『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』最終回まで見終わって:総合感想

2019年2月24日
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』を最終回まで見終わったので全体の感想を書きたいと思います。
 



【良かった点】

■ドラマ、関係性
・ルパパトの最大の魅力はキャラ同士のドラマだと思います。
敵に奪われた大切な人を取り戻すため、そのためなら「たとえ誰かが犠牲になろうと1人でも残ったやつが3人分の願いを叶えればいい」という目的でつながった見ず知らずの三人から始まった快盗の関係。
警察の情報を探るためにも正体を隠すためにも表向きの顔であるレストランの店員として親しくなった快盗と警察。
快盗にも警察にも両方に加担し、両方から怪しまれながらも独自の目的のために動く追加戦士のノエル。
”正しい”警察と正しくないとわかっていてもそれ以外に取れる道がなかった快盗。
正体は知らないまま快盗を快盗として実力だけは信頼し、怪人を倒して市民を守るために協力体制を取ることもある警察。
憎むべき犯罪者だと思っていた快盗が警察の手の届かなかった被害者でしかなかったことを知った警察。

・快盗とそのメンバーを中心にして感情の揺れ動きを丁寧に描いたドラマが最大の魅力だと思います。
快盗の一般人としての生活やメンタリティが描かれるほどに彼らの失ったものを感じさせ、警察の人としての善良さや正義感が描かれるほどに「でも警察のやり方では快盗になるような人は救えない」という断絶感が強まる。基本的には戦隊らしい明るい雰囲気を出しつつもその明るさがかえって快盗の背負った陰を強調されていました。それが快盗と警察が対立する理由であり、 快盗が警察の正しさを理解はしても従わない理由であり、警察が快盗を間違っていると断定しながらも理解は示す理由となっていきます。そういった陰影の描き方が魅力的でした。

・こういったドラマが最終的な勝因にもつながっていることも良かったです。
自分の作り上げた組織を自ら壊して独りになったラスボスに対して快盗、警察、追加戦士が力を合わせて打ち倒す。戦いとは直接関係ない人間関係の積み重ねが無かったならこういう展開にはなっていなかったでしょう。チーム制が基本である戦隊のフォーマットにも合っていて良かったです。

・個人的にはギャグ回など一見無関係に見える話もシリアス方面に活きてきたことも意外性があって面白かったです。
シリーズ構成以外の脚本家が担当した回はメインストーリーと関わりの薄い個人回やギャグ回が中心でした。戦隊ではよくあるフォーマットで、そういった回はあっても無くても全体のストーリーには影響しない数合わせに過ぎないことも定番です。
そういった回もメインストーリーに取り入れていたことは上手いと思いました。さすがにギャグ部分までは活かしきれていませんでしたが、警察が快盗の正体を怪しむときに「考えてみればなぜあの場に快盗が現れたんだ?」と根拠にしたり、一方的に素性を知っている快盗側は警察のメンバーに対して思い入れができたり、「AとBの二人が~した」という部分は盛り込んであるからその回の存在意義が感じられました。

■アクション

・アクションは今年も右肩上がりでした。ドローン撮影の回数も増えて映像のバリエーションが更に増えました。
特に快盗側はピカレスクらしいアクションで戦隊としてはユニークで見応えがありました。敵の膝を銃で撃ち抜いたり物をぶつけたり、ヒーローらしからぬ動きがたくさんありました。ワイヤーも移動手段として使ったり敵を拘束するのに使ったり、ときには地面を揺らして動きを封じる敵に対処するために空中戦用に使ったり、様々な使い方があって楽しめました。

・警察側も派手さでは快盗に劣りますが見応えがありました。
肩と肘のプロテクターで敵の攻撃を受け止める動きは地味だがデザインを活かしていて素晴らしかったです。小さいプロテクターで受け止めるのは無理があるように感じつつも、無理があるからこそそれを当たり前に実行できることに並外れた強さを感じました。
快盗と警察では柔と剛と性質が異なることが目に見える形で示されていて、片方が苦戦する相手でももう片方が勝てる理由が感じられる場面も少なくありませんでした。

