ゴーオンジャー 最終回まで見終わって:全体感想
Youtubeの東映公式ページで配信されていた『炎神戦隊ゴーオンジャー』を最終回まで見終わっての総合感想です。
といっても、放送当時も見ていたので見るのはこれで2回目です。
ゴーオンジャーは私にとって思い入れの深い作品です。
少年期を過ぎてから見た戦隊の中で初めて”おもしろい”と思った作品でした。(初めて見たのはゲキレンジャーでした…)ゴーオンジャーに出会っていなければ、今も戦隊を見ていなかったかもしれません。古い作品ですので細かい点は省いて、ゴーオンジャーの魅力について書きたいと思います。
【ストーリー】
【使命のないヒーロー】
・ゴーオンジャーには戦わなければいけない理由はありません。
ジェットマンのように偶然力を手にしたわけでもなく、ゴーゴーファイブのように血縁関係があるわけでも、シンケンジャーのように使命もありません。そしてゴーオンジャーになる資格も特にありません。作中では触れられていませんでしたが、恐らく炎神さえ認めれば誰でも変身したり、ロボを操縦したりできます。何の理由も見返りもなく命をかけて戦える、ゴーオンジャーはヒーローらしさを追求したヒーローといえます。
・変身した経緯からも「力があるからヒーローになれるのではない」ということを繰り返し強調しています。
ゴーオンジャーの5人がボンパーに選ばれた理由も、自分の命を危険にさらしてでも他人を守ろうと戦ったからでした。日常や自分の夢を捨てて戦っていることも強調されています。金銭的に苦しい生活を送り、範人がバイトをしていたために敵との戦闘に遅れてしまい注意されることもありました。同様に5人はレーサー・警官などそれぞれの目的を持って生きてきたことがたびたび描写されます。その度に5人は夢は捨てていない様子を見せながらも、ガイアークと戦う道へと戻っていきます。
・ゴーオンジャーの特徴の一つにヘルメットがあります。
変身時も最後に「メットオン!」と言ってから被るようにヘルメットだけ着脱式になっているのです。戦闘後にスーツは着たままヘルメットだけ脱いで話すシーンもよくありました。
個人的には変身解除しないで役者さんの顔を出しつつ、ヒーローらしさを残せる良い形式だと思います。
・今思えば、あれは人間とヒーローの中間としての描写だったようにも思います。
視聴者に作品のテーマ「ヒーローは平和な日常の犠牲者である」と考えさせるためのものだったのかもしれません。
【敵もまたヒーローである】
・敵のガイアークにも同様にドラマがあります。
敵の戦う目的は種族の生存のためです。
汚れた環境でしか生きられない身体のため世界中の誰とも共存することもできず、住んでいた世界でも炎神たちから迫害されてきました。この目的意識は最初から最後まで徹底して描かれています。始めから出ていた幹部たちが、終盤に登場した大幹部を最後に裏切り、ゴーオンジャーに味方したのも「自分のために仲間を犠牲にする指導者は要らない」という理由でした。怪人がゴーオンジャーに負けて帰ってくれば労をねぎらい、良いところを褒めて伸ばそうとし、味方が死ねば葬式を挙げる。そんな仲間思いで人間味に溢れたガイアークですが、最後まで共存の道はありませんでした。
敵だから退治されるのは当たり前。美しいことは良いこと。
ガイアークはそういった既成概念の裏で踏みにじられている存在でもありました。彼らもまた日常の影に隠された犠牲者と言えるでしょう。
・敵側にもドラマがあり、仲間を大切にしたり、友情を育んだりもする。
その一方できれい事だけでは済まない話もありました。自然を愛し、美しいものを愛でる種族の価値観に反する者が粛清された話もありました。ガイアークに過度に感情移入させないための処置だったと思いますが、それだけではないように思えます。
【ノルマとテーマ:光と影】
・攻撃する度に「ブンブン!」「バンバン!」と擬音を口に出したり、「マッハで行くぜ!」や「スマイル全開」など各キャラの決めセリフを頻繁に使うため、馬鹿みたいに明るい作品だと言われていますが、それは一面でしかありません。
過度に明るい面があるからヒーローの悲哀や背負った苦しみを支えられるのです。
・ギャグがベースの軽い雰囲気で、正義のために集まった若者たちが戦うというのは戦隊の基本フォーマットですが、そこを逆手に取ったストーリーだったと思います。
