキングドラマに関してはもう一つといった感じです。
サイリウムチェンジは37話のファルルカムバックライブ以外では今ひとつ活かしきれていませんでした。
メイキングドラマは大半が何がどうしてこうなった?!と呆気にとられるばかりでした。解放乙女ヴァルキュリアや全力ダッシュなどワンアイディアでは作品に合っているものもありましたが、それも映像表現としては微妙でした。
サイリウムチェンジとメイキングドラマに関してはまだまだ工夫の余地があるように感じます。逆に考えれば、プリパラにはまだ伸びしろがあるとも言えます。今後に期待したいです。


【ストーリー】

■プリパラとアイドルの物語
・最初は勢い重視で何でもありのストーリー展開だと思っていましたが、違いました。ゆるいところはゆるいけれども、根幹部分は意外と骨太です。

・『プリパラ』は「誰でも”アイドル”になれる場所、”プリパラ”」の物語でした。
アイドルという言葉には2つの意味があります。
一つは「みんなに夢を与えるスター」。もう一つは「なりたい自分」です。そしてプリパラは作中でアイドルになる夢を実現できる舞台です。プリパラという舞台で少女たちがなりたい自分を見つけ出し、人々に夢を与えるようになっていく。その基本要素は最初から最後まで一貫していました。

・アイドルになるために人気が出るよう計算して演技していくうちに、アイドルとしての自分も自己の一部になっていたみれぃ。
完璧なアイドルであるために自分を抑えて偽りの姿を演じ続けていたが、本当の自分を求めてくれるらぁらとみれぃに出会って、等身大の自分の姿でアイドルをすることを選んだそふぃ。
自己の探求のためにアイドルになり、見事に自分の世界を広げたシオン。
「可愛い」とちやほやされたいという自分の欲求に素直に従い、アイドルをしているドロシー。
初めは姉の望みに応えるためにアイドルをしていたが、アイドルとして活動しているうちに人を喜ばせることが自分の望みなのだと本心に気づいたレオナ。
アンドロイドで誰もが望む完璧なスターであるアイドルとして生を受けるも、らぁらたちと触れ合ううちに自分の欲求に目覚めて自我を持ったファルル。
天性のスター性を持ち、みれぃに巻き込まれるようにしてアイドルになり、無邪気に楽しんでいく中でアイドルとしての自分となりたい自分を見出していったらぁら。

・みんな、人々に求められるアイドルとなりたい理想の自分の狭間で物語を紡いできました。本来ならそんな簡単にはアイドルにはなれません。小学生であるらぁらが中学生のみれぃたちといっしょに踊ることも実現不可能でした。しかしそんな不可能も可能にしてくれるのがプリパラという舞台です。そんな素敵な場所、『プリパラ』の物語だったと思います。

・「販促アニメだから」というだけでなく、タイトルをちゃんと主題にまで昇華させてくれたスタッフに感動すら覚えます。なぜこのタイトルであったのかと納得させてくれる作品はなかなかありません。プロの仕事はそれだけでカタルシスを感じますねぇ。落とすべきところでストンと落としてくれる、気持ちのいい作りでした。

■37話「奇跡よ起これ!ミラクルライブ」
・38話はエピローグで、事実上の最終回は37話のファルルカムバックライブのほうでした。この37話は単独で記事を書こうかと思うほど素晴らしい内容でした。

・ずっといつかやってくれないかなと望んでいた6人での「make it!」にファルルも加えての7人ver、更に観客verまで、さらっとやってくれました。その上、CMを入れるタイミングを早めて後半15分ぶっ続けのライブ構成までやってくれて、私の夢が全部叶っちゃいました。クライマックスのために少しづつ積み上げておいて、ここぞというところで一気に投入する。理想的な構成でした。

・37話の構成で面白いと思ったところがもう一つあります。らぁらの挫折です。
土壇場で緊張のあまり足が震えて、らぁらが踊れなくなってしまって驚きました。しかし考えてみれば当然のことなんですね。

・らぁらはそれまでずっとライブを楽しんできました。それはライバルのドレッシングパフェとの勝負やパラダイスコーデを賭けたファルルとの重要な勝負でも変わりませんでした。たとえ負けても「すごかったよ!」「良いライブだったね!」と相手も自分も肯定して褒め称えてきました。それがらぁらの魅力であり、他の5人を引っ張ってこれた理由でもあります。

・しかし今回のライブはいつもと事情が異なりました。失敗すればファルルを助ける道が閉ざされてしまいます。負けて得るものは何もありません。失わないための勝負でした。この事実を認識してしまったから、らぁらは不安に押しつぶされて踊れなくなってしまったのでしょう。らぁらにとってこれが初めての負けられない戦いだったのですから無理もありません。

・そんならぁらを引っ張りあげたのがいつもらぁらに引っ張られてきた5人だったことがグッと来ました。5人は上を目指して、ずっと負けられない勝負に挑み続けてきたので勝負慣れしています。いつもは勝負を気にしていないらぁらの明るさに助けられてきた5人が、自分たちの得意分野で今度はらぁらを助ける。これぞチームですね。

・ライブでファルルを復活させる王道の流れに、主人公の挫折と仲間の支えという別の流れも変化球で入れてくるところが実に上手いと思いました。
期待通りであり、予想以上でもある最高の最終回でした。


【総合感想】

・女児アニメを開拓するために少しでも慣れればいいな、と思って見始めたのですがここまで夢中になるとは思ってもみませんでした。嬉しい誤算です。
しかも奇しくも3クールで1stシーズンが終わりました。1クール目では主役周りの土台を固めて、2クール目で新キャラを登場させて話を広げ、3クール目で総括する。「3クールアニメこそ最良」という持論の良いサンプルが増えました。これも嬉しい誤算でした。

・欲を言えば、メインストーリーの展開の前後をもう少し丁寧に描いてほしかったです。
校長先生の過去とか重要な部分もさらっと流されて拍子抜けするところもありました。あとドロシーやそふぃが後半空気になってたり、主要キャラはもう少し満遍なく扱ってくれたらなと思いました。
いずれもやったらやったで勢いが減ってしまうような気もするので、たぶん無いものねだりです。

・2年目で舞台がそのままで主要キャラも続投というと、どうしても”2年目のジンクス”が頭をよぎります。新キャラを投入するも旧キャラに思い入れがあるせいで比較されてパッとせず、旧キャラも1年目でやること全部終わってて伸びしろがない、というやつです。
でもプリパラなら何とかなるんじゃないかと楽観的に考えています。特に根拠はないのですが、そんな気がしてます。

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