『マジンボーン』 第1話 闇からの訪問者:感想

2014年4月3日
新作アニメの『マジンボーン』の1話を見ました。
すごくおもしろくてびっくりしました!
予告の感じから予算相応のキッズアニメかと期待していなかったのですが、脚本も演出もずば抜けていました。あんまりおもしろかったので感想を書きたいと思います。

■シームレスな演出
・1話は主人公が偶然変身するところまででバトルはほぼありません。
ほぼ丸ごと主人公の日常描写で構成されています。それなのにおもしろい!
テンポが恐ろしく良いです。会話も自然な間があって違和感がありません。2人で話すときもアニメでよくある顔を突き合わせる構図や不自然に横に並ぶ構図を避け、ほとんどのシーンでどちらかが画面に背を向けているか、画面の外から声だけ聞こえる構図になっています。絵作りも会話も流れがとても自然で、そこらの日常ものや学園ものより遥かにおもしろく感じました

中でもシーンのつなぎ方が見事でした。たとえばヒロインと母親の会話シーン。
母親が学校から帰ったヒロインに単身赴任中の父親から手紙が届いたことを伝えている間は、玄関の入り口からのアングルで母親を正面から取り、ヒロインは背を向けたまま。それがその知らせを聞いてヒロインが目を輝かせるシーンには一転してヒロインのアップに切り替わり、ヒロインの心境に寄せる。その後は2人の会話は続けたまま手紙を映して印象をニュートラルに戻してから、ヒロインに抱えられた飼い犬が何かに怯える様子を映してその後の敵襲来の前振りを済ませる。
全く無駄のない素晴らしい流れでした。

・全体的にこのように会話を続けながらも、次の流れの前振りを入れる構造になっていて見ていて非常にテンポが良く感じます。
各シーンが誰に、何に焦点があてられているのか目に見えてわかるので、流れは早いのに込められた情報がしっかり伝わってきます。シーンごとに意味を分解してみると思った以上に量が多くて驚きました。ストーリー自体はよくあるバトルもののように見えますが、これなら違った楽しみが味わえるかもしれません。シリーズ構成の一人の羽原さんが舞台がメインのようなので、1話の調子なら少なくとも台詞回しは安心して良さそうです。

■等身が高めのキャラデザ

・キャラデザはジャンプ漫画『アイシールド21』で有名な村田雄介さんです。
他のキャラは一目ではわかりませんが、主人公はかなり似ていました。1話の表情を見る限り、意図的に絵柄を似せているみたいなので「村田先生のキャラがアニメで動くのを見たい!」という人も期待できるかもしれません。

・個人的にはキャラの等身が高めなところが気に入りました。
男キャラは逞しく、女キャラは色っぽい感じで、高校生の設定と良く合っています。線が少なく、細田アニメっぽい写実調な絵柄だったのには驚きました。私は細田アニメの絵柄はあまり好きじゃないのですが、マジンボーンはむしろ魅力的に見えて自分でもびっくりです。


■1話の感想
・主人公が戦いに1巻き込まれるまでを描く1話としては申し分のない出来栄えでした。
シームレスにテンポ良く進むストーリーが敵の襲来でピタリと止まる流れは、非日常の訪れという臨場感がありました。
何の障害もなく続いていた平穏な日々があるとき何の前触れもなく崩れ去る。
ストーリー展開だけでなく雰囲気まで作りこまれていて、見慣れた流れなのに思わず息を呑んでしまいました。

・バトル中心になるであろうこれから先も面白いかは未知数ですが「やってくれるんじゃないかな」と期待したくなる1話でした。
バトルもCGの塗りはいまいちなものの、動き自体は実践的で面白そうに見えました。1話が3vs5の変則マッチなのにしっかり攻防を描けていたので演出自体は期待しています。

1話を見逃した方もまだ間に合います。
BSでの再放送(木曜)と公式ページでの無料配信(金曜)があるそうです。
「普通のアニメには飽きた」と思っている方にこそ見ていただきたい作品です。

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