・追加戦士のエックスは役者さんの特技に合わせたであろうパルクールアクションが良かったです。
周囲を駆け抜け跳び回り、柱や段差など地形も活かした攻防が繰り広げられました。実写ならではの躍動感と立体感が素晴らしかったです。

・換装武器の存在感があったことも良かったです。
盾になるシザー&ブレードは序盤に出てきた武器ですが最後まで活躍していました。やっぱり変身アイテムにはめるだけのアイテムより武器として形になっているほうが印象に残りますね。
換装武器のない警察側が相対的に寂しくなる側面は否定できません。警察側にもクレーン以外にも武器があったほうが良かったです。
銃が変身アイテムも兼用しているからか、警察の拡声器付き警棒と快盗の手錠付き剣はあまり使われなかったことは残念でした。拡声器付きの警棒なんて何をどう使うものなのか想像がつきませんでしたが出番自体が数えるほどで結局これといった使い方は見られないまま終わってしまいました。

■巨大戦
・巨大戦も面白いものが見られて良かったです。
全体としてはいつもどおりですが、背景やカメラワークなど凝った映像があって退屈しませんでした。ラスト数話では巨大戦が実質的になかったり、巨大戦のストーリー上の存在感は薄めだと思います。

・個人的にはルパンマグナムとエックスエンペラーが印象的でした。
ルパンマグナムは細身で動けるタイプのロボで初登場時のジオラマ戦がばっちり決まっていました。活躍は少なかったのは残念だが仕方ないですね。すぐ後にスーパー化用&実質的にロボ用の最強形態が出てしまったのでマグナムの販促期間は3話ほどしかありませんでした。AI制御で自立稼働可能という要素はストーリー面でも面白そうな使いみちがあったと思います。不満というほどではありませんがもったいないと思います。

・エックスエンペラーはモチーフを活かした変形のインパクトがありました。
名前どおりXの文字をモチーフにしたロボットで、ガンナーモードとスラッシュモードの2形態があり変形することで使い分けられます。 その変形方法がユニークでした。「側転して上下を入れ替える」というシンプルだが力強いものです。ロボットへの変形方法自体も「真ん中に穴の開いた列車にもう一つ列車を通してX字型にし、上に伸びた部分を降ろして腕にする」というもので徹底的にX字のモチーフで貫かれていました。
構造物として強度に無理がありそうとか中のパイロットどうなってるのとかツッコミどころはいくつもあるんですがモチーフを活かすという点ではかつてないインパクトを感じました。

■怪人のデザイン
・ルパパトは怪人きぐるみの改造がすごかったです。
こんな感じの色違いといったものから

こんな感じに頭部などを大幅に差し替えたものまでいろいろありました。


・この改造のおかげか、ルパパトでは完全な使い回しと幹部、雑魚を除いて全51話中39種類もの数を出せました。最近の戦隊だと幹部含めても30以下なので圧倒的な多さです。おかげで「またこの敵か」とか「また雑魚の改造か」というがっかり感を感じることがほとんどありませんでした。やっぱり怪人の種類が多いと満足感が違いますね。外見だけでなく話のバリエーションも増やせますし影響は大きいです。ぜひとも今後もこういう方針で行ってほしいと思いました。


【残念だった点】

■ストーリーの大枠の進展が少なかったこと
「怪人に奪われたルパンコレクションを全て取り戻して大切な人を取り戻す願いを叶える」
「快盗の大切な人を奪った宿敵を倒せばコレクション無しでも大切な人を取り戻せるかもしれない」
「快盗の正体を警察たちが突き止めるか隠し通せるか」
「主人公たちに快盗になれば願いが叶うかもしれないと持ちかけてきた、怪しいルパン家の人間」
「敵か味方か、快盗にも警察にも加担する追加戦士のノエルの目的」
「人々を苦しめる敵組織の撲滅」
「敵組織のボスが後継者を決めるために始めた”跡目争い”の行方」