戦隊だから、ヒーローだから、そういう当たり前にどれだけ意味を持たせられるのか。それを追求した作品でもあったと思います。
・個人的には全体のテーマはあっても、それを普段は見せずに明るく楽しい雰囲気だったことが何より素晴らしいことだと思います。
作品に暗い影を落とさずに重いテーマを扱うことは並大抵のことではありません。三条さんのノルマをストーリーに取り込む形とも異なる形で、ノルマとテーマを光と影として対比させる興味深い作風でした。
【アクション】
・ゴーオンジャーはアクションも素晴らしいです。今見ても全く見劣りしません。
■論理性と見栄えの両立
・ギャグ調の雰囲気とは裏腹に、戦い方は敵も味方も理にかなっています。
レッドが敵に突っ込むときにはブルーとイエローがしっかり膝をついて援護射撃を繰り出したり、弱点を戦闘中に見つけて攻撃したり、やられた敵がその対策を施したり、本気で戦っている感じがしました。
・その一方で、決めるときにはケレン味たっぷりに決めてくれます。
特にボスキラーとして名を上げた大剣使いのレッドが印象的です
。レッドと相棒のソウルを入れたロボでのWレッド。
対立していたゴールドの武器を借りての二刀流。
新装備と初期装備の剣での二刀流。
敵幹部との一騎打ちでのヘルメットを失いながらの紙一重の勝負。要所要所でしっかり締めてくれるので安心できます。
■遠近両方マンタンガン
・個人的に生身戦で一番好きなのは共通装備のマンタンガンです。
ロッドモードとガンモードと2つのタイプを、先端の棒部分を折り曲げるだけで移行できて、アクション全体の流れがとても滑らかです。炎神ソウルを入れればちょっとした必殺技も使えて、そのまま倒すこともあったのも高ポイントです。
遠近両用の共通装備はアクション映えするし、メンバー共通で出番も多いので販促的にも良いと思うのですが、あまり採用されないのが不思議です。
■バリエーション豊富な巨大戦
・ゴーオンジャーは戦隊初の1号から3,4号ロボの全部乗せ合体をした最初の作品でもあります。また、これまで培ってきた換装も存分に発揮されています。
・個人的には、換装や合体にもちゃんとドラマがあるのが嬉しいです。
基本パターンに必要な機体が事前に消耗していたり、生身戦から普段とは違う組み合わせで戦っていたりして、換装する必然性があって流れが自然です。
・わりと一気に押し切るパターンが多いのですが、あまり気になりません。
ロボの各部位を構成する炎神にも感情があって、生身戦でゴーオンジャーが奮闘した後でやる気満点なので勢いがあります。この辺りはアバレンジャーで相棒の設定をあまり活かせなかった反省が活かされていると思います。
■次回とのつながり
・ゴーオンジャーの戦闘で一番おもしろいと思うのは次回とつながりがあることです。
たとえば、銃を斉射して倒した次の回で銃部分を構成してる炎神と相棒のブラックが「(画面外に飛んでいった)2発も外しやがって下手くそ!」とケンカを始めたり、カメラをモチーフにした敵が倒された次の回で死に際に撮った写真から1号ロボのコピーロボを作り出したりと伏線として機能しています。
さすがに直接つながりがあった回は数回ですが、換装の使えず単調になりがちな序盤を支える良い演出でした。
【全体感想】
・最初から最後まで敵も味方も憎めない明るく楽しい雰囲気の作品だと思います。
要所要所で重い展開や盛り上がる展開を入れて引き締めるので飽きが来ないのも特徴です。2回目見てても、前半で「この回ってこんなに早かったっけ?」と思う一方、後半では「あれ、もう終わりだっけ?」と驚かされました。台詞回しがどうしても嫌だ、という方でなければ戦隊好きならどんな方でも楽しめる作品だと思います。
・子供っぽい台詞回しとは裏腹に考えさせられる深さもあります。
使命がないのにそれでも戦い続けるゴーオンジャーたちから私は強いヒーロー精神を感じます。戦隊というチームではなく、個々の正義によって挫けず立ち向かう姿が印象的です。個人的には一番頼れるヒーローだと思っています。
といっても、放送当時も見ていたので見るのはこれで2回目です。
ゴーオンジャーは私にとって思い入れの深い作品です。
少年期を過ぎてから見た戦隊の中で初めて”おもしろい”と思った作品でした。(初めて見たのはゲキレンジャーでした…)ゴーオンジャーに出会っていなければ、今も戦隊を見ていなかったかもしれません。古い作品ですので細かい点は省いて、ゴーオンジャーの魅力について書きたいと思います。
