『仮面ライダー鎧武』の夏に上映した劇場版『 仮面ライダー鎧武 サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!』を見ました。

劇場版 仮面ライダー鎧武/ガイム サッカー大決戦! 黄金の果実争奪杯! [DVD]
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) (2014-11-07)
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【一言まとめ】

・ストーリーは可もなく不可もなく。アクションは良好
・サッカーは意外と楽しい

・馬上戦やサッカーなど他では見られない絵面が見られる
・逆にいつものアクションの延長線上の豪華版を求めると裏切られる

・綺麗な紘汰さんが見られる
・紘汰以外のキャラは出てないと思ったほうがいい


【良かった点】

■サッカー
・実際に見るまでは「サッカーなんて…」と思ってましたが面白かったです!
鎧をまとった姿で真剣にサッカーをしている絵面がまず面白いです。シュールなようで動き自体は上手なので見ているうちにだんだんかっこよく見えてきました。ラストバトルの雑魚と戦いながらのサッカーなんて「戦いなんてどうでもいいからサッカーしろよ!」と思えるほどサッカーの魅力を感じる内容でした。

・ストーリー面でもわりと噛み合っていました。サッカーだとパスを出したり、ゴールを守ったり、シュートを決める主役以外にも見せ場があります。ただいっしょに踊るだけのダンスバトルに比べてチームメンバーの存在感がありました。見れば見るほど、サッカーも有りだなと思える内容で面白かったです。

・ラスボスのマルスとは別のもう一人のライダーの『冠』の出番があれだけだったのはびっくりでした。
変身したのがラストバトル直前だったことまではストーリーの流れに合っていたので違和感はありませんでした。しかしまさか「変身→みんなで名乗り→戦闘開始!、の前にトランスフォームしてサッカーボールに変身!」なんて流れだとは全く思ってもみませんでした。あれならスーツの実物用意しないでCG処理で良かったんじゃないかと思ってしまいました。

■鎧武の活躍
・鎧武は戦闘シーン=活躍というくらいの超優遇でした。
劇場版オリジナルフォームは、ドングリ、バナナ、ドリアンアームズと3種類も有りました。相手がマルスの初戦で使われ方は微妙でしたけど、3種類は豪華に見えました。

・個人的には何と言ってもカチドキです!
カチドキ一番の個性である旗を使って敵を圧倒してくれました。相変わらずどうやってダメージを与えてるのか謎でしたが、かっこよかったので良いです。本編では販促のためにDJ銃ばかり使われて、歯がゆい思いがありましたがようやく報われた気がしました。

・極での馬上アクションも良かったです。
視界の悪いスーツで馬に乗ってアクションをしている、そのすごさに圧倒されました。まともに斬り合うのは止まったときだけで、あとは走っているだけでしたが、物理的に限界があるので仕方ありませんね。
個人的には短弓の形が活かされていたところが良かったです。
馬を走らせたまま弓をつがえて撃てるのはあのサイズならではです。戦国武将のモチーフもここで初めて生きてきた感じがしました。本編のゲネシスライダー同士のソニックアローの撃ち合いが好きだった人にはオススメのシーンです。

■マルスの強さ
・劇場版限定ライダーで、ラスボスなのが仮面ライダーマルスです。
盾と長剣が武器なんですが、使い方がかっこよかったです。
相手の攻撃を盾で捌き、剣で突き倒し、常に相手を突き放していくスタイルがラスボスらしい圧倒的な強さを醸しだしていました。

・マルス/コウガネを演じたのは歌舞伎役者の片岡愛之助さんでした。
当然のことながら上手で全く違和感がありませんでした。むしろ表情の演技が上手すぎて浮いているくらいでした。こういう上手い人なら畑違いのゲストも大歓迎です。

■スタッフロール
・各ライダーの顔がアップで映っていくところがシンプルにかっこよかったです。
特に印象に残ったのが”モザイク画”です。最後の「スタジアムのエキストラのみなさん」の名前が延々と並ぶところで、人名の文字の色を部分的に変えてライダーを描いたモザイク画にしてあって、びっくりしました。ライダー映画のスタッフロールにこんな遊び心があるとは思ってなかったので感動しました。


【残念だった点】

■ストーリー
・悪くはなかったです。本編で全く描かれなかった紘汰の長所を描こうとしたり、滅んでしまったオーバロードと紘汰たちとの差異を描こうとしたり、劇場版というパラレル枠を使った掘り下げには賛成します。

・だがしかし尺が圧倒的に足りませんでした。
メインに紘汰・ラピス・コウガネの3人も話に関わらせるには短すぎました。映画自体が正味65分で、そのうちアクションが30分、説明で10分。残りの25分でメイン以外に戒斗など他のメンバーも出さなければいきません。テレビ放送と同じ程度の時間しかないのに新キャラ二人も出すのは無謀でした。90分映画だったら足りたでしょうね。