・ヒーローものとしてのフォーマットも含めて、上記のようにストーリーの大枠はいくつかありました。そのどれもなかなか進まず、局所的に見ても俯瞰的に見ても進展が少なかったことは問題だと思います。
追加戦士を除いてどの要素も最序盤から明示されていたものですが特に進まず、それでいて後半に入ったらあっさり解決されたものもありました。引っ張るにしては内容が弱く、大した要素ではないと言うには引っ張り過ぎました。
シリーズ構成の香村さんが手がけた『ジュウオウジャー』でも似た傾向を感じましたが丁寧にドラマを進める反面、大枠を現状維持したがる癖は変わっていないようです。段階的に進められる要素を設けるなり、キャラのドラマがそのままストーリーの進展に直結する構成にするなり、対処法はあると思うのでここは変えていってほしいです。

■快盗のその後が無かったこと
・最後まで快盗が快盗のまま終わって、快盗を止めた後の姿が描かれなかったことは物足りませんでした。
元は普通の人だったのに目的のために快盗になったこと。快盗になる前にはそれぞれの人生や夢があったこと。ドラマの中心になっていたのは快盗の元々の人生でした。
特にルパンレッドである魁利は他の二人に比べて社会的には落ちこぼれで、何でも上手くできる兄に比べて何一つ上手くやれないことにコンプレックスを抱えており、作中でも「俺、快盗に向いているかもしれない」と開き直りとも自嘲ともつかない発言もしていました。魁利のコンプレックスはたとえ大切な人を取り戻せたとしても解消されるものではないように見えました。
更に終盤には快盗の正体が世間に公表されてしまいました。常識的に考えるとそのままでは快盗たちが元の生活に戻ることは不可能です。
一人の人間としての快盗を中心にドラマを描いてきたのに 快盗たちは快盗のまま終わってしまいました。今後あるであろうvsものなど番外編のことを考えると快盗を解散することはできなかったのかもしれませんが、快盗を続けるとも元の生活に戻れたとも何も描かないのは片手落ちだと思います。

■警察が快盗を敵視する理由が弱い
・”vs”を名乗っているように、快盗と警察は基本的に対立する関係でした。
それ自体はコンセプトの上で当然なことなので構わないのですが警察が快盗を敵視する理由が弱いことは良くないと思いました。

・警察が快盗を敵視する理由は
1)怪人を倒すのを邪魔することがあるから。
*快盗は怪人の持っているコレクションを集めないといけないので盗む前に倒されると死活問題になる。盗み終われば邪魔をすることはない。
2)快盗はあくまで泥棒であり、不法侵入などを行っているから。

というだけです。前者の怪人を倒すことは邪魔することは理由になると思うのですが後者の犯罪だからというのは理由としては弱いと思います。
後者の犯罪行為に関しては被害者が基本的に怪人だけなので正当性は感じられません。快盗は周りの被害を考えないとかそういうことはありませんし、警察も「怪人が警告に応じなかったらその場で抹殺」が基本です。人間扱いしてない猛獣みたいな相手に対する犯罪行為を理由にするのは無理があると思います。

・前者の倒すのを邪魔するほうを強調できればまだ良かったのですが、快盗を悪く描くわけにもいかないようですし快盗自体も根は善人なので怪人を倒すこと自体には積極的で、あまり邪魔することはありませんでした。むしろ快盗がさっさと盗んだら倒して被害を防ごうとしているのに警察が乱入した結果、怪人に逃げられることのほうが多かったです。
そのため警察は「1,2回邪魔されただけで快盗を敵視し、怪人を倒そうとする快盗の邪魔をして被害を拡大させる」という正当性の感じにくい態度に見えることが何度かありました。
この辺りはバランス取りが上手くいっていなかったと思います。

■ロボの共有は厳しかった
・ルパパトでは巨大ロボのベース部分である「グッドストライカー」が快盗と警察で共有になっています。ボディの大半を占めるベースは同じで、換装可能な両腕と頭部に快盗のパーツと警察のパーツ、どれを着けるかで快盗のロボにも警察のロボにも変化する仕組みです。
グッドストライカーは一つしかないため快盗と警察、どちらかがロボに乗るともう片方は基本的に巨大戦に参加できない仕様になっています。

・これも快盗と警察のバランス取りの一つなのでしょうが、あまり上手くいっていませんでした。等身大戦のほうで快盗が活躍すれば巨大戦は警察が行い、警察が先に活躍すれば快盗が巨大戦で挽回するという狙いなのでしょうが、実際の印象としては脈絡の薄い消化試合という印象のほうが強かったです。