【ストーリー】
・ゴーオンジャーには戦わなければいけない理由はありません。
ジェットマンのように偶然力を手にしたわけでもなく、ゴーゴーファイブのように血縁関係があるわけでも、シンケンジャーのように使命もありません。そしてゴーオンジャーになる資格も特にありません。作中では触れられていませんでしたが、恐らく炎神さえ認めれば誰でも変身したり、ロボを操縦したりできます。何の理由も見返りもなく命をかけて戦える、ゴーオンジャーはヒーローらしさを追求したヒーローといえます。
・変身した経緯からも「力があるからヒーローになれるのではない」ということを繰り返し強調しています。
ゴーオンジャーの5人がボンパーに選ばれた理由も、自分の命を危険にさらしてでも他人を守ろうと戦ったからでした。日常や自分の夢を捨てて戦っていることも強調されています。金銭的に苦しい生活を送り、範人がバイトをしていたために敵との戦闘に遅れてしまい注意されることもありました。同様に5人はレーサー・警官などそれぞれの目的を持って生きてきたことがたびたび描写されます。その度に5人は夢は捨てていない様子を見せながらも、ガイアークと戦う道へと戻っていきます。
・ゴーオンジャーの特徴の一つにヘルメットがあります。
変身時も最後に「メットオン!」と言ってから被るようにヘルメットだけ着脱式になっているのです。戦闘後にスーツは着たままヘルメットだけ脱いで話すシーンもよくありました。
個人的には変身解除しないで役者さんの顔を出しつつ、ヒーローらしさを残せる良い形式だと思います。
・今思えば、あれは人間とヒーローの中間としての描写だったようにも思います。
視聴者に作品のテーマ「ヒーローは平和な日常の犠牲者である」と考えさせるためのものだったのかもしれません。
【敵もまたヒーローである】
・敵のガイアークにも同様にドラマがあります。
敵の戦う目的は種族の生存のためです。
汚れた環境でしか生きられない身体のため世界中の誰とも共存することもできず、住んでいた世界でも炎神たちから迫害されてきました。この目的意識は最初から最後まで徹底して描かれています。始めから出ていた幹部たちが、終盤に登場した大幹部を最後に裏切り、ゴーオンジャーに味方したのも「自分のために仲間を犠牲にする指導者は要らない」という理由でした。怪人がゴーオンジャーに負けて帰ってくれば労をねぎらい、良いところを褒めて伸ばそうとし、味方が死ねば葬式を挙げる。そんな仲間思いで人間味に溢れたガイアークですが、最後まで共存の道はありませんでした。
敵だから退治されるのは当たり前。美しいことは良いこと。
ガイアークはそういった既成概念の裏で踏みにじられている存在でもありました。彼らもまた日常の影に隠された犠牲者と言えるでしょう。
・敵側にもドラマがあり、仲間を大切にしたり、友情を育んだりもする。
その一方できれい事だけでは済まない話もありました。自然を愛し、美しいものを愛でる種族の価値観に反する者が粛清された話もありました。ガイアークに過度に感情移入させないための処置だったと思いますが、それだけではないように思えます。
【ノルマとテーマ:光と影】
・攻撃する度に「ブンブン!」「バンバン!」と擬音を口に出したり、「マッハで行くぜ!」や「スマイル全開」など各キャラの決めセリフを頻繁に使うため、馬鹿みたいに明るい作品だと言われていますが、それは一面でしかありません。
過度に明るい面があるからヒーローの悲哀や背負った苦しみを支えられるのです。
・ギャグがベースの軽い雰囲気で、正義のために集まった若者たちが戦うというのは戦隊の基本フォーマットですが、そこを逆手に取ったストーリーだったと思います。
戦隊だから、ヒーローだから、そういう当たり前にどれだけ意味を持たせられるのか。それを追求した作品でもあったと思います。
・個人的には全体のテーマはあっても、それを普段は見せずに明るく楽しい雰囲気だったことが何より素晴らしいことだと思います。
作品に暗い影を落とさずに重いテーマを扱うことは並大抵のことではありません。三条さんのノルマをストーリーに取り込む形とも異なる形で、ノルマとテーマを光と影として対比させる興味深い作風でした。
【アクション】