・この問題に関しては、私はラピスとコウガネを同一人物にしちゃっても良かったんじゃないかと思いました。
コウガネは「世界を滅ぼすぞー」で、ラピスは「戦ってばかりじゃダメなのに… サッカー?そういうのもあるのか」で、二人の方向性が全然噛み合ってないように見えました。
1つの身体に2つの人格や、善と悪で実体を持って2つに別れた存在とか、二人で1セットにして目的と言動が一貫するようにしたら、時間を取らずに要点をまとめられたんじゃないかと思いました。

■綺麗すぎる紘汰さん
・本劇場版では紘汰(と光実)以外は、全てパラレルワールドの住人で見た目は同じでも別人でした。でも紘汰も同一人物に見えませんでした。何故かというと”綺麗な紘汰さん”になっていたからです。

・本編の紘汰さんは「絶対に許さない!」と他人のせいにしてばかりでしたが、劇場版の綺麗な紘汰さんは「俺は諦めたりしない!」とやる気を見せるし、事実から客観的に物事を考えて相手の正体を見破ったり、「こんな紘汰さんがフリーターなわけがない!」と思えてしまうほど別人でした。
真人間なので見ていて清々しかったです。どちらが良いかと言われたら迷わず劇場版の紘汰さんを選びたくなります。

・しかしこれは紘汰さんではないでしょう。
無責任で人の意見を鵜呑みにするばかりで自分では何も考えないのが、正しい紘汰さんのはずです。こうしたくなる気持ちはわかりますけど、公式なシリーズ作品でやるべきことではないでしょう

■ストーリー上でフォームチェンジが活かせていない
・最初から極アームズを使えるのに使わず、ラストで当たり前のように取り出して使うことには違和感がありました。その直前に同じ相手とカチドキで戦っているので手抜きにしか見えません。

・ここに限らず、ストーリー上でのアクションパートの取り入れ方が微妙でした。
最後にコウガネがサッカー形式に付き合う理由が見当たりませんし、前半の沢芽市自警団vsユグドラシルの戦争で、なぜ自警団側がスイカ部隊や軍隊並の装備を持っているのかも何の説明もありません。自警団の装備の裏にはシドの裏切りがあったように見えたり、脚本上にはあってもカットされたように思えるところもありましたが、全体的にはやはり戦闘への流れに不自然なところが多く見受けられました。

■妙にややこしい設定
・夢の世界だけどコウガネが復活するとリアルがやばいらしかったり、紘汰以外はパラレルワールドかと思ったら光実も本物だったり、妙にこんがらがっていて混乱しました。もっとすっきりさせたほうが良いように思いました。

・特に舞を別人にしたことはストーリー上で致命的な問題があったと思います。
舞がラピスに紘汰の良さである「諦めないこと」を語ったことで、ラピスの心境に変化が生まれて世界が救われたわけですが、この舞は本編の舞とは別人なのでここで語られている紘汰はこの世界の紘汰のことのはずです。つまり勘違いで世界が救われたことになってしまいます。結果オーライですし綺麗な紘汰さんもそういう心情だったので別に問題はないのですが、しっくりきません。
舞と紘汰が別世界の人間だということを忘れているんじゃないかと、脚本に不信感が生まれてしまいました。

・先に述べた尺不足の問題もありますし、冒頭の爽やかスポーツマンの戒斗や、シドの野心を見破って自ら処刑する貴虎みたいに本編と性格の異なる平行世界の住人を交えながら紘汰の話を掘り下げていったほうが良かったんじゃないかなと思いました。

■鎧武が関わらない戦闘が退屈
・紘汰が参加しない戦闘は、大局と関係ない小競り合いばかりでどちらが勝っても影響がないとわかりきってて盛り上がれませんでした。特に序盤が退屈なのは問題です。「人間は争い合う」という物語の前提を描くために、ペコ黒影真vsバロンやブラーボ・残月真・バロンがぶつかるのですが、ただのケンカなので、ど~でもいいです。

・中盤の鎧武闇vs龍玄やレモンバロン&マリカvs鎧武闇&マルスも結果が見え見えの消化試合でした。鎧武の活躍は目を見張るものがある代わりに、それ以外のライダーとキャラが犠牲になってしまっているのは残念でした。


【総合感想】

■劇場版単独で見ると面白い
・パラレルワールドの番外編としては面白かったです。
活躍するカチドキや極など本編の豪華版のアクションは元より、サッカーや馬に乗って戦うライダーなど、ここでしか見られない珍しい映像も見られました。鎧武の物語に興味がない私としては、見て良かったと思える内容で満足です。

■鎧武の劇場版としては不適切
・反面、『鎧武』の劇場版として適切かと言われると疑問です。
紘汰に重点が置かれていて、戒斗を始め大半のキャラが脇役扱いで犠牲になっています。しかし劇場版の紘汰は綺麗な紘汰さんでまるで別人でした。これでは本編の掘り下げとしては不適切に見えます。これでは、この劇場版から本編にフィードバックできる内容は無いという結論になってしまいます。

・面白い部分に関しては、オールライダーで同じ内容をやったとしても特に違和感はないと思います。以上の点から、この内容が鎧武の劇場版として適切であるかは疑わしく思えます。ファンの人にオススメする気にはなれません。