・ストーリー面ではグッドストライカーの気分次第なことが好きになれませんでした。
グッドストライカーは意思のあるロボ(普段は手のひらサイズの飛行機)で、快盗と警察の”グッと来た”ほうに力を貸します。しかし前述のとおり、消化試合感の強い展開であるためどこにグッと来たのかはピンと来ません。むしろグッドストライカーの気まぐれに振り回されて「おい、なんでそっちに行くんだよ!」となっている残された側の迷惑そうな雰囲気のほうに共感してしまいます。
前半はグッドストライカーの気まぐれ次第な一方、販促期間の過ぎた中盤以降は逆に呼べば来る状態でグッドストライカーの自主性が消えていました。このせいでそういうキャラだからと言おうにも納得がいきません。

■玩具関連のゴタゴタ
・玩具関連でストーリーに影響が出た部分はあったと思います。
スーパー化の登場する3クール目あたりから明らかに警察用に作られたアイテムを快盗側が使うようになったからです。「快盗のほうがアイテムが多い」というレベルではなく、本来パトレン1号が使うものだったであろうスーパー化まで追加戦士の”快盗モード用”に充てられていました。

・最終回でようやくパトレン1号がスーパー化しました。制作スタッフの側としても不本意な変更だったのだと思います。
ルパパトではアイテムの確保や快盗と警察のパワーバランスは単なる活躍に留まらず、ストーリー上でも意味を持ちます。もしも当初の予定どおりスーパー化用のアイテムが警察に渡っていたらストーリー展開は今とは違ったものになっていたと思います。
販促番組なので販促をこなす必要があるのは当然のことですが、ここまで大きく捻じ曲げられるのは災難だと思います。


【総合感想】

■VS要素
・扱いの良さは快盗>警察でした。「主役とサブキャラ」と言ってもいいくらいでしょう。
”vs”というと戦隊では「片方が噛ませ犬にされる」ことが基本パターンだと私は思っているのでルパパトのタイトルを見たときにこれもそうなのだろうかと疑問を持ちましたが結果としては概ねそのとおりでしたね。主役は快盗のほうであり、警察は「快盗のライバル」というポジションで対等な関係ではありません。私は早々にそういう話なのだろうと割り切りましたが、警察好きな人にとっては差をつけられることに理不尽さを感じる場面もあると思います。

■金庫破り
・ルパパトでは「怪人が身体に付いている金庫にコレクションを入れている→快盗が金庫を開けて盗む→怪人を倒す&巨大化する」というのが基本パターンでした。その是非に関しては微妙なところですが私は良いことと言っていいんじゃないかと思っています。
話の構成がワンパターンになりがちだったり、快盗が盗むまで警察が倒せないなど緊張感の薄れるマイナス点もありました。しかし全体としては毎回退屈させずにこなせていたと思います。
どのみち戦隊の話のパターンは基本フォーマットから大きく逸脱することは困難だと思います。巨大戦などの都合上どうしても似たパターンになりがちです。それならせめて独自のパターンを作ろうと考えるのは悪くないと思います。個人的にはマイナス点よりかは評価すべき点として挙げるほうが適切ではないかと考えます。

・話の基本パターン自体は似通っていても実際に金庫を開けるシーンは毎回楽しめました。
どうやって動きを封じるか、シリアスにやるのか怪人に馬鹿なことをさせてギャグ寄りにやるのか、いろいろなパターンがありました。倒す過程でのアクション以外に開ける過程のアクションというパターンが増えたことはアクション好きにとっては面白かったです。

・また「段取りがわかりやすい」という点ではいつものパターンよりも良いと言えるかもしれません。
戦隊では最後は必殺技で倒すのが一般的ですが唐突に必殺技を撃ったり逆に決め手のない攻撃をダラダラと続けたり、締まらないパターンになることもあります。金庫を開けることは「開けたからもう倒せる」という必殺技を使う前振りとしても機能していました。
パターン化が避けられないのならばそういう新しいパターンを開拓していくのも面白そうだなと見ていて思いました。