・ゴーオンジャーはアクションも素晴らしいです。今見ても全く見劣りしません。
■論理性と見栄えの両立
・ギャグ調の雰囲気とは裏腹に、戦い方は敵も味方も理にかなっています。
レッドが敵に突っ込むときにはブルーとイエローがしっかり膝をついて援護射撃を繰り出したり、弱点を戦闘中に見つけて攻撃したり、やられた敵がその対策を施したり、本気で戦っている感じがしました。
・その一方で、決めるときにはケレン味たっぷりに決めてくれます。
特にボスキラーとして名を上げた大剣使いのレッドが印象的です
。レッドと相棒のソウルを入れたロボでのWレッド。
対立していたゴールドの武器を借りての二刀流。
新装備と初期装備の剣での二刀流。
敵幹部との一騎打ちでのヘルメットを失いながらの紙一重の勝負。要所要所でしっかり締めてくれるので安心できます。
■遠近両方マンタンガン
・個人的に生身戦で一番好きなのは共通装備のマンタンガンです。
ロッドモードとガンモードと2つのタイプを、先端の棒部分を折り曲げるだけで移行できて、アクション全体の流れがとても滑らかです。炎神ソウルを入れればちょっとした必殺技も使えて、そのまま倒すこともあったのも高ポイントです。
遠近両用の共通装備はアクション映えするし、メンバー共通で出番も多いので販促的にも良いと思うのですが、あまり採用されないのが不思議です。
■バリエーション豊富な巨大戦
・ゴーオンジャーは戦隊初の1号から3,4号ロボの全部乗せ合体をした最初の作品でもあります。また、これまで培ってきた換装も存分に発揮されています。
・個人的には、換装や合体にもちゃんとドラマがあるのが嬉しいです。
基本パターンに必要な機体が事前に消耗していたり、生身戦から普段とは違う組み合わせで戦っていたりして、換装する必然性があって流れが自然です。
・わりと一気に押し切るパターンが多いのですが、あまり気になりません。
ロボの各部位を構成する炎神にも感情があって、生身戦でゴーオンジャーが奮闘した後でやる気満点なので勢いがあります。この辺りはアバレンジャーで相棒の設定をあまり活かせなかった反省が活かされていると思います。
■次回とのつながり
・ゴーオンジャーの戦闘で一番おもしろいと思うのは次回とつながりがあることです。
たとえば、銃を斉射して倒した次の回で銃部分を構成してる炎神と相棒のブラックが「(画面外に飛んでいった)2発も外しやがって下手くそ!」とケンカを始めたり、カメラをモチーフにした敵が倒された次の回で死に際に撮った写真から1号ロボのコピーロボを作り出したりと伏線として機能しています。
さすがに直接つながりがあった回は数回ですが、換装の使えず単調になりがちな序盤を支える良い演出でした。
【全体感想】
要所要所で重い展開や盛り上がる展開を入れて引き締めるので飽きが来ないのも特徴です。2回目見てても、前半で「この回ってこんなに早かったっけ?」と思う一方、後半では「あれ、もう終わりだっけ?」と驚かされました。台詞回しがどうしても嫌だ、という方でなければ戦隊好きならどんな方でも楽しめる作品だと思います。
・子供っぽい台詞回しとは裏腹に考えさせられる深さもあります。
使命がないのにそれでも戦い続けるゴーオンジャーたちから私は強いヒーロー精神を感じます。戦隊というチームではなく、個々の正義によって挫けず立ち向かう姿が印象的です。個人的には一番頼れるヒーローだと思っています。
こんばんは。現在(2023/3/6)、東映の公式チャンネルにてゴーオンジャーの配信が始まったので、感想を残してるサイトはないかな~と探したら、このブログに辿り着きました。
返信削除ゴーオンジャーは特撮初心者にもオススメしたい作品だと思います。味方と敵が分かりやすく描かれていて、戦いが1年を通してハラハラします。特にクールの区切りとなる戦いは、メンバーや炎神との絆がより強く描かれた気もします
2007年のゲキレンで躓いた、商業面でのV字回復にも貢献したので、今回の配信をきっかけに更に高く評価されてほしいです。
匿名さん、こんにちは。
削除私もゴーオンジャー好きなので多くの人が見てくれると良いなぁと思っています。
ゴーオンジャーの皆は、面倒見が良くて優しいから、オギャりたくなるよ。
返信削除幼稚園児通り越して、赤ちゃんになっちゃう。
結構優しいほうですよね。
削除”オカン”もいるし、割と甘えがちな範人や軍平も受け入れてますし。