■全体の構成を振り返ってみる
・全体の構成とシリーズ構成の香村さんの登板回数を振り返ってみると以下のようになりました。

10話まで:8話のジム囮作戦以外は香村さん。10話でザミーゴと戦って一区切り。
11~19話:ほとんど荒川さん。単発のギャグ中心でストーリーは進まず。香村さんはクレーン入手の前後2回のみ。
20~25:ノエル登場からライモン撃破までのノエル登場編。全部香村さん。
26~32:香村さんは初美花の誕生日と魁利と圭一郎の旅行の2回のみ。他はだいたい大和屋さん。魁利と圭一郎の旅行、金庫5個怪人との決戦などノエル半分、他のキャラ半分のドラマが中心。あとはギャグ。
33~39:36話の咲也回以外は香村さん。ルパンマグナム入手、サイレン、ビクトリー入手。39話でザミーゴがスーパールパンレッドに敗北。
40~45:香村さんはデストラ前後回の2回のみ。あとは金子さんの悟の前後回と大和屋さんのキツツキ&シャケで2話ずつ。
46~51:全部香村さん。正月からラストまで。

シリーズ構成の合計登板回数:全51話中34回。

・こうしてみると20話以降は約6話で一区切りになっていて、かつ6話ごとに「全部香村さん→ローテーション陣メイン→全部香村さん」というサイクルになっていたことがわかります。
ストーリー全体の印象として「2クールくらいだったらちょうど良かった」と思いましたががそれはある意味では正解で、ある意味では間違いのようです。香村さんが担当した部分=メインはおよそ全体の半分だから内容があるのは半分の2クール分というのは合っていると言えるでしょう。しかし間を挟まずにこの話を作れたかどうかは怪しいです。それを考えると今ひとつ話の進まないローテーション陣の分も無駄とは言えません。最近のニチアサで全話単独脚本をやった結果、ストーリーが破綻した作品をいくつも見ているのでなおさらです。

・とはいえ2クール前後の中だるみは肯定できません。
11話~19話の香村さんが登板しなかった間は話が全く進展しませんでした。リアルタイムでも厳しかったですが振り返ってみても中だるみが激しいです。本当に何もありませんでしたからね。その後のノエル関連が続いた30話頃までもキャラの積み重ねはあっても全体の話は進みませんでした。
話が軌道に乗り始めた頃にスローペースになるのは良くないと思います。ザミーゴと出会ってコレクションを集めきる以外の道を見えたと思ったら話が減速するのはいただけません。
敵関連の話など後半に急いで片付けた要素がありましたし、そういうところを分散して散りばめていけたらもっと良かったと思います。

■全体の印象
・欠点もありましたが全体としては面白かったです。
戦隊では少ないアンチヒーロー要素もあって刺激的でした。特にアクション面でバリエーションが増えたことが大きかったです。

・チーム分けも完全に機能していたとは言い難いですが良いところもありました。
戦隊だと人数が多い分だけ空気になるキャラも出てきます。ルパパトは全体のメンバー数では初期6人+追加戦士1人の合計7人でしたが存在感の薄くなったキャラは比較的少なかったと思います。初期6人を3人*2チームに分けることで”いるだけ”のキャラを減らせていましたし、必要に応じて両チームを接触させることで人数が少なくて困ることもありませんでした。常に使える手ではありませんが悪くない方式だと思いました。

・キャラのドラマ重視の話作りも4クールという長丁場には合う部分も多かったと思います。
悪との戦いだけで過ごすには一年ペースは長過ぎますからね。人間ドラマのほうが少しずつ進展させやすいですし、 持続性という点では合っていると思います。実装面ではいくつか問題がありましたが方向性としては良いんじゃないかと思いました。

・独自性もあり、各要素の方向性も希望を感じられる内容だったと思います。
「悪との戦い」というヒーロー要素よりドラマを重視したストーリーや快盗に否定的でなければ見て損はない作品だと思います。


コメント

10 件のコメント :

  1. 総評お疲れさまです。

    前作では後半の敵キャラはほとんどモライマーズロボとデスワームで賄っていたのを見て、戦隊もとうとうライダー並に怪人が減るのかなと落胆しましたが、そんな不安を見事に吹き飛ばしてくれましたね。特に、頭だけすげ替えたら胴体は色を変えるだけで十分印象が変化するというのが分かったのは個人的に大きな発見でした。この程度の改造ならライダーでもやって欲しいところですが、やはりフォームチェンジ用のスーツの作成に追われてなかなか手が回らないんですかね…

    メインライターとローテーション陣の担当する分量については、今回みたいに7:3くらいがやはりちょうどいいですね。ただ、ローテの脚本家さんの層をもっと厚くする必要があるなと今回改めて気付きましたね。現状はまだまだベテランさん頼みのようですし。かと言って、次々新しい人を引っ張ってきては使い捨てるなんてことはして欲しくないので、気長に見守るしかないですね。

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    1. >頭だけすげ替えたら胴体は色を変えるだけで十分印象が変化するというのが分かったのは個人的に大きな発見でした。

      思った以上に気づかないものですね。脚とか特徴的な模様が残っていても比べてみないと実感がありません。

      >ローテの脚本家さんの層をもっと厚くする必要があるなと今回改めて気付きましたね。

      私はローテーションには期待していません。新人育成とかには使えるでしょうが、「ローテーションの担当した話を面白くする」のは現実的でないと思っています。
      やれるとすればそれはシリーズ構成のほうで話の骨格をしっかり作った上でローテーションに割り振るなどシリーズ構成としての力量のほうが影響が大きいと思います。香村さんもローテーションで参加した作品がありますが特に良かった印象はありません。根本的に「途中で他人に任せる」という行為自体に無理があると私は考えます。

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    2. 結論から言いますとドラマアクションロボ戦どれも楽しめる部分が多くとても面白かったです。ジュウオウジャーから欠点があまり改善できませんでしたが香村さんの次回作が楽しみです。

      使用回数は少ないですがルパンソードのアクションが剣としてもマジックハンドとしても好きでした。リュウソウは基本武器が剣なのでここに期待しています。

      怪人スーツはガラット→ライモンだけしか分からなかったので良い改造だと思います。金庫という共通点のおかげだったりするのかは分かりませんがこの数をキープしてほしいですね。

      販促が予定通りだったら3クール目に話がもう少し進んだのかな、とか警察の出番とノエルの警察成分が増えたのかな、と妄想すると少し辛いです。ですがその結果生まれたであろうスプラッシュ登場回などの面白さを考えると複雑な気持ちになります。

      私も魁利のその後を描いてほしかったので残念です。香村さんに小説とかで書いてほしいです。できればアルセーヌが叶えたという願いについても。

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    3. >使用回数は少ないですがルパンソードのアクションが剣としてもマジックハンドとしても好きでした。

      そうですね。ソードのどちらの機能も使いこなしていたので出番は少なめでしたが充分満足しています。剣戟自体は他作品でいくつもあるのでルパパトでは他のアクションを優先して独自性を追求したのは正解だと思います。

      >ですがその結果生まれたであろうスプラッシュ登場回などの面白さを考えると複雑な気持ちになります。

      私はスプラッシュ程度ならどうとでもなるんじゃないかと思っています。
      一時的に預けるとか「これじゃ”いただいた”ことにならないだろ」と魁利が自分から返すとか、展開を変えても同じ話をする方法はあったのではないかと考えます。

      >できればアルセーヌが叶えたという願いについても。

      アルセーヌの願いは何だったのでしょうね?
      ギャングラーは排除できていませんし、異世界人の同胞に関してもノエルのように過酷な環境に置かれている者もいました。他にはこれといった願いも思い浮かびません。

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  2. お疲れさまでした。
    作品は全体的にとても楽しめました。
    VS要素は結構効果的だったと個人的には思っています。
    戦隊物は基本的に皆同じ方向を向いていることがほとんどですが、二つの戦隊が存在することで方向性の違いから、両者の特徴を際立たせることが出来たと思います。
    私はどちらかと言えば警察派です。
    でも冷遇されているという印象はあまり持ちませんでした。
    確かに快盗の方が主役っぽい感じでしたが、その分快盗を人として支えようとする警察の姿が活きたんじゃないかと思います。
    物語の中で一番美味しい役柄というのは2番手であるというのを戦隊に限らず色んな作品を見ていて思います。
    ではこの作品で2番手は誰か?警察の赤の圭一郎ですね。圭一郎の役は美味しい役だったと思います。
    どこまでもまっすぐで正義感の塊で優しさも持ち合わせていて。
    圭一郎が魁利をどれだけ精神的に支えたかを考えると、主役を支えようとするキャラクターが美味しいたち位置であると感じます。
    戦隊を越えての交流がまたキャラクターを印象づけた点もVS要素のよかった点かとおもいます。
    ただ交流が少なかったキャラクターの影が少し薄くなったと思います。
    シリーズを通して圭一郎と魁利、うみかと咲也が交流を深めていきました。
    透真とつかさは単発で他方の戦隊員との交流がありましたが、個人的には印象が薄目でした。
    それでも二人の内面や過去を掘り下げたストーリーもしっかり存在しましたから、存在感をアピールできた時もありました。ただ全体には印象の薄いキャラクターだったかと思います。
    複数人の主要キャラが登場する作品では許容範囲なのかもしれませんが。
    追加戦士のノエルは華があり、見せ場も多かったですが、お客様感がずっとあったなと個人的に思います。どちらにも所属していて、どちらにも所属していないような感じ。最後の両戦隊の対立で終わるシーンに登場しないところも彼がお客様だったことを感じさせました。何らかのかたちで入れてあげてほしかったです。
    VSとなって両戦隊に赤が存在する為に通常だと追加戦士が2番手になることが多い中、警察の赤が2番手となってしまったのも何となく不運だったように思います。ノエルもスーパー化してましたから、そこでバランスを取ったのかなとも思いました。
    お父さんといっしょ時代から見ていた人間としては、ノエルにたくさん活躍してほしかったなと思います。でも無駄にパルクールを披露しまくる姿は嬉しかったです。
    コレクションを最後まで集めるとどうなるのか気になりますね。
    ただ、そこは想像にお任せって感じなんでしょうか?
    快盗の今後の描き方はちょっと難しいですよね。
    顔ばれしているので普通の生活は送れないように思います。
    一般人は快盗に恨みは全くないとはいえ、国際警察がおっている以上、一般人も彼らを見たら通報するかもしれないですし。
    国際警察が彼らを追う必要性がどこまであるのかは謎ですが…。
    危険性はないですし、盗むものもルパンコレクションのみであれば、警察が目の敵にする必要はあるのでしょうか?
    Owl0079さんもこの点は疑問に感じられているようですね。ルパンレンジャーvsパトレンジャーの大きな問題はここだと思います。魁利の序盤からの葛藤もここが曖昧なので今一つ疑問符が残ってしまったんです。ストーリーや内面を掘り下げる進め方は本当に素敵だったんですが、じゃあ快盗はどこまで悪いの?と言うと、そこまで悪くないんじゃないか…。となってしまう。
    とはいえ、全体的には本当に面白かったので、今後に期待です。
    怪人は頭を付け替えて色を変えたりしていたんですね。全く気がつきませんでした。印象全然違いますね。発見でした。
    俳優さんで今後スターになるひとは現れるんでしょうか?最近だとトッキュウジャーのしそんじゅんが人気になりましたね。
    あと昨年からニンニンジャーの霞ちゃんが結構活躍しているイメージ。コードブルーとか。
    現時点では圭一郎の俳優さんかノエルを演じたせいやくんが今後活躍しそうに思います。
    長くなりましたが、失礼いたしました。

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    1. >圭一郎が魁利をどれだけ精神的に支えたかを考えると、主役を支えようとするキャラクターが美味しいたち位置であると感じます。

      そこが私が快盗のほうが物語上で優遇されているという理由です。警察にしても快盗ありきで話やキャラが作られていると思います。
      警察の存在しない快盗だけの話は作れても、快盗のいない話は成立しないように私には思えます。

      >透真とつかさは単発で他方の戦隊員との交流がありましたが、個人的には印象が薄目でした。

      私もツカサが一番薄かったと思います。時間に限りがある以上仕方ないと思いますし、二人には「他のメンバーより距離を取って冷静に相手を見定める」という役割があったと思うので特に構成に問題はないと考えています。

      >どちらにも所属していて、どちらにも所属していないような感じ。

      私はスタッフはそういう意図を持って描いていると考えます。
      快盗と警察の両方から「敵にも協力するうさんくさいやつ」と思われながらも実は誰よりも融和を願っているのがノエルだと思います。

      >危険性はないですし、盗むものもルパンコレクションのみであれば、警察が目の敵にする必要はあるのでしょうか?

      私は単に「犯罪者だから」という理由だと思っています。
      法治国家においては法に反することが犯罪です。誰も傷ついていないからいいじゃないかとはならないのが普通だと思います。「パトレンジャーは警察を名乗る一般人」ではなく、あくまで警察の1チームですから法に従うのが当然です。

      >俳優さんで今後スターになるひとは現れるんでしょうか?最近だとトッキュウジャーのしそんじゅんが人気になりましたね。

      私は役者さんには興味ないので語れることがありません。戦隊水準で言えば演技は良いほうだったと思いますが。

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  3. 先月はガンダムの質問にいろいろ答えていただきありがとうございました。

    私はダイレン~今のルパパト(シンケン、ゴセイは未視聴)まで見ているのですが、いいところが間違いなくあるのにもったいない作品だったなと個人的には思いました。

    管理人さんがジュウオウジャーの総括でも指摘していた「敵の描写を書かない方針は問題ないが、強敵としての活躍は増やしたほうが良かった」という部分は今回も改善されなかったのは惜しいなと。
    今回の幹部に当たるキャラとしてザミーゴ、デストラ、ゴーシュと三人いたわけですが、ゴーシュは怪人の巨大化要員だからいいとして、1クール目の〆で登場したザミーゴは2クール目以降チラリと顔見せするだけで具体的な動きが何もなく、デストラはルパンコレクションの秘密を探り、コレクションは元々ギャングラー世界のものだったことを突き止めたり、ドグラニオと右腕になった経緯をにおわせることがありましたが特に生かされることもないまま退場してしまい、味気無さを感じてしまいました。
    あんな形で退場させるんだったら、いっそザミーゴは3クール目ぐらいに初登場させたり、デストラはドグラニオが作った何でも命令の利く金庫付きのロボットという設定にしといて、3クール目終盤に登場した金庫がたくさん付いた実験体をデストラに置き換えて退場させたほうが一つの山場を越えることができた実感と次章への煽りとして機能したんじゃないかなと思いました。

    それでもVS形式をとることで、戦隊作品で書きにくいアンチヒーロー要素を全面に出せたり、アクション面ではガンアクションやドローンを使った撮影技術を存分に堪能できたりと他作品ではみられない独自の要素は興味深かったです。これらの経験を次のリュウソウジャーだったりそれ以降の作品にも生かしていってほしいと思います。次のリュウソウジャーについての感想も楽しみにしてます。

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    1. 際銀狼さん、こんにちは。

      >あんな形で退場させるんだったら、いっそザミーゴは3クール目ぐらいに初登場させたり

      1クール終わりから2クールで間を空けたのは良くなかったと思います。
      間を空けるなら似たような能力の怪人を倒して「(この怪人を倒したら被害者が元に戻ったということは)凍らせた怪人を倒せばコレクション無しでも取り戻せるのではないか?」という概念を快盗が認識する程度にしておくくらいに済ませたほうが良かったと思います。

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  4. 総評お疲れさまでした。
    ドラマ・アクション共に楽しめた作品でした。
    映画やスピンオフ2本を見る予定はありますか?これらについても筆者さんの感想を聞いてみたいです。

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    1. 現状では予定は未定です。面白そうだと思ったら見るかもしれませんがこれまでの例から考えると可能性は低いと思います。
      戦隊にしてもライダーにしても、「人気が出ると無理にでも外伝を作り続ける。人気がでなくなったら中途半端でも終わらせてそれっきり」という海外ドラマのような制作スタイルだと思っているので好きじゃないからです